【2025年】令和6年度補正予算案から見る補助金制度の変更・新設と利用時のポイントを解説
-
公開日:
2024年12月6日に経済産業省から令和6年度補正予算案における、中小企業や小規模事業者予算の内訳情報が公表されました。本記事は予算概要の重要ポイントをまとめつつ、中小企業や小規模事業者の皆様と関連の不快補助金制度の変更・新設された点について解説します。
目次
令和6年度補正予算案概要の重要ポイント
まずは令和6年度補正予算案の概要をおさえましょう。中小企業が事業を行う際に注目すべきポイントを中心に、簡単に解説します。
日本経済・地方経済の成長
日本や地方の経済成長のために、以下の取り組みを行います。予算規模は2.8兆円、GX関連は3,400億円です。
賃上げ環境の整備(5114億円)
中小企業の生産性向上や中堅・中小企業の成長投資支援を行います。
後述する補助金の活用や、中堅・中小企業の大規模投資を促進することで、地方における持続的な賃上げが、取り組みの目標です。
新たな地方創生施策への展開(736億円)
以下の支援を行います。
- ・地域の移動課題対応や物流効率化
- ・大阪・関西万博の推進
- ・自動運転サービスの開発や実証支援
- ・デジタルライフライン整備の加速化
このほか、物流の2024年問題への対応として、複数企業が連携する物流効率化支援も実施します。
投資立国の実現(2兆2614億円)
以下の事業への投資やその促進を行います。
- ・半導体やAIなどのデジタル
- ・再生エネルギー・蓄電池などのGX促進
- ・量子・宇宙・バイオなどの成長分野
あわせて、ポスト5G情報通信システムや先端半導体の開発実証・国内生産拠点の確保などの支援も対象です。
これまでの取り組みに合わせ、以下の活動も行います。
- ・再生エネ導入拡大・地熱資源開発・エネルギー安定供給確保・CCS事業の普及・拡大などのGX関連投資
- ・量子コンピューター・宇宙開発・再生医療等成長分野への投資
- ・スタートアップ支援・地域大学を核とした産業集積の形成などのイノベーション
- ・介護・医療・デジタル分野の人材育成や社会課題解決サービス開発の支援
- ・重要鉱物のサプライチェーン多角化・安定化・経済安全保障の確保などの支援
- ・グローバルサウス諸国との連携強化・対内直接投資促進など
物価高の克服
物価高による負担軽減や、エネルギーコスト上昇に強い経済対策を実現することを目標とします。予算規模は1.6兆円程度、GX関連は2,000億円とされています。
足元の物価高に対するきめ細かい対応(1兆3,518億円)
- ・燃料油価格激変緩和対策
- ・電機・ガス料金負担軽減支援
燃料油の卸価格抑制を通して小売商品などの価格が急騰するのを防ぐのが目的です。家庭で電気飼料用が最も大きい冬期の電気代やガス代を支援します。
エネルギーコスト上昇に強い経済政策の実現(2,724億円)
- ・省エネルギー投資促進
- ・クリーンエネルギー自動車普及支援
- ・高省エネ性能設備への更新や中小企業への省エネ診断
- ・家庭における高効率給湯機導入支援
- ・電気自動車や燃料電池自動車の購入費補助
- ・充電・充填インフラ整備支援
これらの支援を行うことで、物価高克服を目指します。
国土強靭化、防災・減災など国民の安全・安心を確保
予算規模は1,800億程度で、以下の取り組みにそれぞれ配分・利用します。
- ・自然災害からの復旧・復興(679億円)
- ・防災・減災及び国土強靭化の推進(194億円)
- ・外交・安全保障や環境変化への対応(955億円)
能登半島地震復旧支援や、福島第一原発の廃炉・処理水の風評対策などが、主な取り組みです。被災した地域の中小企業などの普及支援も行います。
国内の災害支援だけでなく、海外との連携強化や経済安全保障確保に向けた取り組みもこの予算のひとつです。
今年の補正予算案の補助金に発生した変更・新設について
今回の補正予算案では、補助金に関するいくつかの変更や新設が行われました。補助金制度などをより効果的に活用するためにも、以下のポイントをおさえておきましょう。
中小企業生産性革命推進事業で変更がある補助金
予算案内にある中小企業生産性革命推進事業では、以下の補助金で変更などがありました。
ものづくり補助金
ものづくり補助金では、製品やサービス高付価値化枠について従業員区分を見直ししました。21人以上の中小企業を対象に、補助上限の引上げ・賃上げ動向を踏まえた変更が行われます。
具体的には、最低賃金近傍事業者への支援として、補助率を1/2から2/3への引き上げなどが行われます。
なお、このあと解説する「中小企業成長加速化補助金」の新設により、各補助金の予算は大きく減少するかもしれないと言われています。特に、ものづくり補助金は、その影響を大きく受ける可能性が予想できます。
ものづくり補助金の利用を検討する際は、新設された補助金の内容やそれに伴う変化も含めて考えましょう。
IT導入補助金
IT補助金もものづくり補助金同様、見直しや補助率引き上げの対象となりました。内容をまとめると、以下のようになります。
- ・セキュリティ枠の補助上限引上げ・要件見直し
- ・汎用ツール・導入支援の補助対象化
- ・補助率を2/1から2/3へ引上げ
これにより、従来は補助金の対象外だった設備やツールが対象になる可能性があります。また、補助率もものづくり補助金同様変更されるため、利用の際は注意しましょう。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、経営計画の策定に重視されます。この変更に伴い、通常枠・創業枠なども再編化される予定です。枠の整理などを行い、制度を簡素化します。
現時点では詳しい内容は不明ですが、補助金を受ける際の手続きや必要書類なども変化する可能性が考えられます。より詳しい変更点が発表されたときは、その内容をよく読み込み、手続き上の不備を少しでも減らせるよう対策しましょう。
事業継承・M&A補助金
事業継承・M&A補助金も、新設や補助上限の引き上げがされます。
- ・PMI推進枠の創設
- ・早期継承促進のための枠再編
- ・M&Aトラブル防止のためのDD費用の支援拡充
- ・100億企業創出加速化を図るための補助上限の引上げ
新設・補助上限の引上げ内容を見ると分かりますが、主に買収後の統合を促進する内容に支援が集中しています。また、積極的に成長しようとする企業の支援強化も行われているのが、この補助金の変更・新設におけるポイントです。
新事業進出補助金の創設
人事業進出補助金は、中小企業や小規模事業者の成長につながる新事業進出・事業転換を重点的に支援する、新たな補助金制度です。
企業の成長や拡大に向けた新規事業への挑戦や賃金要件などに使われます。対象となる経費は、以下のものです。
- ・建物費
- ・機械装置費
- ・システム構築費
- ・技術導入費
- ・専門家経費
補助を受けるには成長拡大に向けた新規事業や賃金要件などが必要とされると言われています。
また、要件や補助対象経費を見ると、従来の事業再構築補助金によく似ている事も分かります。しかし、予算額1,500億円規模と、当初の事業再構築補助金に比べると低いことから、規模や類型は整理して現象し、公募回数も1~2回、採択率も事業再構築補助金の最終回と同程度になることが予想されています。
中小企業成長加速化補助金の創設
こちらも新たに新設される補助金です。意欲ある中小企業や小規模事業者の飛躍的成長を実現するため、売上高100億円を目指す中小企業などへの設備投資や、中小機構の多彩な経営課題への支援などを目的としています。
経済対策の一環として行われる補助金で、新製品・サービスの開発だけでなく、既存事業の拡大による成長にも活用可能なのが特徴です。大規模成長投資補助金の投資額が10億円以上であることから、この補助金はそれ以下の投資規模でも対象になると考えられています。
省力化投資支援の運用改善(省力化投資補助金)
省力化投資補助金の対象は、従来はカタログに登録された汎用製品の導入に限定されていました。それが今回、オーダーメイド形式も幅広く対象となる省力化投資支援が新設されます。カタログ形式の省力化投資支援も、運用改善などが行われる予定です。
これにより、特に製造業などでの活用促進が想定されます。また、ものづくり補助金にあった省力化(オーダーメイド)枠が、この補助金に吸収される可能性が高いことも指摘されています。
まとめ
令和6年度の補正予算から、各種補助金の動向や利用時のポイントについて解説しました。まだ確定した情報は出ておりませんが、今後活用する補助金を検討するには、早めに情報を入手しておくことが大切です。
当社アクセルパートナーズでは補助金取得の支援実績を元に、申請サポートをはじめとした支援事業を行っております。補助金の手続きなどのお悩みがある事業者様は、ぜひ当社までご相談ください。
補助金に関するお悩みは
アクセルパートナーズに
お任せください!
補助金の対象になるのか、事業計画から相談したい等
お客様のお悩みに沿ってご提案をさせていただきます。
まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。