クリニックでIT導入補助金を活用方法とは?
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クリニックでもIT導入補助金を使ってITツールを導入することで、業務効率化や人手不足の解決が図れ、混雑緩和や患者満足度アップ、患者本位の医療の提供ができるようになります。
どのようなITツールを導入すれば、クリニックが抱える課題の解決につながるのでしょうか。
この記事では、クリニックが抱える課題とIT導入補助金を使ったITツールの活用事例をご紹介します。
目次
クリニックが抱える課題
少子高齢化のもとで高齢者の患者が増える一方、医師の数は不足しており、都心部でも地方でも、多くのクリニックが連日多くの来院者の対応に追われています。
少子化の一方で、小児科医の数も減っていることから、小児科クリニックも忙しいのが現状です。
特に、近年はコロナやインフルエンザをはじめ、さまざまな感染症が流行っており、一度の多くの患者が訪れるケースも少なくありません。
一方、多くのクリニックでは医師は院長一人である場合や当番医などが対応しており、休む暇もなく患者を診察し続けている状況です。
看護師やレントゲン技師や薬剤師、医療事務を行う受付・会計スタッフなどの人材のサポートがないとクリニック運営も難しい状況ですが、人手不足のうえ、専門の資格や知識が必要なので、簡単には人材採用ができないのも課題です。
少ない人数でも、医療の質を落とさず、いかに効率良く診療を行っていくのかがクリニックが抱える課題になっています。
マイナ保険証への対応
マイナ保険証は、データの紐づけなどでトラブルが起き、本格運用にストップがかかっていますが、いずれはマイナ保険証を使ったオンライン資格確認が義務付けられるようになっていきます。
オンライン化することで、保険証のデータを取得してレセコンに反映でき、受付での入力の手間が軽減されるのがメリットの一つです。
また、削減患者の資格確認が直ちに行えるので、保険証が有効か否かを瞬時に判定でき、レセプトの返戻リスクを減らせます。
オンライン化されると、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険中央会と常時接続され、相互にデータの伝達や照合ができる状態になります。
患者が同意すれば、薬剤情報や特定健診等情報を閲覧できるようになるため、より患者の状態や服薬状況などに配慮した高品質な医療を提供できるようになるのもメリットです。
クリニックにおすすめのITツール
2016年度のサービス等生産性向上IT導入支援事業交付申請・事業実施効果報告によれば、IT導入補助金を活用した医療関係の58.68%が会計業務の効率化を希望していました。
実際にIT導入補助金を導入することで、15.94%の生産性向上を達成しています。
クリニックに人気があるのは、電子カルテ対応レセプトコンピュータなどで、医師の診察内容や患者の情報が登録された電子カルテを読み込んで、自動的にレセプト請求ができるシステムです。
これにより、医療事務スタッフや受付・会計スタッフの業務負担を軽減し、患者の待ち時間なども減らすことができます。
さらに、オンライン資格確認が義務化されることを考えれば、オンライン資格確認も対応しているレセコン・電子カルテのクラウドシステムといったITツールも検討に値します。
IT導入補助金の活用事例
では、IT導入補助金を使ってITツールを導入したクリニックが、どのようなITツールを使って、どのように課題解決に役立てたのか見ていきましょう。
・待ち時間短縮と来院数増加と収益向上
歯科医院で、電子カルテ対応レセプトコンピュータを導入したことで、患者の待ち時間が減少し、それに伴い、1日あたりの来院患者数が増え、収益アップにつながりました。
紙のカルテを使っていた時は、歯科医師がカルテ作成業務に時間が取られ、すぐに次の患者に対応できず、患者の待ち時間が増えてしまい、1日に対応できる患者数も限界がありました。
スタッフの受付や会計業務も、残業が増える一方、紙のカルテを保管するスペースの確保にも課題を抱えていた状況です。
電子カルテ対応レセプトコンピュータを導入したことで、カルテ発行やカルテ入力、患者管理がスムーズになり、会計業務もスピードアップしています。
患者からのクレームも減少し、スタッフの業務負担やストレスも軽減され、ドクターも一人ひとりにより丁寧な診療ができるようになり、クリニック全体のサービスの質も上がっています。
・薬剤の在庫管理で品切れを防ぐ
クリニックによっては、院内処方と薬剤の提供を行っているところが少なくありません。
診察を受けてその場で必要な薬剤が受け取れるのが患者にとってのメリットですが、うっかり在庫を確認し忘れる場合や感染症が一気に広まって特定の薬剤の在庫が急激に減るケースもあります。
必要な薬剤が在庫切れにならないよう、電子カルテと連動させた薬剤の在庫管理ができるITツールを導入しました。
在庫情報をあらかじめ登録してデータ化しておくことで、電子カルテのデータと連動できます。
製薬会社からの納品から入荷までの情報も電子的に処理できるので、スタッフによる在庫管理の手間も減らすことができます。
在庫不足が防げるだけでなく、在庫が過剰な薬剤も調整できるので、薬剤を無駄にするリスクも減らせました。
ITツールによって、在庫数だけでなく、使用期限などの情報も管理できるので、使用期限切れで廃棄するリスクも減らせます。
・検査機器と電子カルテを連携
クリニックでは、レントゲンなどの検査も実施されていますが、患者の取り違えなどを防ぐことや検査部位や検査内容を間違えないよう、カルテとの綿密な照合などが求められます。
これまでスタッフが手作業で目視で照合を行っており、時間がかかっていました。
万が一のヒューマンエラーのリスクもあり、実際に組み合わせを間違えそうになったなどのヒヤリハットも発生してしまいます。
そこで、電子カルテの情報を各種の検査機器連携できるITツールを導入しました。
保険証の番号を通じて情報をつなぐことができるツールで、患者の治療履歴や検査結果などを自動的に連携できる仕組みです。
従来は、カルテと検査結果を毎回1つずつ照合していましたが、こうしたアナログ作業の手間を省けるようになりました。
さらに、レセプトともつなぐことができ、複数のITツールが保険証番号で一元管理できるシステムを導入したことで、入力ミスや転記ミスなどを防ぎ、スムーズなレセプト請求や会計ができるようになりました。
・持ち歩ける電子カルテ
地域で高齢者が増え、訪問診療のニーズが高まっています。
院外でも万全の体勢で患者対応ができるよう、ノートパソコンやタブレットで使える電子カルテシステムを導入しました。
カルテの電子化に加え、レントゲン写真などの過去の検査データなども連携させることができ、訪問先でもクリニックでの診察時と同じ情報を確認することができるようになっています。
これにより、自宅でも、より適切な治療やアドバイスなどを行うことができます。
訪問医療の現場では、近隣のクリニックが連携し合いながら、持ち回りで対応することも少なくありません。
持ち歩けて連携し合えるデータを使った管理で、より的確な訪問医療の提供が見込まれます。
まとめ
クリニックでは、人手不足の解消や業務のスピードアップが課題になっています。
医療の質を落とすことなく、より患者満足度の高いサービスを提供すべく、IT導入補助金を活用し、電子カルテ対応レセプトコンピュータや電子カルテと検査機器が連携するITツール、タブレットで使える電子カルテなどが導入されています。
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この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。