実務補習と実務従事どっちを選ぶ?中小企業診断士1年目で後悔しない選び方【代表・二宮の私見】

「実務補習と実務従事、どっちを選べばいいですか?」

毎年、第2次試験の合格発表のあとに、本当によくいただく質問です。結論からいうと、どちらが正解ということはありません。大事なのは「15日をどう満たすか」ではなく、「最初の15日で、診断士としてどんな土台をつくるか」だと私は考えています。

この記事では、両者の違いを整理したうえで、診断士1年目に「後悔しない」選び方を、私の経験も交えてお伝えします。あくまで私見ですが、参考になればと思います。

この記事のポイント

  • 実務補習は「診断の型」を学ぶ場、実務従事は日程や内容を選べる場。どちらも登録の15日に数えられ、組み合わせもできる
  • 選ぶ基準は「日程」「費用」だけでなく、「1年目に何を身につけたいか」
  • 資格はゴールではなくスタート。最初の15日で方向性を整えておくと、その後の伸び代が大きく変わる

※2026年10月時点の情報です。制度の詳細は、中小企業庁・日本中小企業診断士協会連合会の最新の案内でご確認ください。

まず前提として:実務補習と実務従事の違い

実務補習 実務従事
実施 日本中小企業診断士協会連合会(各地区の協会) 自分で探した企業、協会・研究会、民間の実務従事サービスなど
形式 指導員1名+受講生5〜6名の班で、1社を8日間で診断 相手先やサービスによって異なる
日程 2〜3月、7〜9月。平日を含む 相手先・サービスによって選べる
費用 8日間コースで127,300円〜(令和8年夏・税込) 相手先・サービスによって異なる
申し込み インターネットで先着順 相手先・サービスによる

どちらも登録に必要な15日に数えられ、組み合わせることもできます。制度の詳しい内容は実務補習とは・実務従事とはの記事にまとめています。

選び方の3つの視点

1. 日程:本業・家庭と無理なく両立できるか

実務補習は平日を含みます。有給休暇を取れる方なら問題ありませんが、繁忙期と重なる方、小さなお子さんがいる方、地方にお住まいの方にとってはハードルになります。

無理をして体調や家族との関係を崩してしまっては本末転倒です。ここは見栄を張らずに、現実的に判断していいところだと思います。

2. 身につけたいもの:「型」か「方向性」か

実務補習の良さは、診断のプロセスを指導員のもとで一通り体験できることです。ヒアリングから報告書、報告会まで、いわば診断の「型」を学べます。

一方で、合格したばかりの方からよく聞くのは、「国に認められた経営コンサルタントと言われても、何をしたらいいかわからない」という声です。診断の型とは別に、診断士としてどんな価値観で、どう仕事をつくっていくかという「方向性」を学ぶ機会は、意外と少ないんですね。

どちらが大事というより、自分にいま足りないのはどちらか、で選んでみてください。

3. 仲間:誰と一緒にスタートを切るか

1年目に一緒に汗をかいた仲間は、その後の診断士人生でずっと効いてきます。実務補習の班のメンバー、実務従事の同期、どちらでも構いません。「企業の成長に本気で向き合う仲間」と出会えるかどうかは、意識しておくと良いポイントです。

私が「最初の15日」を大事にしてほしい理由

プロ野球でいえば、診断士試験の合格はドラフト指名です。指名された瞬間がゴールではなく、そこから何をするかで、数年後の姿がまったく変わります。

実際、毎年多くの方とお会いする中で、合格したもののどう動けばいいかわからず、資格を寝かせてしまう方を本当にたくさん見てきました。スタートダッシュの速さよりも、最初に正しい方向を向いているかのほうが、ずっと大事だと感じています。

もうひとつ、AIの進化で「知っていること」の価値は急速に下がっています。提案書やスライドは、それなりのものならすぐに作れる時代です。だからこそ、これからの診断士に求められるのは「誰が言っているのか」「どんな経験を積んできたのか」というバックボーンです。最初の15日は、そのバックボーンの一つ目をつくる時間でもあります。

私自身、資格を取る前に独立し、フリーのコンサルタントを経て組織をつくってきました。創業経営者としての立場と、雇われ役員としての立場の両方を経験して痛感しているのは、財務はテクニックではなく、経営者の価値観が表れるものだということです。こうした「きれいごとではない実体験」は、教科書にはなかなか載っていません。

迷ったときのおすすめの組み合わせ

  • 平日に休みが取れて、診断の型をしっかり学びたい:実務補習(8日間×2回、または冬の15日間コース)
  • 平日は難しいが、型も方向性も両方ほしい:実務補習8日間+実務従事7日以上
  • 日程の自由度を最優先したい・地方在住・子育て中:実務従事で15日
  • 登録後の更新ポイント(5年で30日)を集めたい:実務従事で計画的に

どのルートでも、「なんとなく15日を満たす」ではなく、「この15日で何を持ち帰るか」を一つ決めてから臨むと、得られるものが大きく変わるはずです。

アクセルパートナーズの実務従事について

アクセルパートナーズの実務従事は、コロナ禍で実務補習が実施できず困っている方が多かったことをきっかけに、オンラインでも参加できる形で始めました。累計の参加者は1,000人を超え、中小企業診断士試験の合格者の約15%の方にご参加いただいています。

土日の4日間のみで、実在の中小企業を課題企業に新規事業計画の策定に取り組むほか、「創業経営者」「雇われ役員」「診断士の先輩」という3つの視点から、診断士としてのマインドセットや財務の見方を講義でお伝えしています。

まとめ

要するに、実務補習と実務従事は「どちらが上」ではなく、目的と状況に合わせて選ぶものです。日程・費用に加えて、「1年目に何を身につけたいか」「誰と一緒にスタートを切るか」を基準にしてみてください。

ドラフト指名、おめでとうございます。ここからが本番です。最初の15日が、皆さんの診断士人生の良いスタートになることを応援しています。

アクセルの実務従事について見る

二宮 圭吾
この記事の編集: 二宮 圭吾
アクセルパートナーズ代表・webコンサルタント・中小企業診断士

2010年にwebコンサルタントとして開業、2016年中小企業診断士登録。web集客や求人を中心に様々な支援を行う。独自の中小企業診断士ネットワークを運営。

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