デジタル化セカンドオピニオン加点とは|第3回公募から新設された加点を、IT導入支援事業者が顧客提案で押さえるポイント
デジタル化・AI導入補助金に、「デジタル化セカンドオピニオン」という新しい加点が加わりました。
2026年5月15日の公募要領の改訂で追加され、第3次公募回(2026年6月16日〜)より加点措置として実施されています。
無料で取れる3つの加点に次いで「取りに行ける加点」ですが、社長(代表取締役)ご本人によるオンライン面談が必須という、少し特殊な加点です。
当初は詳細マニュアルが公開待ちでしたが、現在は公式マニュアルが公開され、確認者・面談手順・必須要件まで確定しています。
本コラムでは、確定した事実をもとに、IT導入支援事業者(ベンダー)がお客様に案内するときに押さえるべきポイントを整理します。
デジタル化セカンドオピニオンとは|公募要領を確認する
まずは、公募要領に何と書かれているかを正確に押さえましょう。
通常枠の公募要領には、加点項目の4番目として次のように記載されています。
📄 公募要領(通常枠)
「交付申請時点までに、デジタル化セカンドオピニオンの取組みを実施していること。(第3回公募回より加点措置を実施)
※確認者との面談が完了したうえで交付申請を提出すること。
※詳細は、今後別途公開予定の、デジタル化セカンドオピニオンに関するマニュアルを参照すること。」
つまり「デジタル化セカンドオピニオン」とは、交付申請の前に、確認者と面談し、自社のデジタル化について第三者の視点(セカンドオピニオン)を受ける取組みを指します。これを交付申請までに済ませていることが、加点の条件です。
面談の「確認者」とは誰か|中立な第三者の専門家
面談の相手となる「確認者」は、事務局に登録された中立な立場の第三者の専門家で、中小企業診断士またはITコーディネータ(IT経営を支援する専門資格)に限られます。
⚠ ベンダー(IT導入支援事業者)は「確認者」になれない・同席もできない
デジタル化セカンドオピニオンは、導入を支援するベンダーとは別の第三者から意見をもらう仕組みです。
そのため、IT導入支援事業者・ITベンダーは確認者になれず、面談に同席することもできません。
面談は、確認者と社長(+必要に応じて社内のデジタル化責任者)だけで行います。
ベンダーの出番は「面談本番」ではなく、面談前の準備と段取りにあります。
面談の進め方|予約から当日までの流れ
面談は、事務局のマイページから予約します。流れは次のとおりです。
1
「デジタル化セカンドオピニオン予約(加点措置)」から、活動都道府県や得意業種で確認者を検索し、予約を依頼します。複数の確認者へ同時に依頼することもできます。
2
社長が出席できる日時を3日分以上提示します(第1〜第3希望は必須)。各候補は、開始時刻と終了時刻に1時間以上の幅を持たせます。
3
日程が確定すると、面談用のオンライン会議URLが自動で発行されます。
4
Zoomで面談します。所要は30分〜最大1時間で、不正防止のため自動で録画されます。社長ご本人が、自社の課題やデジタル化の方針を自分の言葉で説明します。
5
面談が完了していることが交付申請の前提です。締切から逆算し、早めに動きます(締切の2週間前は予約が混み合います)。
これだけは外せない|面談の必須要件
公式マニュアルは、加点を受けるための条件を明確に定めています。1つでも欠けると加点の対象外になる、最重要のポイントです。
⚠ 1つでも欠けると“加点ゼロ”になる必須要件
・社長(代表取締役、個人事業主は本人)が面談に出席する……欠席は「キャンセル扱い」となり加点されません。代理出席は不可です。
・面談中はカメラをオンにする……確認者・申請者の双方ともカメラ有効が必須です。
・録画に同意する……不正防止のため自動録画され、同意が必要です。
・申請する公募回の締切までに面談を完了する……予約だけ・実施途中では足りません。
なお、社内のデジタル化責任者など関係者の同席は可能です。ただし、大枠の説明は社長ご本人が行う前提です。ベンダー(IT導入支援事業者)の同席はできません。
面談前に用意する「デジタル経営ビジョン」
面談に向けて、申請者は「デジタル経営ビジョン」という簡易的な事業計画を作成し、予約フォームに入力します。難しい資料ではなく、次の項目を自社の言葉で整理するものです。
- ① 現状把握:主な業務と、その業務で使っている仕組み(紙・Excel・各種ソフト)を5つ以上。生成AIの利用状況も記載します。
- ② 将来目指す姿:会社の方向性と、デジタル化・AI活用をどう進めるか。
- ③ 本申請の目的:今回のITツールで実現したいこと(困りごと)と、そのツールを選んだ理由。
- ④ スケジュール:導入「前」の準備、導入「後」の定着策、「1年後」の目標(想定課題と対策も)。
- ⑤ 体制整備:経営者とデジタル化責任者の氏名・役割(同一人物でも可)。
- ⑥ 経営者の関わり:経営者の関与方針(選択式)。
- ⑦ その他:特記事項(任意)。
確認者は、この記載内容と面談での会話をもとに、「取組内容の整合性・論理性」(課題と導入ツールがつながっているか、計画に現実性があるか)と、「経営者の理解度・意欲」(社長が自分の言葉で語れるか、現場任せ・ベンダー任せになっていないか)の2つの観点で評価します。
無料で取れる加点3つとの違い|手間がかかる分の位置づけ
加点を「取りやすさ」で並べると、デジタル化セカンドオピニオンは、無料の3つ(省力化ナビ・IT戦略ナビwith・成長加速マッチングサービス)と、賃上げや認定の加点の中間に位置づけられます。
| 加点 | 手間・コスト | 将来の縛り | 取りやすさ |
|---|---|---|---|
| 無料加点3つ (省力化ナビ等) |
無料・数十分のオンライン操作 | なし | ★★★ |
| デジタル化 セカンドオピニオン |
社長本人のオンライン面談30〜60分(中立の第三者)+事前準備 | なし(面談完了で完結) | ★★ |
| 賃上げ計画/ 各種認定 |
費用・体制整備・数か月〜年単位 | あり(未達で減点・返還も) | ★ |
※「取りやすさ」は本記事による相対的な目安です。各加点の最新の要件・配点は公募要領および公式マニュアルでご確認ください。
✓ 「無料3つ → セカンドオピニオン」の順で勧める
社長の面談という手間がある分、まずは無料・ノーリスクの3つを取り切るのが先です。
そのうえで、社長が面談に出られるお客様には、デジタル化セカンドオピニオンを上乗せ加点として案内する——この順番が無理がありません。
加点全体の地図は、別記事「加点・減点マップ」で俯瞰できます。
ベンダーが顧客提案で押さえる4つのポイント
面談本番に同席できないからこそ、ベンダーは「準備」と「段取り」で差をつけられます。
1
社長本人の出席が絶対条件です。出席できなければ加点は取れません。まず社長が対応できるかを確認し、できる場合だけ準備を進めます。
2
デジタル経営ビジョンの下書き作成、模擬面談、予約手続きの代行サポートで、社長が自分の言葉で話せる状態に整えます。
3
予約から面談まで日数がかかり、締切2週間前は混み合います。交付申請の締切から逆算し、面談を早めに完了できるよう余裕を持たせます。
4
セカンドオピニオン単体ではなく、無料3つ・製品選定・既存認定などとセットで設計し、採択率を底上げします。
⚠ 「面談したつもり」で申請しない
加点の条件は「確認者との面談が完了したうえで交付申請を提出すること」です。
予約段階や実施途中で交付申請をしてしまうと、加点の前提を満たしません。
社長の欠席・カメラオフ・録画拒否・システム外での面談も加点対象外です。
締切までに、必須要件を満たした面談を確実に完了させましょう。
よくある疑問
Q. セカンドオピニオンは必須ですか?
いいえ。必須要件ではなく加点項目です。実施しなくても申請はできますが、実施していれば審査で有利になります。
Q. 社長ではなく、担当者だけが面談に出てもいいですか?
いいえ。社長(代表取締役、個人事業主は本人)の出席が絶対条件です。社長が欠席するとキャンセル扱いとなり、加点されません。社内のデジタル化責任者などの同席は可能ですが、大枠の説明は社長ご本人が行います。
Q. 自社(ベンダー)が同席して、代わりに説明できますか?
いいえ。デジタル化セカンドオピニオンは、ベンダーとは別の第三者から意見をもらう仕組みです。IT導入支援事業者・ITベンダーの同席は認められません。ベンダーができるのは、面談前の下書き作成・模擬面談・予約代行などの準備支援です。
Q. カメラをオフにしたり、録画を断ったりできますか?
できません。面談は双方のカメラをオンにし、録画に同意することが必須です。いずれかを満たさないと加点の対象外になります。
Q. 賃上げ加点のように、後でペナルティを負うことはありますか?
セカンドオピニオンは交付申請の前に完了させる取組みで、その後に継続的な達成義務はありません。賃上げ加点のような「未達で減点・返還」は想定されていません。あくまで交付申請までに「面談を完了」していることが条件です。
⚠ 加点の要件・名称は公募回ごとに変わることがあります
デジタル化セカンドオピニオンは第3次公募回より追加された加点です。申請の前には、必ず最新の公募要領と公式マニュアルで、対象の加点と要件をご確認ください。
まとめ|“社長本人の面談”が肝。ベンダーは準備で差をつける
デジタル化セカンドオピニオンは、2026年5月15日の改訂で加わり、第3次公募回より実施されている新しい加点です。
加点の肝は、確認者(中立の第三者)との面談に、社長ご本人が出席し、締切までに完了していることです。カメラオン・録画同意・所定システム経由・ベンダー非同席といった必須要件も、1つでも欠けると加点になりません。
そして、ベンダーが面談に同席できないからこそ、面談前の準備(デジタル経営ビジョンの下書き・模擬面談・予約代行)で差がつきます。
「取れる加点はすべて取る」を当たり前にしつつ、社長の負担を準備で小さくする——それが、補助金に強いベンダーの姿勢です。
新しい加点、お客様に正しく案内できていますか?
公募回ごとに動く加点・減点の最新情報の把握から、社長の面談を織り込んだ申請スケジュール設計、デジタル経営ビジョンの作成支援まで。
アクセルパートナーズは、リスクとコストの経営目線でベンダーの補助金活用を支援します。
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)「3-3 交付申請の審査(2)加点項目及び減点項目の審査 ①加点項目について 4)」および改訂履歴(2026年5月15日)/事務局「申請者向け デジタル化セカンドオピニオンマニュアル」/公式ポータル「申請を行う前に必要な手続き」(https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/measures/)。公募要領のダウンロードは https://it-shien.smrj.go.jp/download/。本記事は2026年6月時点の通常枠の公募要領・公式マニュアルをもとに作成しています。加点項目・要件・名称・スケジュールは公募回や年度によって変更される場合があるため、申請前に必ず最新の公募要領および公式マニュアルでご確認ください。







