大企業社員が中小企業診断士になるという矛盾に見えるものとどう向き合えばいいか考えてみた
-
公開日:
大企業社員さんの多くは比較的勉強が得意で、中小企業に比べて残業も少なく、有給消化や育休制度もしっかりとしていることから中小企業で働く社員さんに比べて資格取得に有利で、実際に合格者の割合も結構高いイメージです。
その中で1年目は一種の社会見学のように楽しいものの、2年目以降独立を目指していないとどうしてもやりがいを見出すことができずに多くの人が資格のコミュニティから離れていく人が周りに多いです。
そもそも中小企業診断士がコンサルタントと言いつつ、なぜ中小企業向けなのかと言うと、中小企業を応援する「中小企業庁」がやっている中小企業支援事業なのだから確かに当たり前といえば当たり前のことではあります。
中小企業庁の意義をさーっと読むと、
「大企業偏重になりやすい社会の中で中小企業を応援し、大企業との格差を是正し日本経済の担い手とすることが求められている組織である」
と言うことを理解することができます。
と言うことは大企業である自社の利益に寄与することが求められる大企業社員さんにとってはそもそも矛盾となるので、活躍の場が少ないことは必然であることが理解できます。
では、
「その現実とどう向き合うべきか?」
となります。
では、少し例え話を考えながらこの矛盾に向き合って見たいと思います。
例えば、大企業所属の中小企業診断士さんが診断士活動を頑張ることは
ソフトバンクファンがパリーグ下位球団の選手を応援するようなもの
なのかもしれませんが、そもそもソフトバンクファンは野球自体が好きなのです。
そして、全選手が勝利と優勝を目指して頑張っている中で、共通目的は
「日本プロ野球を盛り上げること。」
に尽きるわけですので、
例えば、
小柄で頑張っている選手を見ると勇気が出てくるソフトバンクファンの少年が他球団の小柄な選手を応援することになんら矛盾は生じない
と思います。
そんな風に例え話を構築してみましたが、この例えには1点誤りがあって、
ファンはお金を払っているので自由だけど、社員さんはお金をもらっている側である
と言うことです。
ソフトバンク選手がオフの時間に下位球団の選手を支援していたら、とちょっとこの例えとは話が違ってきます。
一経営者としてはこのようなことは看過できません。
ただ、これも少し誤りがあります。
そもそも大企業vs中小企業の構図を作ったところで、同じ業界でなければ直接対峙することはありません。
例えると、
ソフトバンクホークスの選手が名古屋オーシャンズ(フットサルのチームです)を応援する
と言った交わりのない別のものになります。
長ったらしく何を言いたいかと言うと大企業と中小企業と言うのは競合でなければそもそも対立する存在でもありません。
新しい価値を見出し、大きく成長して大企業になってグローバルに戦っていける中小企業(未来の大企業)を増やすことが大企業とか中小企業とか関係ない、日本社会全体の課題なのかなあと思います。
つまり、前述の、「ソフトバンクホークス と 名古屋オーシャンズ」は全く関わりのない2つのチームですが
海外スポーツに負けない!
日本スポーツ界を盛り上げる!
スポーツで日本の地域経済に貢献する!
と言う共通目的を持った仲間でもあると言うことになります。
長ったらしくなりましたが、最後に話を「大企業で働く中小企業診断士さん」に戻します。
この一見矛盾する存在の方々はそれぞれ一人一人が
・社会にどんなインパクトを与えたいか
・何にチャレンジしたいか
・どうありたいか
と言うものに一貫したコンセプトを通すことで自身の葛藤と健全に付き合うことができるのではないか、と想います。
・大企業で働いている時の自分
・副業でたまに中小企業診断士として稼働する時の自分
・自己発信している時の自分
・読書している時の自分
これらそれぞれ分人化した自分が一貫した一つのビジョン・コンセプトを持って動けるようになれば、ほとんどの悩み・モヤモヤはなくなるかもしれませんし、副業がお小遣い稼ぎから周りから応援される何かに進化します。
僕であれば、昭和生まれ平成育ち、令和経営と言う世代として
停滞した日本の根本課題に少しでもアプローチし、
「こんな社会になれば日本はもっと良くなるよね」
と言う形をスモールビジネスで表現したい
という気持ちでいます。
40歳にもなると自分のキャパや可能性の限界がある程度見えてきますので
社会を変えることはできないけど自分でできる範囲内のサイズで表現することができればいいかな。
と折り合いをつけています。
その中で
ビジネスにワクワクする人を増やしたい
と言うコンセプトに落ち着きました。
ビジネスは面白いものなんだよ、と言うことに気付き、ワクワクしていられるための気付き・感性・知性・正しい知識・組織作りに少しでも寄与したいと言う気持ちを持って活動しています。
経営にしても、今後強化していく塾事業も、このような自己発信も全てこのコンセプトに沿って動いていけば、少しでも社会はよくなるし、日本経済の根本課題に自分なりに少しでも寄与できるのかな、と思っています。
別に社会関係なく、個人的なものだっていいと思います。
例えばメジャーリーガーの大谷選手が二刀流をやっているのだって、自分が挑戦したいからしているだけであって、誰かのためにやっているわけじゃなく、僕ら庶民が勝手に感動して勇気をもらっているだけです。
僕や多くの経営者は自己完結するコンセプトを作れないから社会課題につなげているだけで、後付けで社会貢献意欲がついてきているだけだったりします。
複数のタグを手に入れ、それが一見相反するものだった場合、相反しないように一つの共通目的・ビジョン・コンセプトで括って見ると次の行動のヒントにつながるかもしれません。
この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。