士業のAI活用はどう変わる?税理士×中小企業診断士が語る仕事・集客・高付加価値化

会計事務所におけるAI活用の現在地:二極化する現場と未来への展望

現在の会計事務所業界では、AI活用において大きな二極化が進んでいます。あるクラウド会計ソフトの担当者によれば、未だに「ジェミニって何?」と尋ねる税理士もいる一方で、AIを使い倒して一人で60件もの顧問先を回す先生もいると丸山会計事務所の丸山さんは指摘します。この現状は、AIを導入する事務所とそうでない事務所との間で、今後の生産性や提供価値に大きな差が生まれることを示唆しています。

ブログ記事を「自動生成」し、人間が「付加価値」を加える情報発信

丸山会計事務所では、AIを活用したブログ記事の発信に積極的に取り組んでいます。自身が勉強した内容や書籍から得た知識をAIに読み込ませ、その生成された文章案に自身の考えや表現を付け加えることで、1日3本ものブログ記事が自動生成される状態を実現しています。AIが作成しただけの文章は評価されにくい傾向がありますが、丸山さんのように人間の視点やエッセンスを加えることで、検索エンジンや読者から高い評価を得ています。これは、ゴーストライターがAIに変わったと捉えることもでき、単なる情報の羅列ではなく、専門家の知見が加わることで初めて価値が生まれることを示しています。

問い合わせに繋がる「どこにでもある情報」と「パーソナルな情報」の重要性

「法人化の相談」や「買った値段が分からない不動産を売却した場合の税務処理」など、一般的な質問が事務所に多く寄せられることから、ユーザーが本当に知りたいのは、一見すると「どこにでもある」ような情報だと丸山さんは感じています。しかし、一般的な情報で解決できないのは、ユーザーが「自分の場合どうなのか」というパーソナルな情報まで求めているからです。例えば、「製造業の2代目社長で、現在の状況における税金はどうなるのか」といった具体的なケースでは、既存のブログやAIの一般論では立ち行かなくなります。ここに専門家としての深い洞察と、個別具体的な状況に合わせた情報提供が求められます。

AI活用は「業務効率化」の先に「売上向上」を見据えるべき

対談の中で、弊社代表の二宮は「AI活用は単なる業務効率化にとどまらず、売上高や客単価の向上に繋がらなければ、社員のモチベーション維持は難しい」と投げかけました。この点について、丸山さんも強く共感します。「私たちの仕事がAIに奪われるのではないか」という不安を払拭し、高付加価値業務へのシフトや新たな市場開拓にAIを使うべきと丸山さんは語ります。ディスプレイを3つ並べてAIを駆使しても、それが事務所のトップラインを引き上げることに繋がらなければ、社員は「自分たちの首を切りたいのか」と感じてしまうかもしれません。AIは、スタッフがより多くの顧客を回せるようになるため、あるいは新しいサービスを提供するための手段として位置づける必要があります。

税理士業界の変遷が示す「AI活用」の必然性

会計事務所における一人当たりの売上高が約1000万円と言われる中、チャットGPTなどを手掛ける企業は、一人当たりの売上高が桁違いの生産性を実現しています。丸山さんは、会計事務所もAIを使いこなし、一人当たりの付加価値を飛躍的に高める必要があると考えています。かつて税理士業界は、報酬規定の自由化、広告自由化、そしてソロバンから電卓、パソコンへと技術が進化するたびに、その変化に対応できた事務所が成長してきました。今、AIの時代が到来し、これを使える事務所に仕事が集まり、そうでない事務所は淘汰される流れは既に始まっていると丸山さんは断言します。

AIが拓く「一人あたり売上3000万円」の夢と高付加価値業務への転換

AIを使いこなすことで、税理士はこれまで何十、何百時間もかかっていた情報収集や分析を瞬時に行えるようになります。これにより、一人当たりの売上高を3000万円に引き上げることも夢ではありません。丸山さん自身、「お客様に幸せになってもらいたい」という思いでこの業界に入ったと語ります。AIによって時間短縮ができたとしても、その先に提供すべき高付加価値とは何かを問い続けることが重要です。顧客が喜んでくれるからこそ報酬が支払われるという本質を忘れず、AIを駆使して顧客への提供価値を最大化することが、これからの税理士に求められます。

AIは脅威ではなく、成長のための強力な武器

税理士業界のAI活用が進むと、これまで中小企業診断士が担ってきた経営支援業務の一部が税理士によって代替される可能性も指摘されます。しかし丸山さんは、AIを使いこなせる税理士はまだ全体の1割程度であり、真にお客様のために支援したいと考える専門家がどれだけいるかが重要だと見ています。AIは単なる効率化ツールではなく、事務所の収益性を高め、スタッフの給与水準を向上させるための強力な武器です。AIを積極的に活用し、変化を恐れずに高付加価値業務へと事業をシフトさせることで、会計事務所はさらなる成長を実現できるでしょう。


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二宮 圭吾
この記事の編集: 二宮 圭吾
アクセルパートナーズ代表・webコンサルタント・中小企業診断士

2010年にwebコンサルタントとして開業、2016年中小企業診断士登録。web集客や求人を中心に様々な支援を行う。独自の中小企業診断士ネットワークを運営。

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