P-MAXのアセットグループ別シグナル設計|検索テーマ・カスタムセグメントの使い分け方

前回の記事「オーディエンスが作れない?カスタムセグメントの作り方と『検索』『興味関心』の違い」では、カスタムセグメントの基本と、オーディエンスの作成手順について解説しました。
この記事では一歩進んで、検索テーマとカスタムセグメントのキーワードをどう使い分けるか、そして複数のアセットグループを運用する際のシグナル設計の考え方について、事例を交えて解説します。
本題に入る前に、階層関係を整理しておきます。P-MAXのアセットグループ設定画面では、「シグナル」という大きな枠の中に「検索テーマ」と「オーディエンスシグナル」という2つのセクションが並列に配置されています。そして「カスタムセグメント」は、この「オーディエンスシグナル」を構成する部品の一つです。つまり、「検索テーマ」と「カスタムセグメント」は同じ階層にある並列の項目ではなく、「検索テーマ」は独立した入力欄、「カスタムセグメント」は「オーディエンスシグナル」の中の一部品、という関係になります。この記事で「検索テーマとカスタムセグメントの使い分け」という場合、正確には「検索テーマ」と「オーディエンスシグナルに設定するカスタムセグメント」の使い分けを指しているとご理解ください。
上記の理解を深めたい方は「P-MAX・デマンドジェネレーションのオーディエンスシグナルと検索テーマの違いとは?」をご覧ください。
検索テーマとカスタムセグメントのキーワード、同じでいいのか
実務でよく迷うポイントです。結論から言うと、同じキーワードを重複して入れること自体に大きな問題はありませんが、役割を分けて設計する考え方もあります。
検索テーマは「どんな言葉で探しているか」をAIに伝えるヒントであり、比較的広く・網羅的に設定してもよいとされています。一方、オーディエンスシグナルのカスタムセグメントは「どんな人か」を伝えるヒントであり、より購買・コンバージョンに近い層に絞り込んで設定する、という役割分担の考え方があります。
具体的には、以下のような設計方針が考えられます。
■検索テーマ:想定される検索語句を幅広くカバーする(1アセットグループあたり25個前後を目安に、盛りすぎない)
■カスタムセグメントのキーワード:その中でも特にコンバージョンに直結しやすい、購買意向の強いキーワードに絞る
また、「整体」「骨盤矯正」のような単体のビッグワードは、検索テーマ・カスタムセグメントのどちらであっても曖昧すぎるため避け、複合的なフレーズで設定する方がAIの学習が濁りにくいとされています。
URLベースのカスタムセグメントの注意点
カスタムセグメントはURLでも作成できますが、ここには誤解が生じやすいポイントがあります。
URLを指定するカスタムセグメントは、「そのURLを訪問したことがあるユーザー」を狙う機能ではありません。そのURLと類似した業種・カテゴリのサイトに興味を持っていそうだとGoogleが推定したユーザーに配信されるとされています。厳密な競合サイトへの訪問者リマーケティングとは異なる点に注意が必要です。
この性質上、URLベースのカスタムセグメントの優先度は他の自社データや検索キーワードのセグメントと比べて低めとされています。設定する場合は、商圏の競合サービスのURLなど、対象を絞って活用するとよいでしょう。
設計イメージ:アセットグループ別のシグナル設計
ここまでの考え方を、具体的な設計イメージで確認してみます。以下は、骨盤矯正・美容整体サロンを想定した設計例です(実際の運用結果を検証したものではなく、考え方を整理するための仮想の一例です)。
例えば、検討している内容の異なる3つのアセットグループに分けて設計する、という考え方ができます。

骨盤矯正コースアセットグループ
矯正・猫背・O脚・骨盤ケアなど、「今の不調を直したい」という高い意図の検索語句で統一
産後骨盤矯正アセットグループ
産後・産後ケア・骨盤ベルト・出産後の体型戻しなど、「出産後の体を整えたい」という異なる動機で統一
姿勢チェック体験会アセットグループ
姿勢・猫背チェック・無料相談など、「自分の姿勢が気になるが、いきなり施術は不安」という不安に応える、無料・低ハードルの入口イベント
この3つのアセットグループでシグナルを設計する場合、以下のようなルールを採用することが考えられます。
- ・1アセットグループにつき1つのシグナルの中に、自社データを複数と、検索カスタムセグメントをまとめて入れる(重ねて設定してよい)
- ・背骨となるのは自社データ(サイト訪問者・予約フォーム離脱者・顧客リストなど)、検索カスタムセグメントは補助的な位置づけ
- ・3つのアセットグループ間で、検索語句を絶対に重複させない(どのアセットグループがどの意図で成果を出しているか、後から分析できるようにするため)
- ・地域性が強いアセットグループ(来店イベントなど)は、シグナルよりも地域設定を優先して絞り込む
このように、自社データを軸にしながら、アセットグループごとの「検討テーマ」に沿ってキーワードを重複させずに設計する、という考え方は、複数のアセットグループを運用する際の一つの指針になりそうです。
注意点:コンバージョン設計とアセットグループ分割のリスク
複数のアセットグループを同じキャンペーン内で運用する場合、見落としやすいリスクがあります。
P-MAXはキャンペーン単位で、月におおよそ30件程度のコンバージョンがないと機械学習が安定しにくいとされています。そのため、コンバージョンを1つに集約した方が学習は安定しやすい傾向にあります。
ただし、先述の設計イメージのように、無料・低ハードルの入口イベント(姿勢チェック体験会など)と、成約に近いアセットグループ(骨盤矯正コースなど)を同じコンバージョンで評価する場合は、注意が必要です。入口イベントの方が「安くコンバージョンを獲得しやすい」ため、AIがそちらに予算を寄せてしまい、見かけ上のCPAは改善しても、実際の成約・売上にはつながっていない、という状態が起こり得るとされています。
この対処法としては、主に2つの考え方があります。

- コンバージョンごとに価値を設定する(例:来店予約は価値10、成約は価値100など)
- 目的が大きく異なるアセットグループは、思い切って別キャンペーンに分離する(入札戦略はキャンペーン単位で機能するため、同居させると予算配分が偏りやすい)
また、アセットグループを分けすぎるとデータが分散し、学習が遅れる場合があるとされています。3つ程度であれば大きな問題にはなりにくいとされていますが、安易に増やしすぎないことも意識しておきたいポイントです。
シグナル・検索テーマ以外の要素の方が影響は大きい
最後に、優先順位について触れておきます。オーディエンスシグナルや検索テーマの設計は重要ですが、P-MAXの成果に対する影響度で言うと、実際はそれ以外の要素の方が大きいとされています。
一般的には、以下のような優先順位で捉えるとよいとされています。
1.コンバージョン設計・価値設計
2.除外キーワードの設定
3.検索広告とP-MAXの役割分離
4.LPと広告文の一致度
5.検索テーマ・オーディエンスシグナルの調整

つまり、検索テーマやシグナルの調整は、土台となるコンバージョン設計や除外設定が整っていることを前提とした「微調整」の位置づけと捉えておくとよさそうです。シグナルを細かく調整する前に、まずはコンバージョンの計測・価値設計が適切かどうかを見直すことをおすすめします。
まとめ
- ・検索テーマは広く網羅的に、カスタムセグメントのキーワードはコンバージョンに近い層に絞る、という役割分担の考え方があります
- ・URLベースのカスタムセグメントは「訪問者」ではなく「類似ユーザー」への配信である点に注意が必要です
- ・複数のアセットグループを運用する際は、検索語句を重複させず、自社データを背骨にした設計が一つの指針になります
- ・コンバージョン設計や除外キーワードなど、シグナル調整以外の要素の方が成果への影響は大きいとされています
カスタムセグメントの基本的な作り方や、「検索」「興味・関心」の違いについては、前回の記事「オーディエンスが作れない?カスタムセグメントの作り方と『検索』『興味関心』の違い」もあわせてご覧ください。
本記事で紹介した設計方針や優先順位の考え方は、実際の運用結果を検証した上でのものではなく、これまでの知見をもとにした設計イメージです。すべてのアカウント・業種に同じ効果を保証するものではありません。自社データの蓄積状況(リマーケティングリストの量やカスタマーマッチの有効一致数など)によっても適した設計は変わります。まずは小さく試し、自社のアカウントの数値で効果を検証することをおすすめします。
また、カスタムセグメントの仕様や、各キャンペーンタイプでの挙動は、Googleのアップデートによって変更される場合があります。実際の設定にあたっては、最新の公式情報もあわせてご確認ください。







