P-MAX・デマンドジェネレーションのオーディエンスシグナルと検索テーマの違いとは?


P-MAXやデマンドジェネレーションキャンペーンを運用していて、「オーディエンスシグナル」の設定に一度は迷ったことがある方は多いのではないでしょうか。

この記事では、オーディエンスシグナルの基本的な考え方と、混同されやすい「ターゲティング」「検索テーマ」との違いについて解説します。実際に設定すべきセグメントの優先順位や、管理画面での具体的な設定手順については、次の記事「オーディエンスシグナルの優先セグメントと設定ミス、画面付きで解説」であわせて詳しく解説します。

オーディエンスシグナルとは何か

オーディエンスシグナルは、Google AIに対する「お手本(教科書)」のようなものとされています。「こういう人がうちの上客(正解)だよ」という特徴をAIに学習させるために設定する機能です。

Google公式のヘルプでも、自社のユーザーデータ(コンバージョンに至ったことがあるユーザーを含む)やマーケティングデータを活用できる旨が案内されており、適切なオーディエンスシグナルの設定はP-MAXキャンペーンのパフォーマンス向上につながるとされています。

 

「シグナル」の全体構造を理解する

具体的な設定に入る前に、P-MAXの「シグナル」がどのような構造になっているかを整理しておきます。

「シグナル」という大きな枠の中には、「検索テーマ」と「オーディエンスシグナル」という2つの独立したセクションが並列に配置されています。「検索テーマ」はそれ自体で完結した入力欄ですが、「オーディエンスシグナル」は、自社データ・カスタムセグメント・ユーザー属性という複数の部品を組み合わせて設定するものです。

つまり、「カスタムセグメント」は「検索テーマ」と同じ階層にある並列の項目ではなく、「オーディエンスシグナル」を構成する部品の一つです。この関係を押さえておくと、以降の内容が理解しやすくなります。

 

「ターゲティング」と「オーディエンスシグナル」の違い

この2つは混同されやすいですが、性質が異なります。

キャンペーンや広告グループでのターゲティング(セグメント設定)

指定したセグメントの枠内にいるユーザーのみに配信され、AIもその枠の中だけで最適化を行います。いわば「枠による制限」です。

オーディエンスシグナル

指定したセグメントを起点としつつ、枠外のコンバージョンが見込めるユーザーにも、条件次第で拡張して配信されることがあります。AIはシグナルを参考にしながら、実際のコンバージョンに至る行動パターンを学習し、配信先を広げていきます。いわば「AIへの最初の手がかり(ヒント)」です。なお、Google広告ヘルプでも、オーディエンスシグナルは広告がそのオーディエンス内のユーザーにのみ配信されることを保証するものではなく、他のセグメントの方がコンバージョンに至るユーザーが多いと判断された場合は、シグナルで指定した以外のユーザーにも配信される旨が案内されています。

具体的な違いは主に3点です。

  • 広告配信を「制限」するか「拡張」するかという、配信範囲に対する考え方の違い
  • AIに対する指示の「強制力」の強さ
  • 除外(ネガティブターゲット)ができるかどうか

この違いを理解しないまま、オーディエンスシグナルを「絞り込みの機能」として捉えてしまうと、本来AIに与えるべき情報を誤って除外してしまう可能性があります。

具体例で考える

例えば「25歳から34歳」というユーザー属性を、ターゲティングとオーディエンスシグナルでそれぞれ設定した場合を考えてみます。

ターゲティングとして設定した場合、広告は設定した年齢層のユーザーにのみ配信されます。一方、オーディエンスシグナルとして設定した場合は、25歳から34歳のユーザーを起点としつつも、それ以外の年齢層でコンバージョンが見込めると判断されたユーザーにも広告が配信されます。同じ「25歳から34歳」という情報でも、どちらの機能で設定するかによって、広告の届き方がまったく異なるということです。

なお、キャンペーンで年齢・性別の除外設定を行っている場合、その除外設定はオーディエンスシグナルの内容よりも優先されます。実際の管理画面でも、除外設定が有効なキャンペーンでオーディエンスシグナルを編集しようとすると、「このキャンペーンでは年齢や性別の除外設定が有効になっているため、ここでの選択内容よりも優先されます」という案内が表示されます。オーディエンスシグナルはあくまでヒントであり、除外設定のような明示的な制限には勝てない、という点も覚えておくとよいでしょう。

「検索テーマ」と「オーディエンスシグナル」の違い

P-MAXにはもう一つ、「検索テーマ」というAIへのヒント機能があります。こちらもオーディエンスシグナルと混同されやすいので、あわせて整理しておきます。

どちらも「AIへのヒント」という点では共通していますが、ヒントの軸が異なります。加えて、両者には「強制力」の違いもあります。検索テーマは、検索広告のフレーズ一致・インテントマッチキーワードと同じ優先順位でオークションに参加するとされており、実質的にキーワードターゲティングに近い、比較的強い指定として扱われます。一方、オーディエンスシグナルはあくまで参考情報としての性質が強く、AIが他のユーザー層の方がコンバージョンに至りやすいと判断すれば、シグナルで指定した範囲外にも配信されます。

  • オーディエンスシグナル:「どんな人か(人属性)」を教えるヒント
  • 検索テーマ:「どんな言葉で探しているか(検索行動)」を教えるヒント

オーディエンスシグナルが「ユーザー軸」の情報であるのに対し、検索テーマは「検索行動軸」の情報とされています。オーディエンスシグナルで過去のCVユーザーや購買意向の強いオーディエンスを設定しつつ、検索テーマで実際に使われそうな検索語句を設定することで、AIは「どんな人が」「どんな言葉で探しているか」の両面から学習でき、より精度の高い最適化につながるとされています。

どちらか一方だけを設定するのではなく、この2つを組み合わせて使うことが推奨されています。

検索テーマの効果的な設定方法や、あわせて設定しておきたい除外ワードについてもっと詳しく知りたい方は、PMAXのシグナルの検索テーマを効果的に設定する方法。効果的な除外ワードの設定方法も解説もあわせてご覧ください。

 

注意点

本記事の内容は、公式ヘルプおよび複数の情報源をもとに執筆時点で確認できた内容です。オーディエンスシグナルの仕様や推奨設定は、Googleのアップデートによって変更される場合があります。実際の設定にあたっては、最新の公式情報もあわせてご確認ください。

また、オーディエンスシグナルの設定による効果は、業種やアカウントの状況によって異なります。まずは小さく設定を試し、自社の数値で効果を検証することをおすすめします。

まとめ

  • オーディエンスシグナルは、AIに「理想の顧客像」を伝えるためのヒントであり、配信を制限するものではありません。
  • 「ターゲティング(制限)」と「オーディエンスシグナル(ヒント)」の違いを理解した上で設定することが重要です。
  • オーディエンスシグナルは「どんな人か」、検索テーマは「どんな言葉で探しているか」を教えるヒントであり、組み合わせて活用することが推奨されています。

 

実際に設定すべきセグメントの優先順位や、管理画面での操作手順については、「オーディエンスシグナルの優先セグメントと設定ミス、画面付きで解説」もあわせてご覧ください。

 

二宮 圭吾
この記事の編集: 二宮 圭吾
アクセルパートナーズ代表・webコンサルタント・中小企業診断士

2010年にwebコンサルタントとして開業、2016年中小企業診断士登録。web集客や求人を中心に様々な支援を行う。独自の中小企業診断士ネットワークを運営。

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