実務従事は知り合いの会社でもいい?対象になる企業・ならない企業と証明書(様式19)の注意点

「知り合いの会社で実務従事をしてもいいんですか?」

実務従事について、毎年よくいただく質問です。結論からいうと、相手先が要件を満たす中小企業者で、経営者に直接、診断・助言を行い、証明書を書いてもらえるなら、知り合いの会社でも実務従事として認められます。

ただし、対象にならない法人や業務、勤務先・自分の会社の扱い、証明書の書き方など、気をつけないと「せっかく取り組んだのに日数に数えられない」ということも起こります。この記事では、中小企業庁の「各種申請・届出の手引き及びQ&A」をもとに、知り合いの会社で実務従事をするときのポイントを整理します。

この記事のポイント

  • 知り合いの会社でも、中小企業者に当たり、経営者に直接診断・助言をすれば実務従事になる
  • 一般社団法人、協会・任意団体、商工会、学校法人などは対象外。調査・分析だけ、セミナー講師、執筆も対象外
  • 証明書は様式19(診断助言業務実績証明書)で、診断先の代表者が証明する
  • 自分が社長の会社を自分で診断しても実績にならない。勤務先は、経営者の指示で行う診断助言なら対象(所属部門の定型業務は除く)

※2026年10月時点の情報です。実務要件の詳細は、中小企業庁の最新の手引き・Q&Aで必ずご確認ください。

まず前提として:実務従事の要件

中小企業診断士の登録には、第2次試験合格後3年以内に、実務補習または実務従事で合計15日以上が必要です。更新には、5年の有効期間内に合計30日以上が必要です。実務従事の基本は中小企業診断士の実務従事とはにまとめています。

実務従事として認められるのは、中小企業者に対する経営の診断助言業務と、経営の窓口相談業務です。知り合いの会社で行うのは、前者の診断助言業務になります。

対象になる会社・ならない会社

対象になる中小企業者

中小企業支援法に定める中小企業者(会社・個人事業主)が対象です。資本金か従業員数のどちらかを満たせば対象になります。

業種 資本金 従業員数
製造業・建設業・運輸業など 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下

このほか、ゴム製品製造業、ソフトウエア業・情報処理サービス業、旅館業には別の基準があります。税理士法人などの士業法人や、一定の要件を満たす医療法人・社会福祉法人・NPO法人も対象になり得ます。

対象にならない法人

学校法人、宗教法人、商工会・商工会議所、商店会、一般社団法人・一般財団法人、公益社団法人・公益財団法人、独立行政法人、農事組合法人、生活協同組合、有限責任事業組合(LLP)、各種の協会・任意団体などは、実務従事の相手先として認められません(中小企業団体などの一部を除く)。

知り合いが「一般社団法人」や「協会」を運営しているケースは意外と多いので、最初に法人の種類を確認しておきましょう。

勤務先・自分の会社・家族の会社はどうなる?

ケース 扱い
知り合いの会社 中小企業者で、経営者に直接診断・助言を行えば対象
勤務先(中小企業) 経営者の指示で自社に診断・助言を行った場合は対象。ただし、所属部門の定型業務は対象外
自分が社長の会社 自社への経営診断は実績にならない
家族・親族の会社 Q&Aに個別の記載はない。中小企業者であること・経営者への診断助言であること・代表者の証明など、通常の要件を満たすかで判断

家族の会社は、手引きに個別の記載がありません。迷う場合は、申請前に中小企業庁の窓口に確認するのが確実です。

対象になる業務・ならない業務

  • 対象:中小企業の経営者に直接、診断・助言を行った日と、それに付随する業務の日。有償・無償は問われません。
  • 対象外:調査・分析だけ、資料作成だけ、申請書の作成への助言、セミナー講師、執筆活動。
  • 1日の数え方:1日に複数の企業に診断・助言しても1日分です。同じ日の証明書は、どちらか1社分だけが有効になります。

「補助金の申請書を手伝った」「資料をつくって渡した」だけでは数えられない点に注意してください。経営者と向き合って、課題を一緒に整理し、助言する時間が必要です。

証明書(様式19)の書き方の注意点

  • 証明するのは診断先の代表者:会社なら代表者の代表印、個人事業主なら実印・銀行印・認印で証明してもらいます。電子印も認められています。
  • 実施年月日と日数:開始日・終了日と実施日数の合計を記載します。ほかの証明書と同じ日がある場合は、重複を除いた日数を自分で記入します。
  • 企業名は原則として記載:証明書は審査のためだけに使われ、外部には出ないとされています。知り合いにお願いするときは、その点も伝えると安心してもらえます。
  • あとからまとめて頼まない:数か月後に「何日に何をしたか」を思い出してもらうのは、相手にとって負担です。実施した日と内容を、その都度メモで共有しておきましょう。

知り合いにお願いするときに大事にしたいこと

ここからは、あくまで私見です。

知り合いの会社での実務従事は、日程の自由度が高く、費用もかからない良い方法です。ただ、相手からすると「資格のために時間を取られる」ことにもなりかねません。

私が大事にしているのは、まずは貢献からという考え方です。15日を満たすためではなく、「この会社の利益剰余金を増やすお手伝いをする」つもりで向き合う。社長の話を聞き、決算書を一緒に見て、来月から動ける提案を一つでも持っていく。そうすれば、証明書は自然と「ありがとう」と一緒に書いてもらえるはずです。

逆に、相手の時間を奪うだけの診断になってしまうと、せっかくの関係にひびが入ることもあります。知り合いだからこそ、プロとして向き合う意識を持っておきたいですね。

知り合いの会社が見つからないときは

身近に対象となる中小企業がない、本業が忙しくて日程を合わせにくい、という方も多いと思います。その場合は、実務補習や、民間の実務従事サービスを組み合わせる方法もあります。選び方は実務補習と実務従事どっちを選ぶ?で詳しくお伝えしています。

アクセルパートナーズの実務従事は、課題企業をこちらでご用意し、土日の4日間(オンライン参加も可)で取り組むプログラムです。5・10・15ポイントから、足りない分だけ取得できます。

まとめ

知り合いの会社でも、相手が中小企業者で、経営者に直接診断・助言を行い、代表者に様式19で証明してもらえれば、実務従事として認められます。対象外の法人・業務と、自分の会社の扱いには注意しましょう。

そして何より、相手にとって意味のある時間にすること。それが、診断士としての最初の「指名」につながっていくはずです。

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二宮 圭吾
この記事の編集: 二宮 圭吾
アクセルパートナーズ代表・webコンサルタント・中小企業診断士

2010年にwebコンサルタントとして開業、2016年中小企業診断士登録。web集客や求人を中心に様々な支援を行う。独自の中小企業診断士ネットワークを運営。

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