GA4に新しくできた「AI Assistant」チャネルと、GA4によるLLMO 生成AI時代に「どう検証するか」を解説

AI検索(ChatGPTやPerplexity、GoogleのAI回答など)経由の流入が、少しずつ無視できない規模になってきました。「AI対策・LLMO対策をやってみたけれど、効果が出ているのかどう確認すればいいのか分からない」――そんな声をよく聞きます。
そこで頼りたくなるのがGA4(Google Analytics 4)ですが、実はGA4でのAI流入の計測には、独特のクセと”限界”があります。ここを理解しないまま数字を見ると、実態を大きく見誤ることになりかねません。この記事では、GA4でAI経由の流入をどう捉えるか、その方法と限界、そして生成AI時代に何をもって「検証」とするかを整理します。
まず押さえたい前提:GA4はAI流入を”取りこぼす”
大前提として理解しておきたいのは、GA4は初期設定のままだと、AI経由の流入をきれいに計測できないということです。
理由は、AIプラットフォーム側の挙動にあります。ユーザーがChatGPTやPerplexityの回答内のリンクをクリックしてサイトに来るとき、その多くは「どこから来たか」を示すリファラー情報が欠落しています。AIツールの埋め込みブラウザやスマホアプリが、リファラーを削除してしまうことが多いためです。
その結果、本来はAI経由であるはずの流入が、GA4では「direct(直接流入)」や「referral(参照元)」「unassigned(未割り当て)」といった別のカテゴリーに紛れ込んでしまいます。つまり、何もしなければ、AI流入は”見えないところに散らばっている”状態になるわけです。
2026年5月の変化:GA4に「AI Assistant」チャネルが登場
この状況に、2026年に入って大きな進展がありました。2026年5月、GoogleはGA4のデフォルトのチャネルグループに、「AI Assistant」という新しいチャネルを追加しました。
これにより、認識されたAIプラットフォームのドメインからの流入は、自動的に「AI Assistant」チャネルに分類されるようになりました。確認方法はシンプルで、GA4の「レポート → 集客 → トラフィック獲得」を開き、ディメンションを「セッションのデフォルトチャネルグループ」に切り替えると、「AI Assistant」という行が現れます。以前のように自分で複雑な設定を組まなくても、AI流入をある程度は把握できるようになった、という点で前進です。
ただし、この新チャネルには重要な”但し書き”が3つあります。
認識されるのは一部のツールだけ
Googleが公表している認識対象は、ChatGPT・Gemini・Claudeの3つが中心です。PerplexityやCopilotなど、それ以外のツールからの流入は、この「AI Assistant」チャネルには入らず、従来どおり「referral」などに埋もれたままになります。
過去分は遡って集計されない
このチャネルは、稼働した日以降のデータだけを集計します。それ以前にあったAI流入を、後から遡って再構成してくれるわけではありません。
リファラーが残っている流入だけが対象
前述のとおり、リファラー情報が削除された流入は、そもそも「AI Assistant」として認識されません。この場合は引き続き direct などに分類されます。
全体を捉えたいなら「カスタムチャネルグループ」
標準の「AI Assistant」チャネルで足りない部分――Perplexityを含めたい、過去のデータも見たい――を補うには、自分でカスタムチャネルグループを組む方法があります。標準チャネルは稼働日以降のデータしか集計しませんが、カスタムチャネルグループは過去に遡って適用されるため、これまでのAI流入(リファラーが残っているもの)も確認できるのが大きな利点です。
具体的には、参照元(Source)が特定のAIドメインに一致するものを「AI流入」としてまとめる設定を作ります。手順は次のとおりです。
設定の手順
1. 管理画面から「チャネルグループ」を開く
GA4の「管理(Admin)」→「データの表示(Data display)」→「チャネルグループ(Channel groups)」に進みます。
2. 新しいチャネルグループを作成する
「新しいチャネルグループを作成」をクリックし、名前を付けます(例:「AI含むチャネルグループ」)。既存のチャネル定義はそのまま残し、そこに新しいチャネルを1つ追加する形にします。
3. AIチャネルを追加し、正規表現で条件を指定する
「新しいチャネルを追加」を選び、チャネル名を付けます(例:「Artificial Intelligence」。略称の「AI」より、フルスペルの方が後でフィルタリングしやすくなります)。条件を「参照元(Source)が正規表現に一致(matches regex)」に設定し、AIツールのドメインを列挙した正規表現を入力します。たとえば主要ツールを押さえるなら、次のような形です。
chatgpt\.com|chat\.openai\.com|gemini\.google\.com|claude\.ai|perplexity(?:\.ai)?|copilot\.microsoft\.com|deepseek\.com|grok\.com
(新しいAIツールは次々に登場するので、この一覧は定期的に見直すのが前提です。正規表現の作成自体は、ChatGPTやClaudeに手伝ってもらうのが早いでしょう。)
4. 【最重要】チャネルの並び順を「Referral」より上にする
ここが最もつまずきやすいポイントです。GA4はチャネルの判定を上から順に行うため、新しく作ったAIチャネルが「Referral(参照)」より下にあると、AI流入がReferralに先に拾われてしまい、いつまでもAIチャネルに入りません。「並べ替え(Reorder)」で、AIチャネルをReferralより上に移動させてください。「せっかく作ったのにAI流入がReferralのまま」という場合、原因は正規表現ではなく、たいていこの並び順です。
5. 保存して、データがたまるのを待つ
設定を保存します。レポートで確認するには、「レポート → 集客 → トラフィック獲得」を開き、表の上部のディメンションを「セッションのカスタムチャネルグループ」に切り替えると、作成したAIチャネルの行が表示されます。
設定時の注意点
いくつか、事前に知っておくと安心な制約があります。GA4の無料版で作れるカスタムチャネルグループは2つまで(GA4 360は5つまで)です。また、前述の標準「AI Assistant」チャネルと併用する場合、両方を漏れなく拾うために、カスタム側の条件に「またはデフォルトチャネルグループが『AI Assistant』に完全一致」という条件を足しておくと、取りこぼしを防げます。標準チャネルが登場したからといって、作ったカスタムチャネルグループは消さない方が無難です。過去データと接続できるのはカスタム側だけなので、月次・年次の比較にはこちらが必要になります。
なお、「今すぐざっと見たいだけ」なら、チャネルグループを作らずに、トラフィック獲得レポートで「参照元が正規表現に一致」のフィルタを一時的にかける方法もあります。ただしこの方法は、レポートを離れるとフィルタがリセットされるので、継続的に見るならやはりチャネルグループの作成をおすすめします。
見えない流入──「ダークトラフィック」という限界
ここで、最も重要な限界に触れておきます。どれだけ設定を工夫しても、GA4では捉えきれないAI流入が必ず残る、という点です。
AI経由の流入は、「観測できるもの」と「観測できないもの」に分かれます。観測できるのは、リファラー情報を渡してくれる一部の流入だけ。それ以外――リファラーが削除された流入、AIで情報を得たあとに時間を置いて指名検索や直接アクセスで訪れる流入――は、GA4上ではAI経由とは分からず、directやブランド検索として現れます。こうした「AIに影響されたが、計測上はAIと紐づかない流入」は、ダークトラフィックなどと呼ばれます。
つまり、GA4で見えるAI流入の数字は、実際のAIの影響の”一部”にすぎず、多くの場合は過小評価になっている、と理解しておく必要があります。GA4の数字がゼロに近くても、「AIから全く影響を受けていない」とは限らない、ということです。
最も陥りやすい誤解:「流入」と「可視性」は別物
生成AI時代の検証で、担当者が最も混同しやすいのが、「AI流入(トラフィック)」と「AI可視性(visibility)」の違いです。ここを分けて考えることが、検証の質を大きく左右します。
AI流入は、AIの回答からリンクをクリックして、実際にサイトを訪れた人の数です。GA4が(一部とはいえ)計測しようとしているのは、こちらです。
AI可視性は、そもそもAIが回答の中で自社を引用・言及してくれているか、という指標です。これは「クリックされたかどうか」とは別の話で、AIの回答内に登場していても、ユーザーがクリックしなければGA4の流入には現れません。
この2つは別物です。GA4の流入だけを見て「AIに全く取り上げられていない」と判断するのは早計で、実際にはAIの回答に引用されていて、認知や検討にはしっかり効いている――という可能性があります。逆に、可視性が高くても、クリックにつながる導線が弱ければ流入は増えません。検証では、この両輪を分けて見る必要があります。
では、どう検証すればよいか
以上を踏まえた、現実的な検証の考え方を整理します。
GA4は「傾向」を見る道具と割り切る
絶対値の正確さは期待できないので、「AI Assistantチャネルが月ごとに増えているか」「どのページにAI経由で人が来ているか」といった、傾向と相対比較を見るのに使います。特に有効なのが、ランディングページ別の分析です。AI経由の流入が、どのページに集中しているかを見ると、「AIがどのコンテンツを引用・評価しているか」の手がかりになります。もしブログ記事にはAI流入があるのに、サービスページや料金ページには来ていないなら、それはコンテンツの導線設計を見直すヒントになります。
サーバーログでAIクローラーの動きも見る
ユーザーの流入とは別に、AI検索のクローラー(OAI-SearchBot など)がどのページを巡回しているかを、サーバーログで確認する方法もあります。これは「将来AI流入を生む可能性のあるページ」を先読みする、先行指標になり得ます。
可視性は別の手段で確認する
AIが自社を引用しているかは、GA4では分かりません。実際にChatGPTやPerplexityで、自社に関連する質問を投げてみて、回答に自社が登場するか・どう紹介されるかを手動で確認する。これは地道ですが、可視性を把握する直接的な方法です。専用のAI可視性チェックツールを使う選択肢もあります。
自社のデータだけを信じる
AI流入の割合は、業種や読者層によって大きく変わります。他社の平均値や一般論の数字ではなく、あくまで自社サイトの実データ(どのツールから、どのページに、どれだけ来ているか)を継続的に見て判断することが、遠回りに見えて最も確実です。
まとめ:完璧な計測より、傾向をつかむ
生成AI時代のアクセス解析は、「AI流入を正確に1件残らず計測する」ことを目指すと、現状では必ず行き詰まります。GA4は取りこぼしが多く、ダークトラフィックも避けられないからです。
現実的なのは、GA4で捉えられる範囲の傾向をつかみつつ、可視性(AIに引用されているか)は別の手段で確認し、両輪で全体像を推測するという姿勢です。完璧な数字を求めるのではなく、「AI経由の流入が増えているか」「どのコンテンツが評価されているか」という方向性を継続的に追う。そのうえで、コンテンツや導線を改善していく。この地道な検証の積み重ねが、AI検索時代のサイト運用の土台になります。
なお、GA4の仕様やAIプラットフォームの挙動は、変化が非常に速い領域です。ここで触れた内容も現時点での整理であり、標準チャネルの認識対象や計測方法も今後変わっていく可能性が高いため、最新の情報を確認しながら、自社データをもとにテストと検証を重ねていくことをおすすめします。







