健康診断を実施しない事業主には罰則あり!対象者や検査項目を紹介!
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従業員の健康診断を実施することは、事業主の義務であることを知っていますか?多くの会社で健康診断が実施されている一方で、従業員の人数が少ない中小企業では「会社の義務であることを知らなかった」というケースもあります。
この記事では、従業員の健康診断義務を果たすために知っておくべきことを紹介しています。ぜひこの記事を読んで、従業員の健康管理を行いましょう。
目次
従業員の健康診断実施は会社の義務
労働安全衛生法第66条に基づき、事業主は従業員の健康診断を実施しなければならないとされています。努力義務ではなく、「従業員の健康管理は必ず行わなければならない義務」とされていることに注意が必要です。この章では、健康診断を行わなかった場合の罰則を紹介します。
健康診断を実施しない場合は罰金や懲役の罰則あり
以下のように罰則が定められています。
・健康診断を実施しなかった場合:労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金
・健康診断を実施したが、第三者に情報が漏洩した場合:労働安全衛生法第104条により、罰金に加え6か月以下の懲役
このように、健康診断を実施しないことによる罰則は大きいです。万が一、懲役を科された場合、会社の経営が立ち行かなくなるおそれがあります。十分に気を付けましょう。
健康診断結果を報告する必要がある事業主も
常時50人以上の従業員を雇用する事業主は、健康診断結果を所轄の労働基準監督署に報告する義務があります。報告義務を怠った場合には、罰則の対象になりますので気を付けてください。
従業員に健康診断を拒否されるケースも
労働安全衛生法第66条5項によって「労働者は事業者が行なう健康診断を受けなければならない」と定められていますが、健康診断を拒否する従業員もいます。健康診断を拒否された場合においても、先に紹介した罰則の対象となりますので注意が必要です。
拒否をされないためにも、就業規則において「健康診断の受診拒否は懲罰対象になる」という規定を定めておくことをおすすめします。
健康診断を実施する対象者は?
健康診断を実施する対象者は、正社員のみではありません。本章では対象者を紹介しますので、従業員の中で対象となる人、ならない人を確認しておきましょう。
実施対象者には条件がある
健康診断を実施する対象者は次の通りです。
・常時使用する労働者
・契約期間が1年以上の労働者
・上記の条件を満たした労働者のうち、週の労働時間が正社員の4分の3以上
このように正社員のみでなく、条件を満たしたパートタイム労働者にも健康診断を実施する義務があるので、注意しましょう。
条件を満たさない者にも健康診断を行うことが
上記の条件を満たさない場合においても、週の労働時間が正社員の2分の1以上の労働者においては、努力義務として健康診断を実施することが望ましいとされています。従業員の健康管理をしっかりと行うことで、トラブルを防ぐだけでなく、従業員の企業満足度が高まり、人材定着率や生産性の向上が期待できます。条件を満たさない従業員に対しても健康診断を実施することがおすすめです。
実施すべき健康診断の検査項目は?
ひとことで「健康診断」といっても、検査項目は多岐に渡ります。どの程度まで健康診断を実施するべきか頭を悩ませることもあるかもしれません。本章では、実施すべき健康診断の検査項目を紹介します。
雇用時に行う健康診断の必須検査項目
労働安全衛生法第43条により、従業員を雇用する際に行うべきとされている健康診断の検査項目は、以下の11種類と定められています。
①既往歴及び業務歴の調査
②自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
④胸部エックス線検査
⑤血圧の測定
⑥貧血検査(血色素量及び赤血球数)
⑦肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
⑧血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセリド)
⑨血糖検査
⑩尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
⑪心電図検査
定期健康診断の必須検査項目
労働安全衛生法第44条により、1年以内に1回、定期的に行うべきとされている健康診断の検査項目は、以下の11種類とされています。ただし、※印のついた項目については、医師が必要でないと認めた場合に限り、検査を省略することが可能です。
①既往歴及び業務歴の調査
②自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③身長(※)、体重、腹囲(※)、視力及び聴力の検査
④胸部エックス線検査(※) 及び喀痰検査(※)
⑤血圧の測定
⑥貧血検査(血色素量及び赤血球数)(※)
⑦肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)(※)
⑧血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロー ル、血清トリグリセリド)(※)
⑨血糖検査(※)
⑩尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
⑪心電図検査(※)
特殊健康診断の検査項目
屋内作業場等における有機溶剤業務に常時従事する労働者など、有害な業務に常時従事する労働者に対しては、雇用時、配置替えの際および6月以内ごとに1回、特別な健康診断を実施しなければいけません。特殊健康診断の検査項目は、どのような業務に従事しているかによって異なります。ここでは一例を紹介します。
例えば、高気圧業務に従事している方は以下の検査を受けます。
①既往歴及び高気圧業務暦の調査
②関節、腰若しくは下肢の痛み、耳鳴り等の自覚症状又は他覚症状の有無の検査
③四肢の運動機能の検査
④鼓膜及び聴力の検査
⑤血圧の測定並びに尿中の糖及び蛋白の有無の検査
⑥肺活量の測定
健康診断の費用は全額事業主が負担する
健康診断の費用負担は全額事業主がします。ただし、必須項目とされている項目以外を従業員の希望で行う場合には、その費用負担は従業員です。
また、協会けんぽでは35歳以上の被保険者と40歳以上の被扶養者は、協会けんぽより健康診断の助成が受けられます。企業ごとにより加入している健康保険組合が異なるため、すべての健康保険組合で助成があるわけではありませんが、自社の加入している健康保険組合に助成があるか否か確認してみるとよいでしょう。
まとめ
従業員の健康診断にかかわる重要な事柄を紹介しました。この記事のポイントは以下の3つです。
・従業員の健康診断を行わなかった事業主には罰則あり
・対象者は正社員だけでなく、パートタイムやアルバイト労働者も該当する
・健康診断費用負担は全額事業主
この記事で紹介したポイントをおさえて、企業全体の健康管理に努めましょう。この記事が企業運営のお役にたてば幸いです。
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この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。