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【サイバーセキュリティ】UTM選定ガイド_失敗しないための選び方
  


鴨居 陽介
編集: 鴨居 陽介
アクセルパートナーズ 取締役・中小企業診断士

国内Sier企業でシステムエンジニア、PM、研修講師、法人営業を経験。 人と組織の成長を支えるマネジメントに携わる。2023年 中小企業診断士登録。2025年 アクセルパートナーズの理念や行動指針に強く共感し、取締役として参画。

「UTMを入れたほうがいいと言われたけれど、製品が多すぎてどれを選べばいいかわからない。」

アクセルパートナーズが中小企業の経営者やIT担当者とお話しする中で、最も多いご相談の一つがこの「UTM選び」です。ベンダーに聞けば当然自社製品を勧められますし、ネットで調べても専門用語だらけで比較のしようがない。結局「よくわからないまま、勧められるがまま契約してしまった」というケースが後を絶ちません。

UTM(Unified Threat Management=統合脅威管理)は、企業ネットワークのセキュリティを一台で担う「門番」のような装置です。正しく選べば費用対効果の高い投資になりますが、選び方を間違えると「通信が遅くなった」「必要な機能がオプション課金だった」「保守がまともに受けられない」といったトラブルに発展します。

本記事では、UTMの基本から、選定で失敗しないための5つの評価軸、そして国内市場で実績のある主要5製品の比較まで、中小企業の担当者が「これを読めば選べる」と思える情報を徹底的にまとめました。

この記事でわかること

  • UTMとは何か、なぜ中小企業に必要なのか
  • 国内UTM市場の最新シェアと勢力図
  • 選定で絶対に押さえるべき「5つの評価軸」
  • 主要5製品(FortiGate / WatchGuard / Check Point / SAXA / Sophos)の比較
  • 助成金を活用して導入費用を抑える方法

目次

1. UTMとは何か ― 「ネットワークの門番」を一台に集約する

そもそもUTMとは?

UTM(Unified Threat Management=統合脅威管理)とは、ネットワークセキュリティに必要な複数の機能を1台の機器に統合した装置です。外部インターネットと社内ネットワークの境界に設置し、出入りする通信を監視・制御します。

従来、企業のネットワークセキュリティを守るには、ファイアウォール、アンチウイルスゲートウェイ、IPS(不正侵入防止)、Webフィルタリングなどをそれぞれ個別の機器で導入する必要がありました。しかし中小企業にとって、複数の機器を購入・設定・運用するのは予算的にも人員的にも現実的ではありません。

そこで生まれたのがUTMです。「ファイアウォール+アンチウイルス+IPS+Webフィルタリング+VPN+アンチスパム」といったセキュリティ機能をオールインワンで提供することで、中小企業でも手の届く価格と運用負荷で、本格的なネットワーク防御を実現できるようにしたものです。

UTMに搭載される主なセキュリティ機能

機能 役割 わかりやすく言うと
ファイアウォール 不正な通信を遮断する 「入口の門番」
IPS/IDS ネットワーク上の攻撃パターンを検知・防御する 「不審者を見抜く監視カメラ」
ゲートウェイアンチウイルス 通信に含まれるマルウェアを検知・ブロックする 「荷物検査の金属探知機」
Webフィルタリング 危険なWebサイトへのアクセスをブロックする 「危険エリアへの立入禁止テープ」
アンチスパム 迷惑メール・フィッシングメールをフィルタリングする 「郵便受けの不審物フィルター」
VPN 暗号化された安全な通信経路を提供する 「専用の秘密トンネル」
アプリケーション制御 業務に不要なアプリの通信を制限する 「通行許可証のチェック」

中小企業にとって、UTMは「これ1台入れておけば、ネットワーク防御の基本はカバーできる」という、最もコストパフォーマンスの高いセキュリティ投資の一つです。


2. なぜ中小企業にUTMが必要なのか

「うちはウイルス対策ソフトを入れているから大丈夫」の落とし穴

この認識は、残念ながら大きな誤解です。PC個々にインストールするウイルス対策ソフト(EPP)と、ネットワークの境界に置くUTMは、守る場所がまったく違います

  • ウイルス対策ソフト(EPP):PCの「中」を守る。ファイルの実行時にマルウェアを検知・ブロックする
  • UTM:ネットワークの「入口」を守る。危険な通信がPCに届く前にブロックする

たとえるなら、EPPは「家の中に入ってきた泥棒を捕まえる警備員」、UTMは「家の敷地に入る前に不審者を止める門番」です。両方いてこそ、セキュリティは成り立ちます。

中小企業が特にUTMを必要とする3つの理由

1. サイバー攻撃の約7割が中小企業を標的にしている

警察庁の「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、ランサムウェア被害の約7割が中小企業で発生しています(出典:警察庁)。攻撃者にとって、セキュリティが手薄な中小企業は「狙いやすい標的」です。UTMはそのネットワークの入口を塞ぐ、最も基本的かつ効果的な対策です。

2. 専任のセキュリティ担当者がいない

大企業であれば、ファイアウォール専用の機器、IPS専用の機器、Webフィルタリング専用の機器をそれぞれ管理する専門チームがいます。しかし中小企業では、ITの管理を総務担当者が兼任しているケースも珍しくありません。UTMは複数の機能を1台に統合しているため、管理対象の機器が1台で済むという運用メリットがあります。

3. 取引先や補助金の要件としてネットワークセキュリティが求められている

近年、大企業が取引先に対してセキュリティ対策の状況報告を求めるケースが急増しています。「ネットワーク境界にセキュリティ機器を設置しているか」は、その質問項目の定番です。また、各種補助金・助成金の申請においても、セキュリティ対策の実施状況が加点要素になっています。


3. 国内UTM市場の最新動向 ― Fortinetが圧倒的シェアで独走

UTMを選定する前に、まず「市場でどのメーカーが使われているか」を知っておくことは重要です。シェアが高いということは、導入実績が豊富で、代理店・保守ベンダーの選択肢が多く、技術情報も入手しやすいことを意味します。

国内UTMベンダーシェア(2024年 日経クロステック調査)

順位 メーカー シェア 前年比
1 Fortinet(フォーティネット) 45.7% +2.6pt
2 Palo Alto Networks 約16% -3.3pt
3 Cisco Systems 約15% +4.3pt
4 SonicWall 4.2%

(出典:日経クロステック「今使われているルーターとUTMのベンダーランキング」

Fortinetが全企業規模で1位を独占し、国内シェアの約半数を占める圧倒的な存在です。2018年時点のシェア38.4%から着実に伸ばし続けており、2024年には45.7%に達しています。

一方、Palo Alto Networksは大企業向けの高機能モデルに強みを持ちますが、中小企業向け市場ではFortinetに大きく差をつけられています。Cisco Systemsはシェアを4.3pt伸ばし、3位ながら勢いを見せています。

UTM/次世代ファイアウォールの導入率

同調査によると、UTMまたは次世代ファイアウォールの導入率は全体の46.0%(前年比+3.1pt)で、2021年以降年々増加しています。裏を返せば、まだ半数以上の企業がネットワーク境界のセキュリティ対策を講じていないということです。


4. UTM選定で失敗しないための「5つの評価軸」

ここからが本題です。UTMの選定で最も重要なのは、「有名だから」「安いから」で選ばないことです。自社の環境・規模・運用体制に合った製品を選ぶために、以下の5つの評価軸で比較することをおすすめします。

評価軸①:性能・キャパシティ ― 「導入したら通信が遅くなった」を防ぐ

UTM選定で最も陥りやすい失敗が、「カタログ上のスペックに惹かれて導入したが、実際に使うと通信速度が大幅に落ちた」というケースです。

UTMのスペック表に記載されている「スループット(通信処理速度)」には注意が必要です。多くの場合、カタログに大きく書かれているのはファイアウォール単体のスループットです。しかし実際の運用では、アンチウイルス、IPS、Webフィルタリングなど複数の機能を同時に動かします。すべてのセキュリティ機能を有効にした状態での「実効スループット」は、カタログ値の3分の1~5分の1程度にまで低下することがあります。

チェックすべきポイント:

  • UTM実効スループット(全機能ON時):自社のインターネット回線速度(例:1Gbps契約)に対して十分な余裕があるか
  • 最大同時セッション数:現在の接続端末数(PC+スマホ+IoT機器)に対して、将来の増加分を含めて余裕があるか。特にクラウドサービス(SaaS)を多用する環境では、1台のPCが同時に多数のセッションを張るため、想定以上のセッション数が必要になる
  • VPN接続数とパフォーマンス:テレワークでVPN接続を利用する場合、同時接続可能数と暗号化処理によるボトルネックの有無

実務上のアドバイス

スループットは「自社の契約回線速度の2倍以上」を目安に選ぶと安心です。従業員30名程度の中小企業であれば、実効スループット1Gbps以上、最大セッション数10万以上が一つの目安になります。

評価軸②:セキュリティ機能 ― 「必要な機能が足りない」を防ぐ

UTMに搭載されるセキュリティ機能は製品ごとに異なります。基本機能(ファイアウォール、IPS、アンチウイルス、Webフィルタリング)はほぼ全製品に搭載されていますが、差がつくのは高度な脅威への対応力です。

チェックすべきポイント:

  • 基本機能の網羅性:ファイアウォール、IPS/IDS、ゲートウェイアンチウイルス、アンチスパム、Webフィルタリング、アプリケーション制御がすべて標準搭載されているか。一部がオプション(別料金)の場合、トータルコストが大きく変わる
  • サンドボックス機能:シグネチャ(既知のウイルスの特徴パターン)ベースでは検知できない未知のマルウェアやランサムウェアに対し、クラウド上の仮想環境でファイルの挙動を検査する機能。近年のランサムウェア対策には重要度が高い
  • SSLインスペクション:現在のWebトラフィックの大半はHTTPS(暗号化通信)です。暗号化された通信の中身を一度復号して検査する「SSLインスペクション」に対応しているか、そしてその処理によるパフォーマンス低下がどの程度かは、必ず確認すべきポイント
  • シグネチャ更新頻度:脅威の定義ファイルがどの程度の頻度で更新されるか。更新が遅いと、新しい攻撃に対して無防備な時間が生まれる

評価軸③:運用・管理のしやすさ ― 「入れたはいいが使いこなせない」を防ぐ

中小企業にとって、UTMの運用・管理のしやすさは性能以上に重要な評価軸かもしれません。どんなに高機能な製品でも、設定変更やログの確認が難しければ、宝の持ち腐れになります。

チェックすべきポイント:

  • 管理画面(GUI)の操作性と日本語対応:ダッシュボード、設定画面、エラーメッセージが十分に日本語化されているか。海外メーカーの製品では、管理画面の日本語化が不完全なケースがある
  • レポート出力機能:脅威の検出状況やトラフィックの傾向を、グラフィカルなレポートとして自動生成できるか。経営層への報告や、取引先への説明資料として使えるフォーマットであればなお良い
  • クラウド管理(セントラルマネジメント):複数拠点にUTMを設置する場合、クラウド上の1つの画面から全拠点の設定を一括管理できるか
  • マネージドサービス(SOC/MSP)との連携:自社に24時間365日の監視体制がない場合(中小企業の大半がそうです)、セキュリティベンダーが提供する運用代行サービスに対応している製品であるかは極めて重要。対応していなければ、「アラートが出ても誰も見ていない」状態になりかねない

評価軸④:コスト ― 「初期費用は安かったが、5年間で見たら高かった」を防ぐ

UTMのコスト比較で最もやってはいけないのが、機器本体の価格だけで判断することです。UTMのコストは「ハードウェア(本体)+セキュリティライセンス(年間サブスクリプション)」で構成されており、ライセンスは毎年更新が必要です。

チェックすべきポイント:

  • 5年間トータルコスト(TCO)での比較:機器本体+セキュリティライセンス5年分+保守費用の合計で比較する。本体が安くてもライセンスが高額な製品、あるいはその逆のパターンがある
  • ライセンス体系:必要な機能がすべてパッケージ化されている「バンドル型」か、機能ごとに追加購入する「アラカルト型」か。バンドル型はわかりやすいが不要な機能も含まれる。アラカルト型はカスタマイズ性が高いが、見積もりが複雑になりがち
  • 導入形態の柔軟性:物理アプライアンス(機器設置)だけでなく、仮想アプライアンス(VMware/Hyper-V上で稼働)やクラウド版が提供されているか。将来的なインフラ変更への対応力に差が出る

実務上のアドバイス

中小企業(従業員30~50名規模)の場合、UTMの5年間TCOはおおむね100万~300万円程度が相場です。年間20万~60万円と考えると、決して小さな投資ではありません。だからこそ、後述する東京都の助成金などを活用して負担を軽減することが重要です。

評価軸⑤:サポート体制 ― 「壊れたときに連絡がつかない」を防ぐ

UTMはネットワークの要です。故障すれば社内のインターネット接続が全停止する可能性があり、事業への影響は甚大です。

チェックすべきポイント:

  • ハードウェア保守の対応レベル:故障時に「先出しセンドバック(代替機を先行発送)」か「オンサイト保守(技術者が訪問修理)」か。中小企業の場合、ITに詳しいスタッフがいない前提で、オンサイト保守の有無は重要な判断材料になる
  • 障害受付時間:24時間365日対応か、平日日中帯のみか。ランサムウェア攻撃は週末や深夜に実行されるケースが多い
  • 国内サポート拠点:日本国内にサポート拠点があり、日本語でのエスカレーションが可能か。海外ベンダーの場合、エスカレーション先が海外本社になると対応に数日~数週間かかるケースがある
  • 国内導入実績と情報流通量:導入実績が豊富であれば、トラブル発生時にネット上のナレッジベースや技術フォーラムから情報を得やすい。マイナーな製品は「困っても情報が見つからない」リスクがある

5. 主要5製品を徹底比較 ― 中小企業向けUTMガイド

ここからは、上記5つの評価軸に基づいて、国内の中小企業市場で実績のある主要5製品を比較します。

製品概要一覧

項目 FortiGate(Fortinet) Firebox(WatchGuard) Quantum Spark(Check Point) SS7000(SAXA) XGS(Sophos)
メーカー本社 米国 米国 イスラエル 日本 英国
国内シェア 1位(45.7%) ―(国産大手)
世界出荷台数 9年連続1位 120万台以上 大規模実績豊富 国内中心 世界50万社以上
主な対象規模 全規模対応 中小~中堅 小規模~中堅 小規模~中小 中小~中堅

評価軸別の比較

① 性能・キャパシティ

項目 FortiGate Firebox Quantum Spark SS7000 XGS
FWスループット 高い 高い 標準的 高い 高い
UTM実効スループット 業界トップクラス。独自ASIC「SPU」による高速処理が強み 3.4Gbps前後(中小向けモデル) 1.5Gbps前後(小規模モデル) 3.0Gbps前後 高い処理能力
セッション数 大容量。SaaS多用環境にも対応 中規模向けに十分 小規模向け 中小規模向け 中規模向けに十分
VPN性能 高い。大規模VPN環境に対応 標準的 標準的 標準的 標準的

ポイント:Fortinetは独自開発の専用プロセッサ(SPU)を搭載しており、セキュリティ機能を有効にした状態でも高いスループットを維持できる点が最大の強み。SAXAもスループット3.0Gbpsと中小企業には十分な性能です。

② セキュリティ機能

項目 FortiGate Firebox Quantum Spark SS7000 XGS
基本機能 ◎ 全機能標準搭載 ◎ 全機能標準搭載 ◎ 全機能標準搭載 ◎ 全機能標準搭載 ◎ 全機能標準搭載
サンドボックス ◎ FortiSandbox ◎ APT Blocker ◎ SandBlast △ 非搭載 ◎ Sandstorm
SSLインスペクション ◎ 高性能 ○ 対応 ○ 対応 ○ 対応 ◎ 高性能
脅威インテリジェンス ◎ FortiGuard Labs ○ WatchGuard脅威ラボ ◎ ThreatCloud ○ 複数エンジン連携 ◎ SophosLabs(24/365)

ポイント:サンドボックス(未知のマルウェアを仮想環境で検査する機能)は、ランサムウェア対策の要です。SAXA以外の4製品はサンドボックスを提供していますが、コストとの兼ね合いで中小企業が実際に有効化するかは別の判断になります。

③ 運用・管理のしやすさ

項目 FortiGate Firebox Quantum Spark SS7000 XGS
管理画面の日本語化 ◎ 完全日本語化 ○ 概ね日本語化 ○ 概ね日本語化 ◎ 完全日本語(国産) ○ 概ね日本語化
操作の直感性 △ 多機能ゆえに複雑。慣れが必要 ○ 比較的わかりやすい ○ 小規模向けはシンプル ◎ 国内ユーザー向けに設計 ◎ 直感的で評価が高い
レポート機能 ◎ FortiAnalyzerで高度分析可能 ○ 標準レポートあり ○ SmartConsole ○ 標準レポートあり ◎ Sophos Centralで可視化
クラウド管理 ◎ FortiCloud ◎ WatchGuard Cloud ○ Smart-1 Cloud △ 限定的 ◎ Sophos Central
マネージドサービス対応 ◎ 多数のMSPが対応 ○ 対応ベンダーあり ○ 対応ベンダーあり ○ 国内代理店経由 ◎ Sophos MDR連携

ポイント:「自社にIT専任者がいない」中小企業にとって、管理画面のわかりやすさマネージドサービス(運用代行)への対応は、性能以上に重要な判断材料です。SAXAは国産ならではの完全日本語対応が魅力。Sophosは管理画面の使いやすさで高い評価を得ています。Fortinetは多機能な反面、設定の複雑さがあり、運用は代理店やMSPに任せるケースが多いです。

④ コスト

項目 FortiGate Firebox Quantum Spark SS7000 XGS
初期費用(目安) 中~高 中~高 低~中
ライセンス体系 バンドル型(複数パッケージから選択) バンドル型(Basic/Total Security) パッケージ型 パッケージ型 バンドル型
5年TCO(目安) やや高め やや高め 比較的安い 中程度 中程度
コストパフォーマンス ○ 性能に対しては妥当 △ シェア縮小傾向で価格競争力やや低下 ◎ 小規模環境では割安 ○ リースプラン豊富 ○ 機能と価格のバランス良好

ポイント:Check Pointは小規模環境向けのエントリーモデルが比較的安価です。ただし、サンドボックスなどの高度な機能を追加するとコストが上がるため、最終的なTCOでの比較が不可欠です。SAXAはリースプランが充実しており、初期費用を抑えたい企業に向いています。

⑤ サポート体制

項目 FortiGate Firebox Quantum Spark SS7000 XGS
国内サポート拠点 ◎ あり(東京) ○ あり(東京) ○ あり ◎ 国内メーカー ○ あり
保守対応 ◎ 先出しセンドバック/オンサイト選択可 ○ センドバック中心 ○ センドバック中心 ◎ 国内保守体制充実 ○ センドバック中心
国内導入実績 ◎ 圧倒的(シェア45.7%) ○ 一定の実績 ○ 一定の実績 ◎ 国内中小企業に豊富 ○ 増加傾向
技術情報の入手しやすさ ◎ 非常に豊富 ○ 標準的 ○ 標準的 ○ 日本語情報多い ○ 標準的

ポイント:Fortinetは国内シェア45.7%の圧倒的な導入実績があるため、対応できる代理店・SIer(システムインテグレーター)の数が多く、トラブル時の選択肢が最も広い。SAXAは国内メーカーとして保守体制に安心感があります。


6. 企業規模・状況別「おすすめの選び方」

従業員10名以下の小規模企業

重視すべき評価軸:コスト、運用のしやすさ

初期投資を抑えつつ、基本的なセキュリティ機能をカバーすることが最優先です。IT専任者がいないことが前提のため、管理画面がシンプルで日本語対応が充実している製品が向いています。

検討候補:Check Point Quantum Spark(低コスト)、SAXA SS7000(国産・日本語完全対応)

従業員30~100名の中小企業

重視すべき評価軸:性能・キャパシティ、セキュリティ機能、マネージドサービス対応

この規模になると、クラウドサービスの利用も増え、VPN接続も必要になってきます。実効スループットに余裕のある製品を選び、運用はマネージドサービスに任せるのが現実的です。

検討候補:FortiGate(シェアNo.1・MSP対応充実)、Sophos XGS(管理画面の使いやすさ+MDR連携)

複数拠点を持つ中堅企業

重視すべき評価軸:クラウド管理、VPN性能、サポート体制

複数拠点のUTMを一元管理できるクラウド管理機能と、拠点間VPNの安定性が重要です。

検討候補:FortiGate(FortiCloudで一元管理)、WatchGuard Firebox(WatchGuard Cloudで統合管理)


7. 導入費用を抑える ― 助成金と補助金の活用

「UTMの必要性はわかった。しかし、予算が厳しい。」

これは中小企業の経営者から最も多く寄せられるご相談です。UTMの導入費用は5年間で100万~300万円程度かかるため、決して軽い投資ではありません。しかし、公的な支援制度を活用すれば、実質的な負担を大幅に軽減できます。

東京都「サイバーセキュリティ対策促進助成金」

東京都内の中小企業は、UTMをはじめとするセキュリティ機器の導入に対して助成金を受けられる制度があります。

項目 内容
助成率 対象経費の1/2
上限額 500万円
対象要件 SECURITY ACTION 二つ星を宣言済みの都内中小企業
対象経費 UTM、EDR、バックアップシステムなどのセキュリティ機器・ソフトウェア

たとえば、UTM本体+ライセンス5年分で200万円の見積もりが出た場合、助成金で最大100万円が補助され、実質負担は100万円になります。

アクセルパートナーズの東京都サイバーセキュリティ対策促進助成金 申請サポートでは、SECURITY ACTION二つ星の取得から申請書類の作成、採択後の実績報告までを一貫して支援しています。成功報酬型の料金体系なので、「不採択だったらどうしよう」というリスクを抑えながら申請に臨めます。

助成金申請の前提条件 ― SECURITY ACTION二つ星

東京都の助成金を申請するには、IPA(情報処理推進機構)が推進する「SECURITY ACTION」の二つ星宣言を事前に完了している必要があります。二つ星の取得には、情報セキュリティ基本方針の策定セキュリティ自社診断(25項目)が必要です。

「方針の書き方がわからない」「診断の進め方がわからない」という場合は、アクセルパートナーズのサイバーセキュリティ やり切りパックをご活用ください。SECURITY ACTION二つ星の取得から事業継続力強化計画の策定までをワンストップで支援し、料金は120,000円(税別)のパッケージ価格です。約4~6週間で完了します。

おすすめの進め方

やり切りパック」でSECURITY ACTION二つ星を取得 → 助成金を申請 → 採択後にUTMを導入、という流れが最もスムーズかつ経済的です。ルール整備の過程でリスクアセスメントも行うため、「自社に本当に必要なUTMのスペック」も明確になります。


8. UTM選定チェックリスト ― 商談前に確認すべき10の質問

UTMベンダーや代理店との商談に臨む前に、以下の質問リストを準備しておきましょう。「よくわからないまま契約してしまった」を防ぐための実践的なチェックリストです。

【性能】

  1. セキュリティ機能をすべて有効にした状態での「実効スループット」はいくつですか?
  2. 当社の端末数(_台)とクラウドサービス利用状況を踏まえて、最大セッション数は足りますか?

【機能】

  1. サンドボックス機能は標準搭載ですか?オプション(別料金)ですか?
  2. SSLインスペクションを有効にした場合、パフォーマンスはどの程度低下しますか?

【運用】

  1. 管理画面は日本語に完全対応していますか?(デモ画面を見せてもらいましょう)
  2. 当社にはIT専任者がいませんが、マネージドサービス(運用代行)に対応していますか?

【コスト】

  1. 機器本体+ライセンス+保守の5年間トータルコストはいくらですか?
  2. 東京都のサイバーセキュリティ対策促進助成金の対象として申請実績はありますか?

【サポート】

  1. 機器が故障した場合、代替機はどのくらいで届きますか?(先出しセンドバック?オンサイト?)
  2. 緊急のセキュリティインシデントが発生した場合、休日・夜間の対応窓口はありますか?

この10の質問にすべて明確に回答できるベンダーであれば、信頼できるパートナーです。


まとめ:UTM選定は「5年間のパートナー選び」

UTMは「買って終わり」の製品ではありません。導入後も毎年ライセンスを更新し、シグネチャを最新に保ち、ログを監視し続ける必要があります。つまりUTMの選定は、5年間にわたってネットワークの安全を一緒に守る「パートナー」を選ぶ行為です。

本記事で紹介した5つの評価軸を使って、自社の環境・規模・運用体制に合った製品を冷静に比較してください。

  1. 性能・キャパシティ ― 実効スループットで比較する
  2. セキュリティ機能 ― サンドボックスとSSLインスペクションを確認する
  3. 運用・管理のしやすさ ― 管理画面とマネージドサービス対応を見る
  4. コスト ― 5年間TCOで比較する
  5. サポート体制 ― 故障時の対応と国内拠点を確認する

そして、UTMの導入は「セキュリティ対策の全体像」の中の一つのピースです。ネットワークの入口を守るUTMだけでなく、セキュリティポリシーの策定やインシデント対応計画の整備といった「ルール面の対策」を組み合わせてこそ、本当に強い守りが実現します。

「何から始めればいいかわからない」なら、まずはご相談ください。

アクセルパートナーズでは、UTMの選定アドバイスから、助成金を活用した導入支援、セキュリティルールの整備までワンストップで対応しています。

初回相談(60分・Zoom)は無料です。「自社にはどのUTMが合っているのか」を一緒に考えるところから始めましょう。

お問い合わせ:0120-659-057(平日 9:30~18:00)


編集:アクセルパートナーズ

出典・参考資料:

鴨居 陽介
編集: 鴨居 陽介
アクセルパートナーズ 取締役・中小企業診断士

国内Sier企業でシステムエンジニア、PM、研修講師、法人営業を経験。 人と組織の成長を支えるマネジメントに携わる。2023年 中小企業診断士登録。2025年 アクセルパートナーズの理念や行動指針に強く共感し、取締役として参画。

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