【サイバーセキュリティ】「生成AIをどうすれば安全に使えるのか」が分かる
「有料プランにすれば、セキュリティ的に安全ですよね?」
生成AIの業務活用を検討している中小企業の経営者・担当者から、よく受ける質問です。この答えは、半分正解で、半分は少し違います。
有料プランにすることでセキュリティ面が向上するのは事実ですが、「有料プランにさえすれば何を入力しても安全」というわけではありません。また、すべての企業に最上位の企業向けプランが必要かというと、そうとも限りません。
今回は、ChatGPT・Microsoft Copilot・Google Geminiといった主要な生成AIサービスのプランを比較しながら、自社に合ったプランを選ぶ3つの基準をお伝えします。
この記事でわかること
- 無料プランと有料プランで「何が変わるか」の実態
- 企業向けプランが本当に必要な業種・規模の判断基準
- コストを抑えながらセキュリティを確保するための考え方
1. プランによって何が変わるのか——ChatGPTで見てみる
まず、最もよく使われるChatGPT(OpenAI提供)のプランごとのセキュリティ上の違いを整理します。
| プラン | 月額(目安) | 学習への利用 | データ保持 | 管理者機能 |
|---|---|---|---|---|
| 無料(Free) | 0円 | デフォルトでオン(設定でオフ可) | 30日間 | なし |
| Plus / Pro | $20〜$200/月 | 設定でオフ可 | 30日間 | なし |
| Team | $25/人/月〜 | デフォルトでオフ | 30日間 | 基本的な管理機能あり |
| Enterprise | 要見積 | 使用されない | ゼロ日(保持なし) | 充実した管理コンソール |
※上記は2026年5月時点の情報です。プランの詳細・価格はOpenAIの公式サイトでご確認ください。
無料プランでも設定を変更することで学習への利用をオフにできますが、Teamプラン以上では会社全体の設定を一括管理できる点が大きく異なります。従業員が個別に設定を変えなくても、管理者がまとめてセキュリティポリシーを適用できます。
2. 主要サービスの比較——ChatGPT・Copilot・Gemini
ChatGPT以外にも、Microsoft Copilot(マイクロソフト提供)やGoogle Gemini(グーグル提供)など複数の生成AIサービスが選択肢にあります。特に法人利用の観点で注目すべき点を整理します。
| サービス名 | 法人向けプラン | 主なセキュリティ特徴 | 既存ツールとの連携 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT(OpenAI) | Team / Enterprise | Enterprise:SOC2 Type II準拠・データ保持ゼロ | APIで各種ツールと連携可 |
| Microsoft Copilot | Microsoft 365 Copilot | Microsoft 365のセキュリティポリシーを継承・MicrosoftのデータにアクセスしてもAI学習には使われない | Word・Excel・Teams等と高い連携性 |
| Google Gemini | Gemini for Google Workspace | Googleのエンタープライズ基準に準拠・学習への利用なし | Gmail・Docs・Driveとシームレスに連携 |
※各サービスの仕様は随時変更されます。最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。
注目したいのは、すでに業務でMicrosoft 365(旧Office 365)を使っている場合はCopilotが、Google Workspaceを使っている場合はGeminiが、既存環境との親和性が高く導入コストを抑えやすいという点です。
3. 自社に合ったプランを選ぶ「3つの基準」
基準①:扱う情報の機密レベルで必要なプランが決まる
どのプランが必要かは、主に「どんな情報を生成AIに入力するか」によって決まります。
| 入力する情報の種類 | 推奨プランの目安 |
|---|---|
| 個人情報・顧客情報を一切入力しない(文章作成・アイデア出しのみ) | 無料〜Plus(設定でオフ)で対応可能 |
| 社内情報を扱うが機密度は低い | Team以上(管理者設定で統制) |
| 個人情報・機密情報を業務で扱う可能性がある | Enterprise または Microsoft 365 Copilot / Gemini Enterprise |
| PマークやISO 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得済み・取得予定 | Enterprise必須(規格上の要件として) |
「高いプランを使えば何でも入力して良い」ではなく、入力してはいけない情報のルールは、どのプランでも変わらないという点は重要です。個人情報・契約情報・知的財産は、Enterpriseプランであっても入力しないことが原則です。
基準②:取引先・親会社から求められるセキュリティ要件を確認する
大企業や官公庁との取引がある中小企業では、取引先から「情報管理基準を満たすAIツールを使うこと」を求められるケースが増えています。
この場合、取引先が指定する基準(例:SOC2 Type II準拠・GDPR対応・データ保持ゼロ)を満たすプランを選ぶ必要があります。まず取引先のセキュリティ要件を確認し、それを満たすプランを選定する順番が重要です。
「取引先からセキュリティ証明を求められているが、どう対応すれば良いかわからない」という場合は、専門家に相談することをお勧めします。
基準③:コストと効果のバランスを「利用ルール」で調整する
Enterpriseプランは強固なセキュリティを提供しますが、従業員数が少ない中小企業にとっては月額費用が重荷になることもあります。
重要なのは、プランのグレードだけでセキュリティを確保しようとしないことです。低コストのプランでも、以下の社内ルールをセットで運用することで、一定のセキュリティを担保できます。
【生成AIを安全に使うための社内ルール(最低限)】
- 個人情報・契約情報・社内機密は入力しない(禁止事項を明文化)
- 学習設定を「オフ」にするよう全員に周知・確認する
- 社員が使うAIサービスを会社として把握・統制する(シャドーIT防止)
- AIが生成した文章はそのまま使わず、必ず人が確認・修正する
このルールを1ページの文書にまとめて全員に配布するだけで、多くのリスクを大幅に下げることができます。ルール作りと並行してプランを選ぶことで、コストと安全のバランスを取ることが可能です。
4. 費用の目安と選び方のまとめ
| 規模・状況 | おすすめのアプローチ | 月額目安 |
|---|---|---|
| 個人情報を扱わない業務でAIを試したい | 無料プラン+学習オフ設定+社内ルール整備 | 0円 |
| 文章作成・議事録整理などで本格活用したい | ChatGPT Plus または Copilot(個人)+ルール整備 | 1人あたり月3,000円前後 |
| チーム全体で活用・管理したい | ChatGPT Team または Microsoft 365 Copilot | 1人あたり月3,000〜5,000円前後 |
| 個人情報・機密情報を扱う可能性がある | Enterprise / Microsoft 365 Copilot Enterprise | 要見積(導入前に専門家相談を推奨) |
※価格は目安です。為替・プラン改定等により変動します。最新情報は各サービス公式サイトでご確認ください。
5. まとめ:「プランを上げる」より「ルールとプランを組み合わせる」が正解
生成AIのセキュリティは、プランのグレードだけでは決まりません。利用ルールとプランの組み合わせで初めて安全な環境が整います。
自社に合ったプランを選ぶ3つの基準を改めて整理します。
- 扱う情報の機密レベルでどのプランが必要かを判断する
- 取引先・親会社の要件を先に確認してからプランを選ぶ
- 社内の利用ルールをセットで整備して、コストと安全のバランスを取る
「どのプランが自社に合っているか判断できない」「利用ルールを一緒に整備してほしい」という方は、専門家への相談が近道です。セキュリティの整備と生成AI活用は、セットで考えると効率的に進めることができます。
アクセルパートナーズにご相談ください
「生成AIの社内利用ルールを整備したい」「セキュリティ対策と合わせて進めたい」というご相談も、アクセルパートナーズが対応します。
情報セキュリティ基本方針の策定・SECURITY ACTION★★取得・生成AI利用ガイドラインの整備まで、中小企業が「やり切れる」体制作りをワンストップでサポートします。
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参考・出典
- OpenAI 公式サイト(プラン・セキュリティポリシー):https://openai.com/security
- Microsoft Copilot 公式サイト:https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot/microsoft-365-copilot
- Google Gemini for Workspace 公式サイト:https://workspace.google.com/products/gemini/
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」:https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/
- 経済産業省「生成AIの利活用に向けた取組について」:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ai_policy/index.html
本コラムの内容は2026年5月時点の情報に基づきます。各AIサービスのプラン・価格・仕様は随時変更される場合がありますので、最新情報は各サービスの公式サイトおよび当社へご確認ください。


