デジタル化・AI導入補助金とは? IT導入補助金との違いと2026年の方向性を解説


横田 久子
 編集:横田 久子
 中小企業診断士

海外の日本大使館での調査・通訳業務を経て、中小製造業にて経営企画・業務改善・補助金申請に従事。 2024年より中小企業診断士として活動し、補助金を活用した事業計画づくりから実行支援、BtoBマーケティング支援まで幅広く担当している。 戦略と「伝え方」の両面から、構想を成果につなげる伴走型支援を得意とする。

2025年12月16日、令和7年度の補正予算が成立しました。

IT導入補助金の活用を検討していた事業者様の中には、中小企業庁の「令和7年度補正予算案の事業概要(PR資料)」に登場した「デジタル化・AI導入補助金」という文言が気になった方も多いのではないでしょうか。

この記事では、

  • デジタル化・AI導入補助金とは何を指すのか
  • これまでのIT導入補助金と何が違うのか
  • 2026年に向けて、どのような投資が対象になりそうか

といった点を、補正予算の内容を踏まえながらわかりやすく解説します。

「デジタル化・AI導入補助金」とは何を指すのか?

12月2日に中小企業庁が公表した「令和7年度補正予算案の事業概要(PR資料)」では、総額3,400億円の中小企業生産性革命推進事業の1つとして「中小企業デジタル化・AI導入支援事業(デジタル化・AI導入補助金)」という文言が明記されています。

(中小企業庁「令和7年度補正予算案の事業概要(PR資料)」より抜粋)

2025年12月23日時点では、公募要領や補助上限額などの詳細は公表されていません。

ただし、補正予算資料に記載されている事業の目的や背景から、これまで実施されてきたIT導入補助金の流れを引き継ぎつつ、支援の重点をDX推進やAI活用へと移した制度になる可能性が高いと読み取れます。

これまでのIT導入補助金は、会計・受発注・決済など、業務効率化を目的としたITツールの導入支援が中心でした。一方、今回の補正予算では「人手不足への対応」「賃上げの実現」「付加価値の創出」といったキーワードが強調されています。

つまり、今後は単なるITツールの導入にとどまらず、デジタル化やAI活用を通じて生産性を高め、中小企業の「稼ぐ力」を抜本的に強化することがより強く求められると考えられます。

現時点では、「デジタル化・AI導入補助金」はIT導入補助金の後継・発展形として位置づけられ、AI活用やDX推進をより重視した制度へと進化していく可能性が高いでしょう。

デジタル化・AI導入補助金で想定される補助対象例

補正予算資料では、デジタル化・AI導入補助金の目的として、“業務効率化やDXの推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応等に向けたITツールの導入を支援”と示されています。

この記載内容から、想定される補助対象をある程度読み取ることができます。

①業務効率化・省力化につながるデジタル投資

【想定される例】

  • AIを活用した問い合わせ対応の自動化(AIチャットボット等)
  • 見積作成・受発注処理の自動化
  • 定型業務をRPAやAIで自動処理するしくみ

単なるITツールの導入ではなく、「業務時間がどれだけ削減されるか」「生産性がどう向上するか」を説明できるかが重要になりそうです。

②DX推進・データ活用による付加価値の向上

【想定される例】

  • 生産・販売データの可視化・分析
  • AIを活用した需要予測や在庫の最適化
  • 属人的な判断をデータで補完する仕組み

ITツールを導入して、どのようにデータを活用し、業務プロセス全体の変革(DX)につながるかが問われそうです。

③サイバーセキュリティ対策への投資

【想定される例】

  • クラウドサービス利用時のセキュリティ強化
  • 不正アクセス・情報漏洩対策ツールの導入

ITツールとセキュリティ対策のセットでの導入が求められる流れになりそうです。

④インボイス制度への対応

【想定される例】

  • インボイス制度に対応した会計・決済システム
  • インボイス対応と、業務効率化やデータ活用を組み合わせたシステム

IT導入補助金で重視されてきたインボイス対応は、デジタル化・AI導入補助金でも引き続き着目されるでしょう。

デジタル化・AI導入補助金で採択されやすい事例とは?

IT導入補助金の採択傾向や、補正予算で示された政策方針から、デジタル化・AI導入補助金で採択されやすいITツールや事業計画の方向性はある程度わかります。

①AI機能を備えたITツール・システム

補助金の名称に「AI」という単語が含まれている以上、AI機能があることは重要な加点要素になる可能性が高いです。

AIによる業務効率化やAIを活用したデータ分析・需要予測などの要素が含まれるツールは、「生産性向上」「人手不足の対応」「付加価値向上」といった政策目的にも合致して加点されやすくなるでしょう。

②インボイス対応

IT導入補助金では、通常枠よりもインボイス枠の方が採択率が高い傾向が続いてきました。

補正予算資料にも「インボイス制度への対応」と明記されていることから、インボイス対応のITツールは引き続き評価が高くなると考えられます。

③賃上げに取り組む事業計画

今回の補正予算では「持続的な賃上げ」が事業目的の中心に掲げられています。

そのため、事業者が賃上げを表明していることと、事業計画書に「賃上げを実現するため」の業務改善・生産性向上などが示されていることが重要になりそうです。

まとめ

デジタル化・AI導入補助金は、これまでのIT導入補助金の流れを引き継ぎつつ、DX推進・AI活用による生産性向上や賃上げの実現をより強く意識した制度へと進化する可能性が高いです。

単なるITツールの導入ではなく、

  • 業務効率化・省力化につながるか
  • データやAIを活用して付加価値を高められるか
  • 賃上げや人手不足への対応に結びつくか

といった視点が、これまで以上に重視されるでしょう。

アクセルパートナーズでは、補助金制度の最新動向を踏まえた情報発信を行いながら、事業内容に即した補助金活用のご相談にも対応しています。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

◾️令和7年度補正予算の中小企業向け施策の全体像はこちら↓

◾️令和8年のIT導入補助金の動向はこちら↓

横田 久子
 編集:横田 久子
 中小企業診断士

海外の日本大使館での調査・通訳業務を経て、中小製造業にて経営企画・業務改善・補助金申請に従事。 2024年より中小企業診断士として活動し、補助金を活用した事業計画づくりから実行支援、BtoBマーケティング支援まで幅広く担当している。 戦略と「伝え方」の両面から、構想を成果につなげる伴走型支援を得意とする。

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