販路開拓と生産性向上に追い風! 第17回 小規模事業者持続化補助金《一般型》の対象経費や補助率などを総まとめ

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根元 皓平
 編集:根元 皓平
 企業内診断士

小規模事業者にとって、販路開拓や生産性向上のための投資は必要と分かっていても、資金的なハードルが高いもの。そのような状況において、経済産業省が実施する「小規模事業者持続化補助金《一般型》」は、事業の持続的発展を支援する強力な制度です。2025年度の第17回公募が始まり、制度内容にもいくつかの見直しが加わりました。

本記事では、最新情報を踏まえ、補助金の目的、対象経費、補助率、留意点、そしてよくある質問までをわかりやすく解説します。

この補助金の目的とは?

小規模事業者持続化補助金《一般型》は、以下のように事業者を支援する目的で設けられています。

  • 物価高騰やインボイス制度の導入、賃上げ要請などの制度変更に対応
  • 販路開拓や業務効率化(生産性向上)の取組を後押し
  • 地域経済と雇用を支える小規模事業者の持続的発展を支援

単なる設備導入ではなく、「経営計画に基づいた販路開拓」が前提となっており、自ら策定した事業計画に沿って補助金を活用することが求められます。

今回(第17回)の変更点まとめ

補助金の使い方・ルールがより明確かつ実践的に!

今回の第17回公募では、補助制度の運用ルールが現場の実務に合わせてアップデートされました。過去と同じ感覚で申請すると見落としが出やすいため、特に以下の点にご注意ください。

補助枠の一本化
従来あった複数の枠(例:成長枠など)は廃止され、「通常枠」のみの募集となりました。

賃金引上げ特例が新設
以下の特例が新設されました。

  • 事業内最低賃金を+50円以上引き上げると、補助上限が150万円加算
  • 赤字事業者は補助率が2/3から3/4へ引き上げ

経費区分の見直し
以下の経費区分について変更があります

  • ソフトウェア系の費用は「機械装置費」から「ウェブサイト関連費」に変更
  • 旅費は「展示会・商談会への出展・参加」に限定
  • 「資料購入費」「設備処分費」は補助対象外へ

見積書の取得が全経費で必須に
これまで一部の経費のみだった見積書の添付が、すべての経費で必要になりました。
(申請時は必須ではありませんが、採択後~交付決定までの間に提出が必要です)

どんな経費が補助対象になるの?

販路開拓・業務効率化に直結する“8つの費目”が対象!

小規模事業者持続化補助金《一般型》では、経営計画に基づく販路開拓や**業務効率化(=生産性向上)**に資する取組みにかかった経費が補助対象になります。
補助対象経費は、以下の8つの費目に区分されており、それぞれに活用事例が示されています。

 

経費区分 主な内容 活用例
① 機械装置等費 生産性向上や新商品開発に必要な設備 製造装置、キッチンカー、業務用機器など
② 広報費 顧客に向けた情報発信 チラシ・パンフレットの作成、新聞折込、看板など
③ ウェブサイト関連費 デジタル販促・効率化 ECサイト構築、買い物かご機能追加、Web広告など
④ 展示会等出展費 商談機会の創出 展示会・見本市の出展料、ブース設営費など
⑤ 旅費 展示会など出展・参加のための旅費 交通費、宿泊費(展示会への参加に限る)
⑥ 新商品開発費 試作やテスト導入のための費用 試作品製作、パッケージデザイン開発など
⑦ 借料 機器・設備のレンタル料 所有権を移転しないリースやレンタル契約
⑧ 委託・外注費 専門業者への業務依頼 店舗改装、映像制作、システム開発など

 

💡 **Point:全経費について相見積書などの妥当性確認が必要!

対象外となるものにも注意!

以下のような経費は、たとえ事業に関係していても補助対象外となります:

  • 自動車・バイク・自転車の購入(キッチンカー等一部例外あり)
  • 役員や親族への支払い、関連会社への発注
  • 通常業務の更新(単なる機器の買い替えなど)
  • 家賃や水道光熱費、日常的な消耗品

また、「○○一式」「一連の業務一括」などの曖昧な表現で申請した場合も、原則認められません。内訳を明示した見積・計画が必須です

補助率・補助金の仕組み

条件を満たせば最大250万円の補助も!補助上限と補助率の仕組みを理解しよう

 

区分 補助上限額 補助率
通常枠 50万円 2/3
インボイス特例 +50万円(計100万円) 2/3
賃金引上げ特例 +150万円(計200万円) 2/3 または 3/4(赤字事業者)
上記2つの特例を満たす場合 最大250万円 条件により変動

 

補助金は後払い方式であり、事業実施後の実績報告に基づいて支給されます。

申請時の留意点

電子申請・書類不備・見積取得…準備の段階で差がつく!

小規模事業者持続化補助金の申請では、単に良い計画を作るだけでなく、手続きやルールを正しく理解し、ミスなく準備を進めることが採択への近道です。
ここでは申請時に特に注意すべきポイントをまとめました。

電子申請のみ受付、郵送は不可
申請は**「jGrants(ジェイグランツ)」という国の電子申請システム**を通じて行います。これにより、郵送での申請は一切受け付けられません。
GビズIDプライムアカウントの取得が必須です。取得には数日〜2週間ほどかかる場合もあるため、事前の準備が重要です。

商工会・商工会議所による「事業支援計画書(様式4)」が必須
申請には、事業所の所在地を管轄する**商工会または商工会議所の支援を受けて発行される書類(様式4)**が必要です。
➡ この書類の発行依頼は、申請締切日の10日前(今回は2025年6月3日)までが期限です。

✅ 見積書の提出は「全経費分」で必須に(第17回からの新ルール)
従来は一部経費に限られていた見積書の提出が、第17回からは全ての経費について採択後~交付決定までに義務化されました。
➡ 申請時点での提出は不要ですが、経費の妥当性を説明できるよう、事前に見積書や相見積を取得しておくことが事実上必須です。

支出のタイミングに注意!補助事業は交付決定後に開始
補助対象となる経費は、交付決定通知書の発行日以降に発生したもののみが対象です。
➡ それ以前に契約・発注・支払いを行った場合、補助の対象外となります。

関係者への発注には制限あり
補助金で支払う経費について、役員や親族、関連会社への発注は補助対象外です。
➡ 不正受給とみなされる可能性があるため、事前に必ず発注先の適格性を確認しましょう。

申請内容と第三者支援の整合性
補助金申請には、支援者(コンサルタントなど)からの助言を受けるケースもありますが、
アドバイスを受けた場合は、その事実と支払いの有無を明記する必要があります。未記載は虚偽報告となり、不採択のリスクがあります。

よくある質問(FAQ)

実際に何が補助される?どこまでが対象?疑問を一気に解消!

補助金申請では、「この経費は使えるの?」「これはどの区分になるの?」といった疑問がつきものです。
以下では申請者から特に多く寄せられる質問をカテゴリ別に紹介します。

【対象経費に関する質問】
Q1ホームページ制作は補助対象になりますか?
A 1はい、ウェブサイト関連費として対象です。新規構築・改修・スマホ対応・EC機能追加(買い物かごなど)も含まれます。
ただし、以下の点に注意が必要です:

  • 映像制作やウェブサイト、チラシ等に使用する画像等における被写体や商品の購入などは対象外
  • 「○○一式」など曖昧な記載はNG。仕様・範囲・内訳を明記すること

Q2チラシや看板の作成は使えますか?
A 1はい、広報費として補助対象です。チラシ印刷、パンフレット、店頭看板などが該当します。

Q3機械設備の導入は補助されますか?
A3 はい、「機械装置等費」に該当します。
たとえば以下は対象例です:

  • 生産販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫
  • 新たなサービス提供のための製造・試作機械
  • 移動販売を行うためのキッチンカー
  • 生産性向上のための自動梱包機

Q4展示会への出展費用は補助されますか?
A4はい、「展示会等出展費」として補助対象です。会場費、ブース設営費、交通費、宿泊費なども該当します。
ただし、旅費は展示会・商談会に直接関連するものに限るので、営業出張などには使えません。

Q5コンサルティング費用やデザイン費は使えますか?
A5はい、外注業務であれば「委託・外注費」として対象になります。
ただし、契約書が必須です。助言だけでなく実務を伴うこと(例:動画制作、パッケージデザインなど)が必要です。

なお、インボイス制度対応に関する専門家への相談費用については、事業遂行に必要と認められる場合に限り、例外的に補助対象となることがあります。

Q6中古品の購入や個人取引サイトでの購入は対象ですか?
A6中古品は対象となるが、見積取得が困難な場合は注意が必要です。相見積りをできる限り取りましょう。
また、フリマサイトや個人間売買は原則対象外です。

【申請者の条件に関する質問】

Q7商工会や商工会議所の会員でなくても申請できますか?
A7 はい、会員である必要はありません。ただし、申請には事業支援計画書(様式4)の発行が必要なため、窓口での相談が必須です。

Q8個人事業主から法人に切り替える予定ですが、申請できますか?
A8はい、申請時点の事業形態で申請が可能です。ただし、採択後の名義変更はできませんのでご注意ください。

Q9過去に持続化補助金を受けたことがありますが、また申請できますか?
A9一部の枠(創業型や卒業枠など)を除き、再申請は可能です。ただし、前回の報告書提出が済んでいる必要があります。

その他のよくあるご質問については下記公式サイトの情報もご確認ください。

https://www.jizokukanb.com/jizokuka_r6h/shinsei.html#kobo

 まとめ:補助金を「使える事業者」になるために

  • 小規模事業者持続化補助金《一般型》は、販路拡大や業務効率化を実現したい事業者にとって、非常に実用的かつ現実的な支援制度です。
    第17回では、制度の透明性が増し、申請にあたっての準備や根拠の提示がこれまで以上に求められるようになりました。

要点を振り返ると――

  • 最大補助上限は250万円、補助率は2/3(特例で3/4)
  • 販路開拓や業務効率化に関わる8経費が補助対象
  • 見積書取得は全経費で必須化(採択後~交付決定までに提出)
  • 電子申請&事業支援計画書(様式4)の締切を厳守
  • 自社に適した活用方法を計画にきちんと落とし込むことが成功のカギ 「もらえる補助金」ではなく、「活かせる補助金」として、計画立案から実行までを見通した準備が肝心です。

 

📣 いますぐ行動を!

第17回の申請締切(2025年6月13日)まで、残された時間はわずかです。特に以下の準備は今すぐ始めましょう:

  • GビズIDの取得(未取得者は早急に)
  • 商工会・商工会議所への相談開始
  • 申請書類の整備
  • 事業支援計画書(様式4)は6月3日までに発行依頼

補助金を最大限に活かすには、「今すぐの準備」が成果を分けます!

根元 皓平
 編集:根元 皓平
 企業内診断士