【ものづくり補助金】年率平均の計算方法とは?徹底解説!
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ものづくり補助金の基本要件には賃上げの要素が含まれていますが、年率平均、といった、普段聞きなれない単語が見受けられます。本コラムでは、ものづくり補助金の概要、及び年率平均の計算方法について解説します。
目次
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)について、ものづくり補助金ホームページに以下のような記載があります。
“ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです”
つまり、今後起こりうる様々な環境の変化に対し、機敏に対応しようとする中小企業の前向きな投資をバックアップする補助金であると言えるでしょう。
ものづくり補助金は事業再構築補助金同様、公募要領に沿って申請手続きを行う必要があります。申請枠は複数ありますが、お問い合わせの多い「通常枠」の概要は以下の通りです。
項目 |
要件 |
概要 |
革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援。 |
補助金額 |
【従業員数 5 人以下】100万円~750万円 【従業員6~20人】100万円~1,000万円 【従業員21人以上】100万円~1,250万円 |
補助率 |
1/2、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者(※)2/3 ※1小規模企業者・小規模事業者は、常勤従業員数が、製造業その他・宿泊業・娯楽業では20人以下、卸売業・小売業・サービス業では5人以下の会社又は個人事業主を指します。 補助率は2/3ですが、補助金交付候補者として採択後、交付決定までの間に小規模企業者・小規模事業者の定義からはずれた場合は、1/2に変更となります。また、交付決定後における従業員数の変更も同様であり、確定検査において労働者名簿等を確認しますので、補助事業実施期間終了までに定義からはずれた場合は補 助率2/3から1/2への計画変更となります。特定非営利活動法人は、従業員が20人以下の場合、補助率が2/3になります。 |
補助対象経費 |
機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費 クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 |
この通常枠のほかに、「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」「グローバル市場開拓枠」の4つの申請枠があります。
ものづくり補助金の基本要件
ものづくり補助金の「基本要件」は以下の通りとなっています。
<以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定することが必要>
(1)事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。
(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
(2)事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする。
(3)事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。
付加価値額(ここでいう付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費)の成長を求めるのは事業再構築補助金と同様ですが、給与支給総額や、事業場内最低賃金の増加を要件としていることから、ものづくり補助金は「賃上げ」を意識した補助金であると言えると思います。
さて、ここで皆さん、「年率平均」って、どうやって計算するの?という疑問が湧いたのではないでしょうか? 以下に解説します。
年率平均の計算方法
普段、「年率平均」という単語自体、あまり耳にしないと思います。ご存じの方は、いわゆるCAGRのことか?と思われるかもしれません。
ではこの年率平均、どのように計算するのが正しいのでしょうか?わかりやすくするため、給与支給総額を例にとり、基準年度の給与支給総額を100として、以下に事例を示します。
いかがでしょうか。
例①
例①は、いわゆる「複利的な考え方」です。1年後は基準年度の給与支給総額を1.5%増額、2年後は1年後の給与支給総額を1.5%増額・・・といった計算を繰り返していくものです。
例②
一方、例②は、5年後の給与支給総額は107.5となっていますが、それまでの間の給与支給総額の上昇幅にはばらつきがあり、基準年度から1年後に至っては、給与支給総額が全く上がっていない状況でした。しかし結果的には、5年間の平均では7.5÷5=1.5となっています。これはどちらが正しいのでしょうか?
結論としては、①②ともに要件を満たしています。最低限、②の状況であれば、ものづくり補助金の基本要件における「給与支給総額」の基本要件は満たしているということになります。
同じように、付加価値については「事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加」という要件があります。年率ですので、3年計画だと9%以上の向上、5年計画だと15%以上の向上が必要、ということになります。
なお、「給与支給総額」の増加目標が未達成の場合には、以下の措置が講ぜられます。
給与支給総額の増加目標が未達の場合
・補助事業を完了した事業年度の翌年度以降、事業計画終了時点において、給与支給総額の年率平均1.5%以上増加目標が達成できていない場合は、導入した設備等の簿価又は時価のいずれか低い方の額のうち、補助金額に対応する分(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)の返還を求めます。
ただし、
・付加価値額が目標通りに伸びなかった場合に、給与支給総額の目標達成を求めることは困難なことから、給与支給総額の年率増加率平均が「付加価値額の年率増加率平均/2」を越えている場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金の一部返還を求めません。
・給与支給総額を用いることが適切ではないと解される特別な事情がある場合には、給与支給総額増加率に代えて、一人当たり賃金の増加率を用いることを認めます。
上記の通り例外規定はありますが、給与支給総額の年率平均1.5%以上増加目標が達成できない場合、たとえ採択されていたとしても、のちに返還を求められる可能性があります。なおこれは付加価値においてもほぼ同様です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。当社、アクセルパートナーズは、ものづくり補助金について100社以上の支援、採択された実績がございます。応募申請だけでなく、その先の交付申請、実績報告といった手続きのサポートまで、サービスメニューをご用意しております。
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この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。