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【2021年】助成金情報について解説します!

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中小企業・小規模事業主の皆さん、「助成金」を活用できていますか?

助成金とは、国や自治体から企業への金銭的援助であり、特に昨年コロナの影響による経済対策として特例措置が登場したことで、注目が集まっています。
もちろん、コロナ関連以外にも、創業時に使える助成金、育児や介護との両立に関する助成金等、様々な種類があります。

また、同じく国や自治体からの経営支援策として、様々な「補助金」がありますが、「助成金と補助金の違い」はご存じでしょうか?

今回は、助成金について、補助金との違いに着目するともに、2021年の新しい助成金情報について解説します!

なお、本記事は、2021年1月18日時点の情報をもとにまとめています。

1. 助成金と補助金の違いは?

助成金、補助金ともに、「事業計画及び雇用計画を推進する条件で、国や自治体から金銭的援助を受けることができるという点では一致していますが、その実、大きな違いがいくつもあります。

  目的 管轄 財源 募集期間 申請方法
助成金 雇用促進・人材育成 厚生労働省・地方自治体 雇用保険料 通年で随時募集
(予算がなくなり次第終了)
申請型
補助金 国や自治体の政策推進 経済産業省・地方自治体 税金(法人税等) 年に1~3回の公募 公募型

特に注目すべき点として、募集期間申請方法が挙げられます。

〇 募集期間 

助成金は、通年で随時募集していますが、国や自治体が定めた予算から配分されているため、予算が底を尽きれば終了します。明確に期限がない分、早い者勝ちであるともいえるでしょう。

対して補助金は、1年間に1~3回程度しか公募期間がなく、1回の公募期間も1か月前後という非常に短い期間となります。申請には書類内容を明瞭に充実させる必要があるので、公募期間に入る前に事業計画や書類の準備を行う必要があります。

〇 申請方法 

ここが最も理解しておかなければならない違いです。
お金を受け取るまでのステップが大きく異なりますので、しっかり把握しましょう!

  申請方法 ポイント
助成金 申請型 会社規模や事業計画等の申請要件を満たしていれば支給される
提出書類にミスがあった場合は、補完した上で再度申請できるため、通過率は高いといえる。
補助金 公募型 会社規模や事業計画等の申請要件を満たした上で、同じ公募期間に応募した他社と申請内容を比較されてより優秀だと採択されたら支給される
事業計画のビジネスコンテストのようなもので、採択率にはばらつきがある

 

逆に、助成金と補助金の共通点として、後払いであることが挙げられます。
どちらも、

今後行う事業の計画書を提出・申請

申請が通れば計画を実施・報告

③申請していた金額が支給される

という流れになるので、事業計画を実施してからお金が入る後払いの形になり、事業計画内で購入したものの費用はひとまず自社で負担することとなります。

そのため、「既に〇〇を買ったから助成金・補助金申請をしよう」、「とりあえず資金としてもらって貯めておこう」ということはできませんので、要注意です!

 

※助成金と補助金と同じ金銭的援助制度として「給付金」もありますが、給付金は申請要件を満たしていれば支給されるもので、特に事業計画書等を用意する必要がないものとなります。

 

2. どんな助成金がある?

下記の表は、2020年時点で国が用意している助成金の一覧です。
7つの関連分野にまつわる助成金制度があり、その中でもさらにいくつかのコースに分かれています。

  関連分野 助成金名 コース
1 雇用維持 雇用調整助成金 従来枠、★新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置
2 再就職支援 労働移動支援助成金 再就職支援コース、早期雇入れ支援コース
3 転職・再就職拡大支援 中途採用等支援助成金 中途採用拡大コース、UIJターンコース、生涯現役企業支援コース
4 雇入れ 特定求職者雇用開発助成金 特定就職困難者コース、生涯現役コース、被災者雇用開発コース、発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース、障害者初回雇用コース、就職氷河期世代安定雇用実現コース、生活保護受給者等雇用開発コース
トライアル雇用助成金 一般トライアルコース、障害者トライアルコース、障害者短時間トライアルコース、若年・女性建設労働者トライアルコース
地域雇用開発助成金 地域雇用開発コース、沖縄若年雇用促進コース
5 雇用環境整備等 障害者雇用安定助成金 障害者職場定着支援コース、障害者職場適応援助コース
人材確保等支援助成金 雇用管理制度助成コース、介護福祉機器助成コース、介護・保育労働者雇用管理制度助成コース、中小企業団体助成コース、人事評価改善等助成コース、設備改善等支援コース、働き方改革支援コース、雇用管理制度助成コース(建設分野)、若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)、作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)、外国人労働者就労環境整備助成コース
65歳超雇用推進助成金 65歳超継続雇用促進コース、高年齢者評価制度等雇用管理改善コース、高年齢者無期雇用転換コース
キャリアアップ助成金 正社員化コース、賃金規定等改定コース、健康診断制度コース、賃金規定等共通化コース、諸手当制度共通化コース、選択的適用拡大導入時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長コース
6 両立関係支援等 両立支援等助成金 出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業支援コース、再雇用者評価処遇コース、女性活躍加速化コース、事業所内保育施設コース、★新型コロナウイルス感染症小学校休業等対応コース
7 人材開発 人材開発支援助成金 特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース、建設労働者認定訓練コース、建設労働者技能実習コース、障害者職業能力開発コース

参考:「令和2年度版 知って得する助成金活用ガイド(日本法令、令和2年7月20日発行)」

★新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特別措置★新型コロナウイルス感染症小学校休業等対応コースは、2020年に登場した制度です。
コロナによる企業の経済対策として設置されたため、将来的には廃止される制度となります。

雇用調整助成金の新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特別措置については、のちほど詳しく解説します。

 

3. 助成金のメリット・デメリット

では、助成金を活用するメリット・デメリットに着目しましょう。
ちなみに、補助金も同様のメリット・デメリットが挙げられます。

メリット

返済不要の資金が得られる 

収益増加や経営存続のために新規事業計画を立てたものの、その計画を推進するためのコスト負担が重い・・・という状況は辛いですよね。
助成金は、国や自治体から借りるお金ではなく、支給されたら返済不要のお金なので、安心して事業に活かせます。

ただし、不正受給には注意しましょう。
不正が発覚した場合、支給額を全額返還するだけでなく、その後申請しても支給されなくなり、状況によっては事業者名が公表されることもあります。
受給要件や金額計算は、正確に誠実に確認するようにしましょう。

従業員の雇用を守れる 

経営が辛い状況でも、雇用に関する助成金によって従業員に支払う賃金の資金源を確保できるため、従業員を解雇しなくて済むようになります。

営業ツールとして活用できる 

助成金の受給経歴ができれば、公的機関の審査が通った企業ということで、社会的信用を得ることができます。
例えば、自社ホームページ等に受給にまつわるエピソード添えて紹介すると、健全な企業としてのPR材料となります。

また、逆に「●●助成金を使って、うちの商品を買いませんか」という売り出し方も考えられます。
どのような助成金があるかを把握することで、自社商品の強みと照らし合わせ、「今後の事業計画にうちの商品が役立ちますよ、助成金が使えるので導入費用が減りますよ」という売り方ができるでしょう。

 

デメリット

手間・コストがかかる 

これは最大のデメリットといえます。
助成金についてきちんと理解をしている人が担当しなければ、申請しても書類内容が甘く支給を認められなかったり、誤って不正受給を招く可能性があります。

また、事業計画等、書類内容を明瞭に充実させるための手間がかかりますし、何より綿密な事業計画を立てるために時間も取られてしまうでしょう。

そのため、社会保険労務士や外部コンサルタントに書類準備の依頼するパターンが多く、コストがかかります。

しかし、この手間やコストをかけたことによる見返りは大きいです!

 

 労務環境を見直し、整備するきっかけになる

助成金受給のためには、受給要件に沿って労務環境の状況を申告しなければなりません。
特に、賃金台帳・出勤簿・労働条件通知書(雇用契約書)・就業規則に関する書類の提出を必須としている助成金は多いです。

つまり、いわゆるブラック企業には、助成金が支給されないようになっています。

だからこそ、受給経歴がPR材料となるのです!
受給要件と照らし合わせることで、自社の労務環境についても見直し、改めて整備するきっかけとなるでしょう。
労務環境の改善は、創業時の古い考え・体制からの脱却や従業員のモチベーションアップにも繋がりますので、会社としての成長にも繋がっていきます。

したがって、手間やコストがかかるから助成金は手を出しづらいと思わず、専門家と相談してぜひ申請することをオススメします。

毎年同じ助成金制度があるとは限らない 

助成金は、国や自治体の予算によって定められているため、予算の変動や時勢の影響によって、新しい助成金制度が設置されることもあれば、長く継続されていた制度が突然なくなるということもあります。

「この●●助成金を活用したいけど、今年は手が回らなさそうだから、来年申請しよう」と思っていたら、来年になって制度自体がなくなっていた!という事態は非常に困りますよね。

先にお伝えしたとおり、助成金は予算がなくなれば終了という早い者勝ちの側面があるので、助成金を活用しようと思ったらすぐに申請への行動を取るべきでしょう。

 

4. 2021年の助成金情報

それでは、中小企業・小規模事業主向けの2021年の助成金情報について解説します!

雇用調整助成金の特例措置

まずは、2020年に新型コロナウイルスの影響によって設置された助成金で、依然として感染拡大が続く2021年も継続される助成金からご紹介します。

雇用調整助成金の特例措置とは、従業員に働く意思と能力があるにもかかわらず、事業縮小等により休業を実施する事業主に対して、従業員の雇用維持を図るために、休業手当等の一部を助成する企業への救済措置です。

もともと、雇用調整助成金の制度は存在していましたが、コロナの影響による企業の売上減、ひいては解雇者増加や有効求人倍率低下が著しいために、従来制度の申請要件から大幅に緩和され、助成率が上がったものが、この特例措置です。

緩和された大きなポイントとして、

雇用調整助成金の特例措置 3つのポイント
1 計画書の作成は不要(手間の緩和
2 日額上限が8370円→15000円へ(助成率アップ
3 経営状況を前年度の同じ月と比べた際に、従来制度は3か月で10%減が対象→1か月で5%減で対象へ(申請要件の緩和

の3点が挙げられます。

また、2021年3月以降も特別措置は存続するものの、段階的に縮減させていく方針であると厚生労働省から発表されました。
ただし、1月末及び3月末時点の感染状況や情勢に応じて、都道府県ごとに特例を設ける等、柔軟な対応が想定されています。

※雇用調整助成金は雇用保険被保険者を対象にしていますが、雇用保険被保険者以外、つまりアルバイトやパートなどの雇用保険に入っていない方が対象となる「緊急雇用安定助成金」もあります。

さらに詳しく知りたい方は、下記のリンクをご参照ください。

☞ 雇用調整助成金の特例措置について(厚生労働省pdfリンク)

産業雇用安定助成金(仮称)

産業雇用安定助成金とは、「コロナによって事業縮小を余儀なくされた企業が、従業員の雇用維持を在籍型出向によって図るため、従業員を送り出す事業主及び受け入れる事業主に対して、経費の助成を行う制度」です。

助成の対象となる経費は、以下の2つの経費です。

〇 出向運営経費 

出向元事業主及び出向先事業主が負担する賃金や教育訓練、および労務管理に関する調整経費等、出向中に要する経費の一部を助成します。
出向元が解雇を行っているかいないかで助成率に変動がありますが、上限額は日額12000円となっています。

〇 出向初期経費 

就業規則や出向契約書の整備費用、出向元事業主が出向に際してあらかじめ行う教育訓練、出向先事業主が出向者を受け入れるために用意する機器や備品などの出向に要する初期経費の一部を助成します。
出向元及び出向先に対して、1人当たり10万円の定額が支給され、一定要件を満たせば、さらに1人当たり5万円の定額の加算額が設定されています。

助成対象となる経費は、出向開始日が令和3年1月1日以降の場合、出向開始以降の出向運営経費と出向初期経費出向開始が令和3年1月1日より前の場合、2021年1月以降の出向運営経費のみ助成の対象となります。

現在検討中となっている制度ですが、既に公開されている情報として、3つの注意点があります。

産業雇用安定助成金 3つの注意点
1 雇用維持を図るための助成のため、出向期間終了後は元の事業所に戻って働くことが前提
2 出向元と出向先が親子・グループ関係になこと資本や組織的な関連性等の視点から、独立性が認められること
3 出向元で代わりに従業員を雇い入れる、出向先で別の人を出向させたり離職させる、出向元と出向先で従業員を交換する等、玉突き雇用や出向を行っていないこと

さらに詳しく知りたい方は、下記のリンクをご参照ください。

☞ 産業雇用安定助成金(仮称)について(厚生労働省pdfリンク)

その他、2021年の助成金の動向について

令和3年度予算概算要求の概要

参考:「令和3年度予算概算要求の概要(厚生労働省)

上記の表は、現在厚生労働省が発表している、令和3年度の予算決定におけるポイントとなる点です。

2020年にコロナの影響による経済的打撃や失業者増が起こったことから、2021年は再就職支援に重きを置くことが見受けられます。

また、ソーシャルディスタンスのためにテレワークが一気に普及したこともあり、テレワーク導入や定着促進のための予算が多く検討されています
特に、テレワークを正式に導入し、労働環境の改善などの一定の効果が見られた場合、最大200万円を支給する助成金を実施する方針が示されており、非常に注目されています。

その反面、既に雇用している非正規雇用労働者への処遇改善を行う企業への助成金は、前年度より縮小されることとなっています。
賃金の増額規定や人事評価制度など労働環境の整備への支援は引き続き進められますが、正社員登録などのキャリアアップを支援する助成金の一部は縮小される可能性があります。

 

5. 早めの準備が肝心!

2021年度の助成金については、2020年度末となる3月に、予算発表とともに正確な情報が出ることとなっています
まだまだ新型コロナウイルスが猛威を振るう時勢ですので、コロナ関係の助成金は存続するでしょう。

しかし、コロナ関係の助成金に限らず、需要が多く使いやすい助成金は予算額が増えるものの、あまりの人気にすぐに予算がなくなり、新年度早々に打ち切りになってしまうものもあります。
期限がないようである制度ですので、 事前に準備しはじめ、申請までのスケジュール管理を行いましょう! 

特に、賃金台帳・出勤簿・労働条件通知書(雇用契約書)・就業規則等が整えてあると、どのような助成金でもすぐに申請しやすいです。
初めて助成金の受給を考えている方は、今のうちに用意しても損はありません!

助成金を活用して、健全な企業として売上アップを目指しましょう!

   

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
運用型広告の知見と経営者として自社の採用に携わっている経験を元に様々な業種の採用改善に携わる。

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