【グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金】ウクライナ復興支援の採択傾向と注意点とは?


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2026年7月下旬現在、経済産業省「令和7年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」(以下、グローバルサウス補助金)でのウクライナ復興支援に向けた欧州企業連携・ 中東欧諸国等連携強化事業の公募中です(〆切は9月25日)。今回は「FS実証事業」、「実証事業」の双方について合わせて10件程度という狭き門ですが、中小企業なら補助率は最大2/3、最大40億円の支援が受けられます。FS(上限6,000万円)事業に実証事業をセットにしている点に、スピード感と実効性が求められる復興支援特有の事情が読み取れます。

実はウクライナ復興支援では、日本だけでなく欧州や台湾、韓国等の企業がウクライナや隣国に進出活動を活発化しています。寧ろ、日本企業の進出は出遅れている状況にあると言ってよいでしょう。このため、ウクライナ枠の実証事業では戦災地である現地のニーズに競合しているだけでなく、特に欧州企業との競合や連携を見据えた計画づくりが必須となる点で注意が必要です。この点も踏まえて、ここではこれまでのウクライナ枠での採択傾向と注意点を説明します。

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採択事業の傾向①:生活基盤・エネルギーの「迅速な」復旧ソリューション

下表の通り、過去2回の公募(令和6年度補正)では、破壊された住環境やインフラに対して、プレハブ・モバイル住宅、あるいはコンテナ電源や蓄電池などを「即座に持ち込んで機能させる」プロジェクトが採択されています。

(分野1-1)住宅・居住空間の提供

大和ハウス工業株式会社 ウクライナ公営住宅向けプレハブ住宅の生産・建築・提供FS実証事業
株式会社カンバーランド・ジャパン 「能登からウクライナへ」日本の災害復興知見を活用した分散型モバイル住宅による復興支援実証事業
株式会社ダイワテック 再生可能エネルギー(太陽光)を活用したモジュラーハウスによる住宅建設・運営

(分野1-2)エネルギー・電源の確保

パナソニック株式会社 即応型・可搬型コンテナ電源ビジネスの実証
シンフォニアテクノロジー株式会社 LPガス発電機FS実証事業
香川電力株式会社 蓄電池を活用したBCP強化FS実証事業

ひと言で「居住空間」や「電源」といっても、様々なアプローチが考えられます。上記の先行事業と全く同じアプローチでは採択可能性は低いですが、独自の保有技術を使った新たなアプローチであれば、現地ニーズが拡大しているため採択可能性は未だ高い領域だと考えられます。戦闘の長期化に伴い、周辺の火災や爆発にも強い防災性、寒さの厳しい冬季でも温かく過ごせる居住性などの付加価値も差別化の要素です。

採択案件の傾向②:安全確保と「遠隔・無人化」による復旧作業

地雷やがれき、ドローン攻撃のリスクがある危険な現場において、日本の高度な「建機遠隔操作技術」や「無人ドローン」を活用する事業です。ウクライナ復興において最大のネックとなるのが「作業員の安全確保」です。現場に人が立ち入れない状況を、日本のロボティクスや通信技術で解決する提案が採択されています。

(分野2-1)遠隔施工・がれき処理

コベルコ建機株式会社 インフラ復興・人材育成に貢献するK-DIVE(重機遠隔操作システム)実証事業
八千代エンジニヤリング株式会社 復興支援に向けたがれき処理・超遠隔施工エコシステム構築実証事業

(分野2-2)ドローン・通信・防護

株式会社パデコ 大型無人ドローン物流FS実証事業
東京製綱株式会社 ハイアーネット:対ドローン防護及び斜面防災ネットFS実証事業
楽天シンフォニー株式会社 仮想化オープン無線アクセスネットワークによる通信インフラ強靭化実証事業

これらの分野の場合、本来は戦災地でなくてもニーズの高い最新技術を戦災地で適応している点に特徴があります。AIの利活用とも親和性の高い最新領域です。ウクライナを起点に欧州市場を見据えた事業構想が描きやすい領域でもあります。

採択案件の傾向③:戦傷者等の「リハビリ・高度医療」支援

日本が世界をリードする医療技術やロボティクスを用いて、負傷した人々の機能回復やリハビリテーションを支援する事業です。

CYBERDYNE株式会社 装着型サイボーグHAL・神経再生医療・硬膜外脊髄刺激を併用した次世代Cybernics 治療センター構想実証事業
医療法人石井会 ウクライナ復興の為のDXリハビリ医療施設FS実証事業

注意点:欧州企業との連携と他国企業の競合分析が必要

グローバルサウス補助金のウクライナ枠は令和6年度の「ウクライナ復興支援・中東欧諸国等連携強化」から、令和7年度は「ウクライナ復興支援に向けた欧州企業連携・中東欧諸国等連携強化」へと名称変更されました。既にウクライナ復興支援では欧州企業の進出が活発化していること、実証事業の展開にスピード感が求められていること、安全上の問題から近隣国のポーランドやルーマニアを拠点とする必要性があること等の事情を考えると、この名称変更は妥当に思えます。

本事業の実証計画では、ウクライナ国内のマーケティングだけでなく欧州企業の競合分析、企業連携による事業展開のスピードアップが求められます。なお、台湾や韓国も政府のウクライナ支援プロジェクトとして積極的に自国企業の進出を後押ししています。技術力の高い各国企業の現地展開状況、そしてお互いに強みの補完関係を図れる欧州企業の洗い出しを初期リサーチに含める必要性があります。もし、これらの準備が不十分な状態で補助事業に採択された場合、採択後の実証事業の展開で大変な苦労をすることになります。

まとめ

グローバルサウス補助金の他の事業に比べると、ウクライナ復興支援枠は求められる技術の完成度や事業展開の難易度が一段上です。中小企業の場合、まず実証事業の中核となる技術を有していることが前提となります。そのうえで、事業展開の範囲やスピードを担保するために現地および欧州での企業連携を担える他企業との協同体制を組みあげられることができれば、説得力のある実証計画を作ることができるでしょう。

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アクセルパートナーズは新興国への事業展開支援の実績が豊富な国際コンサルタント達を提携パートナーに含んでいるほか、東欧諸国の日本大使館で勤務経験のあるコンサルタントも在籍しています。ウクライナ枠の場合は事前マーケティング調査の範囲が広いため、是非ご活用ください。更に、約200人の中小企業診断士や会計専門家達を擁しますので、事業計画や組織・財務戦略の策定もサポート可能です。

アクセルパートナーズの主な支援内容:

  1. 申請・事業計画策定:採択に繋がる「共創型」「リバースイノベーション」等の文脈を盛り込んだ事業計画を作成し、最適な申請枠を提案します。
  2. 採択後のPMO:複雑なプロジェクトの進捗管理代行、現地企業・政府との調整を支援します。
  3. 証憑管理・実績報告:厳格な補助金ルールに基づく証憑整理と実績報告書作成を全面的にバックアップします。
  4. 実行支援・経営顧問:補助金獲得だけでなく、現地パートナーの開拓と管理、現地事業の黒字化とキャッシュフロー最大化を支援します。

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土井 アキラ
この記事の編集: 土井 アキラ
中小企業診断士

公的機関コンサルタントとして中小企業の海外展開支援をベトナム(金型)、ケニア(農業機器・資材、食品加工機材ほか)、ミャンマー(自動車検査用機材、教育用電子機器ほか)、パキスタン(縫製機械、工場用ソフトウェア)、タイ(建設資材)等で実施。 現地での実行支援に加え、新規の海外展開を成功させるために前提となる経営・事業戦略、組織・人員体制、ファイナンスなどの全社的調整も伴走支援させて頂きます。

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