【令和7年度補正予算成立】 補助金はどう変わる? 中小企業向け施策の全体像まとめ

2025年12月16日、衆参両議院での審議を経て令和7年度の補正予算案が政府案のとおりに成立しました。
一般会計では18.3兆円が計上され、コロナ渦後の補正予算としては最大規模となります。
各省庁が公開している情報をもとに、補助金を中心とした中小企業向け施策の全体像をまとめました。
補正予算とは
補正予算について解説します。
当初予算と補正予算
国家予算には大きく「当初予算」と「補正予算」の2種類があります。
当初予算とは、4月から始まる会計年度に向けて編成する基本となる予算です。
各省庁の事業計画をもとに、歳入・歳出の全体像を事前に整理し、原則として年度開始前に国会で議決されます。
一方で補正予算とは、当初予算編成時に想定できなかった自体や、年度途中の経済情勢・災害・物価変動などに対応するため、当初予算を追加・修正する目的で編成されます。
近年は当初予算と補正予算が一体として運営される傾向にあり、令和8年度は「令和7年度の補正予算」と「令和8年度の当初予算」を裏付けとする施策・制度が並行施行されます。
令和7年度の補正予算総額
11月28日閣議決定された経済対策では、既に成立しているガソリン暫定税率の廃止と基礎控除引き上げによる減税2.7兆円を加えて、21.3兆円の予算規模が示されました。
その裏付けとなる、令和7年度の補正予算総額は一般会計で18.3兆円となりました。
内訳は、経済対策として17.7兆円、その他経費が0.6兆円となります。
中小企業・小規模事業者等関連予算の総額は8,364億円となり、既存基金の活用を含めると1兆円を上回る規模の予算となっています。
令和7年度補正予算における中小企業向け施策
令和7年度補正予算における中小企業向けの施策を補助金を中心として説明します。
【参考にした省庁のサイト】
中小企業庁「令和7年度補正予算案の事業概要(PR資料)」
中小企業庁「令和7年度補正予算案(中小企業・小規模事業者等関連予算)」
中堅等大規模成長投資補助金(4,121億円)

中堅・中小企業が大規模投資により人手不足等の課題に対応し、地方の持続的な賃上げ促進を目的とした補助金事業です。
昨年度は「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」として、総額3,000億円で補正予算が組まれていたので、+約1,100億円ほど規模が大きくなっています。
事業スキームについては昨年から変わっていません。
中小企業生産性革命推進事業(3,400億円)

中小企業・小規模事業者の「稼ぐ力」を抜本的に強化し、持続的に賃上げすることを目指した補助金事業です。
昨年も同じ事業名称で、事業スキームも変わりません。
ただし昨年明記されていた「ものづくり補助金」の記載が無くなっています。
こちらは別枠で施行されるものと推定すると、それ以外に残された以下の補助金については実質的に規模が拡大するものと想定されます。
- 中小企業成長加速化補助金
- デジタル化・AI導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 事業承継・M&A補助金
特にIT導入補助金から名称が変わると思われる「デジタル化・AI導入補助金」については制度面・予算規模面で今後の動向が注視されます。
革新的製品開発や新事業進出支援(既存基金の活用1200億円規模)
こちらは令和7年度の補正予算ではなく既存基金の活用となります。
中小企業等の革新的製品・サービス開発や海外を含む新市場への進出等に係る設備投資等を支援します。
恐らく従来の「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」はこちらの事業で実施されるものと想定されます。
なお「ものづくり補助金」「新事業進出補助金」の2026年度の予測については以下の記事もご参照ください。
令和7年度補正予算を読み解く! ものづくり補助金は継続されるのか?
新事業進出補助金は2026年も続く?事業再構築補助金との違いと採択傾向を解説
省力化投資支援(既存基金の活用1800億円規模)
こちらも令和7年度の補正予算ではなく既存基金の活用となります。
従業員規模毎の補助上限額の見直しなど、業種別の「省力化投資促進プラン」を踏まえた省力化投資の推進を支援します。
補助金以外の支援事業
補助金以外の支援事業としては以下があります。
- 事業環境変化対応型支援事業(148億円)
- 中小企業活性化・事業承継総合支援事業(74億円)
- 認定支援機関による経営改善計画策定支援補助金(101億円)
- 中小企業取引対策事業(7.6億円)
- 中小企業信用補完制度関連補助事業(152億円)
- 地方公共団体による小規模事業者支援推進事業(53億円)
- なりわい再建支援事業(令和6年能登半島地震等)(250億円)
- なりわい再建資金利子補給事業(令和6年能登半島地震等)(0.7億円)
- 中小企業等グループ補助金(令和3年、令和4年福島県沖地震)(5.9億円)
- なりわい再建支援事業(令和2年7月豪雨)(9.9億円)
- なりわい再建資金利子補給事業(令和2年7月豪雨)(0.1億円)
- 地域商業機能複合化推進事業(被災商店街等再建支援事業)(1.0億円)
- 日本政策金融公庫による資金繰り支援(40億円)
今後の流れ
今後の流れについて説明します。
補助金の公募要領公開・公募の開始
補正予算が成立したので、これから各省庁で制度設計の具体化がされていきます。
多くの補助金では来年1~3月頃に公募要領が公開されて具体的な制度の中身が分かります。
さらに1ヶ月ほどして公募が開始されますが、制度の中身を早めにとらえて、可能な限り準備を進めておくことが重要です。
令和8年度当初予算と税制改正大綱について
令和8年度当初予算と税制改正大綱も大詰めとなっています。
間もなく(12月中旬)与党税制改正大綱が公開され、その翌週には政府案の税制改正大綱と当初予算が閣議決定されます。
来年1月から始まる通常国会ではそれらの審議を重ねることが重要な役割となります。
補正予算・当初予算・税制の3つセットで理解すると支援策の全体像がとらえられますので、それらの動向も注視する必要があります。
まとめ
2025年12月16日に成立した令和7年の補正予算案について解説しました。
各省庁が公開している情報から、今後の補助金等の支援の流れはある程度読むことが出来ますので、事前に準備を進めておくことが肝要です。
今後も補助金の詳細や、当初予算・税制改正についての更新情報が分かり次第、解説をしていきます。


