ChatGPT広告に向いている業種とは

ChatGPT上で広告配信が始まり、新たな広告媒体として注目を集めています。
広告担当者や経営者の方の中には、
「自社もChatGPT広告を始めたほうがよいのだろうか」
と考えている方もいるのではないでしょうか。
ChatGPT広告は、今後有力な広告媒体の一つになる可能性があります。
しかし、どの業種でも同じように成果が出るわけではありません。
ChatGPT広告との相性を考えるうえで重要なのは、単に「AIが流行しているか」ではなく、顧客が商品やサービスを選ぶ過程で、どのようにAIを使うのかを考えることです。
今回は、AIと相性がよいビジネスの特徴と、業種によって異なるAIの役割について考えます。
ChatGPT広告は、会話の内容に合った広告を表示する
ChatGPT広告は、ユーザーがChatGPTで商品やサービスを調べたり、複数の選択肢を比較したりしている場面に、関連する広告を表示する仕組みです。
検索広告がユーザーの入力した検索キーワードをもとに広告を表示するのに対し、ChatGPTでは、会話の中からユーザーの状況や希望条件をより詳しく把握できます。
たとえば、検索エンジンでは、
「横浜 接骨院」
と検索することが一般的です。
一方、ChatGPTでは、
「交通事故に遭ってから首の痛みが続いています。病院に行った方が良いでしょうか。横浜市内で、むち打ちの治療実績がある接骨院を探しています」
といった、より具体的な相談ができます。
ユーザーが詳しい事情を伝えるほど、その悩みに合った広告を表示しやすくなる点が、ChatGPT広告の大きな特徴です。
OpenAIも、ChatGPT広告について、ユーザーが選択肢を探し、比較し、意思決定する場面で、会話の文脈に合った広告を表示するものと説明しています。

AIと相性がよいのは「どうされましたか?」から始まる課題解決型のビジネス
AIと特に相性がよいのは、顧客とのやり取りが、
「今回はどうされましたか?」
という質問から始まるようなビジネスです。
代表的な例が、接骨院などの医療機関や、会計事務所などの士業事務所です。
接骨院でいうと、患者が来院すると、施術者は最初から施術内容を決めるのではなく、まず症状や経緯を確認します。
- いつから痛みがあるのか
- どの部分が痛むのか
- 交通事故による症状なのか
- 四十肩や姿勢の悪さが原因なのか
- これまでにどのような治療を受けたのか
こうした情報を聞いたうえで、患者に適した施術を提案します。
AIは、この「悩みを聞き、状況を整理し、解決策を提示する」というプロセスを得意としています。
これまで接骨院に来てから行っていた問診の一部を、来院前にAIが行うようになるとも考えられます。
たとえば、ユーザーがAIに、
「交通事故の後から首の痛みが続いています。病院では異常がないと言われましたが、接骨院にも相談したほうがよいでしょうか」
と質問したとします。
その会話の中で、交通事故対応やむち打ち施術の実績がある接骨院の広告が表示されれば、ユーザーの悩みとサービスを自然に結び付けることができます。
つまり、AIは単に広告を見せるだけではなく、ユーザー自身がまだ整理できていない課題を言語化した後に、その課題に合ったサービスとの接点をつくることができます。
これはAI広告に限らず、AIに選ばれるLLMOを行うことも重要です。
Webマーケティングや採用支援も同じ構造を持っている
アクセルパートナーズが提供しているWebマーケティングや採用支援も、同じ構造を持っています。
お客様からご相談をいただいた際、最初から広告媒体や施策を決めるわけではありません。
まずは、
「どのようなことでお困りですか」
というところからお話を伺います。
たとえば採用に関する相談であれば、次のような内容を確認します。
- 正社員とアルバイトのどちらを採用したいのか
- 何人採用したいのか
- いつまでに採用したいのか
- これまでにどの媒体を利用したのか
- 応募が来ないのか、採用につながらないのか
- どの程度の予算を想定しているのか
Web集客についても同様です。
「問い合わせが増えない」という相談であっても、その原因が広告にあるとは限りません。
Webサイトの内容、広告の配信方法、問い合わせフォーム、問い合わせ後の営業対応など、さまざまな可能性があります。
こうした相談型のビジネスでは、顧客がAIとの会話を通じて、自社の課題をある程度整理してから問い合わせるようになるでしょう。
たとえば、
「製造業を対象にWeb広告を出したいが、これまで成果が出なかった」
「採用広告を出しているが、応募者が求める人材と合っていない」
といった具体的な相談の中で、関連する支援会社の広告が表示される可能性があります。
初回商談でヒアリングから始めるビジネスは、ChatGPT広告と相性がよい可能性があります。
美容院のような主観の入るサービスでは、AIの役割が異なる
一方で、接骨院のように「元の状態に戻すこと」が比較的明確なサービスと、目指すゴールに本人の好みが入るサービスでは、AIの役割が異なります。
たとえば、美容院です。
美容院を探している人が、次のような悩みを持っていたとします。
- 直毛で髪がつぶれやすい
- 顔の形に合う髪型にしたい
- 経営者なので派手な髪型にはできない
- ビジネスの場に合う髪型にしたい
- 白髪は目立たなくしたいが、真っ黒にはしたくない
現在の美容院予約サイトでは、地域、料金、施術メニュー、スタイリストの性別、メンズ施術が得意かといった条件から探すことが一般的です。
しかし、本当に知りたいのは、
「自分の髪質や立場、好みを理解したうえで、似合う髪型を提案してくれる美容師は誰か」
ということかもしれません。
AIが顧客の悩みを詳しく聞き、その悩みに対応した施術事例や得意分野を持つ美容師を提案できれば、これまでの予約サイト以上に細かなマッチングができる可能性があります。
ただし、美容やデザインには本人の好みや主観が大きく関わります。
接骨院のように「痛みが改善した」という比較的分かりやすいゴールとは異なり、AIだけで正解を一つに決めることは困難です。
そのため、美容院のような業種では、AIですべてを完結させるのではなく、
- AIが悩みや希望を整理する
- 条件に合う美容院や美容師を提案する
- 施術事例や写真を見て本人が判断する
という役割分担が考えられます。
AIに向かないのではなく、AIが判断できる部分と、人間の感覚で決める部分を分ける必要がある業種といえるでしょう。
AIが「入口」になるビジネスと「出口」になるビジネス
AIとビジネスの関係を考える際は、顧客の検討過程のどこでAIが使われるのかを整理する必要があります。
大きく分けると、AIが「入口」になるビジネスと、「出口」になるビジネスがあります。
AIが入口になるビジネス
顧客が最初にAIへ悩みを相談し、その回答を受けながらサービスを探すビジネスです。
代表的な例としては、次のようなものがあります。
- Webマーケティング支援
- 採用支援
- コンサルティング
- 士業
- 接骨院や整骨院
- リフォーム
- スクールや教育サービス
- 業務システムの導入支援
など
顧客は、最初から依頼する会社を決めているとは限りません。
まずAIに相談し、自分の課題や必要なサービスを整理したうえで、具体的な会社を探します。
この場合、AIは「入口の相談相手」として機能します。
AIが出口になるビジネス
一方で、すでに複数の候補があり、最後の比較や確認のためにAIを使うビジネスもあります。
たとえば、高級腕時計を購入しようとしている人が、候補となる販売店を3社まで絞っていたとします。
その人がAIに、
「この3店舗では、どこが信頼できますか」
「中古のロレックスを購入するなら、保証やアフターサービスの面でどこがおすすめですか」
と質問することが考えられます。
この場合、AIは商品や販売店を探し始める入口ではなく、最終的な判断を行う出口に位置します。
飲食店、美容院、ECサイト、専門店などでも、同様の使われ方が考えられます。
- 候補の中で評判がよいのはどこか
- 自分の条件に最も合うのはどこか
- 価格以外にどのような違いがあるのか
- 保証やアフターサービスが充実しているのはどこか
この段階で関連する広告を表示できれば、最終候補の中から自社を選んでもらうための後押しになります。
したがって、比較検討型のビジネスがChatGPT広告に向かないわけではありません。
入口からAIが使われるのか、最後の比較でAIが使われるのかという違いがあります。
ChatGPT広告とAIからの推薦は別のものである
ここで注意したいのが、ChatGPT上に表示される広告と、通常の回答内で企業やサービスが紹介されることは別の仕組みだという点です。
ChatGPT広告は、企業が広告費を支払って掲載する広告です。
広告であることが明示され、通常の回答とは分離して表示されます。また、広告主がChatGPTの通常回答を操作したり、自社を上位に表示させたりすることはできません。
一方、AIが通常の回答の中で特定の企業を紹介する場合は、Web上にある情報や、その企業に関する評価、実績、サービス内容などをもとに回答が作られます。
したがって、AI時代の集客では、次の2つを分けて考える必要があります。
- ChatGPT広告に出稿し、関連する会話の中で接点をつくる
- 自社の情報を整備し、AIが自社の特徴を理解しやすい状態をつくる
仕組みは異なりますが、実際の顧客行動の中ではつながっています。
広告を見たユーザーが、AIに会社名を入力して評判を確認するかもしれません。
AIの回答で会社を知った後、別の会話でその会社の広告を見る可能性もあります。
そのため、ChatGPT広告への出稿だけでなく、Webサイトや外部媒体に掲載する情報の整備も欠かせません。
実績ページやコラムを増やす理由
アクセルパートナーズでは、お客様に対して、
「実績ページを増やしましょう」
「導入事例を掲載しましょう」
「専門的なコラムを継続的に発信しましょう」
とお伝えしています。
これは、SEO対策だけが目的ではありません。
AIが企業やサービスを比較するときに、Web上に具体的な情報がなければ、その会社の特徴や強みを判断できないためです。
たとえば、Webマーケティング会社が、
「幅広い業種に対応しています」
とだけ掲載していても、製造業の企業にとって本当に適した会社なのかは分かりません。
一方で、次のような情報が掲載されていれば、専門性を理解しやすくなります。
- 製造業の支援実績
- 具体的に取り組んだ施策
- 広告配信前に抱えていた課題
- 改善後の成果
- 担当者の知識や経験
- 顧客からの評価
- 製造業の集客や採用に関する専門コラム
接骨院であれば、交通事故対応、四十肩、骨盤矯正など、症状や施術内容ごとの実績や事例が必要です。
美容院であれば、単に「メンズカットが得意」と書くだけでなく、
- 直毛でボリュームが出にくい人の施術事例
- ビジネスパーソン向けの髪型
- 顔の形や髪質に応じた提案例
- スタイリストごとの得意分野
といった情報があると、AIもユーザーも自分との相性を判断しやすくなります。
「AIに情報を食わせる」というよりも、正確には、AIや顧客が自社の強みを理解できる材料をWeb上に蓄積することが重要です。
ChatGPT広告のデメリットは、表示回数を稼ぎにくいこと
ChatGPT広告には、ユーザーの詳しい状況に合わせて広告を表示できるというメリットがあります。
一方で、そのメリットと表裏一体になっているデメリットがあります。
それは、広範囲に大量の広告を表示する用途には向きにくいことです。
ChatGPT広告は、ユーザーの会話と広告の内容に関連性がある場合に表示されます。
つまり、ある程度ユーザーの悩みや関心が絞られた後に表示される広告です。
マッチングの精度が高くなる一方で、テレビCMやディスプレイ広告のように、不特定多数の人へ一斉に広告を届ける媒体ではありません。
広告媒体を、ユーザーの検討段階に沿って並べると、次のように整理できます。
| 広告媒体 | 主な接触場面 | 得意な役割 |
|---|---|---|
| ディスプレイ広告 | Webサイトやアプリを閲覧しているとき | 広範囲な認知獲得 |
| SNS広告 | SNSを閲覧しているとき | 認知獲得・興味喚起 |
| 検索広告 | キーワードを検索したとき | 顕在層の獲得 |
| ChatGPT広告 | AIに相談・比較しているとき | 文脈に合った高精度なマッチング |
下に行くほど、ユーザーの目的や希望条件は具体的になります。
その分、問い合わせや購入につながる可能性の高いユーザーへ広告を届けやすくなりますが、広告を表示できる母数は小さくなります。
これは、どちらが優れているという話ではありません。
広告の精度を高めるほど、届けられる人数は少なくなるというトレードオフです。
大量の認知や短期間の採用には向かない可能性がある
たとえば、新しい店舗をオープンし、その地域の多くの人に存在を知ってもらいたい場合を考えます。
ChatGPT上で、その店舗の業種や地域について相談している人に広告を表示することはできます。
しかし、その地域に住む人全体へ、短期間で大量に告知することは得意ではありません。
新店舗の認知を広げたいのであれば、ディスプレイ広告、SNS広告、動画広告などを使い、広い範囲に広告を表示するほうが適しています。
採用広告も同様です。
専門的な職種の経験者を数名採用したい場合は、求職者の経験や希望を詳しく把握できるAI広告が有効かもしれません。
一方で、コールセンターのアルバイトスタッフを1か月で100人集めたい場合は、マッチング精度よりも、まず多くの求職者に求人を見てもらう必要があります。
このようなケースでは、低いインプレッション単価で大量に広告を表示できる媒体のほうが適している可能性があります。
ChatGPT広告は有力な媒体になり得ますが、すべての広告を置き換えるものではありません。
ChatGPT広告に向いているかを判断する5つの質問
自社とChatGPT広告の相性を考える際は、次の5つの質問を確認してみてください。
1.顧客との商談や接客は「どうされましたか?」から始まるか
顧客の悩みを聞いたうえで、個別に商品やサービスを提案するビジネスは、AIとの相性がよい可能性があります。
2.顧客は購入前に、自分の悩みや条件を誰かに相談するか
相談を通じて商品やサービスを選ぶ業種では、AIが顧客との新たな接点になります。
3.顧客の悩みを文章で具体的に表現できるか
症状、予算、地域、目的、対象者などを言葉で整理しやすいほど、AIは適した広告を判断しやすくなります。
4.広く知らせることよりも、条件の合う顧客を獲得したいか
大量の認知獲得ではなく、相談や問い合わせの質を重視する場合は、ChatGPT広告を検討する価値があります。
5.自社の強みを裏付ける情報がWeb上にあるか
広告を見た人が企業について調べた際、実績、事例、料金、得意分野、口コミなどを確認できる状態になっていることが重要です。
まとめ:AIを顧客ジャーニーのどこに配置するか
ChatGPT広告に向いている業種を、単純に一覧で分けることはできません。
重要なのは、顧客が商品やサービスを選ぶ過程のどこでAIを使うのかを考えることです。
接骨院、Webマーケティング、採用支援、コンサルティングなどでは、顧客が最初に悩みを相談する「入口」からAIが使われる可能性があります。
高級腕時計、飲食店、美容院、専門店などでは、候補を絞った後の比較や最終確認という「出口」でAIが使われる可能性があります。
また、ChatGPT広告は、ユーザーの会話内容に合わせて広告を表示できる反面、広範囲への認知獲得には向きにくいという特徴があります。
したがって、企業が考えるべきなのは、
「ChatGPT広告をやるか、やらないか」
という二択ではありません。
- 顧客はどの段階でAIを使うのか
- AIにどのような役割を持たせるのか
- ChatGPT広告と既存の広告媒体をどう組み合わせるのか
- AIや顧客が自社を理解できる情報を用意できているか
これらを整理したうえで、自社に合った使い方を判断する必要があります。
繰り返しになりますが、2026年7月現在、chatGPT広告は地域セグメントの設定が「日本国内」となり、細かい地域設定ができないため、現時点ではまだ全国対応の商材を扱うところ以外はあまりおすすめ致しません。
アクセルパートナーズでは、単に新しい広告媒体をご案内するのではなく、企業の事業特性や顧客の検討行動を踏まえ、適切な集客方法をご提案しています。
ChatGPT広告を試すべきか、既存の検索広告やディスプレイ広告を優先すべきか、AI時代に向けてどのようなコンテンツを整備すべきか。
自社に適したAI広告の活用方法についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。







