今注目のリスキリングとは?デジタル時代に乗り遅れないために
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今注目のリスキリングとは?デジタル時代に乗り遅れないために
「リスキリング」という言葉が近年、テレビや新聞、インターネットなどでよく見られるようになってきました。
皆さんはこの「リスキリング」という言葉がどのような事を表しているのかご存じでしょうか?
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や新型コロナ以降、リモートワークの拡大による働き方の変化など、世界中で大きな事業環境の変化が起きています。変化の中、円滑かつ継続的な事業の継続に向けて、一つのカギとなりうるキーワードが「リスキリング」となります。
2022年度において、政府だけではなく、各都道府県においても、「リスキリング」を強く推し進めています。
例えば、東京都においては、「DXリスキリング助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)」といった助成金の支給を通じて支援が始まっています。
また、東京都以外の多くの都道府県においても、「DX」や「テレワーク」「デジタル」に対する社員教育や取り組みに対する助成金支給が積極的に行われています。
アクセルパートナーズは、新しい働き方や事業環境への適応を積極的にお手伝いしております。今回は、この「リスキリング」についてわかりやすく説明していきます。
リスキリングって何?
リスキリングの言葉の意味
「リスキリング」とは、英語に変換すると「re=ふたたび」「skilling=スキルを身につける」となります。つまり、「reskilling=新しい職業や求められる能力の変化に適応するため、個々の従業員が必要なスキルを獲得する」と表されます。
この「リスキリング」という動きは、2020年「ダボス会議」にて、「2030年までに地球の人口のうち、10億人をリスキリングする」と宣言、日本においても同年、経団連「新成長戦略」において、リスキリングの必要性についての提言がなされたことを受けて、日本にも広がりを見せています。
現在、急速にロボット・RPAの導入やDXの推進が進んでいます。結果、データ入力やシステム保守など、従来の単純労働作業がロボットに置き換わっています。ロボットに置き換えられた作業の担当者が、新しいデジタルのスキルがなければ、その担当者は業務のない「余剰人員」となってしまいます。結果、非効率な事業運営を余儀なくされます。
そのような「余剰人員」に対して、企業が主体となって、デジタルやコンピュータに関する知識を習得させることで、社内の人材の積極的活用を進め、業務効率の向上、良質なサービスの提供へと繋げてゆく必要が急務になっているのです。
・リカレントとの違い
新しいスキルを身につけるといった点では、従来、「リカレント」という言葉がよく用いられてきました。「リカレント」は、自ら大学へ入りなおすなど、従業員が主体となって、従来とは異なるスキルや知識を身につけることに主眼が置かれています。一方、「リスキリング」は企業が主体となって従業員に新しいスキルを身につけてもらう点で異なっています。
なぜ今、リスキリングが求められるのか?
リスキリングが求められる3つのキーワード
それでは、なぜ今、「リスキリング」が求められているのでしょうか?
3つのキーワードをもとに説明します。
・ロボット化・デジタル化の増加
RPAやデジタル化の推進に伴い、社内の単純労働作業を処理する人材の余剰が発生してきます。RPAやデジタル化により効率的な運営を進める中、余剰な人材の増加は、人件費の増加など費用対効果に見合わないコスト増に繋がります。
・DXの推進
世界中でDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が進んでいます。社内業務やサービスの提供がデジタルに移行する中で、今後より高品質なサービスの提供や業務効率の向上を目指すために、デジタルスキルのある人材がより必要となってきます。
・リモートワークの増加
新型コロナ以降、「B to B」、「B to C」いずれの活動においても、リモートワークが広がっています。
総務省情報通信白書において、2021年3月においては、日本企業の約40%の企業がリモートワークを実施していると報告しています。リモートワークはオンラインにおける活動となります。その点、デジタルのスキルがないと効率的な作業や対応は非常に困難となります。
このように、「リスキリング」は、現在の事業を取り巻く環境の変化の要請を受けて求められているのです。
リスキリングに期待されていること
社内で「リスキリング」を進めるとどのようなメリットがあるのか?
その点についてご説明します。
事業効率化の推進と新規事業創造
「リスキリング」を進めることで、余剰人員の再活用が出来るようになります。そして、新しいデジタルスキルを身につけた人材が社内に増加することで、従来とは異なるアイデア創造の機会ともなります。結果、新しい事業への展開も期待できます。
また、単純労働作業のロボット化による効率化と社内人材のデジタルスキル活用により、残業代の削減など、コスト削減にも繋がります。
既存の事業とのシナジー効果
社内にデジタルスキルを身につけた人材を増やすことが出来れば、社外への業務・人材発注ではなく、社内の人材を活用する事ができます。社内人材を活用する事で、従来の企業文化や経験値の蓄積を活かしつつ、デジタル化を進めることが可能となります。
その結果、既存の事業領域とのシナジー効果も期待され、企業独自の成長戦略を描くことができるようになります。
従業員の雇用延長に対応
個々の従業員にとっても非常に大切な取り組みとなります。
ご存じの方も多いと思いますが、2016年に発刊された「ライフシフト」(リンダグラットン著)において、今後世界中で長寿化が急激に進行する。2007年に生まれた2人に1人は100歳を超えて生きる「人生100年時代」が提言されました。
従来の20年間の学生生活から40年間の仕事生活、その後20年間の余暇生活といったライフプラン・キャリアプランからの脱却が個々に求められる時代になっていきます。キャリアチェンジを行う中でデジタル化へ対応出来る人材となることは自らの選択肢を増やすことに繋がります。
また、年金の支給開始年齢も、今後より引き上げられる可能性も高くなっています。より長く働けるスキルであるデジタルスキルを身につけることは、従業員にとっても非常に有益なのです。
リスキリングが進まない場合のリスク
もし、「リスキリング」が進まない場合においては、以下のようなリスクが発生します。
・賃金コストの上昇
2030年には、日本の人口の3分の1が65歳以上の高齢者となり、少子高齢化の波はまだまだ続きます。20~60歳の人の割合は、今後より少なくなってきます。
2018年には、政府の「モデル就業規則」が改訂され、副業・兼業の広がりも見せています。また、ジョブ型雇用の流れを受けての転職市場も活況です。
そのような雇用採用環境の中で、新しい時代にマッチしたデジタルに対応できる人材を新規採用することは、今後より困難となってくることが予想されます。
それは、採用コストの増加、賃金の高騰などのコスト増加による経営の圧迫要因へと繋がります。
・ワークライフバランスの停滞
従業員にとっても、キャリアチェンジの機会を得ることができず、結果、定年による雇用の終了や雇用形態変化に伴う賃金低下へ繋がります。
結果、従業員本人や家族のライフプランの変更が余儀なくされてしまいます。また、やりがいのあるキャリアプランの設計が出来なくなるなど、ワークライフバランスの停滞が発生します。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「リスキリング」の必要性は、今後デジタル化推進の流れ、働き方、雇用環境の変化に対応していくために欠かすことができないキーワードとなります。
「リスキリング」の遅れは、デジタル化に乗り遅れることとなります。その遅れは事業活動の停滞へ直結します。
一方、「リスキリング」が成功した場合には、企業にとっては事業の更なる効率化と新規事業創造、従業員にとっても新しいキャリア形成を通じたやりがいや生きがいの創出へと繋がります。
制度を積極的に活用し、スピード感を持った人材教育・人材育成を行うことをおすすめします。
「リスキリング」の推進にあたり、ご質問やご相談などありましたら、アクセルパートナーズまでお気軽にご相談ください。
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この記事の監修
社会保険労務士・
中小企業診断士
アクセル経営社会保険労務士法人代表 今井一貴
これまで、メーカーや人材サービス企業の人事として、採用、研修、給与計算、社会保険などの様々な業務に従事してきました。採用活動ではダイレクトリクルーティングを導入するなどして、ターゲットの採用に成功したり、労務業務でデジタルツールを活用して業務の効率化を図るなどの経験があります。また、制度を設計する際には、会社と従業員の双方の立場に立って仕事をしていました。これらの経験を活かして、従業員が幸せに感じるような職場の構築を支援したいと考えています。