オーディエンスシグナルの優先セグメントと設定ミス、画面付きで解説
前回の記事「P-MAX・デマンドジェネレーションのオーディエンスシグナルと検索テーマの違いとは?」では、オーディエンスシグナルの基本的な考え方について解説しました。
この記事では一歩進んで、実際に設定すべきセグメントの優先順位、特に注意が必要な「CVユーザー」の扱い方、よくある設定ミス、そして管理画面での具体的な設定手順を解説します
オーディエンスシグナルとして設定すべきセグメント
設定すべきセグメントには優先順位があるとされています。※以下はGoogle公式が定めた序列ではなく、実務上のベストプラクティスとしての整理です。

最優先・必須とされるもの
- 自社データ:過去のコンバージョン(CV)ユーザー
- 自社データ:サイト訪問者全体(リマーケティングリスト)
推奨されるもの
- カスタムセグメント:購買意向の強いキーワード
- カスタムセグメント:競合サイトのURL・競合サービス名
- カスタムセグメント:購買意向の強いオーディエンス
優先順位が下がるとされるもの
年齢・性別などのユーザー属性(デモグラフィック)は、以下の理由から、最優先にするのはリスクがあるという考え方があります。
- 属性(デモグラフィック)よりも行動(インテント)の方がコンバージョンに直結しやすい傾向にある
- Googleがユーザー属性を「不明」と判定しているケースが少なくない
- ターゲットの思い込みによる機会損失を防ぐ必要がある
最優先セグメント「CVユーザー」の特別な扱い方
ここまでの優先順位で最も重要とされる「過去のコンバージョン(CV)ユーザー」については、一つ重要な誤解が生まれやすいポイントがあります。
過去のCVユーザーは、「広告の配信対象」としては通常除外すべき存在です。しかし、「AIの学習データ(オーディエンスシグナル)」としては、除外するのではなく、むしろ積極的に含めるべきだとされています。「配信対象からは外したいが、AIには教材として渡したい」という、一見矛盾するようで矛盾しない扱いがポイントです。
つまり、「コンバージョンに至ったすべてのユーザー」という同じ1つのリストを、2つの異なる設定画面に、それぞれ別の目的で登録するというのが実務上のポイントです。

| 登録する場所 | 目的 | 結果 | |
|---|---|---|---|
| ① | アセットグループの「オーディエンスシグナル」 | AIへの教材として渡す | 学習には使われる |
| ② | キャンペーンの「除外設定」(またはアカウント全体の除外リスト) | 配信対象から外す | 広告は表示されない |
具体的な手順は以下の通りです。
①アセットグループの「オーディエンスシグナル」に、「コンバージョンに至ったすべてのユーザー」のリストを設定する
②キャンペーン設定の「データ除外」で除外設定(除外設定を編集)、またはアカウント全体の除外リストの機能を使って、同じ「コンバージョンに至ったすべてのユーザー」を配信対象から除外する

①だけ設定すると、CVユーザーにも広告が表示され続けてしまいます。②だけ設定すると、AIはCVユーザーの情報を学習に活用できません。①と②の両方を設定して初めて、「学習には使うが、配信はしない」という状態を実現できます。
よくある設定ミス
ミス①:CVユーザーをオーディエンスシグナルから除外してしまう
「配信対象としては除外すべき」という知識が先行し、オーディエンスシグナルの設定画面でもCVユーザーを含めないケースが見られます。前述の通り、配信対象としての除外とシグナルとしての活用は別の話であり、CVユーザーはシグナルとしては積極的に活用すべきとされています。
ミス②:ユーザー属性のシグナルだけで運用を始めてしまう
「30代・女性」のようなユーザー属性は設定項目として分かりやすいため、真っ先に設定されがちです。しかし、Googleがユーザー属性を「不明」と判定しているケースも多く、属性だけに頼った設定では、AIが十分な手がかりを得られない可能性があります。自社データやカスタムセグメントとあわせて設定することが推奨されています。
ミス③:シグナルを絞り込みすぎてしまう
オーディエンスシグナルはあくまで「起点」であるにもかかわらず、条件を細かく絞り込みすぎると、AIが学習・拡張する余地が狭くなり、かえって配信ボリュームが伸び悩む場合があるとされています。ある程度の柔軟性を持たせた設定が望ましいとされています。
設定を始める際の考え方
これからオーディエンスシグナルを設定する場合、いきなり複数のセグメントを組み合わせるのではなく、優先順位に沿って段階的に設定していくとよいとされています。
まずは自社データ(過去のCVユーザー・サイト訪問者全体)を設定し、AIに最も価値の高い教材を与えます。そのうえで、購買意向の強いカスタムセグメントを追加し、必要に応じてユーザー属性を補助的に加えていく、という順序です。
また、既存顧客向けのシグナルと新規獲得向けのシグナルを同じアセットグループで扱うと、AIの学習が非効率になる場合があるとされています。目的が異なる場合は、キャンペーンやアセットグループを分けて設定することも検討するとよいでしょう。
実際の設定画面
ここからは、実際の管理画面をもとに設定手順を見ていきます。
まず、キャンペーン画面から「アセットグループ」を開くと、各アセットグループの一覧に「オーディエンスシグナル」の列があります。まだ設定していない場合は「オーディエンスシグナルが指定されていません」と表示されているので、鉛筆マークから編集を始めます。

編集画面に進むと、「検索テーマ」と「オーディエンスシグナル」がそれぞれセクションとして分かれて表示されます。検索テーマには、実際にユーザーが検索しそうな単語やフレーズを追加できます。オーディエンスシグナルには、保存済みのオーディエンスを追加するか、新しく作成します。

すでに作成済みのオーディエンスシグナルがある場合、内容をクリックすると詳細が表示され、「編集」から中身を確認・修正できます。

編集画面では、「広告主様のデータ」(過去のCVユーザーやサイト訪問者など自社データ)、「興味/関心と詳しいユーザー属性」(購買意向の強いセグメントなど)、「ユーザー属性」(性別・年齢)をそれぞれ設定できます。本記事で触れた優先順位の通り、まずは「広告主様のデータ」を軸に設定し、他の項目は補助的に加えていくとよいでしょう。
注意点
本記事の内容は、公式ヘルプおよび複数の情報源をもとに執筆時点で確認できた内容です。オーディエンスシグナルの仕様や推奨設定は、Googleのアップデートによって変更される場合があります。実際の設定にあたっては、最新の公式情報もあわせてご確認ください。
また、オーディエンスシグナルの設定による効果は、業種やアカウントの状況によって異なります。まずは小さく設定を試し、自社の数値で効果を検証することをおすすめします。
まとめ
- 過去のCVユーザーは、配信対象としては除外しても、シグナルとしては積極的に含めるべきとされています。
- ユーザー属性よりも、行動(インテント)に基づくシグナルの方が優先度が高いとされています。
- CVユーザーは「①オーディエンスシグナルに設定」「②除外設定で除外」の両方を行って初めて、意図した状態になります。
- シグナルは絞り込みすぎず、優先順位に沿って段階的に設定するとよいとされています。
オーディエンスシグナルの基本的な考え方や、ターゲティング・検索テーマとの違いについては、「P-MAX・デマンドジェネレーションのオーディエンスシグナルと検索テーマの違いとは?」もあわせてご覧ください。









