【保存版】ものづくり補助金の減額理由と防ぐ方法|交付申請・実績報告で必ず確認すべき5つのポイント
令和7年度のものづくり補助金は、2026年1月30日に最終締切を迎えます。
無事、採択されたとしても安心はできません。
交付申請や実績報告の進め方によっては、本来受け取れるはずの補助金が減額されてしまうケースが多く発生しています。
減額理由として多いのは、
- 補助事業期間の誤認
- 見積書・注文書・請求書・納品書の不整合
- 支払方法・証憑管理の不備
- 申請内容とのズレ
- 補助率・上限額の認識違い
といった、“知らなかった” ために起こるミスが中心です。
この記事では、ものづくり補助金の交付申請・実績報告で減額されないために押さえておくべき5つのポイントをわかりやすく解説します。
なぜ補助事業期間を守らないと減額されるのか? ものづくり補助金の必須ルール
補助金の減額で最も多いトラブルの一つが、「いつからいつまでの経費が補助対象になるのか」という基本ルールを知らないまま進めてしまうことです。
補助金は、定められた期間内に注文・納品・支払がすべて完了しているかどうかで補助対象経費が判断されます。
Q. 採択されたら、すぐに事業を開始してよい?
▶︎ A. 補助金が採択されてからすぐに事業を始められるわけではありません。
採択後2か月以内に見積書や経費の詳細などの書類とともに交付申請をして、「交付決定通知書」が出たらようやく事業を開始できます。
Q. 補助事業実施期間はどうやって決まる?
▶︎ A. 補助事業実施期間は「交付決定日から12か月(ただし採択発表日から14か月後の日まで)」と定められています。
ものづくり補助金22次締切公募の場合、
- 2026年4月下旬ごろに採択発表
- 2026年6月下旬ごろまでに交付申請・交付決定
- 遅くとも2026年6月下旬ごろまでが事業実施期限
となる見込みです。
交付申請が遅れると、その分事業実施期間が短くなります。機械設備が予定どおり納品できなかったり、それにより予定通りの事業ができなくなることもあるので注意が必要です。
※ものづくり補助金のスケジュール

(22次ものづくり補助金公募要領より)
Q. なぜ期間内に「注文・納品・支払」をすべて済ませる必要がある?
▶︎ A. 期間外にずれた経費は、補助対象外(=減額)になるためです。
補助事業実施期間内に、補助事業にかかるすべての
- 注文(契約)
- 納品(検収)
- 支払(銀行振込)
が終わっている必要があります。
期間前に注文したものや、期間後に支払が終わったものなどは補助対象経費として認められません。
書類の日付が1つでもズレると補助対象外に? 見積・注文・請求・納品書の正しい揃え方
補助金の実績報告では、見積書 → 注文書 → 請求書 → 納品書の内容と日付がすべて一致しているかが厳しくチェックされます。
ここで不整合があると、該当経費が補助対象外となり、最終的に減額されることがあります。
Q. 見積書は同じものを使いまわして大丈夫?
▶︎ A. 交付申請時点、発注時点で有効な見積書が必要です。
交付申請時、注文時に見積有効期限が切れている場合は、再度取得します。
補助対象として必要な品目のみ、具体的に記載してもらいます。PCなど汎用性の高い物品は対象経費として認められにくいため注意が必要です。
単価50万円以上(税抜)の経費は相見積もりが必須です。相見積が取れない場合は「業者選定理由書」を提出します。
Q. 発注書(注文書)は必ず必要?
▶︎ A. 発注の際は必ず注文書を発行してください。
注文書の発行日は補助事業開始日(交付決定日)以降で、かつ見積書の有効期限内になっていることを確認します。
外注費の場合は委託契約書を締結します。
Q. 請求書の金額が見積金額より下がる分には問題ない?
▶︎ A. 基本的には見積書と完全に一致する請求書を入手します。
購入する機械設備や経費配分などに変更が生じた場合は「補助事業計画変更承認申請書」を事務局に提出し、承認を受ける必要があります。
請求段階で値引きが入ったり、オプションが追加されたりして金額に変更がある場合は、必ず事務局に相談してください。
Q. 納品書の内容が見積書や注文書と違っていたらどうなる?
▶︎ A. 見積書・注文書と一致していない部分は補助対象外となり、減額の原因になります。
納入物品の詳細や見積金額は見積書・注文書と一致している必要があります。
これに加えて、
- 納品先は「補助事業実施場所」になっているか
- 納品日は「事業期間内」になっているか
- 納品書に受取日と受領者のサインがあるか
もチェックされます。
支払方法と経理書類の管理を間違えると減額に。よくあるミスと防ぎ方
補助金で最も多い減額理由のひとつが、支払日や支払方法のルールを知らずに進めてしまうことです。
Q. 支払ではどんな点に気をつければいい??
▶︎ A. 事業期間内に支払を完了することと、証憑書類を確実に残すことが最重要です。
前述の通り、事業期間の開始前または終了後の支払は補助対象外となり、減額の原因となります。
経理証拠書類(証憑類)は原本が必要になるので、確実に保存しておくようにしてください。
Q. 現金・クレジットカード払いは認められる?
▶︎ A. 支払は原則、銀行振込です。
支払は、事業者名義の銀行口座から発注先への銀行振込で実績を確認します。
支払証拠書類として、銀行振込明細、通帳の写し、インターネットバンキングの支払履歴などがチェックされます。インターネットバンキングの画面は後から取得できない場合もあるので、支払時に必ずPDF保存しておくのがおすすめです。
10万円未満の小額の物品等を現金・クレジットカードで払うことはできますが、事前に事務局に相談する必要があります。
Q. 同じ取引先への支払いが複数ある場合、まとめて振り込んでもいい?
▶︎ A. 助金対象分だけを“個別で振込”することを強く推奨します。
請求書の内訳と振込額が一致しないと、補助対象額の証明が難しくなります。同じ取引先への支払が複数ある場合でも、補助対象の経費だけを単独で振り込む方が安全です。
計画と実施内容のズレに注意。申請どおりに補助事業を進めないと減額に
ものづくり補助金では、「申請書に書いた計画」と「実際の実施内容」の一致が最重要ポイント です。計画から外れる可能性が出た時は、小さな変更でも必ず事務局へ事前相談することが、減額を防ぐもっとも確実な方法です。
Q. 導入した設備・システムが申請書と少し違っていても大丈夫?
▶︎ A. 購入する機械設備・システムに変更が生じた場合、事前に承認を得ないと補助金が支給されない恐れがあります。
ものづくり補助金は「計画どおりの設備・システム導入」を前提に交付されます。
機械の性能・台数・仕様、システムの機能、委託する業務の内容に変更があったのに変更承認を得ずにそのまま実施すると、対象外として減額される恐れがあります。
Q. 設備の納品がギリギリで、それを使った開発や検証が完了しなかった場合はどうなる?
▶︎ A. 事業計画の成果が説明できない場合や、事業が未実施と見なされる場合は減額される可能性があります。
設備の導入と支払いが事業期間内に完了していれば、形式的には要件を満たします。「補助事業の手引き」にも“機械装置・システムの導入時期については、期限は設けません”とあります。
ただし「申請書で示した取り組みがどこまで進んだか」「なぜ完了しなかったのか」「導入によってどんな効果が期待できる状態になっているか」などを説明できないと「計画の実施が不十分」と判断され、減額につながることがあります。
補助率・上限額は変わる可能性あり。申請後の「従業員数」や「賃上げ」が影響
補助率や補助上限額は「申請時のまま固定」ではありません。
従業員数の変動や賃上げの達成状況によって変わるため、採択後も定期的に見直すことが減額防止のポイントです。
Q. 補助事業の途中で、自社の補助率が変わってしまうことはある?
▶︎ A. 具体的には、従業員数の変動などにより「小規模事業者」の要件から外れると、補助率が下がる可能性があります。
ものづくり補助金は事業者区分により補助率が異なります。
- 中小企業:1/2
- 小規模事業者:2/3
小規模事業者に該当するかどうかは、常時使用する従業員数で判断します(業種ごとに基準があります)。採択〜交付申請、また交付決定〜補助事業完了日の間に従業員数が増えて小規模事業者の定義から外れてしまった場合や、書類に不備があった場合、補助率が2/3から1/2に変更されます。
※ 小規模事業者の定義

(22次ものづくり補助金公募要領より)
Q. 補助率だけでなく、上限額が変わることもある?
▶︎ A. ものづくり補助金では従業員規模別の補助上限額が決まっています。従業員数が減ったり、書類の不整合があると補助金の引き下げとなる場合があります。
また、「大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例」を申請していても、申告内容に不整合がある場合は、特例の適用がなくなる場合があります。
※ 製品・サービス高付加価値化枠(通常枠)の補助上限額
| 従業員数 | 補助上限額(補助下限額:100万円) | 大規模賃上げ特例による引上げ額の上限 |
| 1~5人 | 750万円 | +100万円 |
| 6~20人 | 1,000万円 | +250万円 |
| 21~50人 | 1,500万円 | +1,000万円 |
| 51人以上 | 2,500万円 | +1,000万円 |
(22次ものづくり補助金公募要領より)
まとめ
この記事では、ものづくり補助金の交付申請・実績報告で減額されないための以下の5つのポイントを解説しました。
- 補助事業の開始日と終了日を厳守する
- 見積書・注文書・請求書・納品書の整合性を確認する
- 支払方法・証憑管理のミスを防ぐ
- 申請どおり補助事業を実施する
- 自社の補助率・上限額に変更がないか確認する
ものづくり補助金は、採択後の運用によって最終的な交付額が変わる制度です。
少しの認識違いや書類の不備が、減額や不交付につながるケースも決して珍しくありません。
こうしたリスクを避け、自社の投資を最大化するためには、申請だけでなく 交付申請・事業実施・実績報告まで一貫して支援できる専門家 の伴走が大きな力になります。
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