コロナ禍の環境変化に対応して売上を伸ばした企業3選
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今回のコラムでは、コロナ禍にあっても、感染症対策等の対応によって売上を拡大しているorしつつある3つの事業者様をご紹介致します。
外部環境が変化する中で、ご自身のビジネスにも活かせるような、ヒントになることがあれば幸いです
目次
1.潜在的なニーズの掘り起こしにつながった「一人焼肉」
最初に紹介するのは「焼肉ライク」です。2021年9月現在で全国に69店舗のお店を展開されています。1店舗目の開店が2018年8月であることを考えると、かなりハイペースな出店ペースと言えます。
「焼肉ライク」はコロナ禍で求められるソーシャルディスタンスを事業に上手く取り入れることで、「一人焼肉」という新しい文化を生み出しました。
これまで1人では利用しにくかった業態である焼肉店において、「一人焼肉」というスタイルに特化することで、これまでに受け皿のなかった「一人焼肉需要」を取り込むことに成功しました。
・1人でも気軽に焼肉店を利用したい
・自分の好きな焼き加減で食べたい
・自分の好きな部位だけ食べたい
・焼肉の臭いが服に付くのを回避したい
と言った潜在的な焼肉店に対するニーズに対し、
【1人1台の自分専用無煙ロースター】
【一般的な換気設備と比べ9倍の換気力を持つ換気設備】
【セルフウォーターサーバー】
【タッチパネルオーダーシステム】
と言った設備を導入することで、単に、そのニーズを満たすだけでなく、人的な接触機会を減らし、換気性を高めることで、感染症対策として有効性も訴求することが出来ました。
結果的に、コロナ禍においても「安心安全に焼肉を食べたい」という需要を捉えることができました。
最近の「焼肉ライク」の出店ペースを見ましても、いかに「一人焼肉需要」が大きいマーケットであったかということが分かります。
2.新しい旅行文化の提案につながった「オンラインツアー」
このように、コロナ前には考えられなかったような、新たな事業が次々に生まれています。他には【オンラインツアー】などが挙げられます。
コロナ禍で大きな打撃を受けた業界の1つが「旅行業界」です。ウイルスの拡大を抑制するため、世界中で移動制限や不要不急の外出が禁止され、旅行はキャンセルが相次ぎ、多くの旅行業者の売上は激減しました。
大手旅行会社の株式会社エイチ・アイ・エス(本社:東京都港区以下、HIS)は、最初の緊急事態宣言が発出された2020年4月より「オンラインツアー」のサービスを開始しました。「オンライン上で旅行をして何を楽しんだらよいのか?そんなものが本当に売れるのか?」と懐疑的な声もあった中、実際にサービスを開始してみたところ、テーマによってはあっという間に完売するほどの人気を博し、2020年4月17日~2021年2月28日までの期間で、3500以上のツアーを開催し、参加人数は延べ5万人を突破するまでの大きな市場になりました。
【オンラインツアー】の登場により、自宅などで対人接触を完全に回避しながら、安全に世界中を旅することが可能となりました。
特に人気が高いのは【世界一周】というキーワードのコースで、通常の旅行では10日ほどかかる日程を90分で巡るという、オンラインならではの特性を生かしたユニークなツアーとなっています。
オンライン上であることにより、ガイドの説明も言葉だけによるものではなく、分かりやすい動画や画像を画面共有することができ、リアルな旅行との差別化が図れています。
また参加者同士のチャットによる双方向コミュニケーションが取れることで、参加者同士の交流ができ、それが高い満足度に繋がっているようです。
【旅行好き】という共通点があるため、これまでに参加したリアルツアーでの体験や、旅行系のテレビ番組などから得た情報をお互いにやりとりすることで、見識が深まり、通常のツアーでは得られなかった精神的な満足感を得ることができるようです。
実際に参加された方の口コミなどを見てみると「リアルなツアーとは全く違った魅力があり、コロナが終息した後はリアルツアーにも、もちろん参加はするが、引き続きオンラインツアーにも参加したい」という声がありました。
このような声から類推してみると、HISが行ったオンラインツアーは、これまでの主事業であるリアルツアーの代替的な事業という位置付けではなく、全く新しい特性を持った新事業と考えることが出来ます。例えば、加齢や病気などによってリアルな旅行の参加が難しくなった層や、旅行の下見をしたいが時間の制約的に出来なかった旅行幹事や修学旅行担当の教員、費用の面でリアルツアーには参加が難しかった所得層、旅行が好きで同じ志向を持つ人と交流を図りたかった精神的な満足度を求める層など、これまでのツアー客とは異なる層の顧客を取り込むことが出来ました。
【敢えてシナジーを利かせない】視点
一般的に企業が新たな事業を開始する際には、既存事業との「シナジー」があった方が良いとされます。しかし『展開する事業のリスク分散』という視点から考えると、シナジーを利かせ過ぎることは、逆にリスクになると言えます。
例えばカフェと食堂を経営することは、食材の一括購入による経費の削減や、店舗運営のノウハウの共有と言ったシナジーを働かせることができる一方で、コロナ禍にあっては共に外食需要の冷え込みや外出の自粛などによって、双方共に、売上を大きく落とすことになります。
HISの例で考えてみますと、リアルツアーとオンラインツアーという2つの事業により、外部環境の大きな変化に対するリスク分散を図りつつ、新規顧客の取り込みに成功したことで、新たな収益の柱を手に入れることが出来たわけです。
外部環境の変化が激しい時代にあっては、このような【敢えてシナジーを利かせない】視点での事業計画も必要になってくるでしょう。
3.新しい生活様式によってもたらされた「コト消費」による無人販売
最後にご紹介するのが、「餃子の無人販売」です。無人販売はコロナ禍で急増した販売形態ではありますが、特に餃子は全国各地で急拡大しています。
中でも有名なのが「餃子の雪松」です。群馬県みなかみ町にある創業が昭和15年という老舗の食堂なのですが、2018年9月より餃子の無人販売に乗り出しました。
コロナ前から開始した餃子の無人販売ですが、非接触という販売スタイルがコロナ禍の新しい生活様式に合致し、人気に火が着きました。2021年7月現在、全国で200店舗近くにまで急拡大しています。
36個1,000円の餃子と1個100円のたれは、いずれも税込み価格となっており、「料金箱」と書かれた賽銭箱のような箱にお金を入れるスタイルとなっています。防犯面が気になりますが、現状、万引きなどの問題は起こっていないようです。
恐らく、このような余り見かけない会計スタイルであることが【コト消費】のようなニーズをも満たしているのかもしれません。
厳格に受け継がれた80年前の味付けは、甘過ぎず、しょっぱ過ぎず、絶妙で、芸能人の方も購入にくるそうです。
内閣官房内閣広報室によりますと2021年10月5日現在のワクチン接種率は、下記のようになっています。
少しずつワクチン接種率は上がっておりますが、新型コロナウイルスの終息には先読みできない部分があります。
また、今後も新たな未知のウイルス等が発生することもないとは言い切れません。
今回のコラムでは、そう言った環境の変化に対応しながら売上を伸長している3つの事業者様についてご紹介致しました。
4.まとめ
今回のまとめ
・景気低迷のコロナ禍にあっても、感染症対策や外部環境の変化に前向きに適応し、取り組むことで、新たなマーケットの創出やニーズの掘り起こしに繋がることもあり、そのような企業は大きく売上を伸ばしている。
・事業内容によっては、既存事業とは異なる新規顧客層を取り込むことが可能であり、アフターコロナのフェーズで相互利用などを促進させ、さらなる売上の拡大につながる可能性を秘めている。
・敢えてシナジーを利かせないことで、リスク分散を図れることがある。
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この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。