デジタル化・AI導入補助金の審査で有利に!加点項目「健康経営優良法人」の取得メリットと要件
デジタル化・AI導入補助金とは?加点項目の重要性と採択向上のカギ
2026年度より、これまで多くの中小企業に活用されてきたIT導入補助金が、「デジタル化・AI導入補助金」へと名称を刷新されました。単なるシステムの導入にとどまらず、AIツール等を活用した抜本的な業務の代替・生産性向上が国策として重視されるフェーズに入っています。
デジタル化・AI導入補助金において審査を有利に進めるためには、加点項目の確実な取得が不可欠です。採択率37.75%(※)という激戦の中で、加点項目は事業者が能動的に採択率を上げられる唯一の手段と言っても過言ではありません。1点でも多く加点を取ることが、結果的に採択か不採択かを分ける最大のカギとなります。
※IT導入補助金2025(通常枠)の採択率より
| 公募回 | 申請数 | 交付決定数 | 採択率 |
| 1次締切分 | 2,979 | 1,511 | 50.72% |
| 2次締切分 | 3,516 | 1,447 | 41.15% |
| 3次締切分 | 3,856 | 1,174 | 30.45% |
| 4次締切分 | 2,742 | 935 | 34.10% |
| 5次締切分 | 2,976 | 1,103 | 37.06% |
| 6次締切分 | 2,624 | 931 | 35.48% |
| 7次締切分 | 2,456 | 930 | 37.87% |
| 9次締切分 | 2,523 | 905 | 35.87% |
| 合計 | 23,672 | 8,936 | 37.75% |
デジタル化・AI導入補助金の加点項目
デジタル化・AI導入補助金では、国の様々な政策目標に合致した企業に対して加点が付与されます。
(参考資料:https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_addition_list.pdf)

代表的な加点項目としては、以下のようなものが挙げられます。
– 賃上げの事業計画の策定、従業員への表明、事業計画の達成
– くるみん・えるぼし認定
– 省力化ナビへの登録
– サイバーセキュリティ対策(SECURITY ACTIONの宣言)
– 健康経営優良法人の認定取得
多様な加点項目が存在する中、本コラムでは、「健康経営優良法人」にフォーカスし、その詳細と取得方法について解説します。
「健康経営優良法人」とは?制度の概要と目的
従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することを「健康経営」と言います。健康経営優良法人とは、特に優良な健康経営を実践している企業を顕彰する制度です。経済産業省が制度設計し、日本健康会議が認定を行っています。
少子高齢化による人手不足が深刻化する中、「従業員が心身ともに健康で長く働ける環境」を整備している企業に対し、国がお墨付きを与えるというものです。本制度には「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」があり、中小企業はハードルが考慮された後者の部門で認定を目指すことになります。
健康経営優良法人の取得方法と申請スケジュール(2027年度予測)
中小規模法人部門における健康経営優良法人の取得は、大規模法人のように複雑で膨大な調査票に回答する必要はなく、的を絞った手順で進められます。
健康経営優良法人の取得のための3ステップ
| 1.「健康宣言」の実施 | 自社が加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合など)の「健康宣言事業」に参加し、社内外へ取り組み方針を発信します。 |
| 2. 評価項目に基づく取り組みの実施 | 健康診断の実施(受診率100%)、受動喫煙対策、メンタルヘルス対策など、必須項目と任意項目(自社の課題に合わせて選択)を実務として行います。 |
| 3. 認定申請書の提出 | 申請期間内に「ACTION!健康経営」ポータルサイトなど専用システムを通じて、実施状況の報告や証拠書類を添えて申請します。 |
「2026認定」の実績と「2027認定」に向けたスケジュール予測
直近の「健康経営優良法人2026」のスケジュールは以下の通りでした。
- 申請期間:2025年8月18日(月) ~ 2025年10月17日(金)
- 認定発表:2026年3月9日
2026年3月に発表が終わっているため、今から「2026」を新規取得することはできません。しかし、この実績をベースにすると、次回の「健康経営優良法人2027」の申請期間は【2026年8月中旬〜10月中旬】となり、認定発表は【2027年3月上旬】となる可能性が極めて濃厚です。
来年度(2027年度)のデジタル化・AI導入補助金でも継続して加点項目になると考えられます。加点を得るためには、本年の申請に向けて、計画的な「健康宣言」への参加や社内の現状分析を実施していく必要があります。
補助金加点にとどまらない健康経営優良法人の取得メリット
認定取得には一定の手間と期間がかかりますが、デジタル化・AI導入補助金の加点以上に、企業経営にもたらす長期的なメリットが存在します。
1. 他の補助金・支援制度への「横展開」が可能
健康経営優良法人の認定は、一度取得すれば他の多くの公的支援制度でも加点要素として活用できます。例えば、「新事業進出補助金」や「省力化投資補助金」などの大型補助金での審査加点をはじめ、日本政策金融公庫などでの優遇金利制度、地方自治体独自の支援策の対象になるなど、資金調達の様々な場面で有利に働きます。
2. 人材採用と定着において劇的に有利になる
現代の求職者(特に20代〜30代の若年層)は、企業選びにおいて「働きやすさ」や「労働環境の客観的な安全性」を非常に重視します。求人票や自社のコーポレートサイトに「健康経営優良法人認定マーク」を掲載することで、ブラック企業を避けたい求職者に対して圧倒的な安心感を与えることができます。結果として、採用応募数の増加、内定の辞退率低下、そして既存社員の離職防止に直接的な効果を発揮します。
よくある質問(FAQ)
Q. 従業員数名程度の小さな会社でも取得できますか?
A. はい、可能です。中小規模法人部門は、従業員数が少なくとも申請できる設計になっています。大企業向けの複雑なシステム導入などは求められず、あくまで自社の規模に合わせた「健康への配慮」が評価されます。
Q. 認定申請に費用はかかりますか?
A. 健康経営優良法人の中小規模法人部門の認定申請における申請料は15,000円(+税)です(2026年認定までの時点)。ただし、社内でストレスチェックを実施したり、外部の健康管理サービスを導入したりといった「取り組みそのもの」には費用が発生する場合があります。
Q. 健康宣言をしていなくても、いきなり申請できますか?
A. 基本的にはできません。申請の要件として、所属する保険者(協会けんぽ等)の「健康宣言」に参加していることが必須条件となっています。そのため、思い立った直後の駆け込み申請は難しく、計画的なスケジュール管理が必要です。
まとめ
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)は年々ハードルが上がっていますが、自社でコントロール可能な「加点項目」をしっかり押さえておくことがポイントです。
- 健康優良法人認定で採択に一歩リード
健康経営優良法人認定の取得は、審査において大きなアドバンテージとなります。自社の努力次第で確実に評価を積み上げられる、非常に有効な対策です。 - 2027認定へ、今から無理のない準備を
健康経営優良法人の次回申請(8月〜10月予想)に向けて、まずは「健康宣言」から始めましょう。直前に慌てないよう、今からゆとりを持って進めるのが成功のコツです。 - 加点の先にある「人材に選ばれる会社」へ
健康経営優良法人認定は、加点による補助金の採択率アップはもちろん、採用力の強化や離職防止といった、経営を根底から支える「うれしい変化」が期待できます。
業務効率化と、健康経営による環境整備。この「デジタル×人」の両輪を整えることが、持続可能な企業成長への近道です。


