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【事業再構築補助金】海外展開に活用できる国内回帰要件について

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事業再構築補助金で海外に関するテーマでも申請することができるのだろうかと疑問に思われたことはございませんでしょうか?結論を申し上げますと大丈夫です。申請できます。ただ、クリアすべき条件がいくつかございますので、申請が可能な場面の制限がありますが、補助金を活用することができるケースは十分存在いたします。

アクセルパートナーズは過去から各種補助金申請を多数対応しており、多くの採択事例を有しております。今回は、具体的にどういったケースで海外展開に関して補助金申請が可能か詳しくご説明したいと思います。

うまく使うことで海外展開に関するビジネスでの適用が可能になりますので、是非本記事を参考に事業計画書を策定する上での一要素としてご参考いただければと思います。

事業再構築補助金概要と事業再構築指針(類型)

まず、基本の事業再構築補助金について簡単に概要のおさらいから始めさせて頂きます。事業再構築補助金は「新市場進出(新分野展開、業態返還)、事業・業態転換、事業再編、国内回帰、またはこれらの取り組みを通じた規模の拡大など、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的」とした政府補助金です。

本記事記載の時点で第11次まで公募が行われており、10次公募からはコロナや物価高騰により依然として業況が厳しい事業者への支援として「物価高騰対策・回復再生応援枠」を措置され、産業構造の変化等により事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者への支援として「産業構想転換枠」が追加されるなど、アフターコロナを見据えた形で要領自体も回を重ねるごとに大きく変化が見受けられました。

また、事業再構築補助金では必ず事業再構築指針の示す類型に該当しており、その求められる必須要件を満たす必要があります。下記の図をご参照ください。

出典:事業再構築指針の手引き(3.0版)

 

申請に当たっては事業再構築の支援対象を明確化するため、事業再構築の定義(類型)のどれに該当するかを明確に示さないといけません。申請をする際の重要条件となっていますので選んだ類型に必須となる要件を明確に示し事業計画書を策定する必要があります。事業再構築補助金のどの補助枠を選択するか、また上記事業再構築の指針に示されている5つの類型のいずれになるか、が非常に重要になりますので事業計画書作成時に意識をして作成するようにしてください。

 

また、気になる補助金額についてですが、企業の形態、従業員数で規定があり、さらに申請する枠によっても違いがあります。おおむね申請金額の1/2から2/3の補助が得られるイメージです。ざっと各枠の要件や、再構築指針の概要を理解するには下記サイトの概要を説明している資料がわかりやすいのでこのあたりの詳細が気になる方は是非ご一読いただければと思います。

事業再構築補助金の概要(中小企業庁)※2023年8月31日版です。

summary010.pdf (jigyou-saikouchiku.go.jp)

 

上記ポイントを押さえた上で、基本的には、具体的な取り組み内容や将来の展望、数値目標等をまとめたA4で15ページ程度の事業計画書を筆頭に、申請に必要な書類を取り揃えて電子申請を行っていくのが一連の手続きとなります。

 

海外展開に関係する事業再構築指針類型とは

この中で海外に関するトピックで活用可能なのが、事業再構築指針にある「国内回帰」の類型です。

国内回帰の類型とは、「海外で製造等する製品について、その製造方法が先進性を有する国内生産拠点を整備することを指します。」さらに、「国内回帰に該当するためには、海外製造等要件、導入設備の先進性要件、売上高10%要件の3つを満たす必要があります。」と指針には記載されています。以下に3つの満たすべき要素を個別に確認していきます。また、捕捉ですが、国内回帰では海外の生産拠点を閉じることまでは要件としては求められていない(そこまでしなくて大丈夫)という点にご注意ください。

また、もう一つの重要なポイントとして、国内回帰は「事業再構築補助金のサプライチェーン強靭化枠」に申請する事業者のみが選択可能な類型になっていることです。

【注意】記事執筆時点の11次公募ではこのサプライチェーン強靭化枠の公募が募集されていないので、11次での申請自体は不可になりますが、以後の公募では復活する可能性があります。海外展開を検討される際の知識として参考いただければ幸いです。

 

海外製造等要件

まず一つ目です。こちらは

①海外で製造・調達している製品であること

②国内に生産拠点を整備する計画であるということ

の2点を示す必要がある要件になります。

 

①についてはもう少し具体的な指示がありまして、

・当該製品について、2020年1月以降に海外から調達した実績がある事

・2020年1月以降の当該製品の海外への発注および海外からの納品の事実

を示す必要があります。

この場合すべての取引の実績を示す必要はなく、当該期間の製品の納品書を提示するなり、発注書を準備するという形になると思います。

※海外ですと英語で発注書等が作成されているケースがあると思いますが、その場合は日本語訳を添付する必要があります。こういった点もご注意ください。

またもう一つの注意点ですが、申請者が取引先から要請を受けて取引先が海外から調達している製品を製造する生産拠点を国内で整備する場合は上記の2条件は「取引先」についてのものである必要があります。この点も押さえるようにしてください。

 

②については、国内で整備する生産拠点の概要(整備場所、面積等)および当該国内生産拠点において製造する製品の生産計画を示す必要があります。

 

導入設備の先進性要件

2つ目の導入設備の先進性要件は下記の2点を具体的な事業計画や添付書類を示して条件を満たす必要があります。

 

①先進的な設備を導入する事

②導入設備の導入効果を証明する事

 

①については、既存設備と同等で製造することは製造方法が先進性を有するとは言えないと解釈されてしまいます。したがって、補助事業により導入するすべての設備が特注品、または製造機器メーカーの最新カタログに掲載されているもの(またはこれに相当するもの)を示す必要があります。※中古の設備も対象にはなりますが、先進性要件を満たし、3社以上からの相見積もりの取得が必要という手間がかかるようになります。

 

②については性能や技能を定量的に説明することで生産性や付加価値向上などの導入効果を示す必要があります。ここは事業計画書内で〇〇部品の製造において〇〇設備を導入することで生産効率がX%アップするといったストーリーを説明する必要がございます。

 

新事業売上高10%要件

3つ目は他の枠でも課されているケースがありますが、3~5年の事業計画期間終了後、新たな製品の売上高が総売上高の10%(またはそう付加価値額の15%)以上となる計画を策定することが必要になります。ここでは10%は最低条件で、新たな製品の売上高がより大きな割合となる計画を策定することで審査においてより高い評価を受ける場合があるので、ここは計画書を策定する中で将来の意気込みを見せたいところです。

 

国内回帰の要件を満たす例

ここまで申請に当たった要件を記載してきました。では、具体的にどういったケースが

国内回帰の要件を満たすのか、事業再構築指針に載っている例をベースに確認してみましょう。

 

ケース1(国内生産拠点を強化するケース)

一つ目は下記のケースです。

ケース1:空調機器関連の大企業(取引先)が部品の国内調達を強化するため、国内事業者(申請者)に増産を要請。依頼を受けた申請者(中小企業)がこれまで海外で生産していた関連部品について国内回帰(国内生産拠点を強化)するケース

出典:事業再構築指針の手引き(3.0版)

 

大企業に部材共有している製造業ではあり得そうなケースですね。

この場合、それぞれ要件として必要な3点については例えば下記のようなポイントを押さえれば要件を満たす形になります。読んでみてはっきりと公募要領で求められている事業再構築の指針に沿っているか、がわかる形で示す必要があります。

 

①海外製造等要件

取引先の大企業から要請があり、海外生産していた部品を国内で製造。国内拠点を整備するため要件を満たす。

 

②導入設備の先進性要件

最新鋭のFA機器を導入。生産性を大幅に高める製造方法に取り組みことで要件を満たす。

 

③新事業売上高10%等要件

3年間の事業計画期間終了時点において本事業により製造する製品の売上高が総売上高の10%以上を占める計画を提出するため、要件を満たす。

 

ケース2(国内生産拠点を新設するケース)

ではもう一つのケースを見てみましょう。

ケース2:半導体製造装置関連の大企業(取引先)が海外サプライチェーンを見直し、生産を国内回帰させるため従来海外の取引先に依頼していた部品について国内調達へ切り替え。国内事業者(申請者)に生産要請。新たに国内生産拠点を新設する場合。

出典:事業再構築指針の手引き(3.0版)

 

先ほどのケース1は既存の国内生産拠点を国内回帰で強化する場合でした。ケース2の場合は生産拠点を国内に新設する場合になります。国内の生産拠点は増強でも新設でも問題ないということになります。

では、同じように要件として必要な3要件の説明についてみてみましょう。

 

①海外製造等要件

取引先の大企業から要請があり、取引先が海外から調達していた部品を製造するために申請者が国内生産拠点を整備する場合は要件を満たす。

※取引先からの生産要請、当該部品を海外から調達していた実績を証明する必要あり。

 

②導入設備の先進性要件

最先端の工作機械を導入。付加価値を大幅に高める製造方法に取り組むことで要件を満たす。

 

③新事業売上10%等要件

3年間の事業計画期間終了時点において本事業により製造する製品の売上高が総売上高の10%以上を占める計画を提出するため、要件を満たす。

 

という事例になります。いずれも求められている3要件の内容を明確に説明する形になっており、要件を満たすといえます。説明で出てくる取引先からの生産要請など、実際の証拠を添えて提示する必要がありますので、当たり前ですが、具体的な事実をベースに事業計画を作成することが必要です。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、事業再構築補助金の海外展開に関連する「国内回帰」の類型での申請について重要ポイントを解説しました。国内回帰の類型は、サプライチェーン強靭化枠での申請が必要で、申請枠が決まっているため、活用シーンは限られますが、うまく活用できれば最大5億円の補助上限額という大型申請につながりますので、ぜひ活用について検討いただければと思います。

当社、アクセルパートナーズは、事業再構築補助金の第1回公募から事業者様の支援を行っております。 100社以上ご支援した沢山のノウハウをもとに、お客様の状況に合わせたサポートを提供いたします。

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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