「CPCを下げればCPAは改善する」は本当か?Google広告の入札設定の考え方

「CPAが高い」と感じたとき、多くの運用者がまず検討するのが「上限CPC(クリック単価)を下げる」という対応です。クリック単価が下がれば、同じ予算でより多くのクリックを獲得でき、結果的にCPAも下がるはずだ、という直感的な考え方です。
しかし実際には、上限CPCを引き上げたことでCPAが改善するケースもあるとされています。この記事では、なぜそうした逆の現象が起きるのか、そしてどこまでも通用する話ではない点も含めて整理します。
「CPAが高い→CPCを下げる」は必ずしも正解ではない
CPAを改善したいとき、上限CPCを下げるという対応は、一見すると理にかなっています。ですが、この方法には見落としやすい副作用があります。
上限CPCを下げると、これまで表示できていた検索オークションの一部に参加できなくなります。このとき、もし表示されなくなった検索語句の中に、実はコンバージョンに至りやすい「質の良い検索語句」が含まれていた場合、CPCを下げたことで、かえってコンバージョンの機会を逃してしまう可能性があります。
上限CPCを引き上げるとCPAが改善する仕組み
これとは逆に、上限CPCを引き上げることでCPAが改善したという運用事例も報告されています。理由として考えられているのは、上限CPCという制約によって、それまで表示できていなかった良質な検索語句のオークションに参加できるようになり、コンバージョンにつながりやすいユーザーへの露出が増える、というメカニズムです。
目標CPAや目標ROASの設定を維持しながら上限CPCを引き上げていくと、使える予算の幅が広がり、結果としてCPAが改善しながらCPCも上昇していく、という動き方をすることがあるとされています。
なお、Google公式ヘルプでは、自動入札の最適化を妨げる可能性があるため、目標CPA・目標ROASと上限CPCの併用は基本的に推奨されていません。この手法は機会損失が明確に疑われる場合の限定的な対処法として捉え、まずは上限を設定しない運用を基本とすることをおすすめします。また、目標CPAでキャンペーン単体に上限CPCを設定することはできず、上限CPCを併用したい場合はポートフォリオ入札戦略への変更が必要になる点も、あわせて押さえておいてください。
ただし、これは「上限CPCによって機会損失が起きていた」ケースに当てはまる話であり、あらゆるアカウントで同じ効果が出るとは限りません。
イメージで考える
例えば、月間予算が潤沢にあるにもかかわらず、上限CPCの制約によって毎月「予算による制限」ステータスが表示されず、むしろ予算を使い切れていないアカウントがあったとします。この場合、上限CPCが低すぎることで、コンバージョンに至りやすい検索語句のオークションに十分参加できていない可能性があります。こうしたアカウントでは、上限CPCを段階的に引き上げることで、これまで取りこぼしていた良質な検索語句へのアクセスが広がり、結果としてCPAが改善する余地があると考えられます。
逆に、すでに上限CPCが高く、予算を使い切っている状態であれば、この記事の後半で触れるように、引き上げがかえって逆効果になる可能性もあります。
CPCを上げすぎるとCPAが悪化することもある
一方で、上限CPCを上げれば上げるほどCPAが改善し続けるわけではない、という点にも注意が必要です。
一般的な傾向として、CPCを一定水準以上に引き上げても、コンバージョンが伴わなければ費用だけがかさむ非効率な状態に陥ると考えられます。これは、スマート自動入札の仕組み上、コンバージョンにつながりやすいと判断されたユーザーに対しては、通常よりもかなり高いCPCで入札されることがあり、その結果コンバージョンが獲得できなかった場合に、費用だけがかさんでしまうという構造上の特性によるものと考えられます。
つまり、「CPCを下げるべきか、上げるべきか」に絶対の正解はなく、今のアカウントが上限CPCによって機会損失を起こしている状態なのか、すでに非効率な高単価入札が発生している状態なのかによって、取るべき対応は逆になるということです。
CPCが上がるほど、除外キーワードの重要性が増す
上限CPCを引き上げる場合は、あわせて意識しておきたい点があります。上限CPCが上がると、これまで表示されていなかった検索語句にも配信が拡張されやすくなります。この拡張には、コンバージョンに近い良質な検索語句だけでなく、関連性の低い検索語句も含まれる可能性があります。
そのため、上限CPCを引き上げる際は、除外キーワードの設定・見直しをこれまで以上に意識しておくことをおすすめします。拡張された分だけ無駄なクリックが増えてしまっては、CPA改善という本来の目的から離れてしまいます。
実務での考え方
CPAを改善する際、「上限CPCを下げる」という一つの手段に縛られず、以下のような視点を持っておくとよさそうです。
- ・現在、上限CPCによって良質な検索語句が表示できていない(機会損失が起きている)状態なのか、まず確認する
- ・上限CPCを引き上げる場合は、目標CPAや目標ROASを維持しながら段階的に調整し、一気に大きく動かさない
- ・CPCの上昇にあわせて、除外キーワードのチェック頻度を上げる
- ・CPCを一定水準以上に引き上げてもCPAが改善しない場合は、逆に非効率な入札が発生している可能性を疑う
最終的に重視すべきなのは、「上限CPCを下げる/上げる」という手段そのものではなく、コンバージョンを最大化するためにCPAをどう改善するか、という視点だと考えられます。
まとめ
- ・上限CPCを下げると、良質な検索語句のオークションに参加できなくなり、かえって機会損失につながることがあります
- ・上限CPCを引き上げることで、それまで表示できなかった良質な検索語句への露出が増え、CPAが改善するケースもあるとされています
- ・ただし、CPCを上げすぎると、非効率な入札によってCPAが悪化することもあるため、一方向の話ではありません
- ・上限CPCを引き上げる際は、除外キーワードの見直しをあわせて行うことが重要です
- ・「CPCを下げる/上げる」という手段にこだわらず、コンバージョンを最大化する視点でCPAを捉えることが大切です
本記事で紹介した内容は、複数の情報源や運用知見をもとにした一般的な傾向であり、すべてのアカウントで同じ結果を保証するものではありません。上限CPCとCPAの関係は、業種・商材・入札戦略・アカウントの状況によって異なります。上限CPCを調整する際は、小さな幅から試し、自社のアカウントの数値で効果を確認しながら進めることをおすすめします。







