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【人材育成】研修費を増やすほど、なぜ幹部候補が”現場で使えない人材”になっていくのか
  


鴨居 陽介
編集: 鴨居 陽介
アクセルパートナーズ 取締役・中小企業診断士

国内Sier企業でシステムエンジニア、PM、研修講師、法人営業を経験。 人と組織の成長を支えるマネジメントに携わる。2023年 中小企業診断士登録。2025年 アクセルパートナーズの理念や行動指針に強く共感し、取締役として参画。

「研修には毎年お金をかけているのに、次の幹部が育ってこない」「せっかく外部研修を受けさせても、現場に戻ると何も変わっていない」――そんな悩みを持つ人事担当者は多いです。なぜ、研修費を増やすほど幹部候補は”現場で使えない人材”になっていくのか。本コラムでは、多くの中堅企業が知らずに陥っている「育成の罠」を5つのパターンで解説し、本当に次世代幹部を育てるための考え方と方法をお伝えします。

「研修費は増えているのに、幹部が育っていない」というジレンマ

中堅企業の人事担当者と話すと、必ずといっていいほど出てくる悩みがあります。

「研修には毎年お金をかけているんですが、なかなか次の幹部が育たなくて……」

「せっかく研修を受けさせても、現場に戻ると何も変わっていないんです」

「経営会議で自分の意見を言える幹部が、いつまで経っても増えないんです」

人材育成への投資意識は、この10年で大きく変わりました。「人への投資」が経営のキーワードとなり、管理職研修や幹部候補研修に年間数百万円を投じる企業も珍しくなくなりました。それでも「いざとなったら任せられる幹部がいない」という声は、むしろ増えているように感じます。

問題は、研修の量でも質でもありません。「研修の設計思想」そのものにあります。

この記事では、多くの中堅企業が知らずに陥っている5つの「育成の罠」を解説し、本当に次世代幹部を育てるための考え方と具体的な方法をお伝えします。


第1章:なぜ、研修を受けさせても現場で使えないのか

――「良かれと思って」やっていることが、逆効果になっている

多くの企業が幹部候補育成に力を入れています。外部研修、経営会議への同席、重要プロジェクトへのアサイン……。どれも「良かれと思って」行っていることばかりです。しかし善意の行動が、気づかないうちに「育たない環境」を作り出してしまっていることがあります。

パターン①「有名講師の研修を受けさせている」→ 研修の墓場現象が起きている

外部研修には確かな価値があります。体系的な知識、他社の参加者との交流、非日常の学習環境——どれも日常業務ではなかなか得られないものです。

しかし、多くの企業で「研修の墓場」と呼ばれる現象が起きています。受講した幹部候補が会社に戻ると、日常業務の波に飲み込まれ、学んだことを試す機会がありません。3ヶ月後には研修の内容をほとんど忘れてしまい、研修費だけが残る——。

人間の記憶は、使わなければ定着しません。研修で「知った」ことは、現場で「使ってみる」段階に移って初めて意味を持ちます。しかし外部研修単体では、「知識の習得」と「現場での実践」の間に橋がかかっていません。研修が機能しないのは、研修の内容が悪いからではなく、研修と実務が分断されているからです。

パターン②「経営会議に同席させている」→ 観客席とグラウンドは別物

「経営の場を肌で感じてほしい」という気持ちから、幹部候補を経営会議に同席させる企業は多いです。意図は正しいです。しかし、ここに見落としがあります。

同席は「観客席」であり、「グラウンド」ではありません。野球で言えば、プロの試合を客席でいくら観ていても、バッティング技術は上がりません。バッターボックスに立ち、実際にボールを打たなければ「打つ」という経験は身につきません。

経営者目線は、経営判断を「自分で経験する」ことで育ちます。観ているだけでは、どれだけ時間をかけても経営者の思考回路は身につきません。同席させるなら「この議題について、あなたはどう判断する?」と問いかけ、実際に意見を求める場面を意図的に作ることが必要です。

パターン③「失敗を恐れるな」と声をかけている → 声だけでは行動は変わらない

「失敗してもいいから挑戦しろ」と背中を押す経営者や人事担当者が増えました。心理的安全性を大切にするこの姿勢は確かに重要です。

しかし、声をかけるだけでは行動は変わりません。なぜなら、幹部候補の多くは「何を」「どこまで」失敗しても許されるのかが分からないからです。許容される失敗の範囲が不明確なまま「失敗を恐れるな」と言われても、現実には「無難な行動」を選び続けます。

心理的安全性はあくまで環境の問題です。「失敗から何を学ぶか」というフィードバックの仕組みとセットでなければ、心理的安全性だけで考える力・判断する力は育ちません。

パターン④「大型プロジェクトにアサインしている」→ 経験は「サイクル」でないと育成にならない

「大きな仕事を任せることが最大の育成だ」という考え方は、一面の真実を含んでいます。困難な課題に挑むことで、人は確かに成長します。

しかし、アサインだけでは足りません。重要なのは「経験の前後」です。

  • 経験の前:どんな視点で取り組むか、何を学ぶ場にするかを明確にする
  • 経験の中:迷ったときに相談・壁打ちできる仕組みがある
  • 経験の後:何を学んだかを言語化し、次の行動に活かす

このサイクルがなければ、どれだけ大きなプロジェクトを任せても「こなした仕事」に過ぎません。「経験が人を育てる」のではなく、「経験を振り返ることが人を育てる」のです。

パターン⑤「評価制度を整えている」→ 評価は育成ではなく測定

人事評価制度を精緻化することで、幹部候補の成長を管理しようとする企業も多いです。しかし、評価は「育成」ではなく「測定」です。

どれだけ精緻な評価シートを作っても、評価するだけでは能力は伸びません。評価結果を「気づきのフィードバック」として本人の成長に繋げる仕組みが、別途必要になります。評価制度は育成のツールにはなり得ますが、それ自体が育成ではありません。ここを混同している企業が非常に多いです。


第2章:幹部に育った人たちに共通する3つの特徴

――「焦点」「行動」「量」の違いが、5年後の差を生む

では、実際に幹部として育っていく人たちは、何が違うのでしょうか。育成支援の現場で見えてきた共通点は、「焦点」「行動」「量」の3点です。

特徴①「焦点」:自分の仕事の先に「会社全体」が見えている

担当業務をこなしながらも、常に「自分の仕事が会社全体にどう影響するか」を意識しています。自部門の数字だけでなく、他部門との関係性、経営全体の方向性との整合性を考える視点があります。「担当者目線」と「経営者目線」の最大の違いは、この焦点の当て方にあります。育成においてまず変えるべきは、「自分の仕事がどう会社の方向性に貢献するか」を言語化する習慣をつけることです。

特徴②「行動」:判断の機会を自分から取りに行っている

与えられた仕事をこなすだけでなく、「こうすべきでは」「自分はこう判断する」と主体的に意見を持ち、それを発言・実行しています。重要なのは、意見を「持っている」だけでなく「表明している」という点です。経営者目線は、思っているだけでは育ちません。実際に発言し、判断し、その結果を経験することで初めて育ちます。

特徴③「量」:内省を継続的に実践している

週に一度、月に一度、自分の行動と思考を振り返る習慣があります。「何がうまくいったか」「何を変えるべきか」「次は何を試すか」を繰り返し言語化しています。一見地味に見えるこの習慣が、長期的な成長の差を生みます。人間は経験するだけでは学びません。経験を「振り返り、意味づけること」で初めて学びに変わるからです。


第3章:幹部育成の最短距離

――「経験学習サイクル × 伴走型支援」が、育成の答えだ

研究者のデイビッド・コルブは「経験学習サイクル」という考え方を提唱しています。人は「具体的経験」→「内省・振り返り」→「概念化・理論化」→「実験・試行」の4ステップを繰り返すことで学ぶ、というものです。

このサイクルを回し続ける環境が整っているかどうか——これが幹部育成の成否を決める最大の要因です。そして、このサイクルを一人で回し続けるのは難しいです。日常業務に追われる中で、意識的に振り返り、言語化し、次の行動を設計する。それを支える「伴走者」の存在が、育成の速度を大きく変えます。

アクセルパートナーズが提供する「次世代幹部育成プログラム」は、まさにこの考え方に基づいて設計されています。

プログラムの全体像

月1回3時間のセッションを12ヶ月かけて実施します。財務・人材マネジメント・ガバナンス・ビジネスモデルの4領域を段階的に学習し、各セッションは「講義→個人ワーク→発表・フィードバック」の3ステップで構成されます。

学習領域 主な学習内容
財務 P/L・B/Sの読み方から、経営数字を動かす思考法まで
人材マネジメント チームビルディング、評価制度の本質、権限委譲の考え方
ガバナンス リスクマネジメント、意思決定プロセスの設計
ビジネスモデル 自社の強みの言語化、事業戦略の立案

教科書の事例ではなく、講師が実際に関わった企業の事例を使うため、リアリティのある学びが実現できます。また、2〜10名の少人数向けのため、自社の状況から乖離した研修にならない点も特徴です。

DXコンサルティング・システム開発・ITインフラを手がける企業様への導入実績では、参加した幹部候補から「経営を自分ごととして考えるきっかけになった」「財務の数字が初めて腑に落ちた」「会議での発言が変わったと言われた」といった声が上がっています。


第4章:幹部候補の「経営者目線」を育てる具体的なアプローチ

プログラムを受けるだけでなく、日常業務の中で「経営者目線」を実践する機会を作ることが重要です。人事担当者が社内でできる具体的な取り組みを5つ紹介します。

①週次の「なぜ?」振り返りの場を設ける

週に1回、15〜30分でよいです。幹部候補に「今週、自分が判断した最も重要な場面はどこか?そのときどう考えたか?」を問いかける場を作ります。この問いを繰り返すことで、幹部候補は「自分がどう判断しているか」を意識するようになり、経営者目線が育ち始めます。

②財務数字を「読む」から「動かす」に変える

月次のP/Lを渡して「分析してみて」と言うだけでなく、「この数字を3ヶ月後にどう変えるか、施策を考えてみて」と問いかけます。数字を「読む」だけでなく「動かすための思考」を求めることで、経営数字に対する意識が大きく変わります。

③判断を「代わりにしない」姿勢を徹底する

幹部候補が迷ったとき、すぐに答えを出すのではなく「あなたならどうする?」と問い返します。この習慣が、幹部候補の「考える力」を引き出します。ただし、完全に放置するのではなく、判断した後の振り返りを必ずセットにすることが重要です。

④四半期ごとの「経営視点レビュー」を実施する

3ヶ月に一度、幹部候補に「自社の経営をどう見るか。最大の課題は何か。自分はその解決にどう貢献できるか」を1〜2ページにまとめて発表させます。文書化・発表・フィードバックのサイクルが、思考の精度と言語化能力を鍛えます。

⑤社外との接点を意図的に作る

業界の異なる企業との交流、外部勉強会への参加など、「社外の視点」に触れる機会を意図的に設けます。自社の常識が通じない環境に身を置くことで、「当たり前」を疑う思考が育まれます。これは経営者目線を養う上で非常に有効な方法です。


第5章:育成施策を「仕組み」として会社に根付かせるために

「言っていることはわかるが、人事担当者1〜2名でそこまでできるか」と感じた方もいるかもしれません。その感覚は正しいです。

幹部育成を人事部門だけで完結させようとすると、限界が来ます。育成の設計・ファシリテーション・フィードバックを担う専任の人材と時間が必要だからです。これが、外部の専門家との伴走支援が有効な理由です。

アクセルパートナーズの次世代幹部育成プログラムでは、少人数型のため、「自社の現状から乖離した研修」になりません。


よくあるご質問

質問 回答
Q1. 社員数が少ない中堅企業でも実施できますか? むしろ中堅企業に向いたプログラムです。大企業向け研修のような画一的なカリキュラムではなく、2〜10名の少人数を対象とした設計のため、自社の実情に合った育成が可能です。
Q2. どのくらいの期間で効果が出ますか? 「認識の変化」は3ヶ月程度で現れ始めます。「行動の変化」が定着するのが6ヶ月前後、「事業への成果貢献」が見えてくるのが12ヶ月前後が目安です。育成は長期投資と捉えていただくのが現実的です。
Q3. 外部研修との組み合わせは可能ですか? 可能です。むしろ外部研修を「きっかけ」として活用し、本プログラムで「実務への定着」を促すという組み合わせが非常に効果的です。研修→実務→振り返りのループを設計することがポイントです。
Q4. 人事部門に専任担当者がいなくても進められますか? 進められます。プログラムの設計・運営・ファシリテーションはアクセルパートナーズが担うため、人事担当者の業務は「各セッションへの立会いと社内調整」程度です。
Q5. 経営企画人材と幹部候補の育成は別のプログラムが必要ですか? 目指す姿(経営者目線・全体最適の思考)は共通です。入口となる実務フィールドが異なるだけで、同じプログラムに両者を参加させることも可能です。ご希望に応じて設計します。

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次世代幹部育成プログラム|株式会社アクセルパートナーズ

お電話でのご相談:0120-659-057(平日 9:30〜18:00)


鴨居 陽介
編集: 鴨居 陽介
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