最高の福利厚生、選択性確定拠出年金について
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先日、金融庁によって公表された「老後資金として2,000万円が不足する」問題にも関係するお話です。
社員個人にとっても、経営者の方にとっても、双方とてつもなく大きなメリットのあるお話なので、ぜひ目を通して頂ければと思います。
目次
1.選択制確定拠出年金とは
さて、まずは選択性確定拠出年金(以下、選択制DC)とは何か、というところからご説明します。
これは、この制度を導入した企業の「社員」が、毎月の給与からその一部を確定拠出年金に拠出し、社員自ら年金資産の運用を行う制度です。※1
社員の老後の資産形成を行うことを目的とする制度で、企業型確定拠出年金※2(企業型DC)の1つになります。
※1元本確保型で運用をしない商品もあります
※2企業型DCとは、一般的には退職金を原資とした「企業」が拠出するものをいいます
2.年金制度の中での位置づけ
選択制DCは、国民年金や厚生年金などの公的年金と異なり、年金の3階部分と言われる私的年金です。
企業が導入したあとは、加入するもしないも社員個人が自分で決めることができます。
そして年金と名のつく通り、60歳以降に年金形式、もしくは退職一時金として受け取ることができます。
退職一時金として受け取る場合、退職所得控除が利用できるので、多くの場合が非課税で受け取れます。
3.なぜ最高の福利厚生なのか
それは、会社にとっても大きな経費削減施策となるからです。
選択制DCでは、拠出した金額から所得税や社会保険が免除されます。
社会保険料は個人と会社で折半して支払っているので、個人の社会保険料が減れば、会社の保険料負担も同じ金額だけ少なくなります。
下に、賞与から6ヶ月分をまとめて拠出した場合に、どうなっていくのか計算したものを載せましたのでご覧ください。
※年間賞与80万円 所得税率10.21% 社会保険料約15%で計算しています。扶養の状況などは考慮していません。実際の金額を保障するものではありませんので、あくまで参考としてご参照下さい。加入している健康保険によっては、保険料率や負担割合が異なることがあります。
上の表は、拠出額が増えていくにつれて、税金や保険料がどう変化していくのかをグラフ化したものです。下の表では、拠出額が0円から27,500円まで4パターンで計算したものを金額一覧にしています。
社員個人への効果
拠出額が大きくなるにつれて、各種保険料や所得税額が大きく減少していくのがわかると思います。
下の表に注目してみてください。月額20,000円拠出する社員がいた場合、1年間拠出しただけで55,535円も手元に残るお金が多くなります。
上記の金額は、各種保険料と所得税が免除されただけで増える手元金で、運用益などは全く考慮していません。これが10年20年と続くとなると…すごい金額ですよね!
会社の保険料負担はどうなるのか
毎月2万円づつ拠出することにした社員が1名在籍した場合
・健康保険料
39,600 – 27,720= 11,880
・厚生年金保険料
73,200 – 51,240= 21,960
社会保険料の会社負担額が33,840円も安くなることが分かります!
たった1名の社員が毎月2万円拠出することを選択しただけで、会社の方もこれだけ大きな経費が削減されたことになります。
加入者本人は、表に示した通り税金面でも優遇されるので、もっと大きなメリットを享受します。社員も会社も両方ハッピー!と言ういいとこ取りの制度だという事が分かって頂けたかとおもいます。
「老後資金が2,000万円不足する」という問題では、自助努力という言葉も話題になりましたが、個人の自助努力を会社が支援できる仕組みとしては非常に効果的なものだと思います。
4.DC掛け金の拠出方法について
通常、毎月の給与から社員が決めた金額を拠出することになりますが、金融機関によっては賞与から6ヶ月分をまとめて拠出することもできます。個人的には賞与から6ヶ月分をまとめて拠出する方法をオススメします。
何故かというと、賞与から引かれる社会保険料は、賞与額に保険料率を掛けて計算されるため、保険料差額のメリットを完全に受け取ることができるからです。
毎月拠出する場合では、必ずしも100%の差額メリットを受ける事が出来るわけではありません。拠出したにも関わらず、個人の社会保険料を決める標準報酬月額が変わらないことがあるためです。
標準報酬月額は、一定の範囲内を同額としているため、こういったことが起こることもあります。
標準報酬月額が変わらなければ、個人の保険料も変わらないため、会社の負担額も同様に変わりません。
5メリットまとめ
今回は、何故選択制DCを導入するべきなのか、メリットについてのお話だったので、制度自体については詳しく書いていません。原則途中解約ができず、加入者本人が退職した場合は個人型に移行する、など留意点もあります。
ただし、留意点を理解したうえで、ありあまるメリットのある制度だと思っています。
メリットをまとめると、
・加入社員の保険料、税金が大幅に安くなる
・社員が定年退職した後の生活を、会社としてバックアップしている姿勢を打ち出せる
・リスクをとった運用をしなくても十分な見返りがある
・会社の経費が大幅に削減される
いかがだったでしょうか?
この制度の導入は、大企業だけでなく中小企業でも大きな効果を期待できます。
むしろ、取り組みやすさを考えたら、中小企業でこそ最高の福利厚生になるのではないでしょうか?
まだ導入されていない企業さんは、ぜひご検討してみてください!
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この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
運用型広告の知見と経営者として自社の採用に携わっている経験を元に様々な業種の採用改善に携わる。