中小企業診断士の強みって何?診断士資格は使えない?5年経ってやっとわかったこと
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中小企業診断士の「普遍的な強み」は何か
――ゼネラリストが“強み迷子”にならないための視点

中小企業診断士は、一次試験7科目と二次試験4事例を通じて、経営全般の知識・思考を鍛える設計になっています。
言い換えれば、非常に「ゼネラリスト体質」の資格です。
一方で、このゼネラリスト性ゆえに、資格取得後に「自分の強みが分からない」「何を武器にすればいいのか迷う」という“強み迷子”に陥る方が少なくありません。
私自身、診断士として5年ほど活動し、多くの診断士と話す中で、この悩みを繰り返し耳にしてきました。
では、中小企業診断士の普遍的な強みとは何なのでしょうか。
経営経験がないことは「弱み」になり得る
診断士が経営者と向き合う際、しばしば突き当たるのが「経営をしたことがない」という論点です。
もちろん、経営経験がなくても優れたコンサルタントになることは可能です。
ただし、経営者の立場から見れば「経営経験があるかどうか」は分かりやすい比較軸であり、少なくともそれ自体が“強み”とは言いにくい。
診断士が自分の価値を定義しようとした時、この点がモヤモヤとして残り、強み探しを難しくしている面は否定できません。
私が辿り着いた結論:診断士の強みは「人材マネジメント能力」
いろいろな診断士を見てきた中で、最近ようやく腑に落ちた整理があります。
それは 「中小企業診断士には、人材マネジメント能力が高い人が多い」 ということです。
診断士は、他資格と比べて「中間管理職経験者」が圧倒的に多い印象があります。20代・30代を正社員として積み上げ、マネジメントやプロジェクト推進を担い、後輩育成も経験してきた方が多い。
さらに、コミュニケーション能力が高く、全体を俯瞰して動ける“優しいゼネラリスト”が多いのも特徴です。
この「人を動かし、組織を回し、プロジェクトを前に進める力」は、診断士の強みとしてもっと誇ってよいと考えています。
ただし独立すると、その強みが薄れやすい
問題はここからです。
独立は「一人で立つ」と書きます。
つまり独立した瞬間、これまで組織の中で発揮してきた人材マネジメント能力(部下育成、チーム運営、プロジェクト推進)が、活用しづらくなるケースが出てきます。
結果として、
- 組織では活躍できていたのに
- 一人になった途端に武器が見えなくなり
- 「社長の伴走支援」を目指すほど、経営経験の壁が気になってくる
という状態が起こりやすい。これが、独立後の“強み迷子”につながっていると感じています。
視点を変える:「経営者の伴走」だけが市場ではない
ここで提案したいのが、支援対象の再設計です。
私はWebコンサルタントとしての仕事もしていますが、実務では「社長」だけでなく、中堅クラスのエース社員や次世代幹部候補と一緒に動く機会が非常に多いです。
彼らの教育・育成、プロジェクト推進、組織づくりに関わる場面は多く、ここには実は大きな市場があります。
そしてこの領域こそ、診断士が持つ「人材マネジメント能力」が最も活きる場所だと考えています。
幹部育成は、価値提供のインパクトが大きい
誤解のないように言うと、単に「単価が高い」という話ではありません。
より正確には、顧客の利益に対する貢献インパクトが大きくなりやすい ということです。
経営者の意思決定支援は重要ですが、診断士が“経営経験なし”の状態から短期間で大きな成果を出し続けるのは簡単ではありません。
一方で、次世代幹部の育成・中堅層の強化は、組織の生産性や定着、実行力に直結します。ここに貢献できれば、企業にとっての価値は大きく、診断士の強みも自然に評価されやすくなります。
実際、私自身も「顧問として社長の伴走を」という提案は、状況によっては「今は足りている」と感じることがあります。
しかし「社員を幹部に育てる」「組織として強くする」提案を具体的な企画に落として持ってきてくれるなら、それは十分に“お願いしたい支援”になります。
独立以外にも、強みを活かすキャリアはある
ここまでの話は「独立を否定する」ものではありません。
ただし、診断士が強みを活かす道は独立だけではありません。
例えば、
- 中小企業のナンバー2として経営を支える
- M&Aや新規事業で子会社社長を担う
- 取締役・幹部として組織を率いる
- 新規プロジェクトのリーダーを担う
こうした役割もまた、人材マネジメント能力を存分に発揮できる場所です。
独立は「社長になれる」手段としては簡単になりましたが、「活躍できる社長」であることには別の価値があります。だからこそ、独立だけを唯一のゴールにせず、強みが最大化されるポジションを選ぶ視点が重要です。
まとめ:診断士は「人を動かす力」を誇っていい
中小企業診断士はゼネラリストだからこそ、強みを言語化しづらい。
しかし、多くの診断士に共通する普遍的な強みとして、私は 「人材マネジメント能力」 を挙げたいと思います。
もしあなたが、これまで中間管理職として人を育て、組織を動かし、プロジェクトを前に進めてきたなら、その経験は、診断士としての武器になります。
そしてその武器は、「社長の伴走支援」に限らず、次世代幹部育成や組織強化といった領域で、より大きく活きる可能性があります。
診断士としての自分の価値を定義する際、ぜひ一度「人を動かす力」という原点に立ち返ってみてください。
詳細については以下の動画をご参照ください

