【ものづくり補助金】クリニックは補助対象?採択例を紹介!
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今回はクリニックや歯医者など、開業医が利用できるものづくり補助金について説明します。
ものづくり補助金の補助額は従業員数や申請枠によって変わりますが、通常枠では750万円から1,250万円で、補助率は1/2から2/3です。機械装置への投資が主な対象です。
ものづくり補助金は、製造業が利用することが多いですが、クリニックや歯医者でも利用できます。この記事では実際のクリニックでの採択例や、補助対象となる経費、また申請時のポイントについて説明します。
目次
開業医(個人事業)は申請可。医療法人は対象外。
最初にものづくり補助金に申請できる事業者について説明します。
ものづくり補助金は中小企業や個人事業主を補助の対象としています。しかし、医療法人や社団法人は補助対象となりません。
そのため、開業医のような個人事業としてクリニックや歯医者を経営している場合は申請ができますが、医療法人の場合は申請できません。
また、公的医療保険が適用される事業は補助の対象外です。
自由診療として使用される機械設備が補助対象となりますのでご注意ください。
申請要件や申請枠について
ものづくり補助金は革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善による生産性向上を目的としています。
また、医療保険が適用される事業は補助対象外であることから、独自性の高い「自由診療」のための設備投資と相性が良いです。
ものづくり補助金の目的は下記の通りです。
“中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。”(引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領 (16次締切分))
申請の基本要件は下記の通りです。
1:事業計画期間(3年〜5年)において、給与支払総額を年率1.5%以上増加。
2:事業計画期間において事業場内最低賃金を毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする。
3:事業計画期間において事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。
給与支払総額や最低賃金については、未達成の場合に補助金の返還が求められる場合があるため、申請前に綿密な計画が必要です。
申請枠は通常枠や回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠など種類がいくつかあります。それぞれ満たすべき要件が異なりますが、クリニックや歯医者であれば通常枠やデジタル枠を用いることが多いです。
<通常枠>
項目 |
要件 |
概要 |
革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額 |
従業員数 |
補助率 |
1/2 |
<デジタル枠>
項目 |
要件 |
概要 |
DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額 |
従業員数 |
補助率 |
2/3 |
基本要件に 加えた追加 要件 |
以下の全ての要件に該当するものであること。 (1)次の1又は2に該当する事業であること。 2:デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善 (2)経済産業省が公開するDX推進指標を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を実施するとともに、自己診断結果を応募締切日までに独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること。 (3)独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかの宣言を応募申請時点で行っていること |
デジタル枠では要件が追加され、事務的な手続きが増加しますが、通常枠よりも採択されやすい傾向にあります。
また、補助率もデジタル枠は2/3と高いです。新たに導入する設備がDXやIoT、ロボットシステムなどで、デジタル枠の要件に当てはまる場合は、デジタル枠で申請すると良いでしょう。
補助の対象は、機械設備やシステム開発費が中心となります。自社の人件費や建物改修工事などは補助対象外です。
また、補助金は先に支払いを済ませてから、支払い実績を元に受け取ることができます。一度は全額を支払う必要があるため、キャッシュフローにご注意ください。
クリニックや歯医者での採択例を紹介
ものづくり補助金は革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善による生産性向上を目的としています。そのため、医療保険が適用されない医療事業(自由診療)が補助の対象です。
ここでは、クリニックや歯医者におけるものづくり補助金の採択例を3つ紹介します。
採択例1:たった1日で白い人工歯を使った治療が完了する革新的歯科サービスの開発
概要:短期間でのむし歯治療のニーズへの対応と、高精度で審美性の高いセラミックの人工歯を従来よりも低価格で提供することを目指し、新たにデジタル歯科技工装置を導入。診察〜人工歯装着まで最短で1時間〜1時間半ででき、1日で治療を終えることも可能になった。また歯科技工所への外注コストのカットなどにより、従来よりも低価格での提供を実現した。
採択例2:歯科衛生士によるマイクロスコープを活用した革新的な歯肉縁下クリーニングサービスの展開
概要:本事業では、マイクロスコープpico MoraとアドメニックDVP2を導入することによって、肉眼では確認しづらい歯垢等(歯周病の原因菌)を拡大視野の下で超音波を使った繊細な歯石除去、プラーク除去が可能になり、本事業にて導入した映像&プレゼンテーションシステムを患者樣にご覧頂くことによって、「クリーニング残し」と、それを除去した事の確認が可能になりました。
採択例3:全国初の健康器具!O脚で悩む女性のためのO脚矯正器具『ASIO』の商品化実現!
概要:自社で保有する整体技術と香川大学工学部との産学連携により、O脚矯正器具「LEGOOL」を開発した。機能性のみならず、デザイン性も高めること、製造設備投資なども課題としながらクリアしつつ、市場に流通させることのできる商品として完成させた。
以上のように、いずれも革新的な事業であることが伝わる内容となっています。
ものづくり補助金は歯医者での採択例が多く、その他の耳鼻科や内科といったクリニックの採択例はほとんどありませんでした。
その他の採択例についてはもの補助成果事例検索にて「歯医者」や「クリニック」などのキーワードで検索してみてください。
ただし、以前は保険適用の事業でも採択されていたため、注意が必要です。現在は保険適用事業については補助対象外となっています。
また、製造業やサービス業が、クリニックや歯医者向けに新製品や新サービスを開発する事例は多くあります。クリニックや歯医者に向けた事業はニーズが高いと考えられますので、自社の事業内容に合わせて検討してみてください。
注意点:採択後、事業開始までに時間が必要
ものづくり補助金での注意点を紹介します。
ものづくり補助金では採択された後に、見積等を集めて事務局に提出します(交付申請)。その後、事務局から承認を得た(交付決定)のちに、事業がスタートし、設備の発注が可能となります。
また、申請の類型によっては設備導入後に事務局の実地検査終了までは設備を使用できない場合があるなど、制約がつきやすく、スピード感が失われやすいというデメリットがあります。
スケジュールに余裕を持った事業であれば、使いやすい補助金ですが、既に設備を発注していたり、設備導入を急ぐ事業には不向きな制度です。
まとめ
以上、ものづくり補助金におけるクリニックや歯医者の採択事例でした。現在は医療報酬や診療報酬を受け取る事業は補助対象外となっていますので、お気をつけください。
当社、アクセルパートナーズは、ものづくり補助金の支援を行っております。
100社以上ご支援した沢山のノウハウをもとに、お客様の状況に合わせたサポートを提供いたします。
応募申請だけでなく、交付申請、実績報告といった先々のサポートまで、サービスメニューをご用意しております。
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この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。