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【事業再構築補助金2023】「最低賃金枠」制度について徹底解説

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事業再構築補助金の申請を考えているけれど、色んな枠があってどれがいいのか分からない、と感じてはいませんか?

今回は、事業再構築補助金のなかの「最低賃金枠」制度について詳しく解説します。 

皆さんご存じのように、この「事業再構築補助金」は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代を生き抜く中小企業等にとって事業再構築の切り札的制度ですが、2023(令和5)年度もこの制度は継続される見込みで、中小企業等の皆さんの事業再構築の味方になってくれることと思います。 

今回はそのうち、「最低賃金枠」の制度についての具体的な内容や利用上のメリット、申請にあたっての注意点について解説します。 

2023(令和5)年度の事業再構築補助金制度 

制度の変更内容 

2023(令和5)年度の事業再構築補助金制度の公募内容やスケジュールについては、現時点では所管省庁である経済産業省および中小企業庁からの正式なアナウンスはありませんが、2022(令和4)年度の第二次補正予算の対象となっており、制度の継続は確定しています。 

ここでの制度の見直しの主な概要は以下の通りです。 

 

【制度見直しの概要】 

項目 

内容 

「通常枠」が「成長枠」に変更 

・「通常枠」が「成長枠」に名称変更 

・上限金額は8,000万円から7,000万円に変更 

・補助率1/2(大規模賃上げ達成で2/3) 

グリーン成長枠の変更 

・「エントリー」と「スタンダード」のコース に分類 

・上限金額 

 「エントリー」:8,000万円(中堅は1億円) 

 「スタンダード」:1億円(中堅は1.5億円) 

・補助率1/2(大規模賃上げ達成で2/3) 

物価高騰対策・回復再生応援枠 

の変更 

・上限金額は4,000万円から3,000万円に変更 

・補助率2/3(一部3/4) 

産業構造転換枠の新設 

・制度新設 

・上限金額7,000万円 

・補助率2/3 

サプライチェーン強靭化枠の新設 

・制度新設 

・上限金額5億円 

・補助率1/2 

※【事業再構築補助金2023】10次からの重要な変更点を解説!売上高減少要件の撤廃 

 

最低賃金枠制度の変更はなし 

今回説明する「最低賃金枠」制度については、2023(令和5)年度においても継続されます。また制度内容の見直しはなく、引き続き最低賃金引き上げの影響により業況が厳しい事業者を手厚く保護する制度として存続しています。 

 

最低賃金枠制度の内容 

制度概要 

最低賃金枠制度は、最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援する制度です。 

 

【制度の概要】 

項目 

内容 

補助金額 

【従業員5人以下】100万円~500万円 

【従業員6~20人】100万円~1,000万円 

【従業員21人以上】100万円~1,500万円 

補助率 

中小企業者等:3/4 

中堅企業等:2/3 

補助事業実施期間 

交付決定日~12か月以内 

(ただし採択発表日から14か月後の日まで) 

補助対象経費 

建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費 

※引用元:【事業再構築補助金】第9回公募要項 

 

制度創設の背景 

最低賃金は毎年経営者側と労働者側との協議によって見直しが行われており、直近では2022年10月に見直しが行われました(最低賃金は都道府県毎に決まります)。 

企業が従業員を雇用するにあたっては、この最低賃金以上の賃金を従業員に支払う必要があります。 

中小企業によってはただでさえ経費を切り詰めて事業経営を行っているところに最低賃金が年々上昇していくと、さらに経営を圧迫する要因になりかねないことから、そういった中小企業等の経営立て直しのための事業再構築資金として本制度が創設されています。 

特にこの制度は、制度の概要でご説明した通り、従業員が5人以下、または従業員が6~21人以下といった小規模企業でも利用可能な制度設計となっており、最低賃金の上昇に悩む小規模企業にとって利用のしやすい内容となっています。 

 

最低賃金枠の要件 

この最低賃金枠の利用上の要件は以下の通りです。 

①【事業再構築要件】 

申請する事業が事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当すること 

 

②【売上高等減少要件】 

2020 年 4 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること等 

※売上高に代えて付加価値額を用いることも可能(詳細は公募要項参照) 

 

③【最低賃金要件】 

2021 年 10 月から 2022 年 8 月までの間で、3か月以上最低賃金+30 円以内で雇用している従業員が全従業員数の 10%以上いること 

※以下の点に注意が必要です。 

・全従業員数については、2021年10月から2022年8月までの間の対象月とする3か月それぞれ の申請時点の常勤従業員数を基準とします。

・常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」をいい、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」と解されます。これには、日々雇い入れられる者、2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、試みの使用期間中の者は含まれません。

・事業場内最低賃金が最低賃金+30円以内であるかを確認するため、「賃金台帳」の提出が求められます。
 ※最低賃金額については、厚生労働省HPの地域別最低賃金額を参照してください。 

 

④【認定支援機関要件】 

事業計画を認定経営革新等支援機関と策定していること 

 

⑤【付加価値額要件】   

補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること 

 

制度利用のメリット2つ 

次にこの制度の利用上のメリットをご説明します。 

 

補助率が高い 

第9次公募までの「通常枠」ですと、補助率は中小企業者等の場合で2/3(補助金額6,000万円超の部分については1/2)、中堅企業等の場合は1/2(補助金額4,000万円超の部分については1/3)ですが、最低賃金枠の補助率は中小企業者等の場合で3/4、中堅企業等の場合で2/3と、通常枠に対して好条件となっています。 

利用上の要件の該当有無や、後ほどご説明する申請にあたっての注意点にもよりますが、申請する事業がこの最低賃金枠に合致する場合はお得な制度と言えます。 

 

採択率が高い 

最低賃金枠については加点措置が行われ、他の制度枠である「回復・再生応援枠」に比べて採択率において優遇がされます。 

具体的には、最低賃金枠申請事業者については、最低賃金枠に申請するだけで加点項目が得られ、採択に当たって有利になります。 

実際に過去の公募における最低賃金枠の採択率は、70%~80%と他の枠の採択率(例えば通常枠の採択率は30%~40%)に比べて高い実績を示しています。 

第7回公募の採択結果に関しては、以下の通り公表されています。 

通常枠 

大規模賃金引上枠  

回復・再生応援枠  

最低賃金枠  

グリーン成長枠 

緊急対策枠 

 合計 

9,292 

11 

2,144 

162 

543 

2,980 

15,132 

4,402 

5 

1,338 

131 

217 

1,652 

7,745 

47% 

45% 

62% 

81% 

40% 

55% 

51% 

引用元:【事業再構築補助金】第7回公募の結果について

 

制度利用にあたっての注意点 

1回の公募に応募できるのは1回 

公募要領にも記載されていますが、最低賃金枠の申請は、各公募回次につき1回のみの申請しかできません。 

 

過去に採択された企業は再申請できない 

過去の公募回次において採択されたことのある事業者は、以降の公募回次では申請することはできません。 

 

最低賃金確認書を提出 

最低賃金枠の申請を行う場合は、「最低賃金確認書」を提出することが必要です。 

併せて、最低賃金要件の対象となる3か月分、最低賃金+30円以内の従業員全てがわかる賃金台帳(又はそ れに相当する書類)を提出することが必要です。 

※最低賃金確認書書式はこちら 

 

まとめ 

事業再構築補助金の「最低賃金枠」の制度について説明してきました。 

現在の物価高を背景として、今後も最低賃金は上昇する可能性が高まってくると思いますが、制度上は、中小企業等の方々がこのような制度をうまく活用して自社の事業の改善に役立てられることが期待されていると思います。 

この記事をお読みいただいて、ぜひ申請をご検討いただければと思います。 

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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