経営管理ビザの常勤職員は誰を雇うか|日本語能力との組み合わせ
経営管理ビザの改正で、常勤職員を1名以上雇用することが必要になりました。あわせて、日本語能力の要件も加わっています。「誰を雇えば要件を満たせるのか」「日本語能力は、誰が示せばよいのか」と、採用の方針で迷われている方は少なくないと考えられます。
この記事では、常勤職員の対象と、日本語能力の確認方法を整理します。2つの要件の組み合わせ方を、基準を満たす例・満たさない例で示します。採用計画を立てる際の確認点も、あわせてまとめます。
なお、要件の詳細や運用は変更される場合があります。最終的な判断の前に、出入国在留管理庁の公式ページをご確認ください。改正の全体像は、経営管理ビザの事業計画書と専門家確認についての記事で整理しています。
結論:常勤職員と日本語能力は、セットで考える
常勤職員の「対象」と、日本語能力を示す「人」は、一致しなくても構いません。ただし、組み合わせによっては、要件を満たせません。
- 常勤職員:対象は、日本人、特別永住者、法別表第二の在留資格を持つ外国人に限られます。
- 日本語能力:申請者本人、または常勤職員のいずれかが、B2相当以上を示します。
- 日本語能力を示す常勤職員:法別表第一の在留資格を持つ外国人も、含まれます。
採用の方針は、この2つを並べて決めると、手戻りを防げます。
常勤職員の対象となる方
常勤職員として認められるのは、次の方です。
| 区分 | 具体例 | 常勤職員の対象 |
|---|---|---|
| 日本人・特別永住者 | 日本国籍の方、特別永住者 | 対象になる |
| 法別表第二の在留資格 | 「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」 | 対象になる |
| 法別表第一の在留資格 | 就労系の在留資格など | 対象にならない |
法別表第一の在留資格を持つ方を雇用すること自体は、できます。ただし、1名以上の常勤職員の要件を満たす人数には、数えられません。
「常勤」と判断される働き方
常勤かどうかは、次のような観点から判断されます。
- 労働日数と時間:週5日以上、かつ年間217日以上で、週30時間以上の勤務
- 年次有給休暇:入社日から6か月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した職員に、10日以上を付与
- 雇用保険:被保険者であり、1週間の所定労働時間が30時間以上
- 職務と給与:職務に応じた給与等が設定されている
雇用形態にも注意が必要です。「在籍出向」「派遣」「請負」の形で働く方は、その事業所の常勤職員と見なせません。
日本語能力は、どう示すか
求められる水準は、「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上です。日本人と特別永住者以外の方は、次のいずれかで確認されます。
- 日本語能力試験(JLPT)N2以上の認定
- BJTビジネス日本語能力テストで400点以上
- 中長期在留者として20年以上の在留
- 日本の大学等の高等教育機関の卒業
- 日本の義務教育の修了と、高等学校の卒業
証明の方法も、公式ページに示されています。
- 試験で示す場合:試験の合格証や成績証明書を提出します。
- その他の方法で示す場合:日本語能力を有する方の身分と経歴を示す資料(住民票、卒業証明書など)を提出します。
- 申請書の記載:日本語能力を有する方の有無と内容を、具体的に書きます。たとえば「日本人を雇用している」「経営者(申請人)がN2の認定を受けている」といった書き方です。
学歴で示す場合の見落としやすい点
- 中学校の途中から日本の学校に編入した場合は、「義務教育の修了」に該当しません。小学校と中学校の両方を、日本で修了している必要があります。
- 日本の高等専門学校や専門学校の卒業も、含まれます。ただし、恒常的に外国語で授業を行う課程や、通信による課程は除かれます。
基準を満たす組み合わせ・満たさない組み合わせ
公式ページのQ&Aに、具体例が示されています。ここでは、その内容を表に整理します。
| 採用の組み合わせ | 判定 |
|---|---|
| 日本人または特別永住者を、1名以上雇用 | 満たす |
| 法別表第二の在留資格を持つ方1名以上を雇用し、その方の日本語能力を示せる | 満たす |
| 法別表第二の在留資格を持つ方1名(日本語能力の立証なし)と、法別表第一の在留資格を持つ方1名(日本語能力の立証あり)を雇用 | 満たす |
| 法別表第一の在留資格を持つ方(日本語能力の立証あり)のみを雇用 | 満たさない |
| 法別表第二の在留資格の常勤職員のみを雇用し、日本語能力の立証がない | 満たさない |
ここで、申請者本人がN2以上の認定を受けている場合を考えます。その場合は、日本語能力の要件を、申請者本人で示せます。常勤職員の側は、対象となる在留資格の方を1名以上雇用すれば足りる、と整理できます。
常勤職員が複数名いる場合も、全員分の書類は必ずしも必要ではありません。少なくとも1名が基準を満たすことを確認できれば、差し支えないとされています。
採用計画を立てるときの進め方
- 申請者本人の日本語能力を確認する:N2以上の認定や、学歴による証明ができるかを整理します。
- 本人で示せる場合は、常勤職員の対象を優先する:日本人、特別永住者、法別表第二の在留資格の方を、採用の候補にします。
- 本人で示せない場合は、日本語能力を示す人を決める:常勤職員の誰が示すかを、採用の条件に入れます。
- 雇用条件を、常勤の基準に合わせる:勤務日数、週の勤務時間、雇用保険の加入を、雇用契約で整えます。
- 人件費を、事業計画書に反映する:常勤職員の人件費は、収支計画に織り込みます。
なお、法人の場合の3,000万円は、資本金の額(合同会社などは出資の総額)で判断されます。従業員の給与は、この3,000万円に合算できません。人件費は、資本金とは別に、運転資金として見込む必要があります。
事業計画書は、専門家による確認が必要です。採用計画と人件費が、資金計画や収支計画と矛盾なくつながっているかが、確認の対象になると考えられます。
経営管理ビザの申請前に確認したいこと
本記事は、2026年11月時点で確認できた出入国在留管理庁の公表情報の整理です。個別の許可を保証するものではありません。
- 専門家の確認は、ビザの許可を保証するものではありません。許可・不許可は、出入国在留管理庁が判断します。
- 本記事は、公表されている情報の整理です。運用は変更される場合があるため、申請の直前に公式情報を確認してください。
- 採用の時期や、必要書類の範囲は、申請の種類や個別の事情によって異なります。記事の内容だけでは判断できません。
- 当社は、事業計画の策定と専門家としての確認を担当します。ビザの申請書類の作成と申請取次は、行政書士の業務です。当社の支援内容は、経営管理ビザの事業計画支援ページで案内しています。
よくある質問
Q. 外国籍の方を常勤職員として雇用できますか。
A. 「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格を持つ方であれば、常勤職員の対象になります。法別表第一の在留資格を持つ方は、常勤職員の要件を満たす人数には数えられません。
Q. 申請者本人がN2を持っていれば、日本語能力の要件は満たせますか。
A. 日本語能力は、申請者または常勤職員のいずれかが示せば足りるとされています。ただし、常勤職員1名以上の雇用は、別に必要です。
Q. 派遣社員や、業務委託の方でも、常勤職員になりますか。
A. 「在籍出向」「派遣」「請負」の形で働く方は、常勤職員と見なせないとされています。
Q. 採用はいつまでに済ませる必要がありますか。
A. 本記事で参照した公式ページでは、採用時期の扱いは確認できませんでした。不明です。申請の種類によって異なる可能性があるため、行政書士や出入国在留管理庁にご確認ください。
まとめ
常勤職員は、日本人、特別永住者、法別表第二の在留資格を持つ方が対象です。日本語能力は、申請者または常勤職員のいずれかが、B2相当以上を示します。
採用の方針は、「誰が日本語能力を示すか」から決めると、整理しやすくなります。雇用条件は常勤の基準に合わせ、人件費は事業計画書に反映してください。
要件の組み合わせは、チェックしてみると、見落としが見つかることがあります。改正後の6項目セルフチェックの記事もあわせてご活用ください。
経営管理ビザの事業計画書の策定や、専門家による確認をご検討の方は、経営管理ビザの事業計画支援ページをご覧ください。
※本記事は、2026年11月時点で確認できた出入国在留管理庁の公表情報(令和8年6月26日更新分)に基づいています。制度や運用は変更される場合があるため、最新の公式情報をご確認ください。
私たちアクセルパートナーズは、補助金活用や事業計画づくりの実行支援を軸に、中小・中規模企業の「外部経営企画室」として集客から採用・財務までご支援しています。経営管理ビザの事業計画書の策定や、専門家による確認にお困りの方は、お気軽にご相談ください。





