【徹底解説】ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の省人化枠とは

「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、中小企業等が行う、革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化に必要な設備投資等を支援するものです。本コラムでは、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の目的、概要や支援対象などについてお伝えします。 

 

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の目的 

「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の設備投資、IT導入、 国内外の販路開拓、事業承継・引継ぎを補助し、切れ目なく継続的に、 成長投資の加速化と事業環境変化への対応を支援することを目的としています。 

 

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の申請類型 

2023年12月に公表された中小企業庁 技術・経営革新課のものづくり・商業・サービス 生産性向上促進補助金について （Ver.1.0）によると、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の申請類型は大きく下記の3つに分類されます。 

①省人化（オーダーメイド）枠 

②製品・サービス高付加価値化枠 

③グローバル枠 

 

本コラムでは、①の省人化（オーダーメイド）枠について、詳しく解説します。 

 

省人化（オーダーメイド）枠の目的と設立背景 

令和5年度に新たに設立された省人化（オーダーメイド）枠は、中小企業および小規模事業者が直面する人手不足という課題に対処するための革新的な取り組みです。具体的には、各事業者が抱える固有の課題に合わせてカスタマイズされた省人化の投資を推進し、それによって生産性の向上と効率性の改善を図ることを目標としています。 

 

この枠組みでは、個々の事業者が直面している特定の問題に対応するためのオーダーメイド型のソリューションを開発し、実装するための支援を提供します。補助金の上限額を大幅に引き上げることにより、事業者は必要とする技術や設備の導入により多くの資金を投じることが可能になります。このように、省人化枠は、事業者が生産性を向上させ、持続可能な成長を達成するための重要な手段となることが期待されています。 

 

省人化（オーダーメイド）枠の補助上限額と補助率 

省人化（オーダーメイド）枠の補助上限額と補助率は下記の表の通りです。 

補助上限額	補助率
750万円〜8,000万円  (1,000万円〜1億円) ※	中小：1/2、小規模・再生：2/3  1,500万円までは1/2、1,500万円を超える部分は1/3

※また、大幅賃上げ特例により、補助事業終了後、3〜5年で大幅な賃上げに取り組む事業者に対し、上記枠の補助上限が100〜2,000万円上乗せされます。（※新型コロナ回復加速化特例を除く。） 

 

5.省人化（オーダーメイド）枠の対象事業と活用イメージ 

ものづくり・商業・サービス 生産性向上促進補助金について （Ver.1.0）によると、省人化（オーダーメイド）枠の対象事業と活用イメージは下記です。 

 

【対象事業】 

人手不足の解消に向けて、デジタル技術※1等を活用した専用設備（オーダーメイド設備）※2の導入等により、 革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援※3 

 

※1 デジタル技術とはAI、ロボット、センサー等をいう。  

※2 ロボット単体の導入ではなく、外部のシステムインテグレータ（Sier）との連携などによりロボットシステム等を構築したものをいう。  

※3 基本要件に加えた追加要件あり（詳細は追って公表） 

 

【活用イメージ】 

例）熟練技術者が手作業で行っていた組立工程に、システムインテグレータ（SIer）と共同で開発したAIや画像判別技術を用いた自動組立ロボットを導入し、完全自動化・24時間操業を実現。組立工程における生産性 が向上するとともに、熟練技術者は付加価値の高い業務に従事することが可能となった。 

 

これらの事例を踏まえると、効果的な対策として以下の2点が特に重要であると考えられます。 

 

まず、導入する専用設備においては、先進的なデジタル技術の活用が不可欠です。これにはAI、ロボット技術、センサー技術などが含まれ、これらの技術を組み合わせることで、より高度で柔軟な生産プロセスが可能となります。特にAIの導入により、自動化された作業の精度と効率が大幅に向上し、人手不足に対する直接的な解決策となり得ます。 

 

次に、導入する専用設備は、その事業所の特定のニーズに合わせたオーダーメイドであることが重要です。これは、汎用的なソリューションではなく、特定の業務プロセスや生産ラインに合わせてカスタマイズされた設備を意味します。例えば、熟練技術者の手作業を補助する形での自動組立ロボットの導入は、生産性の向上だけでなく、熟練技術者をより高付加価値の業務に配置することを可能にします。 

 

これらの点を踏まえた専用設備の導入は、労働力不足の問題に対処し、同時に生産プロセスの効率化と高度化を実現する上で、非常に重要な要素であると言えます。 

 

まとめ 

いかがでしたでしょうか。本コラムでは、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」に特に焦点を当て、特に新設された省人化（オーダーメイド）枠について徹底解説しました。この補助金は、中小企業や小規模事業者が生産性向上と事業環境変化への適応を目指し、革新的な製品やサービスの開発、省力化された生産プロセスの実現、ITの導入、販路開拓、事業承継に必要な投資を支援することを目的としています。 

特に省人化（オーダーメイド）枠は、個々の事業者の特定のニーズに応じたカスタマイズされた解決策を開発し、実装するための支援を提供します。これにより、事業者は技術や設備の導入により多くの資金を投資できるようになり、生産性の向上と効率性の改善を目指すことができます。この枠は補助上限額の大幅な引き上げを特徴とし、大幅な賃上げ特例や新型コロナ回復加速化特例などの追加支援も提供されます。 

対象となる事業は、デジタル技術を活用したオーダーメイド設備の導入を含み、生産プロセスやサービス提供方法の効率化・高度化を図るものです。具体的な活用例としては、AIや画像判別技術を用いた自動組立ロボットの導入などが挙げられます。 

この補助金は、中小企業や小規模事業者が市場の変化に対応し、競争力を維持しながら成長を遂げるための重要な手段となることが期待されています。最新の公募要領や事業概要ご確認いただき、必要に応じて専門家の支援を受けることをおすすめいたします。最後までお読みいただき、ありがとうございました。