【ものづくり補助金】採択後の流れを徹底解説!
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中小企業が機械装置類を導入したりシステム構築を行ったりしたい時に利用できる「ものづくり・商業・サービス補助金」(以下「ものづくり補助金」)。経費の1/2もしくは2/3を最大2,250万円まで(グリーン枠は最大5,000万円、グローバル市場開拓枠は最大4,000万円まで)補助してもらうことのできる、人気の高い補助金です。
必要書類をそろえて申請し、無事に採択!という嬉しい結果になっても、それだけでは補助金を受け取ることはできません。「採択」は「補助金が申請通り満額交付されることが決定した」ということではなく、「補助金交付候補者」になったという事実に過ぎないのです。
今回は、ものづくり補助金で採択され、「補助金交付候補者」になった後の流れについて解説します。
目次
採択発表後の流れ 約6年かけて報告が必要!
採択発表後も、ものづくり補助金とは約6年に渡り関わることになります。採択後の全体的な流れは下記の通りです。
1.「交付申請・交付決定」単価50万円以上の費用には相見積書の取得が必要!
「交付申請」とは、「交付決定」を受けるための手続きのことです。
ものづくり補助金において、交付申請から交付決定までの所要期間は約1ヶ月程度です。
交付申請では、事業内容や補助対象経費の精査が行われます。事業内容・補助対象経費の修正を行ったり、提出書類の修正や再提出を求められたりしますが、公募要領に沿わないことが判明した場合、交付決定に至らないこともあります。
交付申請は、補助金の応募申請時にも使用したgBizIDを使用し、jGrantsと呼ばれるシステムで行います。
提出書類は下記の通りです。
提出資料 |
内容 |
①現況確認資料 |
法人:履歴事項全部証明書(交付申請日より過去3ヶ月以内に発行されたもの) 個人事業主:確定申告書(第1表)の写し ※応募時提出分が直近のものである場合は不要です。 |
②申請内容ファイル |
電子申請システムからダウンロードするExcelファイル ※ダウンロード期限があるため、早めにダウンロードする必要があります。 ※応募時に電子申請システムに入力した内容が反映されています。変更・修正を反映し、提出します。 |
③見積書 |
単価50万円(税抜き)以上の費用:2者以上から同一条件・同一仕様による相見積書を取得 ※「○○一式」等、内訳が不明なものは不可 ※交付申請日に有効であることが必要 ※税抜き価格の表示があること |
最も大変な作業は、相見積書の取得です。「同一条件・同一仕様」、「『〇〇一式』等、内訳が不明なものは不可」という規定を守っていない相見積書は、交付申請が差し戻される原因となります。相見積書取得の際は、十分注意することをおすすめします。
2.「補助事業実施」発注・契約は必ず交付決定後に!写真撮影も忘れずに!
交付申請が認められ、交付決定が降りてから、補助事業を開始することができます。つまり、補助事業に関する契約や発注を開始できるのは、交付決定後ということになります。交付決定前に契約や発注を行ってしまうと補助対象外になってしまい、せっかく採択されても補助金を受け取ることができなくなってしまうのでご注意ください。
補助事業実施期間内に行うこと
補助事業実施期間内に行うことは、「発注・契約・納品・支払・効果の検証」です。このすべてが完了したもののみが補助対象となります。
補助事業実施には期間が定められています!
補助事業は、通常枠・回復枠・デジタル枠・グリーン枠では交付決定から10ヶ月以内(ただし採択発表から12ヶ月以内)、グローバル市場開拓枠では交付決定から12ヶ月以内(ただし採択発表から14カ月以内)の期間内で実施します。
補助事業実施の注意点は?
補助事業実施の注意点は下記5点です。
①事業計画書に沿って行うこと
補助事業は原則、交付決定時の事業計画書に沿って行う必要があります。
事業計画書の内容とは異なる事業を実施した場合、補助金を受け取ることができなくなってしまいますので、事業計画書に沿って事業を実施してください。
②購入した機械装置等は補助事業実施場所で保管すること
補助対象経費として申請し、購入した機械装置類は、事業計画書に記載した補助事業実施場所で保管しなければなりません。外注先や共同研究先などで保管することは認められておりません。
③銀行振込にて支払いを行うこと
代金等の支払いは原則、銀行振込のみ認められています。他の取引との相殺払い、手形(裏書譲渡を含む)、小切手、ファクタリング、事業期間内に契約が完了しない割賦による支払いは一切認められません。
必ず銀行振込にてお支払いし、振込金受取書を伝票類と一緒に保管してください。なお、振込手数料は補助対象となりません。
現金やクレジットカード払いによる支払いも認められませんが、10万円未満の少額の支払いについては、事前に事務局に連絡があった場合に限り、認められることもあります。
また、他との混合払いは行わないようご注意ください。
④ラベルを貼付すること
機械装置、原材料などの補助対象物件には、管理No.を記載したラベルの貼付が必要です。管理No.は、実績報告時に作成する費目別支出明細書と一致させます。
(出展:ものづくり補助金 補助事業の手引き 14次締切)
⑤写真を撮影すること
納品時、設置時、事業実施等、様々な状況の写真の撮影を必ず行ってください。
実績報告書の添付資料として提出が必要となりますが、納品時などの写真は後で撮り直すことができませんので、忘れないように十分注意する必要があります。
写真は、対象物の全体がわかるように撮影します。量の多いものは数量や個数が分かるようにすべて並べて撮影してください。機械装置の特別な付属品等がある場合は、それらの写真も必要です。
システム構築の場合は、取扱説明書やシステム使用時の主な表示画面のキャプチャーをご準備ください。
途中、「遂行状況報告書」の提出が必要なことも
「遂行状況報告書」とは、補助事業実施期間中に途中経過を事務局に提出するものです。
交付決定を受けた日の属する月の翌月から、3か月後の末日が報告の基準日となります。
ただし、報告の基準日の時点で事業が完了しており、実績報告書を提出済みの場合は、遂行状況報告書の提出は不要です。
報告が必要な時期が来た場合、事務局よりメールが届きますので、jGrantsより提出を行います。
3.「実績報告」補助金受取まであと一息!
設備を導入・設置しただけでは、補助対象となりません。
生産プロセスの改善を図る事業計画などは、導入後にどの程度改善につながったかを事業実施期間内に検証し、実績として事務局へ報告する必要があります。
実績報告に必要な書類
実績報告には下記の書類が必要です。
・補助事業の具体的内容とその成果を記載した「実績報告書」
・実際に購入した機械装置等に関する費用(支出)の証憑書類
これらの資料一式を「実績報告資料」と言い、Word、Excel、PDFなどの電子ファイルにて提出します。
実績報告資料は、定められた名称のフォルダーを「ドキュメント」などのパソコンの保存領域に作成し、その中に必要な資料(電子ファイル)を収録して提出します。
主な資料は下記の通りです。
資料名称 |
主な記載内容 |
実績報告書 |
補助事業の具体的内容とその成果 |
取得財産管理台帳 |
取得した財産のうち、単価50万円(税抜)以上の機械装置や構築したシステムなど |
預金出納帳、現金出納帳 |
補助事業に要した経費の出納状況 |
通帳コピー |
上記経費の出金状況を確認できるもの |
費目別支出明細書 |
機械装置・システム構築費に関する支出の明細 |
見積書、注文書 |
取得した機械装置等の見積書、注文書などの経理証拠書類、取得財産の納品時・組込および設置時等の写真 |
「2.補助事業実施」で解説した「納品時、設置時、事業実施等、様々な状況の写真」は、この時に提出します。忘れないよう、必ず撮影を行ってください。
実績報告書の提出期限は?
実績報告書の提出期限は、下記のうちいずれか早い日までとなります。
・補助事業完了後から起算して30日を経過した日
・交付決定通知書記載の補助事業完了期限日
実績報告資料の提出方法
実績報告もjGrantsを使用して提出しますが、提出書類が多いため、担当の地域事務局において実績報告資料の事前確認を実施します。
そのため、実績報告資料の作成完了後は、担当地域事務局へ連絡し、電子メールにより送付することになります。
担当地域事務局が実績報告資料の内容を確認し、必要があれば修正を行います。
jGrantsからの正式な報告は、地域事務局による事前確認の完了後に行うこととなります。
4.「確定検査」事業実施場所を訪問されることも!?
確定検査とは、事務局が「実績報告書」を受領後に、書類の内容を検査するものです。
機械設備等の入手・支払、補助事業の成果等を実際に確認するため、事業実施場所を訪問することもあります。
検査の結果、補助事業以外に支出したものや、機械装置等で補助事業以外に使用している事実などが確認された場合、補助対象とならない場合もあります。
確定検査の結果、問題が無ければ補助金の額が確定されます。
事務局からjGrantsによって「補助金確定通知書」が送付されます。
5.「精算払請求・補助金受取」採択発表から早くても数カ月後、ようやく補助金が振り込まれます!
「補助金確定通知書」を受領したら、jGrantsより補助金の請求を行います。これを「精算払請求」と呼びます。
精算払請求は、補助金の額の確定後でなければ行うことができません。jGrantsにて振込先口座情報を入力すると、全国中小企業団体中央会より指定された振込先口座に入金されます。
この時、ようやく補助金を受け取ることができます。
6.「事業化状況報告(5年間/計6回)」補助金を受け取った後も約5年間の報告が必要!
事業化実績報告とは
補助金を受け取った後にも、約5年間に渡り、「事業化状況報告」をしなければなりません。
事業化状況報告では下記5点を報告します。
①「事業化状況・知的財産権等報告書」
②「事業化状況等の実態把握調査票」
③「返還計算シート」
④直近の損益計算書(知的財産権の報告の場合、交付決定から報告対象年度終了時点までの損益計算書)
⑤賃金台帳(補助事業実施場所に勤務する全従業員の賃金台帳、事業場内最低賃金となっている従業員の賃金台帳)
また、補助事業の成果を活用し、販売や知的財産権の取得により収益が出た場合、補助金額を上限として補助金の一部の収益納付を求められます。
さらに、給与支給総額や事業場内最低賃金の増加目標が達成できていない場合、補助金の返還を求められます。
報告が未入力、または完了ボタンが押下されていない状態である場合にも、達成・未達成の判定が不可能なため、補助金返還を求められる対象となります。
事業化状況報告はいつ行うの?
報告期間は毎年4月1日~5月31日の2カ月間で、1回目の報告時期は補助金額が確定した時期により異なります。補助金額確定時期が2月28日までであればその年の4月1日より始まり、3月1日~翌2月28日であれば、翌4月1日に報告開始時期が始まります。
事業計画年数に関わらず5年間で計6回の報告が必要です。
【例】令和6年2月末日までに補助金が確定した場合
報告回数 |
報告対象期間 |
入力期間 |
1回目 |
交付決定日~令和6年3月31日 |
令和6年4月1日~5月31日 |
2回目 |
令和6年4月1日~令和7年3月31日 |
令和7年4月1日~5月31日 |
3回目 |
令和7年4月1日~令和8年3月31日 |
令和8年4月1日~5月31日 |
4回目 |
令和8年4月1日~令和9年3月31日 |
令和9年4月1日~5月31日 |
5回目 |
令和9年4月1日~令和10年3月31日 |
令和10年4月1日~5月31日 |
6回目 |
令和10年4月1日~令和11年3月31日 |
令和11年4月1日~5月31日 |
まとめ
今回は、ものづくり補助金の採択後の流れについて解説しました。「採択」は申請通りの補助金額の交付を約束するものではありません。定められた手続きを滞りなくすべて行うことによって受け取ることができ、受け取った後も約5年に渡って事業化状況報告が必要です。
採択決定以降も煩雑な手続きはありますが、それを乗り越えれば最大2,250万円まで(グリーン枠は最大5,000万円、グローバル市場開拓枠は最大4,000万円まで)の補助金を手にすることができます!最後まで手続きや報告を行い、補助金を受け取りましょう!!
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この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。