採択率が上がる!ものづくり補助金の加点項目とは!
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中小企業が機械装置類を導入したりシステム構築を行ったりしたい時に利用できる「ものづくり・商業・サービス補助金」(以下「ものづくり補助金」)。経費の1/2もしくは2/3を最大2,250万円まで(グリーン枠は最大5,000万円、グローバル市場開拓枠は最大4,000万円まで)補助してもらうことのできる、人気の高い補助金です。
15次ものづくり補助金の全体採択率は50.2%でしたが、「加点項目」と呼ばれる条件を達成した数によって採択率は大きく異なります。
今回は、「加点項目」について詳しく解説します。
※第16次締切分の加点項目の内容です(2023年9月現在)。最新情報はものづくり補助金総合サイトの公募要領でご確認ください。
目次
「加点項目」とは?指定された項目をクリアすることで採択審査時に有利になる!
「加点項目」とは、公募要領に記載のある項目の基準をクリアすることにより、採択審査時に加点してもらうことのできる制度です。
項目は大きく分けると成長性加点、政策加点、災害等加点、賃上げ加点等、女性活躍等の推進の取組加点の5種類あります。
一部の加点項目についてはエビデンスとなる添付資料の提出が求められ、審査の結果、各要件に合致した場合にのみ加点される仕組みになっています。
加点項目を6個以上達成した申請者の採択率は74.3%!
それでは、加点項目はどの程度採択に影響するのでしょうか。
加点の程度は公表されていないため、加点項目が全体の評価の内どの程度のウェイトを占めるのかは分かりません。実際は大きな点差にはならないのかもしれませんが、申請事業者が長時間かけて作成した事業計画書はどれも完成度が高く、甲乙つけがたいと思われます。1点の差が採否を分けることも考えられます。
下記グラフは、ものづくり補助金総合サイトに掲載されている、加点項目の数に関するデータです。赤色の折れ線が15次締切回の採択率を表しています。
グラフから分かる通り、加点項目が0個の場合の採択率は34.4%ですが、2個の場合は全体採択率よりも高い54.9%に上昇し、6個以上クリアすれば74.3%にも達するのです!
最大何項目まで加点してもらえる?
最大何項目まで加点してもらえるかは、申請する枠によって異なります。
申請枠ごとの最大加点項目数は下記の通りです。
申請枠名称・類型 |
最大加点項目数 |
|
通常枠 |
6項目 |
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回復型賃上げ・雇用拡大枠 |
6項目 |
|
デジタル枠 |
6項目+デジタル技術の活用及びDX推進の取組状況にある6項目の計12項目 |
|
グリーン枠 |
6項目+取引先の事業者がグリーンに係る取組を宣言している事業者の計7項目 |
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グローバル市場開拓枠 |
海外直接投資類型 |
6項目 |
海外市場開拓(JAPANブランド)類型 |
6項目+「新規輸出 1 万者支援プログラム」に登録した事業者の計7項目 |
|
インバウンド市場開拓類型 |
6項目 |
|
海外事業者との共同事業類型 |
6項目 |
デジタル枠、グリーン枠、グローバル市場開拓枠の海外市場開拓(JAPANブランド)類型には、それぞれ専用の加点項目があり、基本の加点項目に追加して加点を受けることができます。
どうすれば加点してもらえる?難易度も解説!
それでは、具体的に何をしたら加点してもらえるのか、それぞれの加点項目について解説します。
1.【難易度:高】成長性加点「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者」
経営革新計画とは、中小企業等経営強化法に基づいて作成する中期的な経営計画書です。中小企業が新事業活動に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定します。
この経営計画書は都道府県知事等の承認を得ることにより、融資や販路開拓等様々な支援を受けることができるようになります。
ただし、申請から取得までに1~3ヶ月程度かかり、容易に取得できるものではありません。
本記事では詳細を省きますが、弊社でも書類作成サポートを行っておりますので、ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください!
2.【難易度:低~高】政策加点
政策加点は9つ用意されており、難易度は様々です。取り組みやすいものもありますので、難易度の低いものから挑戦してみてはいかがでしょうか。
①創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)
会社成立年月日または代表取締役の就任日が公募開始日より5年前の日から応募締切日までの場合に対象となります。
個人事業主の場合は開業日で判断します。個人事業主の営む事業を承継する場合は、承継者の「創業」として申請することになります。
②〈おススメ!〉パートナーシップ構築宣言を行っている事業者
パートナーシップ構築宣言とは、サプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者と連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築することを、発注者側の立場から宣言するものです。
宣言を公表すると、指定のロゴマークを広報等に使用することもできます。
宣言文の内容については、「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにて、ひな形や記載見本を参考にしながら作成します。
作成した宣言文をポータルサイトから登録を行うと、1週間程度でポータルサイト内に企業名と宣言文が公表されます。
宣言文が公表されていることを確認したら、ものづくり補助金の電子申請を行う際に、「パートナーシップ構築宣言を行っている」という項目に☑をつけるだけで加点されます。
比較的難易度が低く、宣言文の作成から登録までは1時間程度で完了できるものですので、挑戦してみてはいかがでしょうか。
③再生事業者
ものづくり補助金における「再生事業者」の定義は、中小企業活性化協議会等から支援を受け、応募申請時において下記のいずれかに該当していることとなります。
(1)再生計画等を「策定中」の者
(2)再生計画等を「策定済」かつ応募締切日から遡って3年以内(令和2年11月8日以降) に再生計画等が成立等した者
再生計画は、中小企業活性化協議会の他にも、独立行政法人中小企業基盤整備機構や、産業復興相談センター等が支援した再生計画や、「私的整理に関するガイドライン」に基づいて策定した再建計画なども認められます。
詳しくはものづくり補助金総合サイト掲載の「別紙4」に記載があります。
<別紙4>再生事業者の定義について
④デジタル技術の活用及びDX推進の取組状況(デジタル枠のみ)
こちらはデジタル枠専用の加点項目です。デジタル枠は、他の申請枠と共通の加点項目に下記6項目を追加して、最大12項目もの加点を受けることができます。
A.経営の方向性及びデジタル技術等の活用の方向性の決定
・デジタル技術が社会や自社の競争環境にどのような影響を及ぼすかについて認識、その内容について公表
・デジタル技術が社会や自社の競争環境にどのような影響を及ぼすかを踏まえた経営ビジョンやビジネスモデルを策定・公表
B.上記Aの経営ビジョンやビジネスモデルを実現するための戦略を公表
C.上記Bの戦略を推進するための体制・組織(CIO(最高情報責任者)、CISO(最高セキュリティ責任者)の配置、担当部門の配置等)を示し、公表
※上記A~Cは、ホームページ上で公表し、URLと掲載場所等をものづくり補助金電子申請時に記載することにより申請します。内容が認められた場合、加点されます。
D.「DX推進指標」自己診断フォーマットの定量指標における「人材欄」(688~690行目/Ver.2.3 以降の場合はシート「ITシステム構築の取組状況(定量指標)」の11~13行目)を全て記載
※「DX推進指標」自己診断フォーマットとは、「DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を実施」という、デジタル枠の基本要件で必要なフォーマットです。「人材欄」は任意入力項目ですが、「人材欄」を全て記載することにより加点が得られます。
具体的には、下記画像の11~13行の内容を指します。
デジタル枠専用の加点項目の中では最も取り組みやすいかと思いますので、挑戦してみてはいかがでしょうか。
E. 申請時点において、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を利用しているか
※下記サイトに掲載されているサービスを利用している場合に加点されます。
※加点を受けるためには、サイバーセキュリティお助け隊の契約書・利用申込書の写しの提出が必要となります。
⑤令和4年度に健康経営優良法人に認定された事業者
健康経営優良法人認定事務局ポータルサイトより申請、令和4年度に認定された事業者が加点対象となります。
第16次ものづくり補助金のために今から申請しても対象とはなりませんので、ご注意ください。
〈参考〉健康経営ポータルサイト
⑥技術情報管理認証制度の認証を取得している事業者
技術情報管理認証制度とは、企業の情報セキュリティ対策を、国の認定を受けた機関が、国が策定した基準に基づいて審査・認証する制度です。
認証を受けることでお客様や取引先の信頼につながったり、日本政策金融公庫が実施する中小企業向けのIT関連設備等の導入資金や長期運転資金の融資を特別利率で受けられたりといったメリットがあります。
認証にかかる期間は、事業者の規模や情報セキュリティの取組状況や認証機関にもよりますが、早い場合で1~2カ月です。また、数十万円程度の費用も必要です。
⑦J-Startup、J-Startup 地域版に認定された事業者
J-Startupとは、実績ある外部有識者からの推薦に基づき、潜在力のある企業を選定し、政府機関と民間が集中支援を行うプログラムです。革新的な技術やビジネスモデルで世界に新しい価値を提供するスタートアップ企業を創出するため、2018年に立ち上がりました。
起業から概ね10年以内の企業が募集期間内にWEBから応募し、審査の上選定される必要がありますが、募集期間は不定期で、審査にも一定の期間がかかります。
ものづくり補助金の加点を目的に応募することは難しいと考えられます。
⑧「新規輸出 1 万者支援プログラム」に登録した事業者(グローバル市場開拓枠のうち、海外市場開拓(JAPANブランド)類型のみ)
グローバル市場開拓枠の「海外市場開拓(JAPANブランド)類型」専用の加点項目です。
応募締切日の前日時点で、「新規輸出 1 万者支援プログラム」ポータルサイトにおいてIDを取得している事業者に対して加点されます。
難易度が低いため、グローバル市場開拓枠「海外市場開拓(JAPANブランド)類型」に応募する方はぜひIDを取得されることをお勧めします。
〈参考〉新規輸出1万者支援プログラム
⑨取引先の事業者がグリーンに係るパートナーシップ構築宣言をしている事業者(グリーン枠のみ)
グリーン枠専用の加点項目です。取引先の企業が、グリーンに係るパートナーシップ構築宣言を行っている場合に加点されます。
3.【難易度:高】災害等加点「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者」
「事業継続力強化計画」とは、防災・減災の事前対策に関する計画のことです。経済産業大臣に認定を受けた事業者は、税制措置や金融支援等を受けることができます。
自社が被災した場合のサプライチェーンや地域経済への影響度や、従業員に対する会社の姿勢について、可能な限り具体的な記載が求められます。
地震や洪水といった自然災害の他にも、感染症対策やサイバー対策についても追加した計画の策定が必要です。
申請は電子申請にて行います。申請から認定までは約45日間かかりますので、余裕を持ってものづくり補助金応募締切の2カ月前までには申請することをお勧めします。
弊社でも申請サポートを行っておりますので、お気軽にお問い合わせください!
ものづくり補助金 申請サポート・代行サービス_アクセルパートナーズ
4.【難易度:低~高】賃上げ加点等
事業計画期間における給与支給総額と事業場内最低賃金を、それぞれ下記(ア)もしくは(イ)の通りとする計画を策定し、事務局に誓約書を提出している事業者に対して加点されます。
(ア) |
給与支給総額 |
年率平均2%以上増加 あるいは年率平均3%以上増加 |
事業場内最低賃金 |
毎年3月、地域別最低賃金より+60円以上の水準 あるいは毎月3月、地域別最低賃金より+90円以上の水準 |
|
(イ) |
給与支給総額 |
年率平均6%以上増加 |
事業場内最低賃金 |
毎年3月、地域別最低賃金より+30円以上の水準 かつ 毎年+45円以上ずつ増加(初回は応募時を起点とする) |
※給与支給総額には、従業員や役員に支払う給料、賃金、賞与、各種手当(残業手当、職務手当、住宅手当等、給与支給所得とされるもの)が含まれ、退職手当等の給与所得とされないものや福利厚生費は含まれません。
※事業場内最低賃金とは、補助事業を行う場所で働く従業員の内、最も低い賃金を指します。
(ア)の給与支給総額については、「給与支給総額を年率平均1.5%以上増加」というものづくり補助金の基本要件から、もう少し高めの計画を策定して誓約することによりクリアできます。
(ア)の事業場内最低賃金の条件は、補助事業実施場所における現在の従業員の最低賃金が、地域別最低賃金と比較して元々高めの水準にある場合は、賃上げをすることなく達成できます。
特に正社員しかいない企業の場合は、簡単にクリアできる企業も多いのではないでしょうか。
ただし、地域別最低賃金は毎年改定されますので、事業計画期間中は誓約した水準を満たしているかどうか必ずチェックするよう注意が必要です。
(イ)は(ア)よりも非常に高い水準にする必要があるため、難易度は高めと言えます。
5.【難易度:低】〈おススメ!〉女性活躍等の推進の取り組み加点
最後に女性活躍等の推進の取り組み加点をご紹介します。
従業員100人以下の事業者が取り組める「一般事業主行動計画」は難易度が低く、計画内容が定まっていれば数十分で申請できます。
厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」または「両立支援のひろば」のページに一般事業主行動計画が公表されることで加点されます。申請から数日後には公表されることが多いため、取り組みやすい加点項目と言えます。
ただし「一般事業主行動計画」は、従業員が 0 人の場合は申請ができませんので注意が必要です。
また、従業員101人以上の企業であれば策定・届出義務がありますので、ものづくり補助金電子申請時に加点項目として申告するのみで大丈夫なはずです。
①「えるぼし認定」もしくは女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者、もしくは従業員100人以下の事業者で「女性の活躍推進企業データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者が加点対象となります。
「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」とは、事務局が公表している例には下記のような目標があります。
〈事務局 例〉 ・総合職に占める女性の割合を、全社員に占める女性割合と同程度の40%以上とする。 ・営業部において、非正社員の中から正社員への登用を5名以上実現する。 ・採用者に占める女性の割合を40%以上とする。 |
上記の例を参考に、自社に合った女性活躍に関する目標を策定し、計画期間と目標達成のための具体的な行動計画とともに公表することにより、加点を受けることができます。
女性の活躍に関する取組の実施状況が優良な企業については、厚生労働大臣より「えるぼし認定」を受けることができます。
②「くるみん認定」もしくは次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者
次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく「くるみん認定」を受けている事業者、もしくは従業員100人以下の事業者で「両立支援のひろば」に次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者が加点対象となります。
「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」とは、事務局が公表している例には下記のような目標があります。
〈事務局 例〉 ・〇年×月までに、小学校就学前の子を持つ社員が、希望する場合に利用できる短時間勤務制度を導入する。 ・社員のワーク・ライフ・バランスを確保するため、勤務間インターバル制度を導入する。 ・テレワークを導入し、週2日程度のテレワークを促進する。 ・〇年×月までに、年次有給休暇の取得日数を1人当たり平均年間△日以上とする。 |
上記の例を参考に、自社の従業員に合った両立支援目標を策定し、計画期間と目標達成のための具体的な行動計画とともに公表することにより、加点を受けることができます。
策定後、行動計画に定めた目標を達成し、一定の要件を満たした企業が申請を行うと、「くるみん認定」等を受けることができます。
当コラムでは加点項目として紹介していますが、「えるぼし認定」「くるみん認定」「一般事業主行動計画」は企業の働きやすさ等をPRすることができますので、企業イメージの向上や採用活動時にも活用できます!ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。
減点項目
逆に、減点措置となってしまう項目もあります。
減点対象は下記2点です。
①応募締切日から過去3年間に、ものづくり補助金の交付決定を1回受けている場合 (過去3年間に、既に2回以上交付決定を受けた事業者は申請対象外となります。)
②回復型賃上げ・雇用拡大枠において、繰越欠損金によって課税所得が控除されることで申請要件を満たしている場合
まとめ
今回は、ものづくり補助金の加点項目について解説しました。中には難易度の低いものもありますので、できるだけ取り組んで少しでも採択確率を高めることをお勧めします!
当社、アクセルパートナーズは、ものづくり補助金について100社以上の支援、採択された実績がございます。応募申請だけでなく、その先の交付申請、実績報告といった手続きのサポートまで、サービスメニューをご用意しております。
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この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。