ハラスメントの種類 気づかないリスクに注意!
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ハラスメントとは?
ハラスメントとは、厚生労働省の定義によると「職場で行われる優越的な関係を背景として、業務上相当の範囲を超えた言動かつ行動であり労働者の就業環境が害されるもの」と定義されています。(参考 厚生労働省 明るい職場応援団 )
客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は該当しないとされています。しかし、実際の運用では、職場の言動や行動を受けた側が、不快に感じた、脅威に感じたととらえられれば、「ハラスメント」に該当してしまう場合があります。特に中高年社員にとっては、以前では問題がなかった発言や言動が問題となるケースが増えているため注意が必要です。
従来は、ハラスメントと言えば、パワーハラスメント(パワハラ)、もしくは、セクシャルハラスメント(セクハラ)が注目されていましたが、近年は、育児看護に対するハラスメント、妊娠出産に関するハラスメントなどさまざまなハラスメントが存在しています。
ハラスメントの種類
近年、ハラスメントの種類は、増加傾向にあります。厚生労働省の資料によると以下の種類のハラスメントが分類されています。
パワーハラスメント(パワハラ)
職場の地位などを利用して職務範囲を逸脱した指示命令により部下に精神的苦痛を与えることをさします。パワハラが原因で退職やうつ病となる事例も多く、対会社に対する訴訟も増加しています。5年前の調査と比較してもパワーハラスメントは増加した調査結果も出ています。(参考 職場のハラスメント防止に関するアンケート結果 )
セクシャルハラスメント(セクハラ)
性的な言動を行うことで、相手の気持ちを不愉快にさせてしまう行為や言動をさします。男性から女性への性的な関係の強要や、断ることで不当な処遇を受ける事案も該当します。以前は男性から女性への行為および被害が主となっていましたが、現在は男性に対するセクハラや同性間のセクハラ問題も増加しつつあります。
マタニティマラスメント(マタハラ)
妊娠中や産前産後の女性に対して、労働環境を阻害する言動や行動、福利厚生制度の利用の阻害や、役職からの降格などの人事上不利益な行為をさします。近年では、男女雇用均等法、育児看護休業法などの整備が進み、重点的に改善を進めています。
パタニティハラスメント(パタハラ)
男性の育児休業取得に対する阻害や嫌がらせ、降格など不当な処分を行う事をさします。育児休業法でも男性の取得の促進を明記している中、今後より注目されるハラスメントとなります。
時短ハラスメント(ジタハラ)
特別な事情もない中で残業時間の削減や定時退社の強制をさします。場合によっては、労働時間は減少するものの、業務量は変わらず過度なプレッシャーで精神的なストレスを与えることとなります。効率的な働き方を目指す働き方改革を目指す中注目されるハラスメントです。
ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)
「男らしい」「女らしい」とする価値基準で業務内容の指示、分別する行為や言動をさします。例えば、「女性はコピーをとることが当たり前だ」などといって、事務作業を女性社員におしつける事案があげられます。
ケアハラスメント(ケアハラ)
家族の看護・介護を行わなければならなくなった社員に対して、介護休業の取得を阻害や、取得する社員に対する嫌がらせや暴言と言った行為をさします。今後高齢化が進む日本では、今後問題が大きくなる可能性のあるハラスメントとなります。
リストラハラスメント(リスハラ)
会社がリストラの対象者に対して、配置転換や、簡易な業務のみを押しつけて仕事のやりがいを奪ってしまうなどの嫌がらせを行う事をさします。日本では解雇規制が厳しいため自らの意思で退職をするように追い詰めるために行われるケースが多いです。
アルコールハラスメント(アルハラ)
飲み会などでの、飲酒の強制などもハラスメントをさします。また、飲酒ができない社員に対して、社会人失格などの言葉を投げかけることもアルコールハラスメントに該当します。飲酒により、判断能力も低下している場合も多くなり、飲み過ぎや飲酒時の言動行動の自制がより大切になってきます。
テクノロジーハラスメント(テクハラ)
パソコンのスキルが低い社員に対して、作業スピードや知識の低さを愚弄する言動や高度を行う事により相手を不快な気持ちにさせてしまう行為をさします。世界中でデジタル化が進む中で、中高年の多い職場では、特に意図せずに発言や行為をしているケースも想定され、今後注意が必要となります。
エンジョイハラスメント(エンハラ)
会社の周りのメンバーより、「この会社は楽しいだろ?」などと言葉を投げかけられると、部下や後輩、新人は、「楽しい」と答えざるを得なくなります。このように、自身の価値基準を後輩や新人に追いつける言動や行為も相手を不快にさせてしまっている場合があります。この場合には、ハラスメント行為とされてしまう可能性があります。
ロジカルハラスメント(ロジハラ)
ロジカルハラスメントとは、論理的に相手を言い負かして、不愉快な気持ちにさせることをさします。論理的な議論ではなく、純粋に言い負かすだけでは、相手は萎縮してしまい、仕事に対する意欲が低下にもつながってしまいます。上司と部下の場合には、上司からすれば説得しているつもりでも、論理的にマウントをとって正論をぶつけるだけになっているケースも散見されるので注意が必要です。
ハラスメントの防止対策
社会の変化、価値観の変化に伴い、今後ハラスメントが発生するリスクはより高まってきます。ハラスメントを防止するためにはどのようにすればよいのでしょうか?
社内ルールの規定策定と周知の徹底
どの事案がハラスメントに該当するのか社内周知がまずおこなわなければなりません。以前と比較して、社会の価値観、時代背景も変化しており、ハラスメントも多様化しています。加害者としては無自覚な言動や行動もハラスメントに該当する可能性があるため、基準の明確化が必要です。また、発生時の社内ルールも明文化し周知が必要です。経団連の調査によるとハラスメントの演習実施を行っている企業の割合は61.8%ですが、今後より高めていく必要があります。
研修受講の機会の設置
外部講師や社内講師を用いて、ハラスメントの研修実施も有用です。研修の受講で、知識だけでなく関心を高める効果も期待できます。また、外部講師を登用し、社外のハラスメント事例やその対応策も学べるため、より体系的な理解につながります。
相談窓口の設置
社内に相談窓口を設置することで、ハラスメントとなりうる事案が発生した場合、被害者が早期に相談できるので、被害を最小限にとどめられる可能性があります。ハラスメントの内容によって、異性に相談しにくい場合もあるので、相談担当者は複数名を選任しておくとよいでしょう。
ハラスメントが発生したら?
もし、社内でハラスメントに該当する事案が発生した場合どのように対処すべきでしょうか?
事実関係の把握に努める
まずは、加害者・被害者からの事情聴取が必要です。聴取にあたり双方の主張の確認と合わせて、客観的な事実も押さえておくことです。当事者が感情的になっている場合には、主観的な発言に振り回されることなく、物理的な証拠やSNSなどのやり取り、第三者の証言など論理的な事実関係の把握が必要です。
被害者、加害者への適切な対応を行う
加害者に対しては、状況によって懲戒処分や被害者への謝罪などの措置が必要です。また、被害者には関係修復の余地があればそのサポートが必要です。しかしながら、関係修復が困難な場合は、配置転換や移動などの措置も必要となります。
再発防止策を考案する
事実関係の確認で得られた情報から、今後も発生する可能性がある要素を抽出して、一歩先の防止策を作成し、社内へ周知を行います。社内のハラスメントを放置してしまうと、職場の安全配慮義務違反による法的責任を問われる事態になる可能性もあります。また、その事態が社会に公表されることで、企業の社会的なイメージダウンにも直結します。現在は、SNSによる情報の拡散も瞬く間に行われます。取引先への印象の悪化、応募者の激減による採用活動の難化などさまざまな悪影響が発生します。
まとめ
今回は、ハラスメントを解説してきました。ハラスメントの問題は、加害者側に問題を起こした認識がないケースも多く、また世代間の認識の相違などがあるため、抑止への対策をさまざまな視点で継続的に行う必要があります。また、ハラスメントの放置は、法的措置の対象、取り引きの停止など大きな事業リスクにも直結します。今回お伝えした内容が、健全な事業運営のお役に立てますと幸いです。
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この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。