2026年、レンタルサーバーが一斉に「AI遮断」を開始──気づかぬうちにAIから消えるリスクと対処法


「自社サイトが知らないうちにAIを遮断していないか確認しよう」という話を、このシリーズで続けてきました。今回は、その”知らないうちに遮断される”が実際に起きている、いちばん現実的な原因を取り上げます。それが、レンタルサーバー各社が2026年に相次いで導入した「AIクローラー遮断機能」です。

結論を先にお伝えすると、サーバー会社によってはこの機能が自動で有効化されるケースがあり、サイト運営者が何も操作していなくても、ある日を境にAIから読まれなくなっている――ということが起こり得ます。実際、私たちが支援しているサイトでも、これに該当する事例がありました。

何が起きているのか

近年、Webサイトの文章や画像がAIの学習や回答生成に利用されるケースが増えたことを背景に、国内の主要レンタルサーバーが「AIボットのアクセスを遮断する機能」を提供し始めました。「大切なコンテンツをAIに勝手に使われたくない」というニーズに応えるもので、機能自体は理にかなっています。

ただ、ここには2つの注意点があります。ひとつは、この機能を有効にすると、AI検索(ChatGPT検索やPerplexityなど)で自社サイトが引用・紹介されなくなる恐れがあること。守りと引き換えに、露出のチャンスを手放すトレードオフがあります。もうひとつが、より見落とされやすい点で、サーバー会社によっては、この遮断が”初期設定”や”自動有効化”という形で、運営者の意図とは無関係に効いてしまうことです。

エックスサーバー:2026年1月、「要設定」で提供開始

エックスサーバーは2026年1月7日、国内ホスティング企業として初めて「AIクローラー遮断設定」機能の提供を開始しました。サーバーパネルからワンクリックで、OpenAI(GPTBot等)、Google(Google-Extended等)、Anthropic(ClaudeBot等)といった主要なAIのアクセスを一括で遮断できます。検索エンジンのクローラー(Googlebot等)は対象外なので、Google検索の順位には影響しません。

エックスサーバーの場合、この機能は利用者が自分でオンにするものです。つまり、意図せず遮断される可能性は比較的低い一方、「機能追加のお知らせ」を見て深く考えずにオンにしてしまう、あるいはサーバー移転やプラン変更のタイミングで設定が変わる、といった経緯で有効になっているケースは考えられます。

さくらインターネット:2026年3月、「自動有効化」という設計

より注意が必要なのが、さくらインターネットのケースです。さくらは2026年2月10日に「ウェブサイトアクセス制御機能」の提供を開始しました。ここで重要なのが、そのうちの「AIデータスクレイパー」という項目が、2026年3月17日以降、設定が未実施の場合は自動的に有効化されるという設計になっていた点です。

言い換えると、利用者が「有効化を望まない」と明示的に設定しない限り、3月17日を境に自動でAI遮断がオンになる、ということです。オフにしておきたい場合は、2026年3月16日までにコントロールパネルで「制限する」のチェックを外して保存しておく必要がありました。

この「オプトアウト方式」(黙っていると自動で有効になる)は、負荷軽減という運営側の意図としては理解できるものの、利用者からすると、何もしていないのに気づかぬうちに遮断されていたという状況を生みやすい設計です。この期限を知らずに過ごしていたサイトは、3月17日に一斉に、静かにAIから遮断されたことになります。

実際にあった事例

私たちが支援しているあるサイト(さくらの共用サーバーで運用)でも、まさにこれが起きていました。運営者は特に何も操作していなかったのですが、AIボットでアクセスを確認すると、通常のブラウザは正常に表示される一方、AIのクローラーだけが拒否(403)されている状態でした。

調べていくと、原因はサイトの設定でもコンテンツでもなく、さくらのコントロールパネルにある「AIデータスクレイパー」の項目に「制限する」のチェックが入っていたことでした。3月の自動有効化を、そのまま受けていた形です。パネルでチェックを外して保存したところ、AIボットも正常にアクセスできるようになりました。

この事例が示すのは、Google検索が正常に見えていても、AIだけが遮断されているケースは実在するということ、そしてその原因が自分の操作ではなくサーバー会社側の仕様変更にあることもある、ということです。

自社サイトが該当していないか確認する

まず、自社サイトがどのサーバーで動いているかを把握したうえで、AIボットで実際にアクセスして反応を確かめます。確認は、このシリーズで紹介してきた curl で行えます。

# AIボットを名乗ってアクセス(403なら遮断の可能性)
curl -A "ClaudeBot" -s -o /dev/null -w "%{http_code}\n" https://(自社ドメイン)/
curl -A "GPTBot"    -s -o /dev/null -w "%{http_code}\n" https://(自社ドメイン)/

# 比較用:通常ブラウザ
curl -A "Mozilla/5.0" -s -o /dev/null -w "%{http_code}\n" https://(自社ドメイン)/

通常ブラウザが 200 で、AIボットだけ 403(や 503)が返るなら、サーバー側でAIを遮断している可能性が高い状態です。

遮断を解除する場所

どのサーバーを使っているかで、解除する場所が変わります。

エックスサーバーの場合は、サーバーパネルの「AIクローラー遮断設定」から、対象ドメインを選んでオフに切り替えます。さくらインターネットの場合は、サーバーコントロールパネルの「ウェブサイトアクセス制御」設定を開き、「AIデータスクレイパー」などの項目の「制限する」のチェックを外して保存します。いずれもコードの編集は不要で、パネル上の操作だけで完結します。

なお、サイトの管理を制作会社に任せている場合は、コントロールパネルへのログイン権限が先方にあることが多いので、その際は「AIクローラーの遮断設定をオフにしてほしい」と依頼する形になります。

どう判断すべきか

最後に、方針の考え方を整理しておきます。この遮断機能は「オフにするのが常に正解」というものではありません。判断は、サイトの役割によって変わります。

集客や認知の拡大を目的とし、AI検索での引用・露出を取りにいきたいサイトであれば、遮断はオフにして、AIに読まれる状態にしておくのが素直な選択です。一方、独自性の高いコンテンツやノウハウを抱え、それをAIの学習から守りたいという意図が明確なサイトであれば、あえて遮断を維持する判断も合理的です。

大切なのは、「気づかないうちに自動で決まっていた」状態のまま放置しないことです。遮断するにせよ開放するにせよ、自社の方針として意図的に選ぶ。そのために、まずは現状がどうなっているかを一度確認してみることをおすすめします。2026年は、サーバー会社側の仕様変更でこの状態が静かに切り替わりやすい年でもあるので、しばらくは折を見て確認しておくと安心です。

二宮 圭吾
この記事の編集: 二宮 圭吾
アクセルパートナーズ代表・webコンサルタント・中小企業診断士

2010年にwebコンサルタントとして開業、2016年中小企業診断士登録。web集客や求人を中心に様々な支援を行う。独自の中小企業診断士ネットワークを運営。

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