新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 とは?制度の概要・対象企業・補助額をわかりやすく解説
2026年よりスタートした「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、従来の中小企業支援の柱であった「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が統合・進化した大型施策です。本補助金は、革新的な新製品開発や既存事業とは異なる新市場への挑戦を支援します。 採択の鍵は、2040年に雇用者が2割減少する「労働供給制約社会」を見据え、労働分配率(会社が稼いだ粗利のうちお給料として配った割合)が8割という限界水準にある現状を打破し、AIやロボット導入(AX)によって「付加価値の絶対量」を増やす投資計画を提示することにあります。
なぜ2026年に「新事業進出・ものづくり補助金」へ統合・刷新されたのですか?
政府が令和7年度補正予算および令和8年度当初予算案において施策を再編した背景には、日本経済が「コストカット型」から「投資と賃上げが牽引する成長型」へと歴史的な転換点を迎えていることがあります。
深刻な人手不足(2040年問題)により、従来のような「低賃金で労働力を確保する」モデルは構造的に崩壊しました。これからの企業には、少ない人数でも高い利益を生み出す「稼ぐ力の抜本的強化」が求められています。 そのため、「革新的な試作開発」を支援する旧ものづくり補助金と、「新市場・新事業への進出」を支援する旧新事業進出補助金を一本化し、「新事業への挑戦を通じた収益構造の刷新」を一体的に支援する体制へと進化しました。
深刻な人手不足(2040年問題)により、従来のような「低賃金で労働力を確保する」モデルは構造的に崩壊しました。これからの企業には、少ない人数でも高い利益を生み出す「稼ぐ力の抜本的強化」が求められています。 そのため、「革新的な試作開発」を支援する旧ものづくり補助金と、「新市場・新事業への進出」を支援する旧新事業進出補助金を一本化し、「新事業への挑戦を通じた収益構造の刷新」を一体的に支援する体制へと進化しました。
補助金の対象となる「中小企業・小規模事業者」の定義とは?
本補助金に申請できるのは、以下の資本金、または常勤従業員数の基準を満たす日本国内の法人および個人事業主です。業種によって基準が異なるため、自社が該当するか以下の表で確認してください。
【中小企業の定義一覧】
【中小企業の定義一覧】
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業種
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資本金基準
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常勤従業員数基準
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製造業、建設業、運輸業
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3億円以下
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300人以下
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卸売業
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1億円以下
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100人以下
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小売業
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5,000万円以下
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50人以下
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サービス業
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5,000万円以下
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100人以下
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旅館業
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5,000万円以下
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200人以下
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ソフトウェア・情報処理
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3億円以下
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300人以下
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出典:[新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領 第1回 P.15]
なお、「従業員数0名の事業者」、「新事業進出枠における創業1年未満の事業者」や、発行済株式の1/2以上を大企業が保有している「みなし大企業」、直近3年間の課税所得の平均が15億円を超える事業者は対象外です。
申請枠ごとの補助額と補助率:いくらもらえるのか?
企業の目的や投資規模に応じて、大きく分けて3つの申請枠が用意されています。【申請枠別の比較表】
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申請枠の名称
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補助上限額
(従業員数による) |
補助率
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主な支援内容
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革新的新製品・サービス枠
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750万 〜 2,500万円
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1/2 (2/3)
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革新的な新製品・サービスの開発
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新事業進出枠
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2,500万 〜 7,000万円
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1/2
(2/3)
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既存事業とは異なる新市場への進出
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グローバル枠
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2,500万 〜 7,000万円
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2/3
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海外市場開拓、インバウンド対応
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(特例)大幅賃上げ
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新事業進出枠・グローバル枠:最大+2,000万円
革新的新製品・サービス:最大+1,000万円 |
–
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より高い賃上げ成長率にコミット
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※( )内の補助率は小規模事業者や再生事業者が対象です。
採択の絶対条件となる「基本要件」と、返還リスクの正しい構造
本補助金は「もらって終わり」ではなく、事業終了後3〜5年の間に事業計画で掲げた数値目標を達成する必要があります。ここで実務上もっとも重要なのは、どの要件の未達が補助金返還に直結するのかを正確に理解することです。3つの基本要件のうち、返還義務が明示的に紐づくのは賃上げ関連の2要件のみであり、付加価値額要件はこれとは扱いが異なります。
① 付加価値額の向上目標(返還義務が直接紐づく要件ではない)
・目標:年平均成長率(CAGR)+4.0%以上の向上
・算出式:付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
ここで言う「人件費」は、福利厚生費や法定福利費(社保会社負担分)を含む広い概念です。付加価値額要件そのものには「未達なら返還」という規定はありません。ただし後述するとおり、付加価値額が増加していないという事実は、賃上げ要件が未達だった場合に返還を免除してもらえるかどうかの判定材料として使われます。この位置づけの違いを理解していないと、返還リスクの説明を誤ってしまいます。
② 賃上げのコミットメント(未達の場合、補助金返還義務あり)
・1人当たり給与支給総額:年平均+3.5%以上(大幅賃上げ特例を適用する場合は+6.0%以上)増加
・事業場内最低賃金:地域別最低賃金+30円以上(特例を適用する場合は+50円以上)の水準を維持
この2つは公募要領上、目標値未達の場合に補助金の返還義務が明記されている要件です。
※実務上の重要注意点:判定に使う「給与支給総額」には、役員報酬・社会保険料(法定福利費)・福利厚生費・退職金は含まれません。人件費(付加価値額の算定に使う広い概念)とは別の定義であるため、これらを混同して計画を立てると、実績報告時に要件未達と判定され、キャッシュフローを破壊する返還リスクを背負うことになります。
返還と免除の正しい関係
賃上げ要件(②)が未達だった場合でも、次のいずれかに該当すれば返還が免除されます。
・付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体として事業計画期間の過半数で営業利益が赤字である場合
・天災など、事業者の責めに負わない理由がある場合
つまり「付加価値額が伸びなかったこと」は、単独では返還の原因にならず、むしろ賃上げ要件未達時の救済材料として働く可能性がある、という点を正確に押さえておく必要があります。「付加価値額も賃上げも、未達ならどちらも即返還」という理解は誤りです。
その他の必須要件(応募時に満たすべき条件)
・天災など、事業者の責めに負わない理由がある場合
つまり「付加価値額が伸びなかったこと」は、単独では返還の原因にならず、むしろ賃上げ要件未達時の救済材料として働く可能性がある、という点を正確に押さえておく必要があります。「付加価値額も賃上げも、未達ならどちらも即返還」という理解は誤りです。
その他の必須要件(応募時に満たすべき条件)
・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表
従業員規模を問わず全事業者が対象です。旧ものづくり補助金では従業員21人以上のみが対象でしたが、本制度では規模を問わず必須化されています。
従業員規模を問わず全事業者が対象です。旧ものづくり補助金では従業員21人以上のみが対象でしたが、本制度では規模を問わず必須化されています。
・子育て等の職場環境整備に関する取り組み
いずれかの取り組みを実施することが必要です。
これらは数値目標ではなく応募時点の必須条件ですが、見落とすと申請自体が受理されないため注意が必要です。
いずれかの取り組みを実施することが必要です。
これらは数値目標ではなく応募時点の必須条件ですが、見落とすと申請自体が受理されないため注意が必要です。
採択率を引き上げる3つのポイント
補助金審査では、ありふれた事業計画ではなく、その企業ならではの独自の価値(一次情報)が評価されます。
AIトランスフォーメーション(AX)の具体化
令和8年度からは「デジタル化・AI導入補助金」への刷新も並行して進んでおり、AIを「最強の部下」として使いこなし、労働投入量を最適化する計画は強力な加点要素となります。
「自走する組織」のビジョン
単に設備を入れるだけでなく、データを現場に解放して「全員が経営者視点で利益を追求する組織」へと変貌するストーリーが、実現可能性を裏付けます。
労働分配率の適正化戦略
労働分配率(会社が稼いだ粗利のうちお給料として配った割合)がすでに限界水準にあることをデータで示し、投資によっていかに「分子(付加価値)」を増やすかを論理的に説明することが、公的補助の必要性を証明します。
まとめ:10年後の勝敗は「今この瞬間の投資」で決まる
「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、単なる資金調達の手段ではありません。それは、2040年の労働供給制約社会を生き抜くための「成長へのチケット」です。
しかし、公募要領の読み込みから事業計画書の策定までには、経験則として50〜100時間の工数が必要です。また、賃上げ関連の指標が未達の場合は返還義務が生じるリスクがあります。
しかし、公募要領の読み込みから事業計画書の策定までには、経験則として50〜100時間の工数が必要です。また、賃上げ関連の指標が未達の場合は返還義務が生じるリスクがあります。
「自社がどの申請枠で応募するのが最も採択に近いか?」
「返還リスクのない、精緻な賃上げ・収益計画を立てたい」
「複雑な書類作成をプロに任せて、確実な採択を目指したい」
こうしたお悩みをお持ちの経営者様はぜひご相談ください。







