中小企業診断士の独立ストーリー②BtoBマーケティングに悩む企業への支援

BtoBビジネスを手掛ける企業の多くが、マーケティング活動において「リード獲得」を重視しています。展示会への出展、Web広告運用、ウェビナー開催など、様々な施策を通じて見込み顧客の情報を集めることに注力されていることでしょう。しかし、そこで得たリードが思うように売上や受注に繋がらず、課題を感じている企業は少なくありません。

今回は、BtoBマーケティングのプロであるナレッジハブの松尾さんから伺った、その真髄と実践的なアプローチについてご紹介します。

BtoBマーケティングは「リード獲得」のその先を見据える

BtoB取引の特性として、まず挙げられるのが「リードタイムの長さ」です。商品やサービスにもよりますが、初回接点から実際に契約に至るまで、1年や2年といった長い期間を要することは珍しくありません。松尾さんも「お客様のエンドユーザーさんとの初回接点を頂戴したその瞬間に受注になることは絶対にありえない」と指摘しています。

この長いリードタイムの中で、初回接点から受注に至るまでの間に、どのような活動を行い、どのように顧客の関係を深めていくかがBtoBマーケティングの成功を左右します。単にリードの数を増やすだけでは、最終的な成果には結びつきにくいのです。

リード数だけを追うマーケティングが「無意味」になる理由

展示会やWeb広告で、多くの名刺やメールアドレスを獲得したとします。しかし、松尾さんは「入り口のことだけを分断して考えると危ない領域」と警鐘を鳴らします。なぜなら、たとえ100枚の名刺を集めたとしても、その企業が最終的に自社のソリューションやサービスを利用する構造になっていなければ、そのリード獲得施策は無意味になってしまうからです。

多くの企業では、マーケティング部門のKPIがリード数に設定されがちです。これにより「リードが取れればいい」という思考に陥ることがあります。しかし、本来の目的は「受注」であり「売上を積むこと」です。顧客となり得ない層をいくら集めても、コストばかりがかさみ、実質的な受注率向上には繋がりません。

「リードを貯めるだけだったら、究極お金さえかければ誰でもできる」と松尾さんも語ります。しかし、それでは継続依頼に繋がらないし、この人たち全然役に立ってないよねと思われてしまうのは当然です。重要なのは、獲得したリードが実際に顧客となり、事業に貢献する設計を描き、実行することです。

成果を最大化する「事業開発支援型」BtoBマーケティング

では、リード獲得のその先を見据え、受注へと繋がるBtoBマーケティングをどのように進めれば良いのでしょうか。松尾さんが実践するのは、単なるマーケティング支援の枠を超えた「事業開発支援型」のアプローチです。

まずは、徹底的な「顧客理解」から始めます。具体的には、既存の優良顧客へのユーザーインタビューを通じて、「どのような特性を持つ企業が、どのような文脈でニーズを顕在化させ、サービスを利用しているのか」といったレファレンスを詳細に分析します。その上で、顧客が持つマーケットニーズ、そして競合他社の状況を深く分析し、自社がターゲットとすべき顧客層と、その顧客の「こぼれているニーズ」を拾い上げる戦略を策定します。

このプロセスは、松尾さんが「BtoBマーケの畑を整えていくこと」と表現する、顧客との長期的な関係構築と育成の基盤を築く作業です。この目線合わせができて初めて、具体的なKGIやKPIを設定し、メタ広告運用、ウェビナー企画、ホームページ改善、ホワイトペーパーの導線設計といった具体的なアクションへと移ります。

さらに、BtoBマーケティングにおいては、営業部門との連携が不可欠です。松尾さんは、どのタイミングで、どの条件を満たしたリードを「有効リード」と見なし、営業部門にトスアップするか、といった社内体制の整備にも深く介入しています。週ごとに異なる具体的な活動を、PDCAサイクルを回しながら実行していく。これにより、プロモーションだけではない、事業全体の成果に貢献するマーケティングが実現するのです。

受注への壁をなくす「摩擦ゼロ」の実現

BtoBマーケティングで最も重視すべきは「お客さんの中でいかに通りやすくなるか、そこの摩擦をいかにゼロにするか」という点だと松尾さんは強調します。つまり、エンドユーザーが「この会社に依頼していることすら忘れられる」ほど、スムーズでストレスのない購買体験を提供することです。

この摩擦ゼロを実現するために、松尾さんは営業フェーズにも深く入り込みます。営業資料のブラッシュアップ、顧客へのストーリーの作り込み、そしてお客様の社内で承認がスムーズに進むための仕組み作りまで支援します。

「営業フェーズは正直介入しすぎだということは自認している」としながらも、その理由は明確です。特定のチャネルで獲得したリードが本当に受注に至れるのかを検証する最初のテストを、高い角度の仮説を持ったプロが行うことで、PDCAサイクルを迅速に回せるからです。これにより、営業部門にスムーズに引き渡せる有効なリードの定義を確立し、受注への最短ルートを描けるようになります。

このような包括的な「事業開発支援型」のアプローチは、営業人員を新たに雇うよりも、テストマーケティングの質と期間において圧倒的な優位性をもたらします。結果として、依頼企業は費用対効果を感じ、「もっとやって欲しい」という信頼と期待を抱くようになるのです。

BtoBマーケティングの成功は、単にリード数を増やすことではありません。顧客を深く理解し、リード獲得から受注、そしてその先の顧客育成までを一貫した戦略のもとで設計・実行する「事業開発支援型」のアプローチが、今日の競争激しい市場で勝ち抜くための鍵となります。リード獲得の壁を越え、確かな売上へと繋がるマーケティング戦略を構築しませんか。


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二宮 圭吾
この記事の編集: 二宮 圭吾
アクセルパートナーズ代表・webコンサルタント・中小企業診断士

2010年にwebコンサルタントとして開業、2016年中小企業診断士登録。web集客や求人を中心に様々な支援を行う。独自の中小企業診断士ネットワークを運営。

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