経営計画とは。経営計画書を作るメリットと効果的な活用方法
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経営計画という言葉を聞いて、皆さんどんなことを思いますでしょうか
ポジティブに捉える方は少ないのではないでしょうか?
そもそも経営計画というのはどんなものなのかご存知ない経営者さんや作ったことない経営者さんも多いかと思います。
また、
「経営計画を作ったけどどう活用したら良いかわからない。」
「大変だったけどメリットがわからない」
「融資や補助金の時に作ったけど全く見ていない」
という人も多いのではないでしょうか?
アクセルパートナーズは経営計画の作成と効果的な活用を強くお勧めしていますので、そんな風に有効活用できていない会社様に向けて、どんなメリットがあり、どんなものを作ってどのように運用していくべきか、財務知識がない方向けに極力わかりやすく説明したいと思います。
目次
そもそも経営計画って何?
そもそも経営計画が何かわからない方向けに説明したいと思います。
経営計画とは会社の経営目標を定量的・定性的に設定し、それを達成するための行動計画を明文化することです。
経営計画を立てることで目指す方向性と数字を全体で共有し、現実とのギャップを埋めていくための計画になります。
未来の売上や原価、経費の大まかな数字、必要な設備投資、借入金の返済金額、現預金の計画を策定することで適切な意思決定を行うことができます。
また、決算書に記載される数字だけでなく、事業部別・製品別の売上や客数・客単価・離反率・会員数・webサイトのアクセス数など決算書に記載されない数字の目標などを記載すると効果的です。
数値だけでなく、未来の組織図、社員教育の目標、地域No1、社長の夢など数値で表しづらい定性的な計画も重要になります。
経営計画にはどんなものがあるの?
経営計画は期間に合わせて、長期経営計画、中期経営計画、単年度経営計画に分かれます。
弊社では5ヵ年の中期経営計画と単年度経営計画の2本を基本的に運用しております。
中期経営計画について
中期経営計画はおおよそ5年間の計画を大まかに作成する計画のことを言います。
5年後のことは誰にもわかりません。
また、毎年計画通りに進むわけではありませんので、その年の数字に応じて毎年メンテナンスしなければいけませんので中小企業が中期経営計画を精密に作り上げてもあまり効率的とは言えません。
そのため、中期経営計画の数値はある程度大まかに作成する形で大丈夫です。
どちらかといえば、数字の正確性よりも会社の目指すべきビジョンや5年後のなりたい姿を意識して、それに向かった計画にすることが求められます。
また、5年後となると、経営者や従業員さんの年齢・ライフステージ・キャリアも大きく変化します。
会社によっては事業承継や権限委譲も意識しなければいけませんし、組織図も大きく変わる可能性があります。
商品によっては5年後需要がなくなっているものもあるかと思います。
そのような外部・内部の変化を意識して作成することが重要になります。
単年度経営計画について
単年度経営計画はその名の通り1年間の経営計画を指します。
よく、会社のお金を使う時に「予算」という言葉が出ますが、この「予算」というのが単年度経営計画で設定されているケースが多いです。
単年度経営計画はその年の会社の行動計画を決める重要な指針となります。
・いくら売りたいのか
・いくら売らないと経営が揺らいでしまうのか
・経費をいくら使って良いか
・いつまでに何人採用しないといけないか
・売上目標を達成するために広告宣伝費はいくら必要か
など、売上・経費を正確に積み上げることあ求められます。
この数字が低すぎても高すぎても士気に関わりますので、経営者としてのセンスが求められます。
思いっきりジャンプしてギリギリ届くか届かないか、というような高めの計画が効果的です。
以下、2つの経営計画をまとめました。
中期経営計画 | 単年度経営計画 | |
期間 | 5ヵ年位 | 1年 |
役割 | 5年後のなりたい姿を具体化することで、会社の進むべき方向性を定め、埋めるべき現実とのギャップを見える化して実現性を高めること | ・期中に場当たり的な対応をしないためにも、予め予算設定をして予算に合わせて人・モノ・金を適正に配分すること ・毎月計画と実績のズレを確認し、ズレに対して迅速に対応すること |
意識するべきポイント | 5年後の市況変化や社長・幹部の年齢、組織図、従業員人数、返済計画、キャッシュなどを意識した計画に |
・モチベーション向上につながる目標設定 |
精度 | 大まかな数値計画 | 1か月単位の正確な計画 |
経営計画を作るメリット
次に経営計画を作るメリットについてです。
ある程度時間をかけて作る以上時間コスト以上のメリットがなければやる意味がありません。
実際に運用しないのであればあまり意味がありませんが、しっかりと作れば会社の成長に大きな影響を与えます。
経営計画を作らずにどんぶり勘定をしていると今は良かったとしても急な不景気や大口顧客の離反など外部環境の変化に対応することができなくなってしまいます。
効果的に運用することを前提に経営計画のメリットを挙げてみました。
1.目標設定により、やるべきことが明確になる
高い目標・計画を掲げないとつい怠けてしまうことがあります。
「前年を超えてるからOK。」
「前年下回ってるけど利益出てるし、みんな頑張ってるし。」
等、数値的根拠がない及第点に甘えていたら会社の成長を阻害してしまいます。
適切な目標と適切に向き合い、それを達成させるために努力をしていくことが必要になります。
例えば、今年の売上計画が前年対比130%だったら、今までと同じやり方でやっていたら達成することはできません。
130%という高い目標を立てることで、今まで考えてこなかったことに意識がいき、新しいことにチャレンジするきっかけになることもあります。
2.社長の自由を奪う
社長から見たらメリットに見えないかもしれませんが、会社・ステークホルダーから見たら大きなメリットになる可能性があります。
また、社長にとってもきっと大きなメリットになると思います。
例えば、ライザップを思い浮かべてもらうとわかりやすいかもしれませんが、あれはまさしく
「高い目標を達成するためにお客様の自由を奪う」
商品です。
中小企業にとって経営者様の想いが会社の推進力を決めることが多いですが、逆に言えば想いが数字・顧客のニーズ・実現可能性と乖離してしまうことも多いです。
また、コンサルタントへの発注ニーズの一つとして
「社長にアドバイスしてくれる人が欲しい」
というものがあります。
経営者様が自由に動きすぎないためにも経営計画というものは大きな効果をもたらします。
3.未来の売上に合わせた計画的な採用計画を作れる
多くの中小企業にとって最も重要な経費は人件費です。
その中で、頭を悩ますのが
「未来の売上は不透明なのに人件費は雇ったら新人の頃から固定費であり基本的に上げていかなければならないこと」
だったりすると思います。
だからこそ中小企業はギリギリの人数で運営し、離職が出たときに不足分を補うことが多いです。
ただ、基本的に求人を出して採用が決まり、教育をして1人前になるまでに結構な期間を費やします。その間既存社員さんやお客様に負担がかかってしまいますので、それによって成長を止めてしまっていることが多いです。
売上計画を立てその数字を達成する精度を高めることができれば、未来の売上が確かなものになります。
そうなれば、不足分を補う採用から売上計画に合わせた採用に切り替えていくことができます。
それにより、既存社員さんの負担軽減・従業員満足ど向上にも繋がり、会社が成長して行きます。
4.緊急ではない・重要なto doが明確になる
会社というのは徐々に少しずつ悪くなったりするものです。
当月の売上不振は大体当月の問題ではなく、少し前に行ったことが時間をおいて顕在化したものが多いです。
以下重要度と緊急性で一例を挙げてみました。
緊急性低い | 緊急性高い | |
重要性高い | ・アタックリストの確保 ・教育 ・客単価改善 ・webのアクセス数 ・SNSやブログの更新 ・提案資料の改善 etc |
・当月の売上確保 ・お客様対応 |
重要性低い | / | ・間接的な事務作業 |
経営において「重要だけど緊急性が低いもの」をどれだけKPI設定し、取り組んでいけるかが大きな鍵となります。
未来の経営計画を見える化することで、「重要だけど緊急性が低いもの」に取り組むアクションプランを立てやすくなります。
5.必要な販売促進費が明確になる
売上計画を達成するために想いや行動が大事ですが、それだけでは達成できません。
販売促進費を適切に活用することで初めてうまくいきます。
適切に活用するためには、「今月売上が足りない!なんとかしなければ!!」といった場当たり的な使い方では無駄にお金を垂れ流してしまいますし、現場も疲弊します。
3ヶ月・半年後の計画を考えて計画的に予算を策定して、活用していくことで初めて有効活用することが可能になります。
6.従業員満足度向上・離反防止につながる
場当たり的な経営をしていると従業員さんは疲弊してしまいます。
特に、根拠のない売上目標を立てて未達成を叱っているだけでは従業員さんは離れていってしまいます。
また、売上計画は前年よりかなり数値なのに従業員さんの補充がなければ、利益は伸びますが従業員さんとお客様に負担がいってしまいます。
結果、従業員さんの離職を招き、それにより更に負担をかけ、場当たり的に採用し、教育をしないまま現場に出してしまうことで、負のスパイラルが続いてしまいます。
売上と経費の計画をしっかりと立てることで従業員さんが安心して働くことができるようになります。
7.従業員のモチベーション向上につながる
従業員さんが安心して働ける環境を用意したら、次はモチベーションの維持向上が重要になります。
適切な経営計画の作成と運用はモチベーション向上にも貢献します。
しっかりと論理立てた、高い目標を設定することで従業員さんは目標と健全に向き合い達成意欲を高めることができるようになります。
8.金融機関との関係が良好になる
会社の成長において、金融機関と良好な関係を築き適切に借入をすることで会社は成長していきます。
計画を立てずに数字・お金に無頓着な社長では融資する側も不安になります。
きちんとした経営計画を立て、社長の頭の中におおよその数字と期中のズレ、今後のアクションプランが入っている状態であれば、たとえ少し売上が下がりキャッシュに不安がある状態であっても融資を実行しやすくなります。
金融機関から信頼される会社になるためには経営計画に沿った経営を行い、決算書をきれいにしていくことを目指していくべきかと思います。
9.会社の危機にいち早く気づくことができる
毎月計画と実績のズレをチェックしていなければ、会社の危機に気づくのが遅れてしまいます。
例えば黒字であってもキャッシュが減っていってしまう状況もありますし、どんぶり勘定ですと売上が上がっていても全然利益が出ていなかったりすることもあります。
また、数字を細かくチェックする癖をつけることでその他様々な異変に気づくことができるようになります。
10.お金の使い過ぎを防げる
経営計画を作成することで、接待交際費や交通費、広告宣伝費、外注費など、様々な変動費を計画通りに活用することができるようになります。
売上計画と各経費の割合を適切に設定することで適切な予算を立てることができ、売上が思うように上がらない場合は、それに合わせて適切に下方修正することができるようになります。
こちらはあくまで一例となります。
運用方法によっては他にも様々なメリットを創出することができます。
経営計画はどんなものを作るべきか
経営計画のは基本的には決算書に記載されている売上・費用の計画を立てていく数値計画が中心になります。
ただ、数値計画だけですと、「どうやって実行するのか」を落とし込むことができません。
そのため、財務面だでなく、以下のようなものを立てると効果的になります。
・達成したいビジョン
・組織図
・従業員数
・事業承継の計画・幹部育成の計画
・○年後の会社のあるべき姿
・新規事業・支店などの出店計画
・業界シェア・ポジションなど、外部から見た姿
・その他計画達成のために考えるべき様々なこと
経営計画の作り方
経営計画は基本的に外部のコンサルタントと一緒に作り上げることをおすすめします。
外部コンサルタントに丸投げしてもうまくいかないし、一人で作っても非常に難易度が高いです。
外部コンサルタント丸投げですと、きれいな経営計画はできるかもしれませんが、想いが込められないので運用されずに机の中にしまわれてしまうことが多いです。
だからといって一人で精度の高い経営計画を作るには財務知識が必要になりますし、なんといっても他人とシェアしないことで、ついつい甘えてしまいます。
適切な知識や経験を持った外部のコンサルタントとともに作り、できれば一緒に作成したコンサルタントとPDCAを回していくことで経営計画を活かすことができる可能性が高まると弊社では考えています。
経営計画を作る時の注意点
経営計画を作る時の注意点としては、「高すぎず低すぎない目標を立てないこと」かと思います。
従業員さんは誰しも給与が上がってほしいと思っていますし、加齢とともに生活コストも上がっていきます。
また、物価は緩やかに上がっていきますので、基本的に企業は成長し続けなければいけません。
その中で前年を超えない計画や、今まで通りやっていれば達成できてしまう目標では適切に企業を維持していくことはできません。
逆に高すぎる目標ですと、従業員さんのモチベーションが上がらずに、経営者さんから見ても「絵に描いた餅」となってしまい経営計画が意味のないものになってしまいますので要注意です。
売上計画の一つの目安としては
・前年から110%増以上を目指す
・前年クリアは必須条件
・現預金が増えていく計画を立てる
と顧問先さんにお伝えしています。
上位売上計画を立てた状態で、それを達成するための
・採用計画と人件費
・組織図と管理職育成
・広告宣伝費
・その他販売管理費
・売上原価
・IT投資
・研究開発
・新規事業や新市場開拓
・借入計画
を計画していきます。
経営計画の効果的な運用方法
次に経営計画の効果的な運用方法について紹介します。
経営計画の運用は基本的に毎月のPDCAが重要になります。
そのためにも毎月の試算表作成・月次決算が不可欠です。
もしも計画と大きなズレが生じていれば、急いで対策を練らなければいけません。
経営計画と実数値が大きくずれた場合の対応
では、経営計画と実数値が大きくずれてしまった時の対応について説明いたします。
まず、上にズレた場合は上方修正すればよいと思いますが問題は売上や利益が下に大きくズレてしまった時の対応です。
まずは売上アップに向けた様々な取り組みを思案することになります。
効果的な施策を行うためにはまずは原因の特定が不可欠となります。
その上で、
・原因を改善できるのか
・原因の改善ができないため、他の施策で補填するのか
を考えることが重要になります。
また、いきなり”利益の向上”と考えると有効的な施策は浮かびづらいです。
(見込み顧客へのリーチ数 × 成約率 × 商品単価 × 買上点数 × 購入頻度)ー原価
と分解した上で、それぞれどれにリーチできるか考えていきます。
それでも補填が難しいようであれば無駄なものから経費を削減していったり資産の売却といった決断をなるべく早く行うことで傷を埋めることが必要になります。
数字はナマモノですので対応するのが遅くなるとその分リカバーが難しくなります。
まとめ
いかがでしょうか。
経営計画は会社を適正に運営していくために欠かすことができない羅針盤です。
経営計画を適切に作成し、適切に運用することで会社は大きく成長することを弊社でも実践した結果実感しています。
一人で作成・運用することができないという方は、アクセルパートナーズまでお気軽にご相談ください。
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補助金の対象になるのか、事業計画から相談したい等
お客様のお悩みに沿ってご提案をさせていただきます。
まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。