【要チェック】重要物資サプライチェーン強靭化支援事業について徹底解説!(航空機の部品編)
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令和5年度補正予算が11月に発表されました。今回取り上げるのは、経済産業省関係の予算の5つの大分類の中の、「成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する」項に取り上げられている重要物資サプライチェーン強靭化支援事業となります。
その中でも本コラムでは航空機の部品について、その概要や支援目的、申請のポイントなど整理していきたいと思います。
目次
重要物資サプライチェーン強靭化支援事業とは?
今回発表された補正予算で経済産業省関係の総額は4.5兆円にもなります。
1.物価高から国民生活を守る |
1.2 兆円(うち、GX:2,800 億円) |
2.地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長 を実現する |
6,000 億円
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3.成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する |
2.7 兆円(うち、GX:5,800 億円) |
4.人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する |
160 億円
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5.国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心を確保する |
730 億円
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経済産業省合計 |
4.5 兆円(うち、GX:0.9 兆円) |
上記のように、この4.5兆円のうち本コラムで取り上げる「経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靱化支援」は最も予算の多い2.7兆円の予算が組まれている3.成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する施策として行われています。
経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靱化支援とは?
所管大臣は、特定重要物資ごとに策定する安定供給確保取組方針等に基づき、民間事業者等が作成する供給確保計画を認定し、安定供給確保支援法人・安定供給確保支援独立行政法人等を通じて認定供 給確保事業者の取組を支援するものとされています。
航空機の部品について
それでは上記の目的で重要指定物資に指定された、「航空機の部品」について詳しく解説していきたいと思います。
航空機の部品に関する支援概要
今回の補正予算で決まった航空機の部品は327億円の予算が組まれました。
その概要と目的は以下の通りです。
出典:経済産業省 令和5年度補正予算の事業概要 (PR資料)
まとめると、航空機の部品として用いられる鋳造品、スポンジチタンの生産・開発を補助し、安定供給を図る政策ということになります。
次項では具体的な補助内容やスキームを解説していきます!
支援対象部品
上記の目的を踏まえて、具体的に支援が行われる対象品目とその内容について解説します。
大型鍛造品とその原料
一つ目は大型鍛造品とその原材料として使われるチタン合金、ニッケル合金です。
大型鍛造品は航空機の主翼と胴体の結合部などの強度が必要な部分に用いられる大型部品や、ディスク等の高音部に用いられるエンジン部品などを構成しています。この製造能力は、日本を含む数か国のみが有しているため、特定国への依存性が高まりやすい背景があります。
対象 |
航空機用大型鍛造品の製造に必要な設備投資、認証取得(溶解、鍛造、検査工程) |
具体例 |
・既存設備・施設(導入する設備の稼働に必要な建物部分に限る。)の拡充等の生産体制整備及びそれに伴う研究開発、溶解・鍛造・検査工程の認証取得 ・鍛造工程の前後の溶解、機械加工も含めて一貫した支援をすることで、機械加工等の製造工程で発生する端材を再溶解するプロセスを確立し、材料調達費の低減も図る |
目標 |
航空機等の先端産業に用いる技術基盤及び量産プロセス構築に係る設備・施設(導入する設備の稼働に必要な建物部分に限る)への投資支援 |
CMC及びその原材料のSiC繊維
CMC(Ceramic Matrix Composite)はセラミックス基複合材料であり、耐熱性に優れています。エンジンの燃費を大きく向上させる材料として次期航空機エンジンにおいてコア部材に適用されることが期待されています。現段階で海外企業のみが商用化されているため、日本は外部に依存しています。その原材料であるSiC繊維(Silicon Carbide:炭化ケイ素)は日本企業のみが生産可能な状況であるが各国生産を開始しつつあるため安定供給が図れなくなる危険性があります。
対象 |
・CMCの評価に必要な設備投資 ・SiC繊維の製造に必要な設備投資、研究開発
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具体例 |
・SiC繊維の品質安定化のための研究開発、設備・施設(導入する設備の稼働に必要な建物部分に限る)への投資支援 ・CMCの製品化に向けた認証取得のための特性・性能評価試験設備、信頼性保証装置の導入 |
目標 |
SiC繊維等サプライチェーンの上流まで含めた供給体制を検討するための環境を実証し、次期航空機向けのエンジンの需要に応じたCMC部材を供給するための体制を検証する。 |
CFRPの原材料に使用される炭素繊維
CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)は炭素繊維複合材料であり、強度と軽量性に優れていることから国際線主力機体の主要構造部材として採用されています。また、航空機以外にも、宇宙航空用途やスポーツ、水素関連などにも需要拡大が見込まれる汎用性が高い素材となっています。このCFRPは 現状日本企業が優位性を持っていますが、諸外国が積極的に支援策を講じているため、日本は優位性を保たなければなりません。
対象 |
炭素繊維の製造に必要な設備投資 |
具体例 |
航空機等の先端産業に用いる技術基盤及び量産プロセス構築に係る設備・施設(導入する設備の稼働に必要な建物部分に限る)への投資支援 |
成果目標 |
炭素繊維の年間生産能力を公称能力で 5,000 トン以上増強する。 |
事業スキーム
本支援事業は安定供給確保支援業務を行う法人として経済産業省からNEDOが選定されています。以下に示す図の流れで事業者様に助成金が支払われます。
出典:経済産業省 令和5年度補正予算の事業概要 (PR資料)
各事業の助成率の上限について
設備投資
1/3
(大型鍛造品・CMCのサプライチェーンの安定供給に資する設備投資については1/2)
認証取得・研究開発
1/2となっています。
まとめ
このように大きく3つの航空機部品について我が国の生産能力の向上と安定供給をするための支援策が組まれています。前述のように航空機の部品は日本が現状先行している技術が多くあり、優位性を築けています。しかしこの優位性を継続させ、外部に依存しないためにも、補助金等を積極的に活用していただきたいと思います。
こういった助成金・補助金は公募要領や要件が細かく定められている場合がありますので、お困りの際は一度専門家に相談されることをおススメします。
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この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。