中小企業診断士の実務補習とは|令和8年度の日程・費用・申し込み方法と、働きながら乗り切るコツ
中小企業診断士の第2次試験に合格したあと、多くの方が最初に向き合うのが「実務補習」です。登録に必要な15日を満たす方法として、いちばんオーソドックスなルートですね。
一方で、「平日も休まないといけないの?」「費用はいくら?」「申し込みはすぐ埋まるって本当?」と、合格の喜びもつかの間、不安になる方も多いと思います。
この記事では、日本中小企業診断士協会連合会が公表している令和8年度の情報をもとに、実務補習の仕組み・日程・費用・申し込みの流れを整理します。あわせて、毎年数百人の診断士さんと向き合ってきた立場から、働きながら乗り切るためのコツもお伝えします。
この記事のポイント
- 実務補習は、指導員1名と受講生5〜6名の班で、実在の中小企業を1社8日間で診断する
- 登録には8日間コースを2回(または冬の15日間コース)など、合計15日以上が必要
- 受講料は、令和8年夏の8日間コースで127,300円〜128,000円(税込)。申し込みはインターネットのみ・先着順
- 平日を含む日程が組まれるため、会社員の方は早めの休暇調整が必要
※2026年10月時点の情報です。日程・受講料・申込方法は、日本中小企業診断士協会連合会の最新の案内で必ずご確認ください。
実務補習とは
実務補習は、中小企業診断士として登録するための要件のひとつで、日本中小企業診断士協会連合会(各地区の診断士協会)が実施しています。第2次試験合格後3年以内に、実務補習または実務従事で合計15日以上を満たすと、登録を申請できます。
内容は、指導員(現役の中小企業診断士)1名と受講生5〜6名で班をつくり、実在の中小企業を訪問して経営診断を行い、診断報告書をまとめて社長に報告するというものです。
1社8日間の流れ
現在の実務補習は、1企業を8日間で診断する形です。大まかな流れは次のとおりです。
- 事前準備(企業の概要が届き、班で準備)
- 企業訪問・社長へのヒアリング
- 現状分析・経営課題の整理
- 戦略・改善提案の策定
- 診断報告書の作成
- 社長への報告会
報告書は班員がそれぞれ担当パートを書き、全体で1冊にまとめます。8日間とはいえ、集合日以外の作業も多いので、体感としてはかなり濃い期間になります。
令和8年度の日程とコース
| 実施時期 | コース | 主な対象 |
|---|---|---|
| 2月〜3月 | 15日間コース(2社)/8日間コース(1社) | 直近の第2次試験に合格した方(合格発表の直後に申し込み) |
| 7月・8月・9月 | 8日間コース(1社) | 過去3年度以内に第2次試験に合格し、まだ登録していない方 |
- 8日間コースは2回受講して15日以上になります(過去に5日間コースを受講した方は、合計15日以上)。
- 実施地区は札幌・仙台・東京・千葉・名古屋・大阪・広島・福岡です。夏の8月コースは東京・名古屋・大阪のみです。
- 日程には平日(木曜・金曜など)が含まれます。
実務補習の費用
| 実施 | コース | 受講料(税込) |
|---|---|---|
| 令和8年2月 | 8日間コース | 104,300円(テキストあり)/105,000円(テキストなし) |
| 令和8年2月 | 15日間コース | 209,300円(テキストなし) |
| 令和8年7月・8月・9月 | 8日間コース(1回) | 127,300円(テキストあり)/128,000円(テキストなし) |
| 令和8年7月・8月・9月 | 8日間コース(2回) | 255,300円(テキストなし) |
受講料のほかに、会場までの交通費や、平日に休むための有給休暇も実質的なコストになります。
申し込みの流れと注意点
- インターネットのみ・先着順:受付開始直後に定員が埋まる地区・回もあります。事前のユーザー登録を済ませ、受付開始の時間に申し込めるようにしておきましょう。
- 令和8年度試験から口述試験は廃止:これまで2月実施分は、口述試験の受験資格を得た段階で申し込めました。令和8年度試験からは口述試験がなくなるため、第2次試験の合格発表(2027年1月13日予定)のあとの申し込みになる見込みです。合格発表から登録までの流れは合格発表から登録までのロードマップにまとめています。
- キャンセル料:申込締切後のキャンセルは、時期に応じて受講料の20%〜100%がかかります。
- 受付期間の例:令和8年2月実施分は1月中旬〜1月20日、令和8年夏実施分は5月13日〜5月21日でした。
働きながら実務補習を乗り切る3つのコツ
ここからは、あくまで私見です。毎年、実務補習を終えたばかりの方や、これから受ける方と話していて感じることをまとめます。
1. 休みの調整は「合格発表の前」から始める
実務補習は平日を含みます。合格が決まってから職場に相談すると、繁忙期と重なって身動きが取れないこともあります。合格発表前に「もし受かったら、この時期に何日か休みたい」と一言伝えておくだけで、かなり楽になります。
2. 報告書は「正解」より「社長に伝わるか」
受験勉強では、与件文の中に正解がありました。実務では、社長が「なるほど、やってみよう」と思えるかどうかがすべてです。分析を盛り込みすぎるより、社長の言葉で書かれた課題と、来月から動ける提案を一つでも入れる。これだけで報告会の空気は変わります。
3. 15日を「こなす」で終わらせない
実務補習で出会う班のメンバーや指導員は、その後の診断士人生の大切な仲間になります。15日を満たすことだけを目的にすると、本当にもったいない。同じ班のメンバーと、終わったあとも連絡を取り合える関係をつくっておくことをおすすめします。
実務補習の日程が合わないときは
実務補習は、診断の基本を学べるとても良い機会です。ただ、平日の調整がどうしても難しい方、小さなお子さんがいる方、地方にお住まいの方には、日程や場所の面でハードルが高いのも事実です。
その場合は、実務補習と実務従事を組み合わせることもできます。たとえば「夏の実務補習で8日、残りの7日は実務従事で」という組み合わせです。実務従事の仕組みは中小企業診断士の実務従事とはで詳しく解説しています。
アクセルパートナーズの実務従事は、もともとコロナ禍で実務補習が実施できず、登録に向けて困っている方が多かったことをきっかけに始めました。土日のみ・オンライン参加OKで、5・10・15ポイントから必要な分だけ取得できます。
まとめ
実務補習は、1社8日間で実在の中小企業を診断する、登録のための王道ルートです。先着順・平日を含む日程・受講料と、事前に知っておくべきことが多いので、合格発表の前から準備を始めておきましょう。
そして、資格の取得はゴールではなくスタートです。プロ野球でいえば、ドラフトで指名された状態にすぎません。実務補習でも実務従事でも、最初の15日を「その後の診断士人生の土台づくり」の時間にしてもらえたら嬉しいです。


