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【グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金】ベトナムで実証事業を妨げる現地制度リスクとは?
  


土井 アキラ
編集: 土井 アキラ
中小企業診断士

公的機関コンサルタントとして中小企業の海外展開支援をベトナム(金型)、ケニア(農業機器・資材、食品加工機材ほか)、ミャンマー(自動車検査用機材、教育用電子機器ほか)、パキスタン(縫製機械、工場用ソフトウェア)、タイ(建設資材)等で実施。 現地での実行支援に加え、新規の海外展開を成功させるために前提となる経営・事業戦略、組織・人員体制、ファイナンスなどの全社的調整も伴走支援させて頂きます。

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経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業」では小規模実証(最大5億円)と大規模実証(5億円~最大40億円)の2通りの実証事業が公募されます。今回は、注目市場である「ベトナム」での実証事業に潜む、現地特有の制度的リスクとタイムライン管理、そしてコンプライアンスの重要性について深掘りしていきます。
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2026年4月末現在、経済産業省「令和7年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」(以下、グローバルサウス補助金)は第1回の小規模実証・FS事業が公募中です(〆切5月11日)。これらに続き、第1回大規模実証事業(ASEAN枠と非ASEAN枠)の公募予定期間が発表されました。中小企業なら補助率は最大2/3、FSで最大1億円、小規模実証で最大5億円、大型実証だと5億円~最大40億円の支援が受けられます

グローバルサウス補助金(大型実証事業)の第1回公募について

ASEAN加盟国・非ASEAN加盟国ともに、2026年6月1日に申請受付開始、6月30日に締切予定  

大型実証事業は、補助金額が5億円超〜最大40億円という非常に規模の大きな事業です。 実証事業の審査では、対象国政府や公共機関とのMOUなどのレターの写しが加点項目(大企業は必須)となります。 つまり、検討段階で相手国政府機関の同意と協力関係を得ていることが事実上求められます。なお、MOUなど公式レターの署名には通常1か月程度はかかるため、早期の準備が必要です。

  • 補助金額:5億円超〜最大40億円
  • 補助率:中小企業 2/3、大企業 1/2
  • 留意点:大企業は対象国政府等との公式レター提出が必須 

ベトナムでの実証事業に立ちはだかる「政令313号」とは?

外国の法人等がベトナムの公的機関と協働で調査・実証を行う際に必要となる「ベトナム政府の活動承認制度」

ベトナムは日系企業にとって非常に魅力的な市場ですが、外国法人がベトナムの公的機関と協働する場合は「政令313号(Decree313/2025/NĐ-CP)」に則った活動承認が必要です。この申請書では事業の基本情報(名称・目的・予算・期間)、国や地域の開発計画との関連性、費目と資金源の構成、財務・実施管理体制、さらには事業終了後の持続可能性(組織的・財務的・環境的)に至るまで、網羅的な記載が必要です。 申請は日本企業ではなく、カウンターパートのベトナム公的機関が管轄機関へ行います。

  • 目安期間(※注):2か月程度(過去には1年以上かかる場合も)
  • 注意点:「協力する」という官僚の口約束だけでは実証事業は開始不可

※注:政令313号の文面通りに手続きが進む場合、審査期間は全体で20日~30日となります。これに加え、申請前にカウンターパート機関との申請内容の調整を行う場合、通常1か月ほどは要します。ここでは承認まで計2か月程度と記載しますが、カウンターパート機関との関係性や現地パートナーの調整力によっては更に長期化する事態もあり得ます。貴社の状況に応じて余裕のある計画を立てましょう。

なぜ「現地制度のリードタイム」が計画を狂わせるのか?

承認手続きに時間がかかりすぎると、実質的な実証期間が削られ、「補助期間内」に事業が終了できなくなるリスクがあるから

政令313号のように、複数の現地行政機関が関わる手続きはスケジュールの完全な予測が困難です。一方で、 補助金事業には、必ず厳格な「事業実施期間」が存在します。ここを見落とすと、補助事業の進捗と経営に大きなダメージを与えかねません。

  • 事業実施期間のルール:交付決定日から最長1年間(小規模実証)または3年間(大型実証)
  • 経費の支払い:原則、この期間内にすべての支払い手続きを完了させる必要あり

期間内に完了・支払い手続きができない経費は、全額自己負担になってしまう恐れがあります。 申請時に政令313号等の必要な手続きを終えていない場合、制度クリアまでの時間を最初から計画に組み込むことが成功の生命線です。

手続き遅延に焦り「金品要求」に応じるリスクとは?

役所の手続きを強引に進めるため、行政官からの「金品(賄賂)の要求」に応じることは絶対のタブーです。きっぱりと断らなければなりません。 

政令313号は26年から有効な新制度です。25年末までは承認手続きに6か月~1年、事例によっては1年以上かかっていました。不測の理由で昨年までのように手続きが遅延する場合、現地パートナーなどから「手数料を払えば、手続きの順番を早められる」と暗に金品を要求されるケースがあり得ます。しかし、本事業は日本政府の公金(国費)を使った補助事業です。公募要領には厳格なルールがあります。

  • 応募資格:「国内外の法令・公序良俗に反する業務を行っていないこと」
  • 発覚時のペナルティリスク:採択取消、加算金・延滞金を含めた補助金の全額返還
  • 社会的信用の喪失リスク:経済産業省からの補助金交付等停止措置(指名停止)

想定される遅延リスクは、あらかじめスケジュールにバッファとして組み込んでおきましょう。 問題発生時は、速やかに補助金事務局や現地大使館に相談し、透明性の高い対応を取ることが求められます。

まとめ

最大40億円という高額補助を受けられるグローバルサウス補助金の実証事業は、自社の技術を新興国へ展開するための強力な武器になります。一方で、これまで解説した通り、現地制度を理解した高度なプロジェクト管理能力が求められます。 改めて3つの重要ポイントを整理します。

大規模実証事業の第1回公募は2026年6月予定
グローバルサウス補助金の実証事業で求められる、相手国政府機関や公共機関を相手方にしたMOU等のレター署名には通常1か月程度はかかります。早期準備を。

ベトナムは「政令313号」に要注意
政府承認を得られないと実証事業が開始できません。承認までの時間を想定してタイムラインを引いておきましょう。

コンプライアンスの徹底
進捗を焦って現地行政官の金品要求に応じてしまわぬよう、法令遵守の意志を社内や現地スタッフと共有しておきましょう。

アクセルパートナーズの「グローバルサウス補助金」トータル支援サービス

ベトナムだけでなく、他のASEAN諸国やインドなどでも実証事業を妨げ得る様々な制度があります。アクセルパートナーズは新興国への事業展開支援の実績が豊富な国際コンサルタント達を提携パートナーに含んでおり、進出国ごとの注意事項をアドバイスさせて頂きます。また、約200人の中小企業診断士や会計専門家達を擁しますので、事業計画や組織・財務戦略の策定もサポート可能です。

アクセルパートナーズの主な支援内容:

  1. 申請・事業計画策定:採択に繋がる「共創型」「リバースイノベーション」等の文脈を盛り込んだ事業計画を作成し、最適な申請枠を提案します。
  2. 採択後のPMO:複雑なプロジェクトの進捗管理代行、現地企業・政府との調整を支援します。
  3. 証憑管理・実績報告:厳格な補助金ルールに基づく証憑整理と実績報告書作成を全面的にバックアップします。
  4. 実行支援・経営顧問:補助金獲得だけでなく、現地パートナーの開拓と管理、現地事業の黒字化とキャッシュフロー最大化を支援します。

「自社が対象になるか知りたい」「直近の締切に間に合わせたい」など、活用をご検討の際は、まず無料相談にてご構想をお聞かせください。
お問い合わせはこちら▼ https://listing-partners.com/gbiz/subsidy_form/

グローバルサウス補助金の対象地域と補助率、各事業の特徴については以下の記事をご覧ください▼

グローバルサウス補助金を中小企業が活用する際の要件と対象国については以下の記事をご覧ください▼

グローバルサウス補助金が求める「共創」の考え方については以下の記事をご覧ください▼

グローバルサウス補助金を獲得できても失敗する企業の共通点については以下の記事をご覧ください▼

土井 アキラ
編集: 土井 アキラ
中小企業診断士

公的機関コンサルタントとして中小企業の海外展開支援をベトナム(金型)、ケニア(農業機器・資材、食品加工機材ほか)、ミャンマー(自動車検査用機材、教育用電子機器ほか)、パキスタン(縫製機械、工場用ソフトウェア)、タイ(建設資材)等で実施。 現地での実行支援に加え、新規の海外展開を成功させるために前提となる経営・事業戦略、組織・人員体制、ファイナンスなどの全社的調整も伴走支援させて頂きます。

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