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【事業再構築補助金】ホームページ制作にも使える?使い方を徹底解説!

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中小企業の事業者の皆さまが新たな市場に進出したり、事業再編、業態転換するなどの思い切った事業再構築を計画する場合、「新市場開拓」をする必要があります。しかし全く経験のない新たな市場での顧客の獲得は容易ではありません。そこで必要になるのが「ホームページ制作」(以下HP制作)です。新事業への転換を支援する「事業再構築補助金」はHP制作も補助対象となります。ただし、対象とするには条件があるので注意が必要です。

本コラムでは、事業再構築補助金を活用して新事業を検討している中小企業の事業者の皆さまに向けて、HPの必要性やそのメリット、抑えるべきポイント、事業再構築補助金で対象経費となる場合、ならない場合等についてご説明します。

アンゾフの成長マトリクスと事業再構築

 

HP制作の必要性があるかどうかを検討するために、そもそもの新事業開発の位置づけについて、おさらいしておきましょう。現在のように、経営を取り巻く環境が大きく変わるなかで、成長を続けるためにはどのような成長戦略をとれば良いのでしょうか。そのヒントとなる考え方、フレームワークの一つが「アンゾフの成長マトリクス」です。アンゾフは、成長戦略を「製品」と「市場」の2軸におき、それをさらに「既存」と「新規」に分けました。

 

1.「市場浸透戦略」既存製品×既存市場

 

いままでの市場に、既存の製品やサービスを投入して、売上高や市場シェアの拡大をめざす戦略です。市場浸透戦略では、既存市場で、既存製品の認知を上げたり、購入意欲を高めたりすることが大きな課題で、戦略の主な目的になってきます。

 

2.「新製品開発戦略」新規製品×既存市場

 

いままでの市場に、新しい製品やサービスを投入して、売上を拡大しようとする戦略です。既存市場のニーズに対応した製品やサービスを開発すること、競合と差別化を図ることができる製品やサービスを開発すること、それができるかどうかが、重要なポイントになります。

 

3.「新市場開拓戦略」既存製品×新規市場

 

既存の製品やサービスを新しい市場に投入する戦略です。その市場に競合がいる場合は、商品力はもちろんですが、自社や自社商品・サービスの認知度を新市場で上げること、営業力・販売ネットワーク等の「売る力」が勝負を左右することも多くなります。既存製品の海外進出・海外展開は、この戦略の一例と考えることができます。

 

4.「多角化戦略」新規製品×新規市場

 

新しい市場に新しい製品やサービスを投入する戦略です。多角化戦略は、ほとんど経験のない市場で新製品を投入するため、マーケティングのコスト、製品・サービスの開発コストがかかるなどのリスクがあります。リスクがあっても新しい収益源を求める時、または求めなくてはならない時に、ハイリスク・ハイリターンの多角化戦略がとられます。

参考:「アンゾフの成長マトリクス」 | 経済産業省 中小企業庁 (mirasapo-plus.go.jp)

 

事業再構築では、3の「新市場開拓戦略」や4の「多角化戦略」が採用されることが多くあります。これらは新市場開拓が必須となり、事業計画を策定する際には、どのような方法でこれを行っていくかを詳細に検討しておく必要があります。ではこの新市場開拓はどのように計画すればよいのでしょうか。

 

新市場開拓に欠かせないホームページ

 

B to B(業務用のビジネス)において、新市場開拓は展示会の活用が有効です。これについては、下記のコラムをぜひご参照ください。

【事業再構築補助金】展示会にも使える?使い方を徹底解説!

 

B to B、B to Cに関わらず、ホームページは企業や事業、ブランドの「名刺代わり」と言われるほど重要なものです。特に新規事業の場合は、既存事業とは別のHPを立ち上げることをお勧めします。

例えば、日本酒の製造販売をしている酒蔵が新たに焼酎の製造販売をする場合、市場や顧客が類似します。新規製品×既存市場となり、アンゾフの成長マトリックスでは「新製品開発戦略」となります。日本酒の既存顧客に焼酎をアピールするので、既存のHPに焼酎のカテゴリーを加えれば十分で、わざわざHPを新たに設ける必要はないでしょう。

ところが、ウィスキーの製造販売を海外市場向けに新事業開発をする場合はどうでしょうか。これは、新規製品×新規市場の「多角化戦略」となります。既存事業とターゲットが全く異なりますし、日本酒のHPの中でウィスキーのコンテンツを訴求しても、ちぐはぐになってしまい、ブランドの形成が難しくなります。

新規事業を立ち上げる際は、ターゲットが既存のターゲットやと異なるのかどうか、そしてブランドとして独立させるのかどうか、この2点で新規HPの必要性を判断するとよいですね。

 

ホームページを制作する8つのメリット

 

新規事業向けのHPを新たに制作するメリットとして、次の8つが考えられます。

 

1.オンラインプレゼンスの構築

HPを持つことで、新市場での存在感を高め、顧客に自社の存在をアピールできます。潜在顧客に新事業内容や商品を見つけてもらうことができます。WEB広告やSEO(検索エンジン最適化)対策をすることで、より効果を高めることもできます。

 

2.情報発信

HPを通じて、新商品やサービスの情報をリアルタイムで発信でき、顧客に最新情報を提供できます。

 

3.信頼性向上

「HPは名刺代わり」と言われるように、信頼性や専門性のあるHPは、企業や事業内容の信頼性を高めるので、新市場での信頼を築くのに役立ちます。

 

4.販路の拡大

EC機能を設けてオンラインでの販売を可能にすることで、新市場での顧客層を拡大し、売上を得ることができます。

 

5.営業活動の効率化

 HPを強化することで、人的販売に頼らずにマーケティング活動、営業活動が可能になり、人件費抑制効果が見込めます。

 

6.データ収集

HPを通じて顧客行動データを収集し、市場動向や顧客ニーズの理解を深め、戦略の最適化に役立ちます。

 

7.時間と場所の制約がない

HPは24時間稼働で、営業時間に関わらず、場所を問わずいつでもどこでも、海外でもアクセスできるため、時間や場所に制約されずに情報や商品にアクセスできます。

 

8.顧客対応の向上

問い合わせフォームや問い合わせ先情報、チャットボット対応を提供することで、顧客からの問い合わせに効率的に対応でき、新規顧客の獲得や関係構築に役立ちます。

 

ホームページ制作時これを抑えれば万全!12項目

このようにHP制作にはメリットが数多くありますが、制作する上で注意しなくてはならない点もあります。これらを制作前からプランニングしておくと万全です。

 

1.目的とKPIの明確化

 

HPの制作前に、何を達成したいのか明確な目的を設定しましょう。顧客獲得、認知度向上、情報提供などの目的を定め、さらに、達成目標としていつまでに、どの程度達成するかを決めておきましょう。例えば、HP開始後1か月後に1万ページビュー、1年後に50万ページビューなど、です。

 

2.ターゲットニーズに応える

 

どのような顧客層をターゲットにするか、STP分析(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)等を通じて明確にし、そのターゲットのニーズや好みに合ったコンテンツを提供しましょう。

 

3.シンプルで使いやすいデザイン

 

HPのデザインはシンプルかつ使いやすくすることが重要です。ナビゲーションが直感的で、読みやすいフォントを選び、理解を手助けする画像を配置しましょう。ブランディングにもつながるので、HP以外のブランディング要素(商品パッケージ等)との統一感も重要です。

 

4.モバイル対応

 

スマートフォンやタブレットからもアクセス可能なモバイルフレンドリーなデザインを採用(レスポンシブ対応)しましょう。情報通信機器の世帯保有率は、「スマートフォン」は88.6%、パソコンは69.8%となっています(出典:総務省 令和4年情報通信白書)。特にB to C の場合は、一般消費者向けなので、PCよりもスマホで情報検索することが多いと想定されますので、モバイル対応は必須と言えます。

 

5.SEO対策

 

検索エンジン最適化(SEO)を考慮してコンテンツを作成し、適切なキーワードを使用してHPを検索結果で上位に表示させるための努力を行いましょう。

 

6.速度とパフォーマンス

 

ページ読み込み速度を最適化し、ユーザーがストレスなくサイトを閲覧できるようにしましょう。

 

7.セキュリティ

 

ウェブサイトのセキュリティを確保し、データ漏洩やサイバー攻撃から保護するための措置を講じます。

 

8.コンテンツ戦略

 

高品質で魅力的なコンテンツ(商品紹介や使用方法、商品を深堀する専門的なコラム等)を提供し、定期的に更新して訪問者の興味を引き続けましょう。予めどのようなコンテンツを制作していくか、どのような頻度で更新するか、誰が担当するかなど、計画を立てておくとよいでしょう。

 

9.コンタクト情報の明示

 

企業の連絡先情報や問い合わせフォームを明確に表示し、問合せ担当者を予め決めておくなど、顧客とのコミュニケーションを円滑に行えるようにしておきましょう。

 

10.法的規制とコンプライアンス

 

ウェブサイトが適切な法的要件に準拠していることを確認し、プライバシーポリシーや利用規約を設けましょう。

 

11.アクセス解析と改善

 

ウェブ解析ツールを使用してトラフィックやユーザー行動をモニタリングし、サイトの改善に役立つ情報を収集し、改善をしていきましょう。

 

12.バックアップと保守

 

サーバーデータのバックアップと定期的なセキュリティチェックを行い、ウェブサイトの安定性を維持しましょう。

 

新規事業開発でぜひ活用したい事業再構築補助金

 

このように、新規事業開発においてHP制作はとてもメリットが多く、ぜひ検討したいものです。集客の要となる分、しっかり計画を立て、予算をかけて制作したいところです。

経済産業省が実施する「事業再構築補助金」は、「新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する、中小企業等の挑戦を支援します」というものです。新規事業にかかる次のような経費を補助します。

 

1.建物費(建物の建築・改修等)

2.機械装置・システム構築費

3.技術導入費(知的財産権導入に要する経費)

4.専門家経費(専門家に支払われる経費)

5.クラウドサービス利用費

4.外注費(加工、設計等)

5.広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)

6.研修費(教育訓練費等)等

 

出典:第11次 事業再構築補助金 公募要領 1.4版

 

事業再構築補助金でホームページ制作は補助対象?

 

次のような場合は、事業再構築補助金はHP制作も補助の対象となります。

 

事業再構築の要件に適した事業に対するHP制作

専ら補助事業のために利用されるHP制作

 

つまり、事業再構築の要件に適していない場合や、補助事業以外でも兼用で利用するHP制作は補助の対象外となります。具体的にどのようなケースで補助の対象外となるのか確認していきましょう。

 

HP作成が事業のメインとなっている場合は対象外

 

HP作成そのものが事業のメインとなる場合、原則として事業再構築補助金の対象とはなりません。事業再構築補助金におけるHP制作は、あくまで販売促進、集客のための手段という位置づけであるからです。

 

補助事業とは関係のないHPは対象外

 

補助事業とは関係のないHPを作成するケースも事業再構築補助金の対象外となります。

例えば、酒蔵のHPで、既存製品も含めた既存HPのリニューアル費用は、新規事業(補助事業)とは関係のないHPとなりますので、補助対象外となります。

このように、あくまで事業再構築に関わる事業のみが補助対象となるという点に注意が必要です。

 

事業再構築補助金で補助対象となる2つのHP制作経費

 

上述の事業再構築補助金の対象経費のうち、新規事業のHP費用は次の2の経費に該当します。

 

機械装置・システム構築費

 

2.機械装置・システム構築費 のうち、次の②で、新規HP制作の経費を計上することができます。

①専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費

②専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用に要する経費

 

クラウドサービス利用費

 

HPをクラウドサービスを利用して制作する場合もあります。月額のサービスを利用して、ホームページ制作する場合も、補助の対象となります。しかし、あくまで補助事業対象期間の月額費用のみが補助対象となります。補助事業終了後は自社で費用を負担しなければなりません。また、自社の他事業とクラウドサービスを共有する場合は補助対象となりませんので、注意が必要です。

 

まとめ

 

今回は、事業再構築の際に必要となる新市場開拓の方法、特にHP制作にフォーカスしてお伝えしてきました。

 

・B to B、B to Cいずれでも新市場の顧客獲得にHPが有効

・HPを制作するメリットには、認知向上や販路の拡大、営業活動の効率化など

・HP制作時に抑えておきたい、目標設定やターゲットニーズへの対応

・事業再構築補助金でHP制作も補助対象になるが、条件を確認する

・事業再構築補助金で補助対象となる経費には2種類ある

 

HPを計画的かつ効果的に活用し、新市場開拓、さらには新たな成長の足掛かりにすることをおすすめします。その際、補助金を上手に活用することで費用対効果をさらに上げることができます。

当社、アクセルパートナーズでは、HPによる新市場開拓を含めた事業再構築補助金をはじめとした補助金申請のサポートを承っています。

事業再構築補助金の第1回公募から事業者様の支援を行っております。100社以上ご支援した沢山のノウハウをもとに、お客様の状況に合わせたサポートを提供いたします。応募申請だけでなく、交付申請、実績報告といった先々のサポートまで、サービスメニューをご用意しております。

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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