中小企業診断士に求められる経営企画支援的なお仕事

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今日は「中小企業診断士が本当に現場で求められる役割」について考えてみたいと思います。

あらゆるBtoBの仕事は社内でやりきれないことを提供するもの

私たちが行うB2Bコンサルティングというのは、会社の中でやりきれない部分や、外部に出した方が効果的な領域を支援する仕事です。
つまり、社内に存在しない機能を外部から提供するという立ち位置です。
たとえば、経理を担う税理士さんや人事をサポートする社労士さんも、まさにそうした外部パートナーですよね。

中小企業診断士は社長の伴走パートナーといった表現をされることがありますが、それは税理士や社会保険労務士も同じです。

”伴走パートナー”という言葉自体に機能はありませんのでそこに社内のどのセクションを担うパートナーなのか考えないとただ隣で走っているだけの人になってしまいます。

何を担う伴走パートナーなのかを定義する必要があります。

その中で中小企業診断士は会社のどのような機能をサポートする職業なのかというと、私は「社外経営企画」と考えます。

経営企画機能のない会社ほど、診断士が必要とされる

多くの中小企業では、社長が営業・採用・経理・現場管理と、多くの役割を一人で担っています。
しかし、社員が20〜30人を超えてくると、すべてを社長一人で見切るのは難しくなります。
そこで必要になるのが「経営企画機能」です。

経営企画というと社員50人以上くらいの会社になって初めて作られる会社が多いと思います。

財務や人事、ITなどの高度な知識を持ちながら経営者の側ででマジメントに携わるような管理部門の担当者は中小企業ではなかなか採用も社内登用も難しいです。

そのため、社長が兼務していたりすることも多いですが、診断士がその部分を社外経営企画として引き受けることで、社長は本来の経営や戦略に集中できます。

社外経営企画として果たす役割

  • 社内に不足している管理機能や調整機能のサポート
  • 採用、人事制度、評価設計などの仕組みづくり
  • 補助金や法改正への対応支援
  • 社長の意図を正しく現場に伝える「翻訳者」的役割

このように、診断士が担うのは経営者へのアドバイスではなく、実行の現場に寄り添う経営企画と考えると中小企業診断士の仕事がよりわかりやすくなると思います。

多くの中小企業診断士は管理職の正社員出身が多く、試験範囲も経営者の仕事を手伝うというよりも中小企業経営者が兼務している経営企画業務で活躍できることが多いです。

社長の負担を軽くし、組織の管理部門を整えることで企業は成長することができますが、逆にここを全て社長が兼務していると組織が安定せずに離職や停滞につながることもあります。

「社長の隣」ではなく「少し後ろ」から支える

多くの中小企業診断士は経営のアドバイスと言われると抵抗がありますしハードルが高いです。また経営者の多くが経営のアドバイスを求めるメンター的な役割は社員を雇う同じ経営者の先輩であることが多いです。

中小企業診断士は隣でアドバイスをするというより経営者の一歩後ろで経営企画的な役割を担うことでより力を発揮できます。

特に成長過程では直接部門・営業部門にリソースを割いていくため、どうしても間接部門が手薄になります。

その時に経営企画業務を担ってくれる外部支援者がいると大きな力になります。

成長企業で求められる「管理機能の内製化」

前述のように、企業が成長していくと、次第に人事・経理・情報システムといった管理部門が社内で必要になります。
しかし新設部門は「一人で全部やる」状態が多く、属人化しやすい。
このとき外部の診断士が伴走すれば、制度や仕組みを整える“立ち上げのメンター”として大きな価値を発揮できます。

50名規模を超える企業になると、管理部門の成熟度が会社の成長スピードを左右します。
そこで外部専門家の知見を活かして内製化を行うことで、組織の中長期的な安定につながります。

大企業出身の診断士が特に活躍できる理由

大企業や中堅企業で管理職や企画職を経験された方は、中小企業の経営企画支援で特に活躍できます。
中小企業ではまだ整備されていない管理機能を、自身の経験をもとに“仕組み化”できるからです。
また、企業規模が大きくなるほど求められる支援の深さも増し、それに伴って報酬単価も高まる傾向があります。

まとめ

中小企業診断士になると社長へのアドバイスや経営コンサルティングをすることを志向しなくてはいけないと考えるかもしれませんが、経営支援にはいろいろなポジションがあり、その中でも中小企業診断士は社外経営企画というポジションで高度な管理機能を外部支援する存在と考えると学んできた知識や培ってきたキャリアとの親和性が高く、活かせるはずです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
経営に悩む社長や、支える診断士の皆さんにとって、この考え方が少しでもヒントになれば嬉しいです。


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