経営管理ビザの更新前に確認すること|経過措置と更新審査のポイント
経営管理ビザをお持ちの方の中には、「改正後の基準を満たせないと、更新できないのではないか」と不安を感じている方もいらっしゃると考えられます。資本金3,000万円を準備できなければ帰国しなければならない、という話を耳にした方も、いるかもしれません。
この記事では、すでにビザをお持ちの方に向けて、更新時の経過措置と、更新審査で確認される点を整理します。更新までに準備しておきたいことも、あわせてまとめます。
なお、要件の詳細や運用は変更される場合があります。最終的な判断の前に、出入国在留管理庁の公式ページをご確認ください。改正の全体像は、経営管理ビザの事業計画書と専門家確認についての記事で整理しています。
結論:令和10年10月16日までは、新基準を満たさないことだけでは不許可にならない
改正前から経営管理ビザで在留している方には、経過措置があります。要点は、次のとおりです。
- 令和10年10月16日までの更新申請:新しい基準を満たさない場合でも、そのことのみをもって不許可にはならないとされています。
- 令和10年10月16日より後の更新申請:改正後の基準に適合する必要があります。
- 3,000万円に届かない場合:経営状況が良好で、納税を適切に履行し、次回更新までに基準を満たす見込みがあれば、総合的に判断されます。3,000万円に満たないことのみで、一律に不許可となるものではありません。
「3,000万円を準備できなければ帰国しなければならない」という話は、事実ではないと、出入国在留管理庁が案内しています。
2026年11月時点で、経過措置の期限まで、2年弱です。
経過措置の期間中に、見られるポイント
経過措置の期間中でも、審査は行われます。公式ページでは、次の点が示されています。
- 経営状況や、改正後の基準に適合する見込みなどを踏まえて、許否が判断されます。
- 審査の中で、経営に関する専門家の評価を受けた文書の提出を、求められることがあります。
「新基準を満たさないだけで不許可にならない」ことと、「何も見られない」ことは、別です。見込みを説明できる状態にしておくことが、大切だと考えられます。
更新審査で確認される項目
更新の審査では、経営者として守るべきルールも確認されます。経営状況や納税状況に問題がなくても、これらに問題があれば、更新が認められない事例があるとされています。
| 確認項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 労働保険 | 雇用保険の被保険者資格取得と保険料納付、労災保険の適用手続等の状況 |
| 社会保険 | 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得と、保険料納付 |
| 国税 | 法人の場合:源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税 |
| 地方税 | 法人の場合:法人住民税、法人事業税 |
| 許認可 | 事業に必要な許認可の取得状況を示す資料 |
| 労働関係法令 | 労働基準法、最低賃金法などの遵守状況 |
| 活動実態 | 経営者としての活動実態、長期の出国の有無 |
個人事業主の場合は、税目が一部異なります。国税は、源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税です。地方税は、個人住民税、個人事業税です。
見落としやすい点
- 納付が義務づけられているものは、すべて提出が必要です。公租公課の資料は、「いずれか1つ」ではありません。
- 許認可を、在留許可の後でないと取得できない場合は、取得できない具体的な理由を説明した文書(様式自由)を提出します。次回の更新申請時に、取得状況が確認されます。
- 長期の出国は、消極的な要素になることがあります。一般論として、決定された在留期間の過半を超える期間、再入国許可による出国(みなし再入国許可を含む)をしている場合が挙げられています。正当な理由がある場合を除きます。
- 社会保険の加入義務がない個人事業主は、強制適用事業所に該当しない旨の説明と、個人事業主の国民健康保険の加入状況を提出します。
3,000万円と、個人事業主の場合
「3,000万円」は、法人と個人事業主で、意味が異なります。
- 法人:資本金の額(合同会社などは出資の総額)です。
- 個人事業主:事業所の確保、職員の給与(1年間分)、設備投資など、事業のために投下されている総額です。資本金を準備するものではありません。
法人の場合、従業員の給与や事務所の維持費は、3,000万円に合算できません。資本準備金、資本剰余金、利益剰余金も、含まれないとされています。
更新までに進めたい準備の5ステップ
- 更新の時期を確認する:在留期限と、令和10年10月16日の、どちらが先に来るかを整理します。
- 公租公課の状況を点検する:労働保険、社会保険、税金の納付状況を、資料で示せる状態にします。
- 許認可の取得状況を確認する:事業に必要な許認可が、そろっているかを整理します。
- 改正後の基準との差を書き出す:資本金等、常勤職員、日本語能力、経歴・学歴、事業所について、現状と差を確認します。
- 基準を満たす見込みを、計画に落とす:差を埋める時期と方法を、事業計画にまとめます。専門家の評価を求められた場合に備えます。
改正後の基準は、6項目で整理できます。改正後の6項目セルフチェックの記事で、現状との差を確認できます。
永住許可を考えている方へ
施行日の後に、改正後の許可基準に適合していない場合は、「経営・管理」からの永住許可が認められないとされています。「高度専門職1号ハ」や「高度専門職2号」で、経営・管理の活動を前提とするものも、同様です。
更新の経過措置は、永住許可には及びません。永住許可を視野に入れている方は、改正後の基準への適合を、早めに確認してください。
経営管理ビザの更新申請前に確認したいこと
本記事は、2026年11月時点で確認できた出入国在留管理庁の公表情報の整理です。個別の許可を保証するものではありません。
- 専門家の確認や評価は、ビザの許可を保証するものではありません。許可・不許可は、出入国在留管理庁が判断します。
- 本記事は、公表されている情報の整理です。運用は変更される場合があるため、申請の直前に公式情報を確認してください。
- 更新に必要な書類や、経過措置の適用は、お持ちの在留資格や申請の時期によって異なります。個別の事情は、記事の内容だけでは判断できません。
- 当社は、事業計画の策定と専門家としての確認を担当します。ビザの申請書類の作成と申請取次は、行政書士の業務です。当社の支援内容は、経営管理ビザの事業計画支援ページで案内しています。
よくある質問
Q. 令和10年10月16日までに更新すれば、新基準の準備は不要ですか。
A. 新基準を満たさないことのみで不許可にはなりません。ただし、経営状況や、基準を満たす見込みなどが踏まえられます。経営に関する専門家の評価を受けた文書を、求められることもあります。
Q. 令和10年10月16日より後の更新では、3,000万円がないと更新できませんか。
A. 一律に不許可になるものではありません。経営状況が良好で、法人税等の納付義務を適切に履行し、次回更新までに基準を満たす見込みがあるときは、他の在留状況とあわせて総合的に判断されます。
Q. 改正前の基準で許可を受けた場合は、どうなりますか。
A. 施行日の前日までに受け付け、審査が続いていた申請は、改正前の基準が適用されました。ただし、その場合も、施行日から3年を経過した後は、改正後の基準を満たす必要があるとされています。
Q. 特定活動から経営管理ビザに変更した場合は、どうなりますか。
A. 特定活動(44号・51号)の確認証明書の交付時期や申請時期によって、適用される基準が異なります。個別の判断が必要なため、公式ページや行政書士にご確認ください。
まとめ
すでに経営管理ビザをお持ちの方は、令和10年10月16日までの更新申請で、新基準を満たさないことのみでは不許可になりません。ただし、経営状況や、基準を満たす見込みは、確認されます。
更新審査では、労働保険・社会保険・税金の状況や、許認可の取得状況も見られます。まずは、これらの状況を資料で示せるか、点検するところから始めてください。
そのうえで、改正後の基準との差を整理し、埋める時期と方法を、事業計画にまとめておくと安心です。
更新に向けた事業計画の整理や、専門家による確認をご検討の方は、経営管理ビザの事業計画支援ページをご覧ください。
※本記事は、2026年11月時点で確認できた出入国在留管理庁の公表情報(令和8年6月26日更新分)に基づいています。制度や運用は変更される場合があるため、最新の公式情報をご確認ください。
私たちアクセルパートナーズは、補助金活用や事業計画づくりの実行支援を軸に、中小・中規模企業の「外部経営企画室」として集客から採用・財務までご支援しています。経営管理ビザの事業計画書の策定や、専門家による確認にお困りの方は、お気軽にご相談ください。





