2020年4月健康増進法改正で原則屋内禁煙!愛知県内の中小飲食店が確認しておくべき改正内容
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<![CDATA[2020年7月開催の東京オリンピックに向けて、2018年7月に健康増進法が改正されたのはみなさんもご存じのとおりかとおもいます。2020年4月より、いよいよ飲食店も原則屋内禁煙となります。
「たばこを吸わない人が望まない受動喫煙にさらされてしまう」という問題を解決するための取り組みです。この改正によって「マナーからルールへ」と変わります。そのため、守られない場合は罰則規定もあるとのこと。
オリンピック開催地の東京都は、国の法律よりもさらにきびしい規制をしているようです。
ただし、「4月1日の時点で営業している既存店」で「客席面積100㎡以下」かつ「資本金5000万円以下の小規模店」(健康増進法改正の場合)では店内の喫煙ができる例外もあり、全体の約55%とも言われています。
愛知県内ではすでに対策をされている中小飲食店の方も多いとおもいますが、2ヶ月後に控えたいま、もう一度受動喫煙の対策について考えてみたいとおもいます。
1.愛知県の喫煙者はどのくらいいるの?
JT(日本たばこ産業株式会社)の2018年「全国たばこ喫煙者率調査」によると、喫煙者率は男性27.8%、女性8.7%、男女計17.9%です。
愛知県ではどうでしょうか。
2000年(H12)から2016年(H28)の年代別の推移をみてみます。
≪県内の男性喫煙率の推移(%)≫
≪県内の女性喫煙率の推移(%)≫
この16年の間に喫煙率はどの世代もほぼ減少していることがわかります。なかでも喫煙率の最も多い世代は、男性は20歳代、女性は50歳代のようです。
2.ターゲット別のメリット・デメリット
そこで既存の中小飲食店(例外の対象となる場合)であるあなたのターゲットとしているお客さまを再確認してみましょう。
ターゲットを決めるとき、以下の手順で考えていきます。
ターゲットの設定手順
①デモグラフィック基準
➡【人口統計的】性別、年齢、家族構成、収入など
②ジオグラフィック基準
➡【地理的】気候風土、地域、人口密度など
③サイコグラフィック基準
➡【心理的】パーソナリティ、ライフスタイルなど
④行動基準
➡購買頻度、ロイヤルティ、使用率など
あなたのターゲット顧客層について、①から④の順番にこまかく決めていきます。今回は特に①デモグラフィック基準についてクローズアップします。
(「1. 愛知県の喫煙者はどのくらいいるの?」のデータ参照)
20歳代の男性(喫煙率35.4%)をターゲットにしている場合
<メリット>
・あえて「喫煙店」にすることで、20歳代男性「喫煙者」というニッチなターゲットに集中したビジネスモデルにして、売上をあげていく
<デメリット>
・喫煙専用室などを設置して「喫煙者」「非喫煙者」の両者をターゲットにすることで、設備投資のコストがかかる
40歳代の女性(4.3%)をターゲットにしている場合
<メリット>
・分煙していた場合に完全禁煙に変えることで、少しのたばこの匂いも好まなかった子ども連れのお客さまが新たに来店し、売上があがる可能性がある
<デメリット>
・分煙していた場合に完全禁煙に変えることで、一緒に来店していた喫煙者(男性)と非喫煙者(女性)のお客さまの客離れによって、売上がさがる可能性がある
この他にもさまざまなメリットとデメリットが考えられるので、どちらが良い悪いとは一概には言えません。しかし、愛知県の喫煙率の減少や受動喫煙に対する世の中の風潮などを考えると、自社のターゲット顧客層を考えなおして、新たなビジネスモデルを作るきっかけにすることもできます。
3.その他の注意点
1)設置できる喫煙室の種類
①「喫煙エリアをつくりたい」
➡喫煙専用室を設置する
喫煙専用の部屋を用意して、この部屋以外はすべて禁煙になります。飲食等の提供はできません。
②「加熱式たばこを喫煙しながら飲食できる場所をつくりたい」
➡加熱式たばこ専用喫煙室を設置する
加熱式たばこのみ喫煙できる部屋を用意して、この部屋以外はすべて禁煙にします。飲食等の提供はできます。
③「加熱式たばこを喫煙しながらの飲食と、一般のたばこの喫煙ブースも設けたい」
➡①②の両方をそなえた場所をつくることもできます。
2)義務違反時の指導・命令・罰則の適用について
改正法では、違反者には罰則の適用(過料)が課されることがあります。多くの場合は、まず指導が行われるようなので、指導された場合は改めることが必要です。
3)その他の改正ポイント
①喫煙室がある場合、標識の掲示が義務づけられます
施設内禁煙ポスターのサンプルはこちら
②20歳未満の方は従業員であっても喫煙エリアへの立ち入りが禁止となります
③従業員の受動喫煙を防止するための対策についても努力義務として設けています
4.まとめ
いよいよ本格的にスタートする「望まない受動喫煙」対策。
その賛否は、それぞれの中小飲食店で、お客さまの状況やビジネスモデルなどによって変わります。ただ、今後もビジネスを永くつづけていくためには、これを機会に自社のビジネスモデルを考えなおすチャンスになるかもしれません。
実はこの受動喫煙対策。必要な経費のうち、一定の基準を満たす経費に対して助成金による支援がありました。現在は実施まで2ヶ月をきってしまっているため、手続きが間にあわない状況です。このような助成金の情報なども提供していきたいとおもっていますので、自社に活用できるものがないか今後もチェックしてみてくださいね。
まずは受動喫煙対策について、しっかりと取り組んでいきましょう。
相談窓口としては、厚生労働省、愛知県(各都道府県)、商工会・商工会議所、社会保険労務士・中小企業診断士等の専門家、などさまざまなところがあります。
ひとりで悩まずに、まずは相談してみてくださいね。]]>
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この記事の監修
社会保険労務士・
中小企業診断士
アクセル経営社会保険労務士法人代表 今井一貴
これまで、メーカーや人材サービス企業の人事として、採用、研修、給与計算、社会保険などの様々な業務に従事してきました。採用活動ではダイレクトリクルーティングを導入するなどして、ターゲットの採用に成功したり、労務業務でデジタルツールを活用して業務の効率化を図るなどの経験があります。また、制度を設計する際には、会社と従業員の双方の立場に立って仕事をしていました。これらの経験を活かして、従業員が幸せに感じるような職場の構築を支援したいと考えています。