「中小企業はきちんとやっていたら潰れてしまう」
そのように言われた時代が長く続いてきました。
→間接コストや人件費を抑えることで価格を安く抑えることで利益を出すことが中小企業の生存戦略に
インフレ・人手不足・コンプライアンス意識の高まりなどにより、上記のような戦い方が通用しない時代になりました。
良い人材を確保し、しっかりとした人事制度で会社の風紀を整え、売り上げを伸ばし、適正に給料を引き上げて定着とモチベーションの維持向上ができる会社が伸びていく時代になりました。
そのような時代において、適切な人事制度を作り、全従業員の見える場所に掲示し、管理職の感覚ではなく人事制度を元に会社を統制していくことで会社が良くなっていきます。
人事制度を整えなければいけないと思っていても、それによるデメリットや以下のように会社が悪くなる不安を感じることもあるかと思います。
人事制度が細かくできると、管理職も一般スタッフも全てそのルールの下で働くことになります。
イレギュラーが発生した時も管理職の裁量ではなく制度の中で決裁することになります。
上司の顔色ではなく人事制度と評価制度を見て仕事をすると上司の声が届かなくなるという不安はあるかと思います。
ただ、人事制度は上司をやりづらくするものではなく、上司の難易度を下げてあげる効果があります。
人事制度が明確にないと、管理職は明確なマニュアルが無い中でイレギュラーに対する決定・決断の連続で部下から人間的な尊敬も勝ち取らなくてはいけない中で正解を決めなければいけません。
人事制度を適切に設計することで、部下だけではなく”上司のガイドライン”を明示することができます。
それにより
「これ以上は上司も踏み込まなくていい」
と責任を明確にすることができ、部下の安心だけでなく上司の安心にも繋げることができます。
最初は間接コストが一時的に引き上がってしまうかもしれません。
しかし、人事制度を整えて離職率低下を実現することで離職によるレベルダウンや離職者の教育コストや有休消化、過度な求人コストなど外に流れるコストが軽減され、結果的に会社は成長していきます。
人事制度構築を反対するスタッフの多くは会社で主要な仕事をしてくれている社員であることが多く、どうしてもそのスタッフの顔色をうかがってしまう中小企業は多いと思います。
そういうスタッフにとっては、人事を曖昧にすることで自身の裁量権をできるだけ大きくしておきたいというのが心情です。
ただ、それによって多くのスタッフが働きづらくなっている可能性もあります。
もしかしたらそのスタッフが原因の離職者が過去にいるかもしれません。
あと数年存続させることを目指すならそのままでも良いかもしれませんが、特定のスタッフに依存した会社を続けていては今の時代で成長させることはできません。
しっかりと話し合って時にはリスクを背負いながらきちんと制度を構築する決断をする時も大切です。
人事制度を設計すると不自由さや小回りの効いた指示が出せなくなったりすることがあります。
「それをやっても今期の評点が上がらないからおそらくやってくれないと思います」
そんなことを言われてしまう可能性もあります。
また、今まで社長が直接現場のスタッフに指示を出したりしてきたものができなくなったり、稟議が煩雑になったり、職務以外の仕事をしてくれないスタッフが出てきたりするかもしれません。
それによって一時的に現場は混乱するかもしれませんが、一足飛びで社長が指示を出していることに対して現場の管理職がやりづらさを感じたり社員にとってはプレッシャーになっているかもしれません。
そのような現状見えていないデメリットを解消することで会社の生産性は引き上がっていきます。
少し距離ができてアットホームさが薄れる可能性は否定できません。
アットホームを重視するために人事制度を作らずに社長や管理職の人間性を頼りに経営する方法を選び、それで大きな結果を出して伸ばしている会社も少なからずありますので決して悪いことではありません。
若者や子育て世代、子育てをひと段落終えた世代、そして男女の性差も考えて多様なスタッフが安心して働き続けられるように制度を設計することで継続していく会社を作っていくにあたりスタッフの安心や笑顔は増えていくケースの方が多いはずです。
また、制度をもとにマネジメントをしていくことで経営者や上司の人間性に左右されづらくなり、来たる事業承継や権限委譲にも効果的です。
近年、求職者の口コミサイトはかなり力を持っています。
また、転職は人生の大きな選択です。人事制度をあまり気にしなさそうな男性も、後ろには奥様がいらっしゃって会社の人事制度をチェックしているかもしれません。
採用力向上は会社の重要なミッションです。
求職者に自信を持って伝えられる人事制度を作ることで会社は良くなります。
スタッフは事後で突然言われることに対して不安を抱えて仕事をしています。
大手企業のように完璧な人事制度は作れないかもしれませんが、事前に掲示されていることでスタッフの心理的安全性が確保され、エンゲージメント・モチベーションに繋がります。
近年現場を悩ませているのが急速なハラスメント意識の高まりです。
それにより若い世代にとって働きやすさが向上している反面、世代間のギャップ、過度なハラスメントハラスメントを懸念してコミュニケーションが取りづらくなり、結果的に若い世代にとっても成長機会を妨げることもあります。
ハラスメント意識を高めるにあたり、しっかりと基準を明確にすることで上司部下双方にとって働きがいと働きやすさ両立に繋げることができます。
賞与金額や昇給額を決めるのはその人にとって人生に関わる重要なことですのでマネージャーのストレスは相当です。
特に、一緒に働く者同士の給与の差異は非常にデリケートです。
賞与や給与は必ず差が生まれますので勝ちと負けができてしまいます。
それを自由に決めるのは非常にプレッシャーが強いからこそ、定型化することで難易度が下がりますし、根拠を伝えるハードルも下がります。
人事制度を整えることで上司のストレス負荷軽減にも役立ちます。
評価制度や等級制度を整えることで会社がスタッフに対してどのようなことを求めているか明確にすることができます。
また、なんとなく仕事をするのではなく
”これを達成すればいくら昇給される”
といったことが明確になることで達成意欲が向上します。
評価制度は不安・不満も多いですが、適切に運用すると全体最適・中期的視点で見たときに目視評価に比べて効果的です。
制度がない状態で会社が回っているのは誰かのカリスマによるものかもしれません。
それ自体は素晴らしいものですが、その人がいなくなったら会社は機能不全を起こしてしまいます。そのような状態は企業価値という目線で見たらマイナスに働いてしまいます。
”社長がいなくても回る状態”
により企業価値が引き上がります。
まだまだ引退が遠いかもしれませんが、事業承継やM&Aを見据えて会社を整えていくことで企業価値が引き上がり、社長自身の業務軽減にも繋がり、新規事業への挑戦など新たな方向を考えることもできるようになります。
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