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これから中小企業診断士として生きていく人に向けて補助金支援の仕事について本気出して考えてみた

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2年間補助金支援・企業様・補助金に携わるコンサルタントの皆さんと向き合ってきて感じたことを長文で真面目に書いてみようと思います。

まず、私の経歴はというと、そもそもwebを通して伴走支援を行う事業を長年やっており、その中で2年前に補助金支援事業に新規参入しました。
補助金については弊社では事業再構築補助金の採択を約100社支援し、継続顧客も約100社いるので、ある程度補助金支援と伴走支援業務両方をフラットに語る資格があるかなあと思いますし、その経験をもとに語りたいと思います。

「補助金支援よりも伴走支援をしないといけない」

という声を良く聞きます。

「経営をよくする」

という使命を負う我々としては至極真っ当なことかと思います。

だからと言って”補助金支援よりもコンサルや伴走支援が上”という風潮で仕事に優劣をつけるのはいかがなものかなあと最近思うようになりました。

実際支援している人たちも、すごい大変な業務をやっているものの、
「この仕事は社会の役に立っているのか」
「いつ無くなるかわからないから不安」
「同業の人たちから尊敬されない」
といった感じで自己肯定感が高まず、売上高が増えるもののどこか不安を抱えている人が多いように感じます。

そもそも、この上に挙げた3つの要因について、考えなくちゃいけないのは

「いつ無くなるかわからないから不安」

これ一点のみで、それ以外については僕たちが自主的に考える必要がないものかと思います。

前述しましたが、そもそも僕は伴走支援とスポット支援両方とも大量に事業としてやってきて思うことは人の性格によって向き不向きが全く違うということです。

コツコツ長期的に同じ人と向き合って成果を挙げるのが得意な人もいれば、顧客を多く獲得して短期的に両者に利益をもたらすのが得意な人もいます。

前者の方が経営は安定すると思いますが、だからと言って前者の方が偉いわけではありません。
大型の新築一戸建てを売るのが得意な人とマンション経営が得意な人に優劣はありません。

そのあたり、同業の他人の稼ぎ方を見比べすぎるのにあまり意味がないのではと感じますし、個人的には長期伴走支援をするのが得意な人がお客様に伴走支援し、営業や短期的な成果を上げるのが得意な人にそれらの仕事を任せるのが本来の姿です。

例えば同じ士業で税理士業界で考えてみると、

・一般的な顧問税務系
・大型の税務コンサルを行う資産税務系
・個人向けの相続税系

に従事する方々がいますが多くは専門化しています。
彼らの中で仕事の優劣は特にないし、蔑み合っている訳でもないと思います。(内情はわからないですが)

一般的な顧問税務はいわゆる内科的アプローチ、伴走支援になり、資産税務の多くは短期的な外科手術のようなお仕事をおこなっている人が多いと思います。

要するに外科的手術のような仕事と内科的な仕事の間に優劣はなく、どちらも専門性を持ったプロであれば良いはずです。

中小企業診断士も一緒で、一回のディールで思いっきり高い金額を顧客・自社にもたらす仕事に特化することも大事だし、コツコツ長くお客様に伴走支援するのももちろん大事であり、そこに優劣はないんじゃないかなあと思います。

ただ、もちろん前述の資産税務コンサルタントや新築一軒家の営業マンと違い、

「需要が年度予算によって大きく変わってしまう」

という大きな脅威があります。

これについては「補助金に強い」という設計をするからそもそも起こる問題かと思います。

補助金はそもそも

・資金調達
・新規事業計画策定
・精緻な書類作成と書類提出支援

という3つの業務に分けられます。これら3つのお仕事は補助金の予算がどれだけ減っても無くなることはありません。

補助金のお仕事をそのように本来の目的に照らし合わせて、自分のポジションを考えていけば、自分のあるべき姿が少しずつ見えてくるのかと思います。

経営の伴走支援は重要なお仕事ではありますが、顧客である企業の経営者さん達の多くが求めているかというと、残念ながらそうではありません。
求められていればもっと売れるし、優秀な参入者がもっと増えるのが自由経済です。

できる経営者さんは自分でやるし、業績が良くない経営者さんは中長期的な伴走支援に価値を見出して積極的に探している人は多くありません。

だからこそ、そこにこだわりすぎる必要はないし、需要があるものを強みにしていくのはそもそも経営の基本です。

伴走支援するなら、経営支援よりも社員育成・集客支援・採用や人事関連・生産現場改善・IT活用など一個下にある戦術レベルの方がニーズに溢れています。

長くなってきましたのでそろそろ私見をまとめようと思います。

1.仕事の性質に優劣はない
2.短期型・中長期型どちらが向いているかはその人の性格次第
3.自分の性格に合っている方をやればいい
4.大きな問題は「予算がなくなる恐れがあること」
5.補助金の仕事の本質から自分の強みを探す
6.経営の伴走支援は重要だけどそもそも企業側のニーズが少なく、民民で受注しづらい
7.ニーズがあるものを仕事にするのが定石
8.個別の事業戦略や社員の育成などにはいくらでも伴走支援のニーズが溢れている

という感じでしょうか。
あとは個々でやりたいことをやればいいし、他人のビジネスなんてどうでもいいし、気にしなくていいし、気にする人を気にしなくていいと思います。

寝る間を惜しんで締め切りに向き合い、時にはお客様との間に齟齬が生じて怒られたり、途中でプロジェクトが頓挫したりしながら頑張っている皆さんは自分の仕事を誇りに持つべきだし、これから参入する人たちも性質を理解した上でやりたければやるべきだし、やりたいと思わない人はやらなきゃいいと思います。

多くの人が好きを仕事にし、ビジネスにワクワクする世の中で合って欲しいと思います。

この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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